ビストロの正しい意味は曖昧
ビストロの正しい意味は、非常に曖昧と言われています。国によって多少使い方なども異なります。主にフランスでの使い方は小さな料理店という意味で使われることが多いです。では、このビストロはどのような意味があるのかを確認していきましょう。レストランよりもビストロの方が、カジュアルダウンした食事ができる場所というスタンスのようです。
料理店をさすことが多い
ビストロとは、先ほども少しご紹介しましたが、料理店をさすことが多いようです。フランスでは、小さな料理店という意味です。小さな料理店とは、レストランよりもカジュアルにフランスの伝統料理や庶民的な家庭料理などが楽しめ、値段も比較的良心的です。テーブル同士も近く、会話を楽しみながら食事をするというような雰囲気です。
ビストロとは、ロシア語の「早く」という意味が由来しています。待ちきれないお客さんが「早く料理や酒を出せ」という言葉を使うときに、ビストロと使っていたのがきっかけです。
ビストロという言葉は、非常に曖昧な言葉なのです。フランスとロシアで、使い方が異なることが分かります。
居酒屋を意味することもある
ビストロという言葉とは、居酒屋を意味するということも言われています。ビストロは、フランス風の居酒屋の事をさし、パリに出稼ぎにきた地方の労働者向けの料理店という意味があります。ワインを中心にお酒を飲むことができ、家庭的な料理や地元の特徴を生かした料理などが楽しめます。
日本でもよく居酒屋などで、ビストロという言葉が使われています。海外でいうビストロとの意味や使い方の違いは、日本では言葉を曖昧にしているという点です。
日本では、一般的に日常的に使える料理が食べれるお店や居酒屋などをビストロと呼びます。また、ビストロの方がレストランより安価という認識です。日本と海外では、少し言葉の使い方やニュアンスに違いがあるということが分かります。
ビストロと同じ意味の言葉
ビストロとは、どのような言葉なのかをお伝えしていきました。では、ビストロと同じ意味の言葉にはどのような言葉があるのでしょうか?たまに聞く言葉ですが、ビストロとは少しずつニュアンスや意味が変わっていきますので、ここからは言葉の意味とニュアンスや使い方の違いを確認してみましょう。
トラットリアとは
トラットリアとは、イタリア語ではビストロと同等の意味で使われています。トラットリアとは、イタリアでは大衆食堂のことを言います。一般的にイタリアでは、家族で経営しており、地方料理や家庭料理が手軽に楽しめ、ドレスコードがなく、ラフに食事を楽しむことができる場所です。
ですが、日本ではコース料理やドレスアップをし、食事をする場所が、トラットリアと言われることも稀にあります。こちらも日本と海外での言葉の使い方や意味の違いです。
オーナーのこだわりが強かったり、お店のメッセージ性やセンスなどから、高価なコース料理の場合もトラットリアという言葉を使うことがあるようですが、厳格にこれといって定められている訳ではありません。
ビストロと似た意味の言葉と違い
「ビストロ」と似たような意味の言葉や国によって使い方に違いがある言葉は、まだまだあります。誰かと食事に行き会話をする際にも、このような言葉やニュアンスの違いが分かるようになると、社会人のマナーとしても素敵な事です。
何気なく見ている「ビストロ」という言葉ですがしっかり意味を知ることで、それが教養や知識に繋がります。
また、国によってのニュアンスの違いを理解することができると、コミュニケーションの際に応用ができますし、幅も広がります。是非、その言葉の違いや意味について確認していきましょう。
リストランテとは
「リストランテ」は、イタリア語でレストランのことを言います。「トラットリア」、「ピッツェリア」、「オステリア」より高級で、食事の単価は15000円を超えるお店が多いのが特徴です。お店で出される料理は、コース料理が基本となっています。
男性はジャケット、女性はドレスなどのドレスコードが決まっており、富裕層や祝い事の際に使うことが多いようです。コース料理は、主に5つに分けられます。まずは、アンティパストというコースの最初に食べる料理で、サラダやマリネなどが多いです。
次にプリモピアットは、パスタ・ピッツア・リゾット。その後に運ばれてくる料理は、セコンド・ピアットといい、肉や魚を使ったメインディッシュ。その後、フォルマッジォというチーズがありますが、これは店によって有無があるようです。最後にドルチェというデザートがつき、パンナコッタやティラミスが食べることができます。
バルとは
バルは、Barと同じ語源で、イタリアやスペインなどの南ヨーロッパの喫茶店やお酒が飲める場所、または軽食が食べられるお店のことをさします。また中には、お菓子を販売しているお店もあります。ビストロと違いバルは、立ち飲みスタイルのため、回転率が速い傾向にあります。日本でも、バルと呼ばれる飲食店はよく見られます。
日本にあるバルは、スペインのバルのお店を意識した場所傾向にあります。現地のスペインのバルで出される料理は、日本より軽い小皿料理が多いです。また朝は、エスプレッソマシーンでコーヒーも淹れてくれます。朝から夜まで多くの人で賑わっています。
タパスやピンチョスなどのお酒のおつまみになるようなものが多いです。それに比べて日本のバルは、本場のスペインのバルより手の込んだ料理が多いのが特徴的です。
ブラッセリーとは
「ブラッセリー」は、「ビストロ」よりも更に大衆的な居酒屋や食堂と言われています。主に、お酒や軽い食事を提供している場所で、19世紀の中頃まではビール製造所のことを「ブラッセリー」と呼んでいました。ですが、19世紀後半には、「ビールを提供する場所」のことを指すようになり、「ブラッセリー」という食事をする場所が生まれました。
ビストロよりもまだ更に気軽に立ち寄れる場所で、食事をしっかり楽しむというよりは、お酒をたしなむ場所として使われる傾向にあります。ドレスコードも特に決まりがなく、子供の年齢制限もほとんどの店がないので、家族で食事を楽しむこともできます。
カジュアルフレンチとは
「カジュアルフレンチ」は、高級レストランのように堅苦しさがなく、ラフな服装でも入れるカジュアルにフレンチを楽しめるレストランと言われています。また「カジュアルフレンチ」は、MENUがあり、そこから料理を選び、注文するようなスタイルです。またカジュアルとつくので、こちらもドレスコードなどはいらずに気軽に入れるお店です。
アラカルトと呼ばれる単品での注文も可能で、スープやサラダなども単品で頼むことができ、ヴィンテージワインのような高めのワインじゃなく、普通飲みのワインも充実しています。食事の料金も抑えて、楽しめるというのが魅力の1つです。
フランスでの「カジュアルフレンチ」は、コストが安く抑えられ、料理の盛り付けも美しく、リズナーブルにフレンチを楽しめるので、とても人気です。予約をしないと混むこともあり、回転率が速いという特徴もあります。
ビストロの語源
では、ここからはビストロの語源を確認していきます。「ビストロ」は、フランスの小さな料理店というのが、元々の語源であることはお伝えしていきました。実は、「ビストロ」には、更に細かく分類できるネーミングがあるんです。こちらも合わせて確認していきましょう。
ビストロはフランス語
最初にも少しだけお伝えしましたが、元々「ビストロ」はフランス語で気軽に利用できる小料理屋の事をさします。カジュアルで気兼ねなく食事や会話を楽しめる場所という、とても身近に感じられ、落ち着ける場所です。「ビストロ」は、伝統的なフランス料理が味わえるパリでの食事に欠かせません。
フランスで「ビストロ」というと、地元の常連客に愛されていて長く続いているお店だったり、地方料理がお酒と一緒に楽しめる場所など様々な料理店がたくさんあります。「ビストロ」と言っても、いろんなお店があり、いろんな言葉の使い方があります。
そもそも「ビストロ」は、家族で経営するお店という使い方をされることが多かったようです。簡単なルートで食材を仕入れ、簡単な小料理を提供するものですが、近年では、日本でも多くこの言葉が使われ、チェーン店を展開する企業も増えてきたようです。
ビストゥルイユが語源という説がある
ビストゥルイユですが、酒に混ぜものをするという意味が語源になっています。北フランスでは、濃いコーヒーにカルヴァドスというお酒を加えることで、ビストゥルイユという飲み物になります。アルコールの入ったコーヒーもフランスでは、住民の人々がよく飲まれています。
ロシア語で「早く」という説がある
またロシア語で「ビストロ」の意味はフランス語と違いがあり、また意味が変わってきます。ロシア語の「ビストロ」は、「早く」という意味があります。
これは19世紀初頭にロシア軍がパリを占領したときに、飲酒を禁止されていたロシア兵が、飲酒しているところを誰かに見られる前に、お酒を飲みたかったので、居酒屋で「ビストロ」(早く)と伝えたことやしたことが発端と言われています。
同じ「ビストロ」という言葉でも、フランス語とロシア語で意味が全然違います。このような違いを1つ知っておくだけでも、教養と知識になります。食事をする際に、是非知っておくと良いでしょう。
ビストロの使い方
ビストロはどのようなシーンで使い分けすることができるのでしょうか?実は、ビストロも細かく3つに分類できます。ビストロ フー、ビストロ ドンナ、ビストロ ル プュイ ドールの3つです。すべてフランス語の言葉ですが、それぞれにどのような意味が込めれているのかを見ていきましょう。
店名の例①ビストロ フー
「ビストロフー」は、フランス料理店や料理名でよく使用される言葉です。ドラマ「問題のあるレストラン」の店舗名でも実際に「ビストロフー」と使われていました。フーは、フランス語で「feu」と書き、炎のことをさすそうです。
フランス語で、同じフーという言葉ですが、違う使い方をする言葉もあります。それが「fou」という言葉です。この「fou」の意味は、「気が狂った阿呆」という意味です。2015年にフジテレビ系のドラマ「問題のあるレストラン」で、主人公が開いた店の名前も「fou」といいます。
このドラマのストーリーでも、火という意味で「feu」にするはずが、誤って「fou」にしてしまい、それがそのまま店の名前になるということがありました。
店名の例②ビストロ ドンナ
「ビストロ ドンナ」は、イタリア語で女性という意味をさします。「ビストロ ドンナ」の意味は、女性1人でも気軽に立ち寄れるお店というようです。本来、ビストロはフランス語ですが、ドンナはイタリア語で、別の国の言葉同士が組み合わさったような単語となっています。
本来、ビストロはフランス語で使われることが多いですが、イタリア語で使われることもあります。「ビストロ ドンナ」は、イタリア料理を気軽に楽しめるというコンセプトのお店です。また「ドンナ」は、バレエのプリマドンナとも言われています。
プリマドンナは「第1の女」という意味です。元々はオペラの主役となる女性歌手を指していますが、最近ではバレエで主役をとるという意味もあります。
店名の例③ビストロ ル プュイ ドール
「ビストロ ル ピュイ ドール」は、それぞれの単語に意味があり、ピュイドールは、金の井戸という意味です。「ビストロ ル ピュイ ドール」という言葉の、「ドール」は他にも違う意味で使われることがあります。
「バロン ドール」は、黄金のボールという意味があり、サッカーの最優秀選手に贈られる賞のことを言います。また「パルム ドール」は、フランス語で金のヤシの葉のことを言い、カンヌ国際映画祭の最高賞のことをさします。このように同じドールという言葉でも、組み合わせによっては全く違う言葉になるということが分かります。
ビストロとは料理店や居酒屋を意味する言葉
いかがだったでしょうか?「ビストロ」にも、様々な種類の意味や、料理の形式などに違いがあることが分かります。フランス料理やイタリア料理は、いろんな形式のお店がありますので、その立ち寄り場所に合わせ使い分け、ドレスコードや食事などを楽しんでみると、また新たな発見があるかも知れません。
本場の「ビストロ」では、これだけ意味が分かれているという知識があるだけでも、また違った視点から物事を見ることができます。
食事を楽しむ時間
フランスやイタリアで、料理を学ばれてきたコックさんもたくさんいらっしゃるので、お店の名前の由来やストーリーなどを聞いてみることも良いでしょう。いつものお食事の際のコミュニケーションの際に、会話の節にちょっとした知識を取り入れたりすることで、より充実した時間を過ごせます。