牡丹の花言葉と意味
花はそれぞれ花言葉と意味を持っています。それぞれの花のイメージにふさわしい花言葉が付けられています。では「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」に例えられる牡丹にはどんな花言葉が与えられているのかご紹介します。
美しい女性の象徴とも言える牡丹の花。その花言葉は種類によって「富貴」「高貴」「恥じらい」「壮麗」「王者の風格」「風格あるふるまい」「権威」「花王」「誠実」「人見知り」「思いやり」などたくさんあります。
牡丹は他の多くの花のように花の色ごとの花言葉はありません。種類によって花言葉が与えられています。ここからはたくさんある牡丹の花言葉のうち「富貴」「恥じらい」「王者の風格」についてその意味や由来を述べてみます。
花言葉①富貴
中国原産の牡丹の花はその優雅で上品な姿から「富貴草」「富貴花」とも言われ花言葉も「富貴」と名付けられました。
その花言葉の由来のひとつに中国宋の時代の儒学者が記した「愛蓮説」の中の「牡丹は花の富貴なるものなり」から来ているという説もあります。
花言葉②恥じらい
牡丹の花言葉のひとつに「恥じらい」があります。「はにかみ」「人見知り」とも言われますが、華やかで優雅な牡丹の花に「恥じらい」は意外な花言葉です。
これは牡丹の花が中央を秘めるような咲き方をすることでまるで恥ずかしがっているように見えるということから西洋人が「恥じらい」という花言葉とつけたという説があります。
「恥じらい」の花言葉のもうひとつの説として西洋人が東洋人の奥ゆかしさを牡丹の花に感じたからというものがあります。牡丹自体が東洋を代表する花といえるからですが、西洋の花言葉は東洋人がつける花言葉とは違った趣きがあります。
花言葉③王者の風格
女性的なイメージのある牡丹の花に「王者の風格」の花言葉は意外ですが、この花言葉の由来は古来から「花王」「百花王」と呼ばれてきたことから派生しています。
花言葉はその花の姿形やイメージだけでなく花にまつわる逸話や風習なども考えて与えられていますから女性的な花に「王者の風格」という花言葉が付けられたのも深い意味があると言えます。
花びらが幾重にも重なって咲くのでふくよかで優雅ながら堂々した姿で「高貴」「壮麗」な花として歴代の中国の皇帝やその妃から愛されてきたことから花言葉を「王者の風格」と名付けられたのも納得できます。
牡丹の花言葉の由来とは?
牡丹の原産地は中国北部です。最初は薬用として用いられましたが唐の時代には牡丹の花の豪華さと気品高いことから牡丹の別名として「花王」「花神」「家神」など呼ばれ皇帝や高貴な人々に愛でられました。
ここから花言葉の由来「王者の風格」や「富貴」が生まれました。日本には奈良時代に渡来しました。遣唐使や弘法大師空海が持ち帰ったという説もあります。最初は「ぼうたん」と呼ばれ中耳炎や月経不順などの薬用として用いられました。
「王者の風格」の花言葉が与えられた理由
牡丹はあでやかで色彩豊かな花なので古来より「百花の王」と呼ばれていました。その地位を与えられ維持しているのは牡丹の花言葉にも表れています。
牡丹の花びらの豪華さと優雅さが他の花の追随を許さないほど壮麗だったために「王者の風格」という花言葉が与えられました。特に原産地の中国で唐の時代皇帝や貴族に愛でられたことからこの花言葉が生まれたと考えられます。
牡丹の苗木は高価で富裕層しか楽しめなかった
「富貴」の花言葉を持つ牡丹は昔は種からの栽培のみだったのでまさに「高値の花」でしたが、近年芍薬を使用した接ぎ木が考案されたことにより急速に普及しました。
今では鉢植えや台木苗として市場に出回っていますので一般の人も十分苗木から育て美しい牡丹の花の開花を楽しむことができます。
牡丹の特徴
牡丹は春から梅雨の頃にかけて大きくて美しい花を咲かせます。一見花びらは薄くはかないように見えますが実際触ってみると分厚くしっかりとしています。品種改良を繰り返したので色や姿形などのバリエーションが豊富です。
牡丹の際立った特徴として、花の形が一重、八重、千重、万重、獅子咲きなど種類が多く、ふつうは春に咲きますが、初冬に咲く寒牡丹もあり、春と秋の2回咲くこともあります。色も赤、ピンク、白、黄色、オレンジ、青、紫など多彩です。
牡丹は中国原産ですが日本にも有名な産地があります。島根県松江市、神奈川県横浜市金沢区、新潟県小泉市の牡丹園などです。日本画などにも描かれ今では日本を代表する花のひとつとなっています。
ボタン科の落葉小低木
牡丹はボタン科の落葉小低木です。小低木とは高さが1メートルに満たない樹木のことを言います。小低木なので上の目線から牡丹全体を眺め楽しむことができますし、「立てば芍薬、座れば牡丹」のように座って鑑賞することもできます。
古くから花の王様と呼ばれる
数ある花の中でもその豪華さと美しさ、壮麗さと他を圧倒する存在感から昔から牡丹は「花の王様」と呼ばれその地位を維持してきました。
花言葉に「王者の風格」を持つ牡丹は昔から中国でも日本でも皇帝や貴人から一般人まで多くの人に愛され敬意を払われてきた花です。
牡丹の種類や品種
牡丹は品種改良が頻繁に行われているので園芸品種が非常に多く赤、ピンク、黄、オレンジ、白、紫など花色や花形も豊富です。代表的な園芸品種として三つほどあげてみます。
まず一般的な品種として春牡丹があります。4月から5月にかけて開花します。寒牡丹は春と秋の二季咲きで、春にできる蕾を摘み取り秋にできるものだけを残し10月後半から1月に開花させます。冬牡丹は春牡丹と同じ品種を1月から2月に開花させます。
次に牡丹の種類として6つほどあげてみます。「花王」「金閣」「貴婦人」「鎌田藤」「太陽」「サンダーボルト」などなかなか面白い名前が多いです。その1つひとつについて特徴や由来、花言葉などをご紹介します。
花王
「花王」は紅ピンクの八重の大輪で早生品種です。まさに花言葉の「王者の風格」にふさわしい花と言えます。
大輪で大きく広げる花びらが特徴で、フリルのように細かな八重咲が魅力的です。咲き終わりの頃には花弁の色は落ちますが圧倒的な存在感があります。また丈夫で樹勢が強い品種なので鉢植えに適しています。
金閣
「金閣」はフランスで開発された中輪の千種咲きの品種です。黄橙色の花びらの先にはオレンジ色の縁取りが入っています。
「金閣」は切り花や鉢植えなどにおすすめです。大輪で俯きかげんなので鑑賞するには支柱があると便利です。花言葉に例えると「金」のイメージから「富貴」かあるいは俯きかげんから「恥じらい」がふさわしいと言えます。
貴婦人
「貴婦人」はその名の通り上品な雰囲気を感じさせる牡丹で大輪を咲かせます。花びらは乳白色で開花するにつれ淡いピンク色が混じってきます。千重咲きの品種です。花言葉の「富貴」にふさわしい名前です。鶴岡八幡宮の鎌倉ボタンがよく知られています。
鎌田藤
「鎌田藤」は日本由来の牡丹で花びらが藤のような優しい色合いの紫色で大輪の千重咲きの品種です。開花時の紫色が満開時にむけて次第に赤みを増していく特徴があります。
花言葉に例えると「恥じらい」が最も適しています。優し気で慎み深い様子が華やかな牡丹の中でも独特な雰囲気をもっています。早咲で4月中頃から花が咲くので長く楽しむことができます。
太陽
「太陽」は日本系のボタンの品種です。八重咲きで早咲きの大輪で情熱的な赤い花びらをつけます。一般的な牡丹のイメージというとこの「太陽」が思い浮かびます。
強く丈夫なので育てやすく、値段も安価なので購入しやすく人気の品種です。花言葉に例えると太陽のイメージから「富貴」または「王者の風格」がぴったりです。初めて牡丹を育ててみたい方におすすめの品種です。
サンダーボルト
雷という意味の「サンダーボルト」はアメリカで品種改良され、一重咲きで花びらが赤褐色をしている中輪の品種です。
絹のような光沢があり黒色と間違えるほどの濃赤な花びらが強烈な印象を与えます。花言葉に例えるとそのインパクトの強さから「王者の風格」があてはまります。
牡丹の花言葉は豪華で優雅な姿から来ている
「富貴」「恥じらい」「王者の風格」など豪華で壮大な牡丹の花言葉は牡丹の優雅で華やかな花の姿形から来ています。牡丹は古来より日本でも中国でも文学、美術、絵画、文様、家紋などに使われ愛される花でした。
そのあでやかな気品と風格が芸術にインスピレーションを与え、歌人の与謝野晶子は牡丹を「神秘の花」「熱の花」と呼び、俳人の正岡子規は病床で「一輪の牡丹かがやく病間かな」と歌を詠み病に苦しみながらも牡丹の花に慰めを見出しました。
日本に渡来した頃に呼ばれた「ぼうたん」という名称は今でも短歌や俳句の世界に生きています。「富貴」「王者」「花王」などこれほどイメージにぴったりの花言葉をもつ花は牡丹のほかにはあまり見当たりません。