「コラージュ」とはどんな意味?言葉の使い方や絵画技法についても解説!

「コラージュ」とはどんな意味?言葉の使い方や絵画技法についても解説!

コラージュの意味を知っていますか?一般に「糊付け」や「貼る」という意味があります。コラージュは美術や絵画の技法の1つですが、この言葉はどのような使い方をしたらいいのでしょうか?コラージュの技法で有名なアーティストも含めて紹介します。

記事の目次

  1. 1.コラージュの意味とは
  2. 2.コラージュの歴史
  3. 3.コラージュの場面ごとの使い方と意味
  4. 4.コラージュの使い分けと意味
  5. 5.コラージュ作品の代表的なアーティスト
  6. 6.コラージュとは糊付けや貼る事を意味する言葉

コラージュの意味とは

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コラージュという言葉を聞いたことがありますか?言葉は知っているし、頭の中でなんとなくイメージはできていても、正確な意味を知らない人が多いのではないでしょうか?コラージュという技法を使っている美術や絵画はいくつもあります。

また、テレビや映画といった映像の世界でも、コラージュという技法が使われていると言われています。しかし、その映像を見ても、どういうところがコラージュなのか、説明ができないのではないでしょうか?

そもそもコラージュとはどんな意味なのでしょうか?わかっているようでわかっている人が少ない、コラージュという言葉の意味について見ていきましょう。

意味①糊付け

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コラージュは、フランス語で「collage」と書きます。コラージュとは絵画技法の1つで、フランス語で「糊付け」の意味があります。「性質の違うものを組み合わせてできる芸術」が、コラージュの1つ目の意味です。

絵具を使う絵画だけではありません。木、石、金属といったものを刻む彫刻のように1つの素材だけを使う美術ではありません。さまざまなものを組み合わせる美術の意味であり、絵画にも彫刻にも属さない美術という意味です。

コラージュはありとあらゆるものを素材にします。新聞の切り抜き、壁紙、書類などの平面的なものから、雑多な物体を組み合わせる美術までいろいろな技法があります。コラージュは美術のカテゴリに入る創作技法です。

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美術界において、コラージュは絵画と彫刻の境界線を消滅させることを可能にしました。コラージュはいろいろなものを組み合わせることで、特殊効果を生み出す使い方ができます。コラージュは発展していく中で、さまざまな使い方を編み出しました。

花や草をコラージュしたフローラルコラージュという美術もあります。また、絵画や画像を絵巻のような形にしたコラージュノベルのような使い方も出てきました。ネットでコラージュとは写真におけるコラージュの意味で指すことも多いと言えるでしょう。

別の人の顔と身体を入れ替えた写真のことを「コラ画像」と呼ぶ使い方もあります。こうしたコラ画像のクオリティが低い場合、「雑コラ」といった使い方をすることもあります。

意味②貼る

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コラージュ(collage)」というフランス語の2つ目の意味は、一般的に「貼る」「ペーストする」というものです。「コラージュ(collage)」は「コレ(coller)」という他動詞が変化したものです。

「コレ(coller)」の意味は、「~を貼る」や「~をペーストするです。他動詞「コレ(coller)」の例文を挙げてみましょう。「et je les ai collé sur une vilaine planche」の意味は「汚れた板に貼り付けました」というものになります。

コラージュの歴史

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コラージュの意味がわかったところで、コラージュという言葉の歴史について見ていきましょう。コラージュがただ単に「貼る」という意味から、美術における技法の1つの意味になったのは、いつからなのでしょうか?

絵画におけるコラージュは、パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックという美術のカリスマたちが始めた「パピエ・コレ」に端を発したと言われています。「パピエ・コレ」の「コレ」は、先述した「コラージュ」の「コレ(貼る)」から来ています。

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「パピエ・コレ(papie collé)」は英語では「pasted paper」です。意味は「何かを糊付けした紙」となります。キュビズム作品を造る過程で始まったと言われています。これが1912年の話です。

「パピエ・コレ」は絵画に紙を貼り付けた場合も同じ意味になります。こうしてコラージュの歴史が始まりました。

20世紀美術技法上最大の発明の1つ

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美術史に記されたキュビズムという革新の時期に、平面をいくつも重ねて貼ることによって、空間を再構成できるというコラージュの手法が編み出されました。

1918年から1931年まで、ダダイズムやシュールレアリスムといった活動をしていた美術家たちがコラージュを作り、現実世界から距離を置くことで、人間を解放すると宣言しました。

ダダイストやシュールレアリストたちが、さまざまな貼る方法でコラージュを作っていきました。写真を切り取って貼るコラージュでその時代の政治ニュースに細工したり、古い版画を貼るコラージュで小説を幻想的に再現させていったりしました。

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ダダイストやシュールレアリストは破壊的な活動にコラージュという手法を使いました。その一方で、落ち着いたコラージュの絵画や美術作品を作る動きも出てきました。貼るという行動が破壊的な方向から装飾的な方向へと変化して発達していきました。

1941年以降、多くの絵画や美術作品でコラージュは使われるようになり、新鮮味が薄れてきて、ある種、凡庸化の傾向がみられるようになっていきました。

しかしそんな中でも、突出した作品を作り続けた芸術家が何人も存在しました。1992年にフランスでコラージュ美術を作る芸術家たちの団体が設立されました。

「Artcolle」という名称になって今に至るこの団体はコラージュ芸術に力を入れ、1993年から毎年パリで現代コラージュサロンを開催しています。今日ではコラージュ絵画や美術品は世界中の美術館で見ることができます。

コラージュの場面ごとの使い方と意味

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現代、コラージュという言葉は市民権を得てきました。それに伴い、さまざまな芸術分野で、コラージュという言葉が使われるようになってきました。芸術とは、絵画や彫刻にとどまりません。

近年はコンピューターグラフィックも立派な芸術であり、美術作品と言えるでしょう。音楽の世界でもコラージュという言葉は使われています。また、建築の世界でも、建築コラージュと呼ばれる使い方をされています。

さらにはファッションの世界でも、コラージュという言葉が使われています。これらのコラージュは、美術におけるコラージュと意味が違うようです。それぞれのジャンルでコラージュとはどういう意味で、どういう使い方をしているのでしょうか?

絵画用語

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絵画用語でコラージュはどんな意味かといえば、作品の画面にさまざまな紙や物質を貼り付ける技法のことです。その他にも「貼る」ことで完成した美術作品の意味でもあります。

絵画用語におけるコラージュの意味とは、フランスで「パピエ・コレ」と呼ばれていた技法がもとになっています。パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックが自分の描いた絵画にマッチ箱や新聞の切り抜きを貼って作品としたことが始まりです。

ダダイストやシュールレアリストがその技法を取り入れるようになり、現在まで多くのアーティストがコラージュ作品を造り出しています。

デジタル画像

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デジタル画像の世界でコラージュとはどんな意味であり、どんな使い方をするのでしょうか?私たちは「これはコラージュ作品だ」と意識して見ていることは少ないかもしれません。知らず知らずのうちに、コラージュを見ていると言えるでしょう。

デジタル画像の世界では「コラージュ画像を作る」という使い方をしますが「コラ画像」と略した使い方もします。主に写真を加工した、デジタルコラージュの意味でもあります。現実ではあり得ない幻想的な世界を造り出せる点が魅力と言えるでしょう。

また笑ってしまうような面白画像も作ることができます。今はスマホで画像を加工できる時代なので、コラージュ画像は身近なものになってきているのではないでしょうか?

建築

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建築の世界で、コラージュとはどんな意味で、どんな使われ方をしているのでしょうか?建築コラージュは設計の初期段階で写真にテクスチャや添景を貼り付けて、完成のイメージを仲間と共有するためのものです。

都市計画などのプレゼンでの使い方が一般的です。平面だけで考えるため、他の建築設計における技法より、色や情景のデザインに集中しやすい特徴があります。

音楽

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音楽の世界でコラージュとはどんな意味で、どんな使い方をするのでしょうか?コラージュは絵画やデジタル画像のような平面状のものばかりではありません。音楽でのコラージュとは、「音楽の引用」とも呼ばれています。複数の楽曲を組み合わせて、別の音楽を造り出すような作業をコラージュというので、合成といった意味合いが強いと言えるでしょう。

ファッション

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ファッション界でもコラージュという言葉が使われています。どういう行動がコラージュなのかというと、ファッション雑誌の切り抜きをノートに貼っていく作業です。これをすることで自分の好みや理想がわかり、洋服選びが楽になるでしょう。

ファッションコラージュをすることで、自分の意外な好みがわかったり、気づかなかった自分の内面を知ることができたりします。

コラージュの使い分けと意味

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コラージュは「貼る」「糊付けする」といった意味で使われています。では、糊付けしたり、貼ったりする行動を全て、コラージュと呼ぶのでしょうか?音楽やファッションで使われるように、さまざまな分野でコラージュという言葉が使われています。糊付けしたり、切り貼りする作業で、コラージュと区別した呼び方のものをまとめました。

スクラップ

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スクラップとは新聞や雑誌の記事を切り取り、別の紙に貼っていくことを意味します。専門のスクラップブックも市販されています。気になった記事を切り取って後で読み返したり、資料にしたりできます。

コラージュは「糊で貼る」という意味ですが、芸術表現なので、スクラップとは意味合いが異なります。スクラップしていることを「コラージュしている」とは言いません。

モンタージュ

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モンタージュはコラージュと同じフランス語です。意味は「組み立て」というものです。映像の世界でモンタージュはフィルムを繋ぎ合わせ、違った視点からの映像を組み合わせる技法のことを意味します。

有名なモンタージュといえば事件の目撃者の証言を組み立てて写真にするモンタージュ写真が有名でしょう。これも映像世界で使われているモンタージュと同じ意味です。

貼り絵

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貼り絵は、そのままの意味で、小さな紙を貼り付けて1枚の絵を作ることです。貼り絵はその他に「切り絵」とも言います。貼り絵も絵画の1つなので、コラージュと呼べると考えるかもしれません。貼り絵は使うのが小さな紙のみです。一般に貼り絵や切り絵は、いろいろな物を貼り付けるコラージュとは区別して呼ばれるようです。

コラージュ作品の代表的なアーティスト

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コラージュは、普通の絵画とは違い、さまざまな物を貼り付けて一枚の絵画や芸術作品にしていきます。このコラージュの技法を編み出したと言われているのが、ジョルジュ・ブラックとパブロ・ピカソと言われています。

キュビズムの時代に生まれたコラージュはダダイストやシュールレアリストに受け継がれました。ここではコラージュの技法を使って作品を制作したアーティストを取り上げます。

ジョルジュ・ブラック

ジョルジュ・ブラックは1882年生まれ、1963年没のフランスの画家、彫刻家、版画家です。1906年にフォービズムに加わって、前衛芸術運動に参加しました。セザンヌの多視点の作風を基盤にして、キュビズムに発展させた功労者です。

一時期、パブロ・ピカソと一緒に活動しており、合同の作品が多くあります。絵画によってはブラックによるものか、ピカソによるものかわからないとされる絵画もあります。コラージュという技法を編み出した先駆者と言われています。

パブロ・ピカソ

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20世紀最大の芸術家と言われるパブロ・ピカソは1881年にスペインで生まれました。1973年に亡くなるまで、精力的に活動を続け、最も多作な美術家として、ギネスブックに載っている人です。ブラックと共にキュビズムの創始者として知られています。ブラックと共にコラージュという技法を編み出した芸術家です。

マックス・エルンスト

Photo byOpenClipart-Vectors

マックス・エルンストは1891年生まれのドイツ人の画家、彫刻家です。フィンセント・ファン・ゴッホの絵画に触れて、芸術家を目指します。のちにフランスに帰化しました。ダダイズムやシュールレアリズムを代表する芸術家で、多岐にわたった作品を残しています。作風にコラージュを多用したことでも有名な芸術家です。

アンリ・マティス

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アンリ・マティスは「色彩の魔術師」と呼ばれた1869年生まれのフランスの画家です。フォービズム運動のリーダー的な存在でした。マティスがコラージュの作品を残すようになったのは、晩年に体力が落ちてきてからです。マティスは晩年、切った色紙を貼り付けていく形のコラージュ作品を多く発表しました。

コラージュとは糊付けや貼る事を意味する言葉

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コラージュは、さまざまな素材を貼り付けて作る芸術作品です。芸術に詳しくない人でも、自然とコラージュ作品に触れてきたことがおわかりいただけたでしょうか?

絵画を描く才能はないと嘆いている人は、コラージュ作品なら作ることができるのではないでしょうか?好きなものだけを集め、作品にしていくコラージュは作る人も見る人も、豊かな気持ちにしてくれることでしょう。

橘亜月
ライター

橘亜月

家族にも呆れられる人形オタクです。見る側の気持ちによって表情を変える人形の写真を撮って人形劇ブログを作成するのが何よりの楽しみです。日々の忙しさにブログは休止中ですが、人形への愛は変わりません。

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