「ひいては」の意味
「ひいては」という言葉を日常生活の中でよく使うという人は少ないでしょう。「ひいては」という言葉は国会中継の中などで政治家が使ったりする以外には、あまり耳にしたり目にしたりすることがない言葉です。なので「ひいては」という言葉の意味を正確に知っているという人は少ないです。
また、「ひいては」という言葉の意味を知っていても実際に自分で使うことはほとんどありませんので、意味を知る必要もないと考える人も少なくないでしょう。それでもその意味を知っていれば、耳にしたときに文章全体の意味を正しく把握することができます。
「ひいては」という言葉の意味とはどのような意味なのか、「ひいては」という言葉の意味からご紹介しましょう。
意味①原因となって
「ひいては」の意味の一つ目は、「原因となって」という意味です。「ひいては」をつけることによって「それが原因となって」という意味になりますので、何かが原因となって何かが起こったということを言う場合に「ひいては」という言葉を使ってその原因を指すことができます。
意味②推し進めて
「ひいては」の意味の二つ目は、「推し進めて」という意味です。「推し進めて」という意味で使う場合は「ひいては」の一つ目の意味である「それが原因となって」とは違い、「それを推し進めて」という使い方になります。「それが」と「それを」ではまったく意味が異なってきますので、その点を押さえておきましょう。
意味③引き続いて
「ひいては」の意味の三つ目は、「引き続いて」という意味です。「店内の肉全品一割引き、ひいては店内の魚全品一割引き」などという言い方をする場合にはこちらの「引き続いて」という意味での「ひいては」の使い方になります。何かを提示した後、さらに何かを提示するという場合にこのような意味での使い方をします。
ひいては「ひいて」を強調した意味
「ひいては」の意味は「原因となって」「推し進めて」「引き続いて」という意味ですが、「ひいては」という言葉は実は「ひいて」という言葉を強調した意味の言葉です。「ひいて」というと「引いて」という漢字をあてて連想する人が多いため、「ひいて」を動詞だと勘違いする人も少なくありません。
ですが実は「ひいて」という言葉は動詞ではなく副詞です。「ひいては」という言葉は副詞の「ひいて」を強調した言葉ですので、間違えないようにしましょう。
「ひいては」の使い方
「ひいては」という言葉の意味をご紹介しましたので、次は「ひいては」の使い方についてご紹介します。「ひいては」という言葉は日常生活の中で使うことはほとんどありません。ですが、ビジネスシーンなどにおいては時々使われることがあります。社内のプレゼンなどで企画の説明をする時などに使う人も少なくありません。
「ひいては」という言葉を書類などで使う場合の漢字での書き方や使える場面など、「ひいては」の使い方についてご紹介しましょう。
漢字では「延いて」と書いて使う
「ひいては」の使い方の一つ目は、漢字では「延いて」と書いて使うという使い方です。実は「ひいて」と入力して漢字変換すると「延いて」という漢字は漢字変換の候補にあがりません。というのは、「ひいては」の「ひいて」だけで使うことはほぼないからです。そのため、「ひいて」を漢字変換しようとしても漢字変換の候補に「延いて」は出てきません。
「ひいては」と入力して漢字変換すると、ちゃんと漢字変換の候補に「延いては」という漢字があがってきます。「ひいては」をパソコンなどで漢字変換したい場合には「ひいて」と入力して漢字変換せず、必ず「ひいては」と入力して漢字変換しましょう。
敬語ではないが目上にも使える
「ひいては」の使い方の二つ目は、「ひいては」という言葉は敬語ではないが目上にも使えるということです。「ひいては」という言葉は敬語ではありませんが、堅い言い方です。なので、上司などの目上の相手に対しても使うことができます。上司や取引先などに対して何かを説明する場合にも「ひいては」という言葉は使えます。
「ひいては」は何かと何かの間に使う言葉なので、「ひいては」の前後に使う文章をきちんと敬語表現にすれば、目上の相手に対しても使うことが出来るということを覚えておきましょう。
接続詞的に使える
「ひいては」の使い方の三つ目は、接続詞的に使えるという使い方です。先に少し触れたように「ひいては」という言葉は副詞です。ですが、文章と文章の間に入れるという使い方をするため、接続詞的な役割を果たすこともできます。「A、ひいてはB」「A。ひいてはB」というように、ふたつの文章をつなぐために使うことができます。
基本的には「ひいては」という言葉は副詞ですが、文章と文章をつなぐ時に使うため、「そして」などの接続詞と同じような使い方ができると言えます。
書き言葉・話し言葉で使える
「ひいては」の使い方の四つ目は、書き言葉でも話し言葉でも使えるということです。「ひいては」という言葉はかなり堅い言い方の言葉なので、日常生活の中で使うことはほとんどありません。ニュースなどで聞くことはあっても、普段の生活で友人同士の会話などで聞くことはない言葉です。
ですがビジネスシーンにおいて何かを説明する時には「ひいては」という堅い表現を使うことが時々あります。そういった時には書類などの中でも会話の中でも「ひいては」という言葉を使うことができます。
多用することには向かない
「ひいては」の使い方の五つ目は、多用することには向かないということです。「ひいては」という言葉は接続詞的な使い方もできるとご紹介しましたが、だからといって一つの文章のあちこちにたくさん入れてはいけません。つなぎたい文章がたくさんある場合であっても、「ひいても」は一回使う程度に抑えましょう。
あまりたくさんの「ひいても」を入れてしまうと、書き言葉で使った場合であっても話し言葉で使った場合であっても、読みづらく聞きづらくなってしまいます。「ひいては」という言葉は多用すると不自然になってしまいますので、使い方には注意が必要です。
「ひいては」の意味ごとの例文
「ひいては」の意味とその使い方についてご紹介してきましたので、次は実際に「ひいては」を使った例文をご紹介します。「ひいては」には三つの意味があるとご紹介しましたが、どのような内容の文章の中で「ひいては」を使って良いのかがわからないという人も多いでしょう。
ですが、簡単な例文を見れば「ひいては」をどのような文章の中に使えば良いのかはすぐにわかります。それでは、「ひいては」を使った例文を意味ごとにご紹介していきましょう。
原因になっての例文
「ひいては」を使った例文の一つ目は、何かが原因になってこうなるという意味の例文です。「毎日地道にこつこつと働き続けることが、ひいては昇進や昇給につながる」という例文は、「毎日地道にこつこつと働き続けること」が原因で、「昇進や昇給につながること」が結果になるという例文です。
他に「毎日しっかりと予習復習することが、ひいては受験での成功になる」という例文も挙げられます。「何かをすること」が原因で「何かになる」という結果が導き出されるという時に使える例文です。
推し進めての例文
「ひいては」を使った例文の二つ目は、何かを推し進めていくという意味での例文です。「この小さな町ひとつの問題ではなく、ひいては日本全体の問題になる」という例文は、「この小さな町ひとつ」に何かがあり、それを推し進めていくと最後には「日本全体の問題になる」という結果につながるという例文です。
他にも「自分以外の他人のために一生懸命になることが、ひいては自分自身のためにもなる」という例文が挙げられます。町や国とは規模が違いますが、意味的には同じように「推し進める」という意味での「ひいては」の使い方の例文です。
引き続いての例文
「ひいては」を使った例文の三つ目は、引き続いてという意味での例文です。「韓国、ひいては中国にも日本の激安ショップが進出する」という例文は、「韓国」に引き続いて「中国にも」日本の激安ショップが進出するという意味での「ひいては」の使い方の例文です。「韓国だけでなく中国にも」と言うとわかりやすいでしょう。
引き続いてという意味で「ひいては」を使うのは、国と国や品物と品物などをつなぐ場合で、他に「リンゴ、ひいてはみかんまで半額になる」といった例文を挙げることもできます。
「ひいては」と間違えやすい表現
「ひいては」の使い方や例文をご紹介しましたが、実は「ひいては」には似ているために間違えてしまう「しいては」という言い方もあります。この勘違いは「ひいては」を耳で聞いた時に「しいては」に聞き間違えたという人に多く、「ひいては」を「しいては」だと思っている人は意外に多いです。
他に、「ひいては」と同じような意味だと勘違いして使われることが多い言葉に「さらには」という言葉があります。ですが、「さらには」という言葉は実は「ひいては」とは意味が違うので使い方も違います。
「ひいては」と間違えられることが多い「しいては」と「さらには」という言葉についてもご紹介しておきましょう。
「しいては」は「無理やり・あえて」などの意味
「ひいては」と間違えられることの多い「しいては」という言葉の意味は「無理やり」「あえて」などで、「ひいては」の意味とはまったく違います。なので、「ひいては」と間違えて「しいては」を「A、しいてはB」などというように使ってしまうと、自分の言いたいこととは全く違った意味を持つ文章になってしまいます。
「しいては」と「ひいては」はまったく別物の言葉ですので、「ひいては」を「しいては」だと勘違いしている人は注意が必要です。「しいては」ではなく「ひいては」だということを覚えておきましょう。
「しいては」は日本語的には誤った使い方
「しいては」は「ひいては」とは別物だとご紹介しましたが、実は「しいては」という言葉は日本語的には誤った言い方です。「しいては」を漢字にすると「強いては」になりますが、この意味と漢字での「しいては」は「そのような残業をしいてはいけない」などという使い方以外では使いません。
「あえて」の意味で使う場合には「強いてAをする」、「無理やり」の意味で使う場合には「過酷な重労働を強いて」などというように「しいて」と言います。「ひいては」と間違えやすい「しいては」は実は日本語として間違っているということです。
「さらには」は「そのうえ」という意味
「ひいては」と同じような意味だと勘違いして使われやすい言葉に「さらには」という言葉がありますが、「さらには」の意味は「そのうえ」です。意味的には近いため、「さらには」は「ひいては」の類義語であると言えます。そして、「さらには」も「ひいては」と同じように副詞「さらに」に助詞「は」がついて「さらに」を強調した言葉です。
「さらには」の意味は「そのうえ」ですので、「そのうえ」という意味で使いたいという場合には「ひいては」ではなく「さらには」を使う方が良いでしょう。
「さらには」はひいてはに置き換えられる
「さらには」の意味は「そのうえ」で「ひいては」とは微妙に違いますが、「さらには」という言葉は「ひいては」に置き換えることができます。「スタイルのための減量が、さらには健康的な生活にもつながる」という文章の「さらには」の部分を「ひいては」に置き換えても全く問題ありません。
多少の違いがあるとはいえ「さらには」は「ひいては」の類義語ですので、意味的におかしくない場合には「さらには」を「ひいては」に置き換えることが出来るということです。
「ひいては」と似た意味の言葉・表現
「ひいては」という言葉と間違えやすい言葉についてご紹介しましたが、次は「ひいては」と似た意味の言葉や表現についてご紹介します。「ひいては」の意味は「原因となって」「推し進めて」「引き続いて」ですので、これらの三つの意味と似た意味を持つ言葉が「ひいては」と似た言葉や表現になります。
「ひいては」という言葉は少し堅い印象のある言葉で日常生活の中ではあまり使われることがありませんが、「ひいては」に似た意味の言葉や表現の中には、日常生活の中でも結構よく使われる言葉や表現もあります。
それでは、「ひいては」の意味と似た意味の言葉や表現をいくつかご紹介していきましょう。
それにより
「ひいては」と似た意味の言葉や表現の一つ目は、「それにより」です。「それにより」という言葉は結構使われることの多い言葉ですが、「それにより」は「ひいては」の意味の一つである「原因となって」に似た意味を持つ言葉です。何かをすることによって何かになるといった場合に使われるため、「ひいては」に似た意味の言葉と言えます。
「毎日一生懸命勉強を頑張ってきた。それにより志望の大学に入学することが出来た」というように、「毎日一生懸命勉強を頑張ってきた」のが原因で「志望の大学に入学することが出来た」という結果がついてくる場合などに使える言葉です。
その結果
「ひいては」と似た意味の言葉や表現の二つ目は、「その結果」です。「その結果」という言葉は「それにより」と同じような意味を持ちますが、さらに「ひいては」の意味の一つ「推し進めて」という意味にも似た意味を持ちます。何かをすることによって、何かが出来たなどという場合に「その結果」という言葉を使います。
「道路の舗装工事を進めてきたが、その結果、県内すべての道路の舗装が完了した」というように、「道路の舗装工事という政策」を推し進めてきたら「県内すべての道路の舗装が完了した」という結果につながった場合などに使える言葉です。
それゆえに
「ひいては」と似た意味の言葉や表現の三つ目は、「それゆえに」です。「それゆえに」の意味は「そのために」で、「ひいては」の意味の一つ「原因となって」と同じような意味の言葉です。「それゆえに」は「毎日こつこつと頑張って貯金してきた。それゆえに大金持ちになれた」などという文章に使うことができます。
「毎日こつこつと頑張って貯金してきた」ことが原因で「大金持ちになれた」という結果がついてくるといった場合に「それゆえに」という言葉を使うことができますので、「それゆえに」も「ひいては」と似た意味を持つ言葉だと言えます。
そのため
「ひいては」と似た意味の言葉や表現の四つ目は、「そのため」です。「そのため」も「それにより」と同じような言葉なので、意味的に「ひいては」に似ている言葉になります。「そのため」という言葉は「どんな小さな仕事もミスをすることなく完璧に成し遂げる努力を続けてきた。そのため今の私がある」というような使い方ができます。
「どんな小さな仕事もミスをすることなく完璧に成し遂げる努力を続けてきた」というのは、原因とも言えますし「推し進めてきた」とも言えます。そしてその結果「今の私がある」につながりますので、「ひいては」に近い意味を持つ言葉だと言うことができます。
すなわち
「ひいては」と似た意味の言葉や表現の五つ目は、「すなわち」です。「すなわち」の意味はここまでに紹介してきた「ひいては」に似た言葉や表現とは少し異なります。「すなわち」の意味は「言い換えれば」「つまり」ですので、「ひいては」と似ているとも似ていないとも言えますが、「ひいては」と同じように接続詞的な使い方ができます。
「すなわち」は接続詞であり名詞であり副詞であるという、ちょっと複雑な言葉です。「子供の喜びは、すなわち親の喜びである」などという言い方に使えますが、この「すなわち」を「ひいては」に変えても全くおかしくありません。
使い方によって「ひいては」と同じ意味になりますので、「すなわち」も「ひいては」と似た意味を持つ言葉だと言えます。
とどまらず
「ひいては」と似た意味の言葉や表現の六つ目は、「とどまらず」です。「とどまらず」の意味は「それだけでなく」といった意味ですが、「それにとどまらず」などというように、前に何かをつけて使うことが多い言葉です。ですが何かの言葉の後に「とどまらず」とつけて使うこともあります。
「県大会で優勝したにとどまらず、全国大会でも優勝した」というような使い方もできます。これを二つに分けると「県大会で優勝した。それにとどまらず、全国大会でも優勝した」となります。
この文章は「県大会で優勝し、ひいては全国大会でも優勝した」と言い換えることができますので、「とどまらず」は「ひいては」と似た言葉だと言えます。
加えて
「ひいては」と似た意味の言葉や表現の七つ目は、「加えて」です。「加えて」の意味は「さらに」「それだけでなく」という意味で「さらには」に近い意味がありますので、「ひいては」とも似た意味を持つ言葉です。「加えて」は「国内コンクールで優勝、加えて国際コンクールでも入賞」などという使い方をします。
この文章の「加えて」の部分を「ひいては」に変えると「国内コンクールで優勝、ひいては国際コンクールでも入賞」となり、違和感がありません。意味の似た言葉は置き換えることが出来るということです。
「ひいては」の英語表現
「ひいては」という言葉について色々とご紹介してきましたが、「ひいては」を英語で表現するとどうなるのでしょうか。「ひいては」はちょっと堅い日本語なので対応する英語はなさそうですが、「ひいては」に対応する英語もちゃんとあります。中学や高校の英語の授業で習う程度の英語の中にも、「ひいては」にあたる英語があります。
実は意外に耳慣れた英語のフレーズが「ひいては」にあたります。それでは「ひいては」にあたる英語表現について、いくつかご紹介していきましょう。
似た意味の組み合わせがある
「ひいては」の英語表現にはいくつかありますが、似た意味の組み合わせの英語表現がいくつもあります。一つ目は「Not only A、but also B」という言い回しの英語です。これは学校の英語の授業などで習うため、覚えているという人も多いでしょう。これは「AだけではなくBも」という意味の英語ですが、これが「ひいては」にあたります。
それ以外にも「in addition to A, B」は「Aに加えてBも」という意味なので「ひいては」にあたる英語になりますし、他に「A, as a result, B」は「A結果としてB」という意味なのでこちらも「ひいては」にあたる英語になります。
「ひいては」とは原因や結果に関わる文章に使う言葉
「ひいては」という言葉の意味や似た意味を持つ言葉や使い方などをご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。「ひいては」という言葉は、何かが原因で何かの結果につながるということに関わる文章を書く時に使う言葉ですので、ビジネス文書やプレゼンなどで是非使ってみましょう。