結婚式の乾杯挨拶の基本構成
結婚式で乾杯の挨拶といえば、職場の上司などが披露宴の冒頭に行うものですが、ここで失敗してしまうとシラケたムードになってしまいます。それだけに、「乾杯の挨拶なので簡単にできるだろう」と引き受けてしまうと、本番で失敗することにもなりかねません。
結婚式の乾杯挨拶を成功させるには、一般の来賓挨拶とは異なる基本構成をしっかりと理解し、入念に準備しておくことが大切です。そこで、結婚式の乾杯挨拶における基本構成と、それぞれのパートにおける注意点、例文などを紹介します。
お祝いのメッセージ
結婚式の乾杯挨拶の冒頭は「お祝いのメッセージ」のパートとなります。まずは結婚する二人へのメッセージを贈ることになりますが、このパートは結婚式の乾杯挨拶の導入部分になります、長くならないようくシンプルなメッセージで構いません。
例文としては「○○さん、○○くん、並びにご両家のご親族のみなさま、ご結婚誠におめでとうございます」が基本形となります。このとき、新郎側の参加者であれば新郎の名前、新婦側であれば新婦の名前を先に呼びかけるのがマナーです。
また、新郎新婦の名前だけではなく、二人のご両親や両家のご親族に呼びかけて、お祝いのメッセージを贈るとご両親からも喜ばれるでしょう。
自己紹介
「お祝いメッセージ」に続けて、「自己紹介」のパートに続きます。ここで、注意したいのが自分のことばかり延々と紹介しないことです。とりわけ、職場の上司だと自分の自慢話をしゃべり続ける人もいますが、明らかにマナー違反です。あくまでも主役は新郎新婦だということを忘れてはなりません。
例文としては「ただいまご紹介にあずかりました△△と申します。新郎の〇〇君と同じ職場の〇〇でございます。ご指名いただきましたので、乾杯の挨拶をさせていただきます。」が基本になります。
例文のように「自己紹介」のパートは、新郎もしくは新婦との関係を述べる程度に止めておき、「上司」「恩師」などの関係を強調しないのがスマートです。また、「お祝いのメッセージ」と「自己紹介」の順番を入れ替えても構いません。
はなむけ
「はなむけ」とは、新しい環境に向かう人に対する「激励」の意味で使われる言葉であり、馬の「鼻を向ける」のが語源となっています。したがって、結婚式の乾杯挨拶では、二人の門出を祝福する言葉です。
例文としては「二人で力を合わせて幸せな家庭を築いてください」が基本形となりますが、これだけではあまりにもシンプル過ぎます。
そこで、乾杯挨拶に指名された人と新郎新婦にまつわるエピソードなどを交えると良いでしょう。例えば、職場の上司であれば、日頃の新郎もしくは新婦の仕事ぶりなどを紹介します。ただし、エピソードは1つ程度に止め、長くなり過ぎないよう注意します。
結びの言葉
結婚式の乾杯の挨拶における「結びの言葉」は、そこで本当に挨拶を結ぶのではなく乾杯に向けての準備を促す言葉となります。
例文としては「それではみなさま、乾杯の御唱和をお願い致します。」が基本形です。また、グラスにお酒が入っていることを確認するために「みなさま、グラスにお酒は注がれましたでしょうか」といった例文を使うのも良いでしょう。
基本的にはこのタイミングで、来賓の方々は乾杯に向けての準備を行います。したがって、稀に「結びの言葉」を入れない人もいますが、乾杯のタイミングが揃わなくなりますから確実に入れましょう。
最後に乾杯のスピーチ
「お祝いの言葉→自己紹介→はなむけ→結びの言葉」の流れで乾杯挨拶を進めれば、最後に「乾杯のスピーチ」のパートとなります。ここでは、披露宴の参加者が一斉に乾杯できるようタイミングを図ることが重要です。
例文としては「ご唱和願います。乾杯!」と至ってシンプルなものです。ただし、この一言で結婚式の雰囲気はガラッと変わることもあります。
このパートで注意すべき点は、乾杯挨拶が早口にならないよう落ち着いて発生することです。また、参加者が乾杯しやすくなるよう「乾杯!」の発声の直前に適度な間を取ることも忘れてはなりません。
結婚式の乾杯挨拶の時間は短めに!
結婚式には数多くの新郎新婦の関係者が大勢集まりますから、披露宴が始まると職場の上司など多くの来賓から挨拶をいただくのが通例です。しかし、乾杯挨拶が長くなると披露宴の開始が遅れるだけでなく、全体的に間延びした印象となってしまいます。
したがって、乾杯挨拶の時間は短めになるよう、テンポよく進めることがマナーです。そこで、コンパクトで場の雰囲気を盛り上げられる乾杯挨拶のポイントや時間の目安などについて紹介します。
短く簡潔に乾杯のタイミングが分かるように
結婚式の乾杯挨拶の目的は、披露宴をスムーズにスタートさせるとともに、参加者の緊張感ほぐして場を盛り上げることにあります。また、上司や恩師の来賓挨拶とは異なり、「乾杯」の発声で挨拶を締め括ることも考慮しなければなりません。
さらに、来賓はが飲み物を持って待機していますから、乾杯挨拶が間延びしてしまうと披露宴のスタートが締まらないものになってしまいます。したがって、乾杯挨拶は時間配分に注意して、乾杯のタイミングが分かるよう配意しましょう。
乾杯挨拶に最適な時間とは
乾杯挨拶の後には多くの参加者が一斉に乾杯しますから、そのタイミングが揃わないと非常に不格好になります。そこで大切なのが、乾杯挨拶の時間配分とテンポ、乾杯のタイミングといった点です。したがって、結婚式挨拶を指名された場合、これらの注意点をしっかりと理解して、トータル時間は1〜2分程度にまとめることを心がけましょう。
結婚式の乾杯挨拶のマナー
結婚式の乾杯挨拶の基本は全体をコンパクトな時間配分にまとめて、しっかりと構成どおりに進めていくことですが、さらにいくつかのマナーを踏まえておくことが大切です。
とりわけ、結婚式は二人にとって一生一度のお祝いの場ですから、言葉のチョイスには注意を払いましょう。そこで、最低限知っておきたい結婚式挨拶のマナーについて紹介します。
忌み言葉や重ね言葉を避ける
「忌み言葉」とは、その場面に相応しくない言葉です。とりわけ結婚式などお祝いの場で使ってしまうと、新郎新婦をはじめ親族や職場の上司など来賓の方々にも失礼にあたりますから、言葉のマナーには十分に留意しましょう。
結婚式における「忌み言葉」については、「不幸を予感させる言葉」と「繰り返す重ね言葉」に大きく分けることができます。これらの言葉をどうしても使わなけれなならない場合は、言い換えを考えましょう。
不幸を予感させる言葉の言い換え
不幸を予感させる言葉としては「別れる」「切れる」「離れる」「負ける」「最後」「終わる」「冷める」などがあげられます。この中でも結婚式の乾杯挨拶では「宴席を修了します」「最後の言葉とします」といった言葉を使ってしまいがちです。
こういった場合には、それぞれ「宴席をお開きとします「結びの言葉とします」と言い換えるとマナー違反にはなりません。
繰り返す重ね言葉の言い換え
繰り返す重ね言葉としては「くれぐれ」「繰り返す」「再び」「再三」「二度」「重ねて」などがあげられます。この中でも結婚式の乾杯挨拶では「くれぐれもお幸せに」「重ねてお祝い申し上げます」といった言葉を使うケースが少なくありません。
この場合には、それぞれ「どうぞお幸せに」「深くお祝い申し上げます」と言い換えるとマナー違反にはなりません。
結婚式の乾杯挨拶の例文【上司から部下】
結婚式の乾杯挨拶は、新郎もしくは新婦の会社の上司にお願いするのが通例です。それだけに、部下から乾杯挨拶を依頼されると引き受けざるを得ません。
しかし、職場の上司として、結婚式の乾杯挨拶は失敗ができない緊張感とマナー違反できないプレッシャーに包まれてしまいます。そこで、上司から部下に向けて行う結婚式の乾杯挨拶の例文について紹介します。
新郎新婦を応援する乾杯挨拶
上司から部下に向けて行う結婚式挨拶において、最もスタンダードなのが「新郎新婦を応援する」パターンです。基本構成でいえば「はなむけ」のパートに入れ込む形になります。
例文としては「○○君がわが社に入社して、早いもので7年になります。日々、一生懸命仕事に打ち込む姿は頼もしい限りです。その○○君が、○○さんという素晴らしい女性と巡り合いご結婚されることを、本当に良かったなと感じています。」となります。
日頃の新郎もしくは新婦の仕事ぶりを上司の目線で紹介し、二人の結婚を祝福する言葉につなげるのがポイントです。ただし、時間が長くならないよう注意しましょう。
新郎の様子にフォーカスした乾杯挨拶
上司の目線で「当日の新郎の様子」にフォーカスしたパターンもオーソドックスな乾杯挨拶の一つです。このパターンも「はなむけ」のパートに入れ込みます。
例文としては「私は○○君と同じ職場で働いていますが、職場での彼はまじめで真剣な眼差しで仕事に取り組んでいます。しかし、今日の彼は仕事場での表情とは少し異なり、和やかで優しい表情をしています。ぜひ、この表情を忘れないで○○さんと温かい家庭を築いてください」となります。
例文のように上司として職場での新郎の仕事ぶりを紹介しつつ、結婚式当日の表情を上手く伝えるのがポイントです。もちろん、短時間にまとまるようコンパクトにまとめることを忘れてはなりません。
会場のゲストを巻き込んだ乾杯挨拶
新郎もしくは新婦の上司が、ゲストを巻き込んでの乾杯挨拶はハードルは高くなるものの、上手くハマれば会場を大いに盛り上げることができます。そこで大切になるのが誰を巻き込むのかという点です。
会場を盛り上げるには、例えば新郎・新婦の上司や恩師など、意外な人物を巻き込みたいところですが、洒落がわからない人や引っ込み思案の人だと場がシラケてしまいます。
したがって、新郎・新婦にとって上司や恩師など頭の上がらない存在のうち、「ノリが良い」「宴会好き」「協力的」なゲストを選び、事前に巻き込むことをお知らせしておくことが最低限のマナーです。
会場のゲストを巻き込んだ際の例文
会場のゲストを乾杯挨拶に巻き込む場合、「なぜ、そのゲストを選んだのか」という理由が必要です。例えば、結婚式当日が雨であれば「雨男・雨女」、授かり婚の場合だと「授かり婚経験者」を選ぶと必然性が出てきます。
また、ゲストをいじり過ぎないこともマナーの一つです。例えば、雨男のゲストを巻き込むのであれば「雨降って地固まると申しますが、ひとえに雨男である○○さんのおかげです」といった例文になります。
結婚式の乾杯挨拶の際の注意点
結婚式の乾杯挨拶の際の注意点といえば、挨拶時間を短めにすることです。しかし、それだけでは会場を盛り上げスムーズに乾杯することはできません。
そのほかにもいくつかの注意点があり、それらを理解しておかなければマナー違反にもなりかねません。そこで、結婚式でスムーズに乾杯し、会場の雰囲気を和ませるための注意点について紹介します。
最後に大きな声で「乾杯!」
結婚式の乾杯挨拶において最後の「乾杯!」は、披露宴をスタートさせる合図にもなりますから、大きな声で元気よく発声します。そのとき、注意したいのが「早口」にならないことです。
声を大きく出そうとすると、ついつい早口になってしまうものですが、早過ぎると参加者が呆気にとられてしまうので、ゆっくり目に発生することを心がけましょう。
反対に「かんぱ~い」と引き延ばして発生する人もいますが、間延びして聴こえます。したがって、あまり引き延ばさず「かんぱいっ!」と最後に「っ」が入るくらいの方が引き締まった乾杯となります。
乾杯の言葉を予測させる一言
「乾杯」をする前には、乾杯の言葉を予測させる一言を必ず入れましょう。稀に挨拶の流れのまま「乾杯」の発声をする人がいますが、参加者が乾杯のタイミングを逸してしまい、とても締まらないものとなります。
乾杯の言葉を予測させる一言としては「それではご唱和お願いいたします。」が例文としては一般的ですが、ここで気を付けたいのが、「乾杯」までの「間」です。具体的には、乾杯の言葉を予測させる一言の後に一瞬の「間」を入れて「乾杯!」の発声をすると、参加者もタイミングが取りやすく、きれいに乾杯が揃います。
グラスが行き渡っているか
結婚式の乾杯挨拶をしている間は、緊張して周りが見えなくなる人もいますが、少なくとも参加者にグラスが行き渡っているかは確認しましょう。基本的に、乾杯挨拶が始まると自然にグラスにお酒を注ぐものですが、時間が短すぎると行き渡っていないことがあります。
そのまま、乾杯してしまうと不格好になりますので、乾杯の言葉を予測させる一言の前に、グラスが行き渡っているか確認する一言を発するのがマナーです。
例文としては「みなさん、グラスは行き渡りましたでしょうか」が基本形です。グラスが行き渡っていなければ、少し間を取って乾杯の言葉を予測させる一言を告げれば、乾杯までの流れがスムーズになります。
結婚式の乾杯挨拶は慌てず落ち着いて行おう!
結婚式の乾杯挨拶は、披露宴の開始を告げる大切な挨拶であり、緊張した雰囲気を和ませる雰囲気作りを行うのが目的です。したがって、通常の挨拶とは基本構成が異なり、マナーや注意すべきポイントも異なります。
基本構成は「お祝いのメッセージ」「自己紹介」「はなむけ」「結びの言葉」「乾杯のスピーチ」のパートからなり、トータルで2~3分にまとめるのがマナーです。また、通常の来賓挨拶とは異なり「乾杯」の発声で締めくくりますから、しっかりと「間」を取って参加者がタイミングよく乾杯できるよう配意しましょう。