婚約指輪と結婚指輪の違いとは?
結婚に対する意識には、新しい家族ができる・子宝に恵まれる・社会的ステイタスなどが挙げられますが、結婚の真の目的は、やはり「愛し合う男女が一生を誓い合うこと」です。
その誓いのシンボルとなる婚約指輪と結婚指輪には、たくさんの一般的なスタイル・マナーがあります。まずは婚約指輪と結婚指輪の違いについて紐解いてみましょう。
婚約指輪は男性から女性に贈る
婚約指輪(エンゲージリング)は、プルポーズの際に男性から女性に送るものです。そのため婚約指輪を用意するタイミングは、もちろんプロポーズ前になりますが、プロポーズがサプライズの場合は、男性が一人で婚約指輪を用意しなければなりません。
サイズなどの問題や、デザインに対する好みなどに譲れないこだわりがあるのであれば、あらかじめ男性にサイズと自分の好みをアピールするのも一案です。「プロポーズされるかも」そんな女性の第六感が働いたら、さりげなく伝えてみてはいかがでしょうか。
そして結婚にまつわる一連のフローをコンパクトにしたい方は、結納を割愛する場合もあるでしょう。その場合は婚約指輪のお返しに、「結納返し」で一般的とされる時計(一緒の時を刻むという意味で縁起が良いとされています)などを男性に贈るのも良案です。
結婚を約束した証
エンゲージを日本語に訳すと、「約束・婚約」という意味になります。つまり婚約指輪(エンゲージリング)とは、結婚を約束するお二人の意志、そして決意を込めた証です。
結婚を約束した証であり、一生の思い出である婚約指輪には、内径に愛のメッセージを刻印する、そんな素敵なアイディアを取り入れるのもおすすめです。
結婚指輪は二人で購入するのが一般的
一方の結婚指輪(マリッジリング)は婚約指輪と違い、お二人で購入するのが一般的です。これから結婚式を挙げようというカップルにとって結婚指輪は、「指輪の交換」という大きな役割を担います。
そしてペアリングである結婚指輪は、これから始まる日常において、パートナーからの愛を代弁してくれる存在です。結婚指輪は毎日そして永く身に着けるものなので、結婚指輪の選び方のポイントは左薬指に馴染み、お二人の意見がマッチングしたデザイン・サイズを選ぶことをおすすめします。
男性の選び方はビジネスシーンなどTPOに配慮し、女性の選び方は婚約指輪と重ねづけをすることを考慮しましょう。そしてさまざまな選択肢の中から納得のいく結婚指輪に出会うまで、二人でじっくり話し合ってみましょう。
婚姻関係にある証
結婚指輪(マリッジリング)はその名の通り、「パートナーと婚姻関係にある証」です。結婚指輪は婚約指輪と違い、結婚指輪自体が夫婦の絆を示すため、多くのみなさんが日常的に身に着けています。
これは結婚指輪が一般的に「自身が婚姻しているという証」という意味を持ち、貞操観念を示しているからです。
婚約指輪と結婚指輪は兼用しない
婚約指輪は婚約の際に送られる指輪なので、結婚指輪として兼用することはできません。ですが予算などの関係で、指輪を1つしか購入できない場合もあります。
その場合は婚約指輪を結婚指輪として兼用してもかまいません。兼用する場合の婚約指輪の選び方ですが、あまり違和感のないシンプルなデザインの婚約指輪であれば、兼用していることを悟られにくくなります。
そして次は婚約指輪と結婚指輪の2つが揃っている場合の兼用についてです。結婚指輪は婚約指輪とは違い、フォーマルなデザインが相応しいため、つい華やかな婚約指輪を日常使いしたくなってしまいます。
ですが残念なことに、この場合においても婚約指輪と結婚指輪は兼用しないのが通例です。婚約指輪のマナーとして、パーティー・特別な記念日・会食・式典などで結婚指輪との重ね付けをすれば、結婚指輪の兼用にはなりません。
婚約指輪の由来
婚約指輪(エンゲージリング)の歴史とは、いつ誰がどのように創出し、どのような意味を込めて身に着けるようになったのでしょうか。そして婚約の証として、なぜ指輪が用いられたのでしょうか。
次は婚約指輪にまつわる歴史のルーツとスピリチュアルな由来、そして婚約指輪における当時の見解などを紐解いてみましょう。
1世紀古代エジプトが起源
婚約指輪の歴史は古く、紀元前1世紀・古代エジプト時代が婚約指輪(結婚指輪と兼用)の歴史における起源となります。この頃には婚約指輪(結婚指輪と兼用)の原型が存在し、その素材は麻や葦などを用いて、永遠・不滅の象徴である指輪を作っていました。
日常使いをする結婚指輪として兼用するには、麻や葦では耐久性の面で問題がありました。そのため後世になると骨・象牙などの丈夫な素材を用いました。そして高級素材は富や愛情の度合いを象徴したのです。
結婚より婚約が重視
古代エジプトの歴史において結婚とは違い、婚約が重視されていましたが、これは婚約が男性側にとって「契約である」という点がポイントになります。
そのポイントを具体的に説明すると、当時のエジプトでは、夫から送られる婚約指輪(結婚指輪と兼用)は、「女性の家事・育児能力への信頼」を表していました。これはたとえ男女同権であった古代エジプトでも、女性という家事労働・出産育児の担い手を得るための契約(婚約)が重要視されていたのです。
そして次の「婚約指輪の鉄の輪を送る」でお伝えする、紀元前1世紀・古代ローマにおいても、同じような理由で婚約(契約)が結婚よりも重要視されていました。
婚約指輪の鉄の輪を送る
麻や葦で指輪を作っていた古代エジプトと時を同じくして、古代ローマでは「鉄の輪を婚約の証(結婚指輪と兼用)」として用いていました。当時のローマ人は自由恋愛が許されず、両家の契約のもとで婚約の儀式を執り行うのが通例でした。
その際に用いられたのが鉄の輪です。これが婚約指輪(エンゲージリング)の原型であり結婚指輪と兼用していたと言われています。この当時の結婚観念は、現代の愛に溢れた幸せな結婚観念に対して大きなギャップがあるようです。
そのギャップとは、古代ローマでは男性が鉄の輪の婚約指輪(結婚指輪と兼用)を送ることによって、婚約した女性を占有・統制するという意味が含まれており、男性にとって女性は所有物であると捉えていたからです。
円形・輪に意味がある
唯物論的な現代人と違い、スピリチュアルを妄信していた紀元前1世紀のエジプト・ローマ共に、円形・輪には特別な意味があり、婚約指輪(結婚指輪と兼用)に強い意味(メッセージ)を込めました。
古代エジプトでは円形・輪は「永遠に途切れなく続く」そして「未来への扉」という意味が、そして古代ローマでは鉄が「力の象徴」であり、円形・輪は「不変性」という意味が込められていたのです。
婚約指輪を左薬指にはめる理由
何気に左薬指にはめている婚約指輪ですが、単に一般的な例に習っているだけで、どのような意味があって左薬指にはめるのかが気になります。
婚約指輪を左手の薬指にはめる習慣が根付いたのは、紀元前1世紀のエジプト・ローマです。では古代エジプト・ローマの人々はどのような想いを込めて、左手の薬指に婚約指輪(結婚指輪と兼用)をはめたのでしょうか。
左手の薬指は心臓につながる
古代エジプトでは、現代のわたしたちと同様に婚約指輪(結婚指輪と兼用)を左手の薬指にはめていましたが、これは薬指の静脈が心臓へまっすぐ伸びていると信じられ、それによって愛のパワーが流れていると信じられていたのが由縁です。
そして「脳は鼻水を作る部分であり、人間が考える時は心臓を使っている」と考えられていました。このことから古代エジプトにとって、心臓は全てを司る大切な臓器と崇められていたことが分かります。
薬指には創造する力がある
古代エジプト・ローマの人々は、左薬指は心臓との繋がりを示す「愛の静脈」が通っており、また薬指には「創造する力」が宿っていると信じられていました。
これらのパワーが宿る左手の薬指に婚約指輪(結婚指輪と兼用)をはめれば、普遍的な夫婦の関係や、子宝・繁栄など、結婚にまつわる幸福を魔法をかけたように創造(実現化)できるのです。
このことから古代エジプト・ローマ人にとっての婚約・結婚は、現代のわたしたちと同様に、自身の幸せの鍵を握る一大イベントであったということが伺えます。
婚約指輪に宝石がつくまでの歴史
婚約指輪といえば、一粒のダイヤモンドや誕生石などの宝石(ルース)がついたものを想像しますが、この宝石がつく婚約指輪にも歴史があり、その起源とされるのは14世紀の神聖ローマ帝国です。
宝石がついた婚約指輪は、いまもなお目が飛び出るような高級品です。当時王侯貴族や一部の富裕層だけに許された婚約指輪を手に入れることができる現代人は、婚約指輪の長い歴史の中でとても幸せな時代に降誕したと言えるでしょう。
中世の婚約指輪の宝石の種類
中世の婚約指輪には、どのような宝石が使用されていたのでしょうか。その種類は多岐に渡り、ダイヤモンド・サファイア・ルビーなど希少価値の高い宝石から、現在わたしたちにとって馴染みの深い天然石の大半が、婚約指輪を一層輝かしく飾っていました。
14世紀の神聖ローマ帝国は、その領土から産出される宝石類の品質を厳しく管理していました。またゴールドとの融合も可能になり、技術に優れた宝石彫刻師が国位造幣局の主任彫刻師に抜擢され、やがてその宝石が全世界へ流通し始めました。
15世紀ローマ帝国マキシミリアンがダイヤモンドを使う
ダイヤモンドを施した婚約指輪を初めて使用したのは、15世紀・神聖ローマ帝国皇帝に即位するマキシミリアン1世です。当時繁栄を極めたブルゴーニュ公国の公女マリーとの政略結婚の折、婚約指輪に壮大なダイヤモンドを施すことでその絶大な権力を誇示しました。
たとえ血縁制度を利用した領土拡大のための政略結婚だったとしても、後世に女帝として君臨するマリア・テレジア夫妻と並び称されるほど夫婦円満であったと言われており、もしかすると婚約指輪に使用したダイヤモンドの持つ、スピリチュアルなパワーの導きだったのかもしれません。
ダイヤモンドに込められている意味
ダイヤモンドに込められた意味は「永遠の絆」そして「純潔」「不屈の力」で、そのまばゆい輝きは、手にする人にファンタジーな夢を抱かせてくれる宝石です。
ダイヤモンドの歴史は古く、天然の物質の中で最高クラスの硬度を誇ることは当時から知られており、ブリリアントに加工されたその透明さと日光に照られたときの輝きは他の追随を許さず、よりパワーの強い宝石と崇められました。
そのダイアモンドを婚約指輪に施すことで「永遠の夫婦の絆」と「信念をもって純潔を誓う」ことは、運命の赤い糸のようなファンタジーさを感じるでしょう。
19世紀に婚約指輪を贈る習慣が定着
まず最初に婚約指輪に宝石を施したのは、15世紀ルネサンスの華咲く中世ヨーロッパでした。当時の婚約指輪は華美で繊細な装飾が施され、王侯貴族の習わしとして用いられました。
その婚約指輪の習わしが一般庶民に派生したのは19世紀頃と言われています。ですが庶民が用いた婚約指輪は、宝石の無いシンプルなリングでした。
王侯貴族などの政略結婚や家柄を重視した結婚とは違い、庶民が自由恋愛の末に送る婚約指輪には、より強い愛の誓いが込められていました。たとえそれが質素な婚約指輪だったとしても、内に秘める強い情愛の証であることに変わりは無いのです。
日本での婚約指輪の歴史
ヨーロッパで一般庶民に普及した婚約指輪の文化は、やがて20世紀初頭の欧米でも習慣化します。そして欧米から海を渡り、ようやく日本で婚約指輪が普及し始めたのです。
日本古来の文化の中で、人々が日常的に身に着ける装飾品に金属を用いたものは少なく、文明開化の頃に西洋文化が取り入れられた際も、指輪自体が高価であったこともあり、一部の知識人・文化人を除き、さほど指輪への関心は高まりませんでした。
では次に、その日本人が指輪文化を受容し、やがて婚約指輪がもてはやされるようになった歴史についてお伝えしていきます。
婚約指輪を贈るのは1960年代から
日本で婚約指輪を送るようになったのは1960年代からです。そして婚約指輪にダイヤモンドリングを選ぶようになった1970年代、ダイヤモンドリングのテレビコマーシャルが放映されたのを皮切りに、日本でもダイヤモンドの婚約指輪が普及し始めました。
戦後の焼け野原から復興し、やがて高度経済成長期を遂げた日本国民の興味の的は、大国アメリカの文化であったことは否めませんし、それが婚約指輪の文化を受け入れやすくした要因です。
ダイヤモンドよりパールが主流
真珠は古代エジプトにおいて紀元前3200年頃から用いられ、クレオパトラが酢に溶かして飲んでいたという話は有名です。その真珠を宝石として珍重した歴史は古く、紀元前330年代のヨーロッパが発祥です。
アレクサンドロス大王の東征の際にオリエントの真珠の存在を知り、やがて1世紀にはインドとの交易が始まり、古代ローマ帝国に真珠がもたらされました。 真珠はその希少性ゆえに、一部の上流階級だけが所有できる高価な装飾品でした。
そんな中、日本では1893年(明治26年)に真珠の養殖に成功し、日本人にとって馴染みの深い宝石になりました。日本はヨーロッパとは違い、ダイヤモンド・ルビー・エメラルドなどの希少性の高い宝石は産出できず、これらのことが原因で婚約指輪に用いる宝石は、国内で算出できる真珠が主流となりました。
結婚指輪の歴史
結婚指輪における歴史の始まりは、紀元前ヨーロッパと言われています。その当時は現代とは違い、鉄が金よりも高級品とされ、男性は結婚をする女性の親に対して、婚約の証である鉄の輪を贈っていました。
その鉄の輪を結婚する女性の親に送る歴史は、なぜ廃れたのでしょうか。そしていつ現在のような結婚指輪の文化が誕生したのでしょうか。
紀元前のヨーロッパが始まり
その鉄の輪が、結婚指輪(鉄の鍛造指輪)という形に変わったのには宗教的な要因があり、9世紀にローマ教皇のニコラウス1世が「指輪を結婚の証とすること」そして「夫はより高価な指輪を妻に贈ること」を奨励したのが由縁です。
9世紀当時のローマ教皇・ニコラウス1世は、幾多の行政改革などでその手腕を振るいました。その改革の中に、キリスト教最大の教派であるカトリックの威厳と共に「婚約・結婚の典礼の統一化」を計りました。
結婚指輪の素材は「鉄」から「金」へ変遷
結婚指輪の素材は、やがて鉄の錬造指輪から金に変わりました。この変化の兆しについては、1027年に「花婿が花嫁に金の指輪を、花嫁が花婿に鉄の指輪を交換している」という文献が残されています。
花婿が花嫁に対して高価な結婚指輪を送るためには、鉄よりも金の素材の結婚指輪の方が資産的価値が高くなったこともあり、またキリスト教が普及した中で花婿が高額な結婚指輪を送る行為は、より信心深さを演出しました。
ヨーロッパでは現在も「金」が主流
ヨーロッパはキリスト教信者が75%を占めています。その中でローマ教皇はキリスト教における最大の教派・カトリックの精神的指導者ですので、ローマ教皇のニコラウス1世が推奨した結婚指輪の作法が堅実に、現代のヨーロッパ人に受け継がれています。
そしてカトリック教徒が35%のヨーロッパでは、現在でも金の結婚指輪が主流であり、結婚指輪を通して神のご加護を祈っています。
結婚指輪を左手薬指にはめる風習
結婚指輪を左手の薬指にはめる風習は、古代エジプト・ローマでの婚約指輪のならわし・文化に類似しています。
ですが中世ヨーロッパで結婚指輪を左手の薬指にはめるようになった理由は、古代エジプト・ローマとは違い、その歴史はヨーロッパ人の宗教観念や、ヨーロッパ独自の文化が関係しています。
11世紀に教会で指輪に祝福を与えるようになった
現在のチャペルの原型となる「指輪に祝福を与える典礼」が執り行われ、その際に結婚指輪を左手の薬指にはめたのは、11世紀・中世ヨーロッパのカトリック教会です。
これはカトリック教会が、世俗の文化に対して絶大な影響力があったこと、そして結婚や離婚が容易だったため、「キリスト教として相応しく品行方正な結婚観念へと導くため」などの宗教的な理由によるものです。
11世紀ヨーロッパでは、教皇が国王と同等の権力を誇示していたことにより、カトリック協会の腐敗と世俗化が蔓延し、その権威が失墜していました。それを清浄化したことにより11~13世紀の教皇権(協会の権威)は絶頂に達しています。
16世紀末のイギリスでは右手の薬指にはめた
中世ヨーロッパの中でも16世紀末・イギリスにおいては、結婚指輪を右手の薬指にはめていました。これは16世紀(1534年)に成立したイングランド国教会の宗派がプロテスタントに分類されることが要因です。同じキリスト教でも、カトリックの権威と典礼のしきたりは、当時のイギリス人には浸透しませんでした。
そして16世紀末・イギリス人が、右手の薬指に結婚指輪をはめた理由は諸説あり、左手の親指に印章指輪をしていたため右手に結婚指輪をはめるようになった説、などが挙げられます。
その中で最も有力な説は、聖書によると右手には「正義」「権力」、薬指が「幸福を招く象徴」という意味、右手の薬指に指輪をはめる習慣が定着した、というです。
左手の薬指に結婚指輪をはめる意味
現在のイギリスでは、結婚指輪を左手の薬指にはめることが定着しています。その理由は、国際化により既婚者の証である結婚指輪を左手の薬指にはめるようになったことです。
そしてキリスト教が絶対的な宗教ではなく、個々が自由に異国の宗教を信仰するイギリス人にとって、古代エジプト・ローマが信じていた「心臓に続く指に愛のパワーが宿っている」「未来の創造」という意味などが深く浸透したとされています。
日本に結婚指輪が浸透した時期
日本国民はその大半が仏教徒ですので、西洋文化である婚約指輪・結婚指輪が浸透した経緯を語るうえで、第二次世界大戦を切り離すことはできません。
その戦争の惨劇を日本社会が乗り越えたことを皮切りに、それをテレビの普及が後押しするかたちで、結婚指輪が日本独自の新生文化として取り込まれました。ではその日本独自の結婚指輪の歴史を紐解いていきましょう。
戦後1960年代頃に浸透
婚約指輪が浸透したのが1960年代とお伝えしましたが、結婚指輪についても戦後1960年代頃、日本国民に浸透していきました。
婚約指輪・結婚指輪のテレビコマーシャルや欧米のドラマなどの影響により、戦勝国である欧米スタイルへの憧れが増幅したことは紛れもない事実です。そして元来新しもの好きである日本国民が、その結婚指輪の文化を受け入れ、独自のスタイルを築き上げていきました。
結婚指輪は元々キリスト教式の儀式
結婚指輪は元々キリスト教での典礼に用いられてきましたので、仏教徒が大半を占める日本国民が教会でチャペル(日本では結婚式)を行うことと、結婚式の中で指輪の交換をすることは、戦後に花開いた新しいステイタスであり、西洋の宗教観とは違います。
当時はマイノリティーだったチャペルも、時代を経て「永遠の愛を誓う」そして「生涯苦楽を共にすることへの誓い」という宗教観念、何よりも結婚指輪の交換という儀式のもとに「愛情・誠実・貞節」を神前で誓うスタイルが受け入れられ、現代ではチャペルが広く浸透するようになりました。
結婚指輪は「永遠」のシンボル
チャペル(結婚式)で「永遠の愛」そして「生涯苦楽を共にすること」を誓うことによって、いつしか結婚指輪は「永遠」のシンボルとな、広く日本に浸透していきました。
「永遠を表現する指輪」という見解は、「永遠に途切れなく続く」という意味で円形・輪を用いていた古代エジプト・ローマの文化が由来するので、長い時空と海を超えて日本に伝来したことにスピリチュアルなロマンを感じさせます。
現代では神前結婚式でも指輪の交換がされる
現代では神前結婚式においても指輪の交換が行なわれていますが、これは結婚式での演出です。つまりチャペルでの指輪の交換とは違い、宗教上の結婚を成立する儀式ではありません。
神前結婚式での指輪の交換は「新郎新婦の要望があれば挙式の進行に組み込まれる」という見解であり、和式の結婚式に指輪の交換をすることに違和感を感じている場合は、披露宴での指輪の交換をされる方もいらっしゃいます。
日本では神様の前で永遠の愛情を誓う
西洋の宗教観とは違い、教会でのチャペル(結婚式)や神前結婚式のどちらを選択しても、日本では神様の前で永遠の愛を誓います。日本古来において宗教・神様の混在があり、その中で日本人は「畏れ敬う神に誓うことで内面の糧になる」という精神性を何よりも大切にしています。
これにより神様の前で「永遠の愛を誓う」という行為は、結婚相手への最上級の誠意と、自分への戒めという側面を持ち合わせることになります。
婚約指輪・結婚指輪の選び方
婚約指輪の選び方と、結婚指輪の選び方はそれぞれ違います。まずは婚約指輪の選び方ですが、男性が買い求める場合と、婚約する二人が一緒に下調べをしてから購入する場合があります。そして結婚指輪の選び方は、二人でたくさんの意見を交わし、納得のいく指輪を買い求めましょう。
いずれの選び方にしても、婚約指輪・結婚指輪を選ぶ際に注意したい点や、基本的な見極め方を参考にすれば、より良い指輪に出会うチャンスが増えます。
予算をどのぐらいにするのか
婚約指輪・結婚指輪の選び方として、まずは予算をどのぐらいにするかを決めましょう。婚約指輪・結婚指輪どちらについてもその価値は金額が左右することはなく、何よりも指輪に込める想いが大切です。
そして一生お付き合いする婚約指輪・結婚指輪の選び方として、あまり予算の妥協はしたくはありませんが、結婚式や結婚後の生活などで突然お金が入用になることも考慮しましょう。
どのようなデザインにするのか
婚約指輪・結婚指輪の選び方として次に挙げられるのは、どのようなデザインにするかお二人で意見を交わすことです。特に結婚指輪の選び方として「素材」「手に合うサイズ」「ペア感」を重視することをおすすめします。
もしも既製品の中から「予算内でペア感のあるデザイン」である指輪を選ぶことが難しい場合や、素材にこだわりたい場合は、次にご紹介するセミオーダー・オーダーメイドなどの方法もあります。
既製品から選ぶ
婚約指輪・結婚指輪の選び方は、ジュエリー専門店などのショーウィンドウに飾られている既製品や、カタログで既製品を取り寄せる方法から選ぶことができます。
Webサイトでの購入方法もありますが、実際の輝きや指にはめたときの感覚なども選び方のポイントに含めたいので、指輪の試着できるジュエリー専門店での購入をおすすめします。
そして気になるブランドがある場合は、そのブランドを取り扱っているジュエリー専門店を下調べしておきましょう。
セミオーダー
既製品の中に気に入った指輪が無かったり、デザインへのこだわりがあり予算に少しだけ余裕がある場合は、セミオーダーという選択肢もあります。
セミオーダーとは、カタログ内の各パーツやルース(宝石)・素材の規定をそれぞれ組み合わせ、自分好みにカスタマイズする方法です。安価で何通りにもアレンジ可能なので、既製品とは違い1点物の指輪を楽しむことができます。
各ブランドがセミオーダーを取り扱っていますので、ぜひたくさんのブランドのカタログを取り寄せ、お二人で意見を交わし合ってみましょう。
オーダーメイド
オーダーメイド(フルオーダー)とは、指輪作りのプロである職人によって1点物の婚約指輪・結婚指輪を作成する方法です。セミオーダーよりもお値段が高くなりますので、予算を厭わずにとことんこだわりたいカップルにおすすめです。
オーダー方法は職人の過去の作品の写真を参考にしたり、口頭やデザイン画を見せながら打ち合わせをしていきます。指輪職人は素材の持つ特性を熟知していますので、たくさんの要望を伝えることで、自分の思い描いている指輪のデザインを現実化することが可能です。
どこで購入するか
婚約指輪・結婚指輪の選び方として、最後にどこで購入するかを決めましょう。ジュエリー専門店やジュエリー工房、Webサイトなど2つの選択肢がありますが、購入するお店の選び方によってメリット・デメリットがあります。
購入するブランドと既製品の指輪が決まっていても、やはり実際に試着し、手に取ってその輝きを確認する必要があります。Webサイトの方が安く購入できるのであれば、サイズへの違和感や実物とのギャップなどのデメリットを考慮したうえで購入しましょう。
セミオーダーやフルオーダーになってくると、やはり店頭へ足を運ぶ必要があります。多忙な日々の中で、なかなか時間を割けない方も、ここは結婚という一大イベントを飾る婚約指輪・結婚指輪のために、一度は足を運んでみましょう。
婚約指輪・結婚指輪のメンテナンス方法
婚約指輪・結婚指輪はその素材がいかに強くても、定期的にメンテナンスすることをおすすめします。そのメンテナンス方法として絶対に避けて欲しいのが、ホームセンターなどで購入できる「シルバー用のアクセサリー磨き」など、研磨剤が入ったもので磨くことです。
研磨剤の入ったもので磨けば、そのときは輝きを取り戻しますが、何度も繰り返すことで高価なプラチナ・ゴールドの土台が削れてしまいます。次に指輪別のメンテナンス方法をご紹介しますので、大切にメンテナンスをしてください。
婚約指輪のメンテナンス
婚約指輪は結婚指輪として兼用できず、日々活躍するものではありませんので、汚れや傷よりも適切な保管場所を確保しましょう。婚約指輪は結婚指輪と違いルース(宝石)が付いていますので、まずそのルースが水や熱に弱くないかを確認します。
真珠などの有機物は水に弱く、エメラルドやオパールは熱に弱いため、これらは保管場所への配慮が特に必要です。真珠は専用のクロスが売っていますので表面を軽く拭き、湿気の少ない場所へ保管しましょう。
そしてエメラルドやオパールなどは特に熱に弱く変形の恐れがありますので、暖房器具や直射日光などに気をつけましょう。ルースは一般的に高熱に弱いため、他のルースも同様に保管して下さい。
結婚指輪のメンテナンス
結婚指輪のメンテナンスの際は購入したジュエリー専門店などに赴き、「ジュエリー洗浄機」で定期的に綺麗にしましょう。ジュエリー洗浄機は、超音波の振動で指輪に付着した汚れを剥がし落とします。摩擦が一切加わらないので指輪を優しくメンテナンスしてくれます。
最近では通販などでジュエリー洗浄機を5,000円位で購入することができます。自分でジュエリー洗浄機を使う際は、ジュエリー洗浄機を使ってはいけないルース(真珠・エメラルド・トパーズなど)を確認しましょう。
婚姻指輪も結婚指輪の二人の結び付きの証!
婚約指輪と結婚指輪の長い歴史や指輪に込められた意味そして違い、指輪の選び方などの豆知識を紹介してきました。婚約指輪も結婚指輪も各自が持つ意味は違いますが、これから夫婦となり、その生涯を終えるまでの結び付きを示す「永遠の愛の証」です。
このスピリチュアルな婚約指輪・結婚指輪の文化は、先人たちから受け継がれ、やがて未来へと受け継がれていきます。そして「結婚は神聖な行為である」という考え方はこの先も不変であり、一層ロマンスを感じます。
何らかの事情により結婚式は省略したとしても、婚約指輪と結婚指輪に対しては、ぜひお二人が意見を交わし、素敵な婚約指輪・結婚指輪に出会ってください。