「奈」の意味とは
小学生でも書ける「奈」という漢字ですが、この文字の持つ意味について考えたことはありますか。生まれてくる子供に奈の付いた名前を付けようと思っている方は、もちろん意味もご存知でしょう。しかし、もしかしたら、知らなかった意味もあるかもしれません。こちらでは、奈という一文字の中にある、さまざまな意味についてご紹介しましょう。
意味①いかん
これは禁止を表す「いかん」ではありません。この言葉は「いかに」から転じた言葉で、事の成り行きや状態、その次第といった意味を持っています。「その理由のいかんは問わない」などと、今日でも使う言い回しです。また同時に、疑問に思うということを意味している言葉でもあります。この場合、どうか、といった意味になります。
よく聞く言い回しとして、「いかんともしがたい」が挙げられるでしょう。これは、どうにも出来ないという意味になるのです。
意味②どうして
この「どうして」という意味は、先に挙げた「いかん」の、疑問を表す意味と同様だと考えることが出来ます。しかし、こちらの場合は、疑問の度合いがやや強めと言えるでしょう。例えば、「どうしてそんなことになったの?」と問われれば、単になぜと思うだけでなく、困惑が含まれるようなイメージではありませんか。
何でそんなことになったのか教えて欲しいと、理由を聞きたい心理も含まれていると考えることも出来ます。
意味③どうか
この「どうか」もまた、お願いを意味する言葉ではありません。どうかには、いかんやどうしてと同じように疑問の意味があります。奈の持つ意味としてのどうかは、手段や方法を尋ねるという疑問を表しているのです。今の日本語では、この言葉をこういった意味で使うことは少なくなっています。
意味④からなし
奈という漢字が表す意味に、「からなし」というものがあります。いまいちぴんと来ない方がほとんどでしょうが、これはかりんを意味する言葉です。唐梨とも書き、その名の通り中国原産の果樹です。そして、からなしが指す果樹という意味は、奈という文字が持つ一番大きな意味でもあるのです。
かりんは、現在でも砂糖漬けやかりん酒などといった形で楽しまれていますが、かつては神事に用いられる神聖な果樹であったそうです。
意味⑤べにりんご
奈の持つ意味として挙げたからなしですが、この言葉には「べにりんご」という意味もあります。べにりんごとは元々日本にあったりんごの種類であり、成熟すると赤くなるものを指します。このべにりんごの古い言い方が、からなしでもあります。奈が女の子の名付けにたくさん使われているのは、この赤いりんごを意味するからだとも考えられます。
りんごには、最も美しい人、選ばれる人といった意味の花言葉があると言われています。赤いりんごの愛らしい様子とこの花言葉の存在で、奈の付く名前が好まれる理由が分かるのではないでしょうか。
「奈」の読み方
奈がどんな意味を持つかについては触れましたが、では、読み方はどうでしょう。多くの人が知っていて、名付けに使われる読み方はひとつだと考えられますが、奈には他にも読み方があります。女の子の名前で多く使われている奈という文字ですが、読み方によっては男の子の名付けにも使えるという特徴があります。
それぞれどんな読み方が出来るのか、男の子と女の子どちらの名付けに使うことが多いのかを、併せてご紹介しましょう。
な
奈という漢字の読み方はこれしか知らなかったという方も、多いのではないでしょうか。「な」という読み方は、この漢字の代表的な読み方と言っても過言ではありません。冒頭で挙げた名前の他にも、佳奈や里緒奈など、奈を使った女の子の名付けは根強い人気を誇っています。
「な」という響きの可愛らしさや誰でもまず読めるという簡単さ、また漢字がシンメトリーでバランスがよいなどの理由で、奈という漢字は名付けに多く利用されてもいます。
たい
奈という漢字は、女の子の名付けにだけ使われるものではありません。それは、奈にある別の読み方を知れば納得していただけることでしょう。奈には、他に「たい」という読み方もあります。この読み方の場合は、女の子よりも男の子の名付けに使われることが多いと言えます。
あまり見ない名前ではありますが、奈樹と書いて「たいき」と読むことも出来ます。読み方が変わると、女の子のイメージが強かった奈も、男の子の名付けにも使えるということがよく分かります。
だい
奈には、先にご紹介した「たい」という読み方を濁らせた「だい」という読み方もあります。女の子の名付けによく使われる「な」という読み方とはずいぶんかけ離れていますが、これも奈という文字の持つ正式な読み方のひとつです。「たい」に比べて、「だい」にはより男の子らしいニュアンスが漂います。
そのためか、男の子に対しては「たい」ではなく「だい」という読み方を使う名付けが多いです。奈の一文字でだいという名前や、奈吾でだいご、奈祐でだいすけなどもあります。先ほどご紹介した奈樹も、読み方を換えればだいきと読むことも出来ます。
「奈」の漢字の由来
奈という漢字の意味や読み方を気にするなら、その成り立ちにの由来にも目を向けてみましょう。奈という漢字が出来た由来を知れば、この文字が持つ意味もよりいっそう心に染み込むのではないでしょうか。名付けの際には、そこまでこだわるのも大切だと言えます。これから奈を使った名前を子供に与えるなら、成り立ちの由来を知っていて損はありません。
木・示を組み合わせた「柰」で表していた
奈という漢字は、元々別であった文字を上下で合わせて作られたと言われています。奈という漢字の下の「示」の部分は、神にいけにえを捧げるのに使う台を表したものだと言われています。その上に覆い被さる「大」はかつては「木」の文字が使われており、大地を覆う大木を意味していました。
この2つの文字が合体して出来たのが奈という漢字であり、それぞれの文字の意味を併せ持ち、「神事に使われる果樹」という意味を持つようになったのです。そしてこれが、奈の持つ最も大きな意味となっているのです。
女の子の名前の名付けに「奈」を使うポイント
意味や読み方など、奈は様々な面で女の子の名付けに使われる人気の文字であることが分かりました。ただ何となく女の子の名前に奈を使おうとしていた方も、この漢字に対する理解がさらに深まったことでしょう。意味や漢字の成り立ちなど、今までご紹介していた以外のポイントでも、女の子の名付けに奈を使うメリットはあります。
「奈」が持つイメージ
奈という文字には、かりんの意味があることは先にご紹介した通りです。かりんには「豊麗」や「唯一の恋」といった花言葉があり、豊麗とは豊かで美しい様子を表しています。奈がこのような意味を持っていることからも、文字から感じ取るイメージは決して悪いものではありません。
また、奈にはべにりんごの意味もあるとお伝えしました。その赤い色と丸みを帯びたりんごの形は愛らしいものであり、りんごの甘い香りは女の子の名前にぴったりなイメージだと言えるのではないでしょうか。
様々な願いや想いを込められる
せっかくいい由来や意味をたくさん持った、奈という文字です。単に響きや使い勝手のよさでのみ名付けに使うのではなく、文字本体の持つ意味を込めるといいでしょう。奈の持つかりんやべにりんごという意味にも、その文字の成り立ちの由来にも、親が子に願うべきことがたくさん含まれています。
かりんの花言葉から願いを込めるのもいいですし、奈という文字の由来である大樹という意味から、大きく立派に成長して欲しいと願うことも出来ます。果樹は多くの実りを与える象徴なので、誰かに何かを与えられるようにという思いを込めてもいいでしょう。
「奈」の付く名前も人気
奈という文字は、つくづく名付けに相応しい文字であると実感していただけたのではないでしょうか。ちなみに実際のところ、奈という漢字を使った名前の人気はどれほどのものなのでしょう。某育児雑誌が2018年に調べたところによると、奈は「花」「結」に続いて、女の子の名前に使われる漢字の第3位にランクインしています。
前年は4位とのことで、ワンランクアップという結果です。また、奈を使った人気の名前として「優奈」が挙げられており、この名前自体が、100位中19位の人気という結果を残しています。この事実は、人気があるというこの上ない証拠であると言えます。
「奈」の最も大きな意味は果樹を指す
奈という文字の由来を紐解くと、その一番大きな意味は果樹であることが分かります。果樹は人々に実りをもたらす重要なものであり、大きくなった樹は人々を包み込むような大らかさも持っています。そんな温かな意味を持った奈を、ぜひあなたのお子さんの名付けに使ってみてください。