心ばかりの意味とは?
「ほんの心ばかりですが」などという言い方をしているのを聞いたり見たりしたことがあるという人は結構多いでしょう。「心ばかり」という言葉は日常生活の中で時々使われる言葉で、のしや封筒などに書かれているのを見ることもあります。
「心ばかりですが」と言われることがあっても、のしや封筒に「心ばかり」と書かれているのを見ることがあっても、「心ばかり」の意味は正確にはわからないという人もいるでしょう。
日常生活の中でも結構使われている「心ばかり」にはいったいどのような意味があるのか、「心ばかり」の意味についてご紹介しましょう。
ほんの気持ちだけということを示す意味
「心ばかり」の意味は、ほんの気持ちだけということを示す意味です。「心ばかり」の意味は「ほんの気持ちだけ」ですが、実はこれは本当の意味で「ほんの気持ち」と言っているわけではありません。「心ばかり」は謙遜した言い方です。
日本語には謙遜した言い方というものが結構たくさんありますが、「心ばかり」も謙遜した言い方で、本当はとても心を込めて一生懸命選んだ品物であっても、「ほんの気持ち」と謙遜する場合に使われます。
日本人には謙遜が美徳だと思われている所がありますので、そういった日本人の考え方から「心ばかり」という謙遜した言い方の言葉は生まれたと言えます。
昨今は日本人でも謙遜する人は減ってきましたが、ビジネスシーンではまだまだ謙遜した言い方が美徳とされていますので「心ばかり」も使われています。
心ばかりの類語
「心ばかり」の意味についてご紹介しましたので、次は「心ばかり」の類語についてご紹介します。「心ばかり」の意味は「ほんの気持ちだけ」という意味ですので、「心ばかり」の類語は「心ばかり」の意味と似た意味を持つ言葉になります。
ですが意味が似ている言葉だけではなく、使う場面が「心ばかり」と似ている言葉なども「心ばかり」の類語として挙げることができます。
「心ばかり」は謙遜した言い方なので、「心ばかり」の類語もやはり謙遜した言い方になります。それでは、「心ばかり」の類語とその意味についてご紹介しましょう。
類語①「つまらないもの」の意味
「心ばかり」の類語の一つ目は、「つまらないもの」です。「つまらないもの」の意味は、本当につまらないものという意味ではなく、こちらも「心ばかり」と同じように謙遜する言い方です。本当につまらないものだと思ってそう言っているわけではありません。
心を込めて選んだ品物であっても「つまらないものですが」などと言って相手に渡すことは結構多く、「心ばかり」と同じような場面で使われています。
何かを相手に渡す時に使うという使い方をするため、「つまらないもの」という言葉は「心ばかり」の類語であると言えます。
ただ、「心ばかり」はのしや封筒に書くことができますが、「つまらないもの」はのしや封筒に書くことができませんので、その点では注意が必要です。
類語②「ささやかながら」の意味
「心ばかり」の類語の二つ目は、「ささやかながら」です。「ささやかながら」の意味は「たいしたものではない」「わずかばかり」という意味ですが、こちらもやはり、本当にたいしたものではないという意味で使うわけではありません。
本当はまったくささやかではないものを渡す場合であっても、謙遜して「ささやかながら」と言うということです。
「ささやかながら」も「つまらないもの」同様、「心ばかり」を使う場面と同じような場面で使われることから、「心ばかり」の類語になると言えます。
ですがこちらも「つまらないもの」同様、のしや封筒に書くことはできませんので、その点では「心ばかり」とは違います。
類語③「ほんの気持ち」の意味
「心ばかり」の類語の三つ目は、「ほんの気持ち」です。「心ばかり」の意味は「ほんの気持ちだけ」という意味なので、「ほんの気持ち」はストレートに意味が「心ばかり」と同じということになり、「ほんの気持ち」は「心ばかり」の類語になります。
「ほんの気持ち」の意味は「ちょっとした」「つまらない」という意味ですが、こちらもやはり、本当に「ちょっとしたもの」「つまらないもの」だと思って「ほんの気持ち」と言うわけではありません。
「ほんの気持ち」も「心ばかり」と同じように謙遜する言い方ですので、そういった意味でも「ほんの気持ち」は「心ばかり」の類語だと言うことができます。
「ほんの気持ち」は口頭で使うことが多く、のしや封筒には書くことができませんので、その点だけは「心ばかり」とは違います。
類語④「お口汚し」の意味
「心ばかり」の類語の四つ目は、「お口汚し」です。「お口汚し」の意味は「ほんの少し口を汚す程度」という意味で、食べるものをプレゼントする時に使われる言葉です。「お口汚し」も謙遜する言い方ですので、「心ばかり」の類語になります。
ただ、「心ばかり」は食べ物以外のプレゼントにも使える言葉であるのに対して、「お口汚し」は食べ物をプレゼントする場合にしか使えないという違いがあります。
「お口汚し」はプレゼントするものが食べ物である場合にしか使えませんが、何かを贈る際に謙遜する言い方ですので、「お口汚し」も「心ばかり」の類語だと言えます。
「心ばかり」はのしや封筒に書けますが、「お口汚し」はのしや封筒には書けませんので、この点でも注意が必要です。
類語⑤「粗末なもの」の意味
「心ばかり」の類語の五つ目は、「粗末なもの」です。「粗末なもの」の意味は「品質などがそう上等ではない」という意味で、「粗末なものですが」というような言い方で使われますが、もちろん本当に「粗末だ」と思って言う訳ではありません。
「粗末なもの」という言葉もやはり「心ばかり」などと同じように謙遜した言い方で、本当は心づくしの品であっても、相手に渡す時に「粗末なもの」というように言います。
何かを相手に渡す際に「粗末なもの」と謙遜して言いますので、「粗末なもの」も「心ばかり」と似た場面で使われる類語だと言えます。
ですが「粗末なもの」という言葉もやはり、「心ばかり」とは違ってのしや封筒などには書くことができませんので、うっかり書いてしまわないよう注意しましょう。
類語⑥「お口に合うかわかりませんが」の意味
「心ばかり」の類語の六つ目は、「お口に合うかわかりませんが」です。「お口に合うかわかりませんが」の意味は、「お好みかどうかわかりませんが」という意味で、「お口汚し」と同じように食べ物を相手に送る際に使われる言葉です。
「お口に合うかわかりませんが」という言葉も、本当は相手の好みを知っていて相手好みの食べ物を贈る場合であっても、謙遜する言い方として使われます。
「お口に合うかわかりませんが」という言葉は食べ物限定でしか使えませんが、贈り物をする時に謙遜する言い方ですので、そういった点では「心ばかり」の類語と言えます。
「お口に合うかわかりませんが」という言葉も、当然ながらのしや封筒には書くことができません。口頭や手紙やメールの文章の中でしか使えませんので注意しましょう。
類語⑦「粗品」の意味
「心ばかり」の類語の七つ目は、「粗品」です。「粗品」の意味は「粗末な品」「たいしたことがない品」という意味で、「心ばかり」の類語になりますがちょっと微妙な違いがあります。それは、「粗品」は本当に粗末な品である場合も多いからです。
ここまでご紹介してきた「心ばかり」の類語は皆、のしや封筒には書けない言葉ばかりでしたが、「粗品」だけはのしや封筒などに書くことができます。
「粗品」はポケットティッシュ一個にのしを巻いて印刷されているといったこともありますし、ボールペンの入った封筒に「粗品」と印刷されている場合もあります。
このようなことから、「粗品」は「心ばかり」の類語にはなりますが、本当に粗末な品である場合にも使われるという点で少し違うと言えます。
心ばかりの使い方・例文
「心ばかり」の類語についてご紹介しましたので、次は「心ばかり」の使い方の例文についてご紹介します。「心ばかり」という言葉は結構色々な場面で使われていますので、「心ばかり」の使い方はそう難しくはありません。
ですが、今まで自分自身で「心ばかり」という言葉を使ったことがないという人なら、どのように使えば良いのか不安になる場合もあるでしょう。
「心ばかり」という言葉の使い方はいったいどのような使い方なのか、「心ばかり」の使い方の例文をご紹介しましょう。
例文①
「心ばかり」の使い方の例文の一つ目は、「心ばかりの品ではございますが、どうかお納めください」という例文です。ここまでにもご紹介してきたように、「心ばかり」という言葉は相手に何かを渡したり贈ったりする場合に使われます。
何かを渡す時に「心ばかりの品ではございますが」といった言い方をしますが、その後に「どうぞお納めください」と言うのは定型と言えます。
「遠慮しないで受け取って下さい」という意味で「どうぞお納めください」という言葉を「心ばかりの品ではございますが」の後につけましょう。
例文②
「心ばかり」の使い方の例文の二つ目は、「心ばかりの品ですが、どうぞ召し上がってください」という例文です。「心ばかり」というのは食べ物を相手に渡す時にも使えますが、その場合は「お納めください」より「召し上がってください」が使われます。
渡すものが食べるものなのかどうかはその包装などで大体わかりますが、「召し上がってください」と言うことによって「これは食べ物ですよ」ということを相手に伝えましょう。
食べ物を相手に渡す場合には「どうぞ召し上がってください」という言葉を「心ばかりの品」の後につけると良いですが、「お納めください」でも間違いではありませんので「お納めください」でも構いません。
例文③
「心ばかり」の使い方の例文の三つ目は、「心ばかりの品で恐縮ですが、ご笑納いただければ幸いです」という例文です。これはかなり堅い言い回しですので、ビジネスで取引先などに対して何かを贈る場合に使うことをおすすめします。
取引先や上司など、目上の相手などに「心ばかり」を使う場合には、「心ばかり」以外の言葉の使い方に注意が必要です。
「恐縮」という言葉は「心ばかり」にさらに謙遜する気持ちをプラスしますし、「ご笑納」という言葉は社会人なら覚えておきたい堅い言葉です。
例文④
「心ばかり」の使い方の例文の四つ目は、「心ばかりの品をお送りしましたので、お受け取りください」という例文です。「心ばかりの品」は手渡しするだけではなく、遠くの相手に対しては宅配便などで送るといったこともあります。
そのような場合には「お受け取りください」という言い方をするとしっくりきます。もちろん先にご紹介した「ご笑納ください」でも構いません。
相手が自分から見てどのような立場の人なのかによって、「お受け取りください」と言うか「ご笑納ください」と言うか、使い分けると良いでしょう。
心ばかりと心づけの違い
「心ばかり」の使い方の例文についてご紹介しましたので、次は「心ばかり」と「心づけ」の違いについてご紹介します。「心ばかり」と同じ意味だと思って「心づけ」という言葉を使う人がいますが、「心ばかり」と「心づけ」とでは意味が違います。
特に「心ばかり」と言うつもりで「心づけですが」などと言ってしまうと、相手によっては怒らせてしまうかもしれませんので、注意が必要です。
「心ばかり」と間違えられやすい「心づけ」にはどのような意味があるのか、「心ばかり」と「心づけ」の違いについてご紹介しましょう。
心づけはチップという意味
「心づけ」の意味は「チップ」という意味で、「心ばかり」とは意味が違いますが元々同じような意味で使われていました。旅館などで仲居さんに払うチップを「心づけ」と言っていましたが、それは「ほんの気持ちだけ」という意味でした。
なので本来の「心づけ」の意味は「心ばかり」と同じだったのですが、「心づけ」の意味は変遷してきて「チップ」を指すようになり、「心ばかり」とは違うものになったということです。
心ばかりを使う際の注意点
次に「心ばかり」を使う際の注意点についてご紹介します。「心ばかり」を使う際には実はちょっとした注意点があります。その注意点をしっかりと守らなければ、相手に対して失礼に当たったり、謙遜が嫌味として受け取られてしまう可能性もあります。
注意点と言ってもたいした注意点ではないのですが、これに気をつけなければ嫌味な人間だと思われる可能性もあります。
「心ばかり」を使う際にはいったいどのような点に注意しなければならないのか、「心ばかり」を使う際の注意点についてご紹介しましょう。
高価な贈り物をする場合では使えない
「心ばかり」を使う際の注意点は、高価な贈り物をする場合では使えないということです。一体なぜこれが「心ばかり」の注意点なのかと疑問に思う人もいるでしょう。心を込めた贈り物を謙遜するのは良いですが、高価な贈り物だと嫌味になるからです。
ブランドなどの高級品を「心ばかりの品ですが」と相手に渡すと、「自分にとってはこんなブランド品なんてたいしたことがない」と自慢されているように受け取られてしまいます。
このような理由で、「心ばかり」を使う際の注意点として、高価な贈り物をする場合では使えないということが挙げられます。
心ばかりはほんの気持ちだけということを表す意味
「心ばかり」の意味や類語や使い方の例文、「心ばかり」を使う際の注意点などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。「心ばかり」の意味は「ほんの気持ちだけ」ということを表す意味ですので、正しい意味を知って正しく使いましょう。