「於いて」の意味とは?
「於いて」という言葉は、日常での、様々な場面やシーンで良く見聞きする単語です。なんとなくで意味を把握していても、しっかりとした定義までは知らない、と言う方も多いのではないでしょうか。
この「於いて」という言葉は、普段の友人との砕けた表現を使うシーンでは、使い方としては適切ではありませんが、ある程度フォーマルなビジネスシーンに於いては、よく使われる単語と言えます。
「於いて」は広い意味での限定を表す
上記の分に「於いて」が丁度使用できる場面でしたので、上記の分を代表的な例文としていたします。
なんとなく想像がつくかとは思いますが、「ビジネスシーンに於いて」という例文では、「於いて」という単語には広い意味での限定を意味していると言えます。
この「於いて」を言い換えると例えば、「中で」などと言い換えるとより表現はやさしくなりますが、単語の選択としては少々幼稚な印象をビジネスシーンでは受けてしまう恐れがあります。
「於いて」の定義とは?
上記の様な意味を含む「於いて」という単語ですが、「於いて」実際の定義はどの様なものなのでしょうか。
まず初めに、「於いて」とは「おいて」と「於」の漢字を訓読みした言葉になります。「おいて」と読む現代でも親しみの深い漢字は「置いて」と書きますが、厳密には「場所や位置を指す」言葉であり、現在の「置いて」の意味とは少し違ったものであることが分かります。
前述の例文になぞらえると、「ビジネスシーンに於いて」という例文では、「ビジネスという経済活動が行われている場所では」意味になると言えます。
「於いて」では時間をも示している
上記だけではなく、「於いて」と言う言葉には、時間を限定させる意味も持っています。例えば、「明治時代に於いて」などという、「於いて」を修飾する対象の単語が、ある時間や期間である場合も多く見受けられます。これは、この「時代」という期間を限定して表現しているのです。
この様に「於いて」と言う読み方ひとつで実に様々な意味があるという事がわかります。続いてはより深堀りして「於いて」の使い方をご紹介して行きます。
その他の意味
実は、上記以外にも「於いて」と言う言葉に対しては他の意味を持ちます。それは、「ついて」や「関して」と言い換える事が出来る場合です。
これらを修飾する対象としては、ある特定の物事や、ある人物がとった行動などがあります。これらの対象となる言葉に「関連して」という意味合いで、「於いて」という言葉も頻繁に使われていると言えます。
その他の意味2
この様に「於いて」という言葉の意味には、場所や位置の他に、時間を限定する意味を持つ他、対象との関連付けを行う場合や、文中の主語を強調する役割があったりと、非常に多彩な意味を持つ語句であるという事が分かります。
上記の意味に比べて使用頻度は大きく下がりますが、文中での主語を強調する目的でも「於いて」の語句は使用されます。これは、主語の直後に「於いて」の言葉がくっつけられ使用されています。
更には、仮定を示す語句としても「於いて」は使用されています。こちらも使用頻度はそれ程多くないと言えますが、文中ではしばしば見受けられる表現と言えます。具体的には、「この場合に於いては」と表現されることがほとんどになります。
「於いて」の類義語
続いては、「於いて」と言う言葉に対する類義語や、対義語をご紹介していきます。上記で挙げた、「主語を強調する」場合や、「仮定」を示す場合については、前者はそのまま「は」、「が」を入れても同じ意味となる上、後者に関しても、「於いて」をそのまま省略し「この場合は」と言い換えても、意味合いとしては全く同じ意味となると言えます。
上記以外の、場所や位置、時間を限定する場合の表現をする類義語としては、「にて」や、「場所で」の他「の上で」という表現などがあり、これらの単語に言い換える事が出来ます。
上記の他、「関連して」という意味の場合も、そのまま「於いて」を「関連して」と置き換えても違和感なく伝える事が可能です。
「於いて」の使い方・例文
ここまで、「於いて」の意味や読み方の他、主な類義語をご紹介して行きましたが、ここからは、シーン別での「於いて」と言う言葉の使い方や例文などをご紹介して行きます。
「於いて」という言葉には、少しお堅く、フォーマルな場所での使用が適していると言えます。つまり、仕事上でのやりとりや、目上の方への報告や文書における文中で良く使用されています。
例文①
「於いて」という言葉は、少々かしこまった印象がある為、ビジネスシーンに於いては良く使用されます。例えば、「明日、会議室に於いて月例ミーティングがあります。」と言ったように、場所を限定する目的で、その場所の後ろに「於いて」という単語をくっつけて使用する事が出来ます。
この様にビジネスの場面に於いては頻繁に使用されますが、この他にはどういった使い方があるのでしょうか。
ビジネスシーン以外には、「於いて」という単語は手紙や文書でも良く使用されます。例えば、時間を限定する使い方での例文としては、「去年においては、その薬剤は未認可であったが、今年に認可を受けた。」と言ったように、文語調での表現としての使い方が自然と言えます。
例文②
上記に対して、口語調でも「於いて」という言葉は使われています。口語調の場合でも適切な使い方としては、ビジネスシーンに多いと言えます。例えば、「性能に於いては劣っているが、デザインに於いては優秀だ。」という例文の場合、人との会話で発言しても、違和感がありません。
これまでご紹介した通り、「於いて」の言葉を使用するシーンは主にビジネスの場面が中心になりますが、その意味も幅広く様々あり、非常に汎用性の高い言葉だと言えます。
例文③
続いては、「社会においては、礼儀が大切である。」という例文をご紹介します。これは、「社会」という非常に大きい枠組みの中、ある意味抽象的ともいえる表現から、もっと具体的な事象を表すために、「於いて」という言葉を使っています。物事を限定させるという意味では、上記の2つと同じような使い方をしていることが分かります。
例文④
最後に、少し特殊な言い回しの例文をご紹介して行きます。上記の「是に於いて、宣言する。」の例文の中にある「於いて」と言う言葉には、「今まさに」や「この時」と言ったようなある地点を強調する役割があります。長く続いたある状態から、満を持して変化していく、と言ったようなニュアンスを含ませることが出来る言い回しとなるのです。
「於いて」と「於て」の違い
余談ですが、「於いて」と言う言葉の送り仮名を省略し「於て」と表記される場合があります。この場合の読み方は、どちらも「おいて」と読むのが正しく、言葉の意味も全く同じとなります。このふたつは言葉としてはどちらも正しいものであり、「於て」も「於いて」もどちらを選んで使用しても良いのです。
「於いて」を使う際の注意点
ここからは更に、「於いて」の言葉の使い方の部分を深堀りし、実際にこの「於いて」の言葉を使用する際の注意点をご紹介していきます。
前述したように、「於いて」と言う言葉は、読み手や聞き手に対しては、少しかしこまった印象を与えます。その場その場で「於いて」と言う言葉を使用しても違和感が無いかどうかを見極める必要があるのです。
次に、「於いて」という漢字は、常用漢字ではありません。「於」という漢字を見慣れていない人がおおく、不特定多数の人々に確認を掲示板文言などの場合には、ひらがなの表記で「おいて」と書くのが普通です。
これらの注意点さえ気を付けていれば、「於いて」に関しての使い方を把握出来ていると言う事が出来るでしょう。
「於いて」と「ついて」
「於いて」と言う言葉には、上記でご紹介してきました通り、「関連付けて」という意味があります。「関連付けて」という言葉を言い換えると「ついて」という読み方が違和感が無いように感じます。
それでは、この「於いて」と「ついて」では、どの様な違いがあるのでしょうか。ある単語に対し、より詳細な記述をする場合は、「於いて」も「ついて」も良く使われる表現技法となります。しかし、前者では、前述のように少々堅い印象があり、かしこまった表現であると言えます。そのため「ついて」を使用した方がやわらかい読み方であると言えます。
「於いて」の英語表記
続いては、これまでご紹介してきました「於いて」の言葉の英語での読み方をご紹介して行きます。
文中の時間や場所、地点をより限定する際に「於いて」の言葉は使われますが、英語での読み方では、時間、場所、地点を限定させる言葉はそれぞれ違ったものになります。
例えば、場所を限定させるには、「at」をその名詞の前に付け、日にちを指定する場合については「on」を使用します。さらに、物事や人を限定する場合は、「as for」や「as to」をその語句の前につける事で表現する事が出来ます。
「於いて」は「関連して」という意味
これまでご紹介してきました通り、「於いて」という言葉は、常用漢字ではなく親しみのある漢字とは言えませんが、ビジネスシーンでは、非常に馴染みのある良く使われる言い回しと言えます。ビジネスの場面においては、この様な漢字の使い方ひとつでマナー違反となる恐れもあるため、上記の注意点に留意して正しい読み方で使用する事が大切となります。