菖蒲の花・アヤメ・カキツバタとの違いと見分け方!特徴や花言葉も紹介!

菖蒲の花・アヤメ・カキツバタとの違いと見分け方!特徴や花言葉も紹介!

菖蒲の花・アヤメ・カキツバタの違い・見分け方を簡単にご紹介! 菖蒲には、花を付けるハナショウブと付けないショウブと二種類があります。 菖蒲の花・アヤメ・カキツバタは見た目がそっくりで開花時季も同じ! そんな区別の難しい植物、四種類を取り上げます。

記事の目次

  1. 1.菖蒲の花・アヤメ・カキツバタは同科の花で区別しにくい
  2. 2.菖蒲の花・アヤメ・カキツバタの見分け方
  3. 3.菖蒲の花・アヤメ・カキツバタの名前の由来と花言葉
  4. 4.菖蒲の葉や根の効能
  5. 5.菖蒲の花は生息地・大きさ・模様・葉脈の違いで見分けるのが大切!

菖蒲の花・アヤメ・カキツバタは同科の花で区別しにくい

フリー写真素材ぱくたそ

ハナショウブ・アヤメ・カキツバタは開花時季が近く、見た目もそっくりで見分けることが難しい植物です。

実は、アヤメとカキツバタは品種改良された栽培種で、ノハナショウブという植物が原種です。そのため、この三種は全て同じアヤメ科の植物です。元々は同じ植物なので、この三種類の見分け方はとても難しくなっています。

ちなみに後で詳しく説明をしますが、ショウブとハナショウブは異なる植物です。ショウブはマメ科で、先述した三種類とは全く違う植物です。まずは、この二つの植物の違い、見分け方についてご説明していこうと思います。

菖蒲の花は「アヤメ」と「ショウブ」の二つの読み方がある

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「菖蒲」という漢字には「アヤメ」と「ショウブ」の二つの読み方があります。どちらも植物の名前を指していて、同じ漢字のためアヤメとショウブは同じ植物なのでは? と思ってしまいますが、実は全く違う植物なのです。

ショウブというと、一般的には端午の節句(こどもの日)に入る菖蒲湯で使われる植物で、花を付けないガマに似た植物を指しますが、アヤメに似た花を咲かせる「ハナショウブ」のことを指す場合もあります。ショウブとハナショウブ、名前はとても似ていますが、これもまた別の植物です。

ショウブはマメ科で、ハナショウブはアヤメ科。「菖蒲」がハナショウブを指すこともあることから、この三種は同じ植物だと勘違いされることがあります。しかし、似ている植物はショウブ・ハナショウブ・アヤメだけではありません。

菖蒲の花を例えたことわざ

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「何れ あやめ か かきつばた」ということわざはご存じでしょうか。どちらも美しいことから優劣の区別をつけるのが難しいという意味で、比較できない女性の美しさを言うときに使います。このことわざには由来となった故事があります。

その故事は太平記で読むことができます。その物語は、大勢の美女の中から菖蒲前という女性を見つけるという物語で、その際に詠んだ和歌が由来であると言われています。

「五月雨に沢辺の真薦(まこも)水越えていづれあやめと引きぞわづらふ」(五月雨で沢のほとりのあやめもまこもも水に埋まってしまった。そのため、どれをあやめと選び取ることが難しい)この和歌がことわざの由来であるとされています。

菖蒲の花・アヤメ・カキツバタの見分け方

Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

このように、ことわざや和歌に詠まれるほど、アヤメとカキツバタは似ています。菖蒲のはなとアヤメ、カキツバタはとてもそっくりですが、実は簡単な見分け方があります。

それでは、そんな甲乙付けがたく美しい菖蒲の花、アヤメ、カキツバタを、生息地や植物や花・葉の特徴から見分ける方法について、ご紹介していきます。

生息地・大きさ・模様・葉脈に違いがある

Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

菖蒲の花・アヤメ・カキツバタを見分ける上で一番重要な点は、生息地です。三種類全て湿地に生育していると思われがちですが、そうではありません。

実はアヤメは湿地ではなく、陸上で生育する植物です。生息地が他の二種類と異なるため、見分けることが一番簡単だと思われます。また、三種類の中でアヤメは一番小さく、その大きさでも見分けやすいです。

では、同じ湿地で見られる菖蒲の花・カキツバタの判別の仕方ですが、この二つは主に葉で見分けることができます。菖蒲の花の葉にはハッキリと隆起した葉脈があるため、これでカキツバタと区別することができます。

次からは、この三種類のより詳しい見分け方として、それぞれの花の特徴についてご説明していきます。

菖蒲の花の特徴

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勝負の花は、付け根が黄色くなっているが他の二種類にはない特徴です。また、三種類の中では一番花が大きいことも特徴です。

菖蒲の花の形には、三英咲(三枚の花びらが目立つもの)と、六英咲(六枚の花びらが目立つもの)、八重咲の三種類があります。アヤメやカキツバタには八重咲のものがなく、また、花びらの付け根が黄色なことから、アヤメとカキツバタを区別することができます。

花の色は、アヤメやカキツバタと比較すると非常に多く6種類もあります。青、紫、ピンク、白、黄色、また複数の色をもつ種類もあります。このような多くの色彩はアヤメやカキツバタにはなく、菖蒲のはなだけです。

アヤメの特徴

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アヤメの花の特徴は、その名の通り、花の付け根に網目状の模様があることです。また、同じく花びらの付け根に黄色い斑点模様があることも特徴です。

三種類の中では一番花びらが小さく、一輪から三輪の花を咲かせます。花の色は紫と白の二種類で、ハナショウブやカキツバタと比べると非常に少なくなっています。

カキツバタの特徴

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カキツバタの花は、アヤメやハナショウブと比較すると花びらの幅が狭く、尖っている点が特徴的です。

花びらの形はハナショウブと同じく、花びらが三枚の三英咲、そして花びらが六枚の六英咲のものがあります。ハナショウブと異なるのは八重咲がないことです。

カキツバタの花の色は全部で4種類あります。菖蒲の花やカキツバタと同じく、紫、白。その二種類にはない、青色、そして複色があります。

カキツバタは、花びらの先端が細く鋭いことから、他の二種類とは区別しやすいのではないでしょうか。

菖蒲の花・アヤメ・カキツバタの名前の由来と花言葉

今まで、菖蒲の花・アヤメ・カキツバタの違い、見分け方について取り上げてきましたが、次にその名前の由来と花言葉についてもご紹介していきます。花言葉の意味について考える際、花の見た目や名前などに注目してみると面白いかもしれません。

菖蒲の花の名前の由来と花言葉

Photo byCapri23auto

ハナショウブの名前の由来はショウブによく似た葉で花を咲かせることからと、とてもシンプルです。では、ハナショウブの由来に関係のあるショウブの名前の起源はどうなのでしょうか。

ショウブの起源は、端午の節句の風習が中国から日本に伝わった時代まで遡ります。その際に中国の本来の「菖蒲」によく似た植物、つまり現在のショウブに「菖蒲」の名前が付けられたことが始まりです。

そんなハナショウブの花言葉は、「うれしい知らせ」、「心意気」、「優しい心」、「あなたを信じる」、「優雅」と、その花の姿にふさわしいものとなっています。

アヤメの名前の由来と花言葉

Photo byCapri23auto

アヤメの花の特徴は、アヤメというその名の通り、花の付け根に網目状の模様があることです。アヤメという名前の由来は、3つの説が唱えられています。

一つ目は、花の網目状の模様からというもの。二つ目は、アヤメが並んで咲く様が文目模様に似ているからというもの。三つ目は、アヤメと呼ばれる奈良時代に渡来した女性たちが端午の節句に使用していた植物をアヤメと呼ぶようになったというものです。

このようにアヤメの名前には諸説あり、どれが一番有力なのかは定まっていません。このように、アヤメの名前の由来は様々な説が挙げられており、未だに決定的な説というものはありません。

カキツバタの名前の由来と花言葉

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カキツバタの漢字表記には、「杜若」と「燕子花」の二種類があります。カキツバタは染料として使われていた植物で「カキツケハナ」と呼ばれていたものが、次第に変化してカキツバタと呼ばれるようになりました。

そんなカキツバタの花言葉は、「幸福が来る」、「幸せはあなたのもの」、「贈り物」と、全て幸せに関するものとなっています。

このような花言葉になっているのは「住吉の浅沢小野のかきつはた衣に摺りつけ着む日知らずも」という万葉集の和歌や、「燕子花」という名前の通り、幸福を運ぶとされるツバメによく似た花びらに由来しています。

菖蒲の葉や根の効能

フリー写真素材ぱくたそ

今まで、アヤメ科のハナショウブについてご説明してきましたが、ここからはマメ科のショウブについても少しご紹介していこうと思います。

ショウブは、古くから中国や日本で薬として利用されてきました。日本人にとっては、端午の節句の菖蒲湯が一番馴染みのある活用方法ではないでしょうか。このように民間療法で利用されてきた菖蒲ですが、漢方薬として用いられることもありました。

それでは、そんな薬として重用されてきたショウブの葉・根の効能、活用方法についてご紹介していきます。

菖蒲の葉と根は漢方薬として用いられてきた

日本では菖蒲の根を煎じたり、おろしたりして薬に加工し、それを飲んだり、患部に塗布したりして使用していました。そしてそれは肺炎や発熱、創傷、打身、さらには歯痛までと非常に幅広い治療に使われてきました。

実際、菖蒲の葉と根には血行促進や保湿効果、疲労回復等の効能があるとされています。この成分がより多く含まれている菖蒲の根を乾燥させたものが「菖蒲根」という漢方薬です。

「菖蒲根」の効能には鎮静・鎮痛効果が挙げられます。また、咳やたんを抑えるだけでなく、食欲促進、消化不良、胃炎、腹痛などにも効果があるとされています。

菖蒲の根茎(コンケイ)からとれる清油の効能

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菖蒲の根茎には、葉よりも多くの精油成分が含まれています。その精油成分は、アサロン、オイゲノールというもので、効果は先程ご紹介した通りです。

精油成分の血行促進や保湿効果、また香りからリラックス効果が期待できることから、お風呂に菖蒲を浮かべる菖蒲湯が好まれたのではないでしょうか。

そのまま煎じて飲むと吐き気をもよおす

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たくさんの効能があり、万能のようにおもわれる菖蒲根ですが、薬に副作用があるように実は良いことだけではありません。

そのまま飲むと吐き気を促す場合があります。それを避けるため、粉末にしたものをオブラートやカプセルに入れて服用します。一日の摂取量の目安は3〜6gで、それを三回に分けて飲むとよい効果が期待できます。

また、採取してから一年が経ったものは服用しても吐き気を促す作用が薄まっているために、煎じる場合には一年以上経過したものを使用します。

菖蒲の花は生息地・大きさ・模様・葉脈の違いで見分けるのが大切!

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これまでのおさらいをすると、菖蒲の花・アヤメ・カキツバタを見分ける上で大切なことは、生息地、大きさ・模様・葉脈の違いで見分けることです。それぞれの特徴を挙げると、以下のようになります。

まずアヤメは陸地、菖蒲の花、カキツバタは湿地に咲く植物なので、生息地で簡単に見分けることができます。また、菖蒲の花には隆起した葉脈があるうため、そこで見分けることが出来ます。

以上の点を踏まえて、六月の開花時季にはぜひ菖蒲のはな・アヤメ・カキツバタを区別してみてください。以前とは違った見え方ができ、より楽しんで鑑賞できるのではないでしょうか。

岬
ライター

岬と申します。大学では文学部に所属しており、専攻は中世文学で鎌倉時代から室町時代の古典の研究をしていました。歴史が好きで、趣味で日本の古代や中世の勉強をしたり、旅行で史跡に訪れたりしています。京都や鎌倉の古いお寺が特に好きです。よろしくお願い致します。

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