「予めご了承ください」の意味とは?
「予めご了承ください」は「あらかじめごりょうしょうください」と読みます。案内文や、アナウンスなどで耳にすることも多いのではないでしょうか。
「予めご了承ください」の「予め」には、「前もって・かねて」といった意味があり、事が起こることを事前に見越してといった意味合いになります。また「了承」は、「承知する」「相手の言い分を聞き入れる」といった意味を持っています。
「予めご了承ください」は「予め」と「了承」を合わせて、「前もってご理解ください」や「前もって受けれてください」といった意味を持つ丁寧語になります。敬語と思われがちなのですが、「ください」は丁寧語なので覚えておきましょう。
「予めご了承ください」という言葉は、その前文の部分をよく理解し納得してほしいという要望です。そのため、注意喚起などといったシーンでも使われることが多い言葉になります。
「ご了承ください」だけでも、納得してほしいという要望であることは受け取れますが、「予め」という言葉を加えることで、より「事前の理解が必要ですよ」ということを強調することが可能です。
「予めご了承ください」の類義語
「予めご了承ください」の「了承」には「理解」と「容赦」、「予め」には「前もって」という類語があります。意味を理解することで、使い分けて活用することができるので、これを機会に覚えましょう。
場合によっては、シーンに合わせて言い換えることが必要です。そこで、「予めご了承ください」の類語について敬語もふまえて例文と共にお話しします。
「予めご理解ください」
「予めご了承ください」の「了承」の類語である「理解」を使うと「予めご理解ください」と言い換えることが可能です。「理解」には、「了承」と同じように、意味を飲み込むこと、道理を知ることなどといった意味があります。
「ご理解ください」は、「ご」+「理解」+「ください」が合わさった丁寧語になり、ビジネスシーンでは口頭での説明でもよく使われます。使い方としては、次の例文を参考にしてください。
「以上の注意点について、予めご理解いただけますか?」「当院では対応できかねます。予めご理解ください」
「予めご理解ください」には「予めご了承ください」と同様に、相手に事情を汲み取り配慮してほしいという意味があります。「予め」の類語である「前もって」を置き換えて、「前もってご理解ください」といったように使うことも可能です。
敬語では、「予めご理解いただけますと幸いです」「予めご理解願います」といった形になるので参考にしてください。
「予めご容赦ください」
「予めご容赦(ようしゃ)ください」も、「予めご了承ください」の類語としてよく使われている言葉です。「容赦」には、「許す」「許可」などといった意味があります。そのため相手に対して「許してほしい」という意味で使われることが多いです。
「予めご容赦ください」の使い方としては、次の例文を参考にしてください。「大変混雑が予想されますので、予めご容赦ください」「売り切れる可能性もあるため、予めご容赦ください」
「予めご了承ください」と「予めご容赦ください」では、類語であっても少しニュアンスが異なっています。正しい使い方をすることで、より相手に言葉の意味を伝えることができるでしょう。
敬語としては次のような文になります。「予めご容赦くださいますよう、お願い申し上げます」「予めご容赦いただけると幸いです」
「予めご了承ください」と「予めご容赦ください」の違いについては、後述の「予めご了承くださいと予めご容赦くださいの違い」で解説しているのでチェックしてみてください。
「予めご了承ください」の使い方・例文
さまざまなシーンで使われることが多い「予めご了承ください」ですが、使い方として例文をご紹介していきます。
アナウンスはもちろん、ビジネスシーンなど対外的に幅広く使われるため、正しい使い方を知らなければ恥ずかしい思いをすることがあります。これを機会に、「予めご了承ください」の理解を深めましょう。
例文①
目上の人に対して「予めご了承ください」を用いる場合の使い方についてお話ししていきます。目上の人に「予めご了承ください」を使う場合は、メールなど文章で使われることが多いです。例文を見てください。
「メールの返事が遅れてしまうことが予想できます。予めご了承のほどお願いいたします」「価格の変動の可能性があります。逐一ご連絡いたしますので、予めご了承願います」
目上の人に対して「予めご了承ください」を用いる場合、例文のように敬語を使いましょう。敬語としては次のようなものがあります。「予めご了承いただけると幸いです」「予めご了承いただけますようお願いします」
敬語を使うことでニュアンスもやわらかくなります。「予めご了承ください」はこちらの都合を理解してもらいたいときに使われることが多いので、上司など目上の人に使う場合は敬語にすることを覚えておきましょう。
例文②
社外あてに「予めご了承ください」を用いる場合は、契約内容の注意喚起や、連絡事項の中でもこのケースは理解してほしいなどといった場合に使われることが多いです。
「天候などにより納品が遅れた場合には、期日に間に合わない可能性もあります。予めご了承ください」「~といった場合、対応しかねますので予めご了承ください」「規約が一部変更になる場合もあります。予めご了承ください」
「予めご了承ください」の使い方として、ビジネスシーンではその時の状況に合わせて、変更が生じることもあるので理解してほしいという意味で使われます。場合によっては敬語も含めて使い分けてください。
例文③
ビジネスシーンといっても、対会社ではなくお客に向かって「予めご了承ください」を使うことも多いです。次の例文を見ていきましょう。
「駐車場での事故などについて、当店では責任を負いかねますので予めご了承ください」「誠に勝手ながら、〇日は休業とさせていただきます。予めご了承ください」「希望者が多い場合は、早々に締め切ることもございます。予めご了承のうえお越しください」
店側の主張に対しお客に理解してほしい、注意事項として理解してほしいときに、「予めご了承ください」を使うことでやわらかいニュアンスで伝えることができます。
例文④
ビジネスシーンなどに限らず、相手に許してほしいという意味で使う場合、次の例文のようになります。
「材料高騰のため、〇日よりメニューの一部変更をさせていただきました。その分価格は今まで通りとさせていただきますので、予めご了承いただけますようお願い申し上げます。」
相手に謝罪も含めて「予めご了承ください」を使う場合、例文のように敬語にすることでより理解してほしいという気持ちが伝わりやすいです。敬語と丁寧語では、「予めご了承ください」の意味の伝わりやすさが異なるので覚えておきましょう。
「予めご了承ください」と「予めご容赦ください」の違い
「予めご了承ください」の類語としてもご紹介した「予めご容赦ください」ですが、同じような意味であっても使い方を分けることでより、語彙力を向上することができます。「予めご了承ください」と「予めご容赦ください」の違いについて見ていきましょう。
「予めご容赦ください」は「許してほしい」という意味
「予めご了承ください」と「予めご容赦ください」は、理解して納得してほしいという意味では同じです。しかし、そこに謝罪の意味が強く入っているのかどうかが異なります。次の例文を比べて見てみましょう。
「入荷状況によっては、提供できない可能性もあります。予めご了承ください」「入荷状況によっては、提供できない可能性もあります。予めご容赦ください」この2つの例文では、お店の都合で申し訳ないという意味が「容赦」を使った方がより伝わります。
「了承」がもつ「理解してくださいね」という柔らかいニュアンスに比べ、「容赦」には謝罪の意味が強いのが特徴になります。そのため、「予めご容赦ください」と「予めご了承ください」では、伝えたい内容によって使い分けると、より相手にこちらの意図が伝わりやすいです。
「予めご容赦ください」の使い方は、相手に対して迷惑をかけると予想できるときに用いられることが多くあります。「了承」と「容赦」では同じような意味を持ちますが、「容赦」の方が許可と謝罪が強いイメージを持っていると、使い分けしやすいです。
「予め」は類語である「前もって」と言い換えることができます。しかし、「容赦」の場合は相手に謝罪する意味が強いため、「予め」を用いた方がより謝罪が伝わりやすいでしょう。
「予めご了承ください」を使う際の注意点
「予めご了承ください」は、形式で言えば「~といったことが予想できるので、よく理解し納得してください」というお願いです。しかし、逆に言えば予めお伝えしているので、もしそれが起こったとしても、責任は負えませんなどといった意味にも取れます。
つまり、お願いをしているのにも関わらず、相手には選択肢がないのです。相手からみれば「理解できなければやめてください」と言われたと受け取られても仕方ありません。
中には不快に思う方もいます。そのため、「予めご了承ください」は目上の人には向かない言葉になります。
目上の人には使えない
「予めご了承ください」を目上の人に使ったり、アナウンスなど目上の人も含めて複数人を相手に使う場合は、敬語を使って「理解して納得してください」ということ表現する必要があります。
先の「予めご了承くださいの使い方・例文」でお話ししたように、「予めご了承ください」に「お願い申し上げます」や「願います」といった言葉をつけることで、より丁寧にお願いをしている印象を受けます。
「予めご了承くださいますよう、お願い申し上げます」「予めご了承願います」などといったような使い方をすると、相手に不快感を与えずに伝えることが可能です。
「予めご了承ください」の英語表記
「予めご了承ください」という意味を持つ単語は、英語の中にはありません。英語表現としては、次のようになります。
「Please note that ~」「Thank you for your understanding beforehand」「I appreciate your understanding.」それぞれの意味などについて解説していきます。
「Please note that ~」
「Please note that ~」は、「予めご了承ください」という意味の英語表現になります。例文としては次を参考にしてください。
「Please note that delivery speed may slow down during the New Year holiday season」「年末年始は、配送は遅延することもありますので予めご了承ください」
「Please note that ~」は、お客などに注意喚起として使用されるケースが多いです。「Please note that ~」が冒頭に来たときは、注意書きがあるのだと思いましょう。
「Thank you for your understanding beforehand」
「Thank you for your understanding beforehand」は「事前に理解してくれてありがとう」という意味の英語表現になります。「予めご了承ください」は、相手に対して事前に納得してほしいことに対して使います。
そのため、「Thank you for your understanding beforehand」という英語表現を使うことで、理解をしてくださいという意味合いに取れるのです。例文は次のようになります。
「Thank you for your understanding beforehand and cooperation.」「あなたの協力と理解に感謝します」「Thank you for your understanding advance.」「理解を示していただき、ありがとうございます」
「予めご了承ください」は、事前に起こりうることに対して理解をしてほしいという意味でもあるので、英語表現として、前もって理解してくれてありがとうと表現することで、「予めご了承ください」と同じニュアンスになります。
「I appreciate your understanding.」
「I appreciate your understanding.」は「あなたが理解してくれて感謝します」という意味の英語表現になります。例文としては以下を参考にしてください。
「I would appreciate your understanding.」「ご理解いただければ嬉しいです」「I would appreciate it if I could get your understanding about that.」「あなたに理解していただき、大変うれしいです」
「予め了承ください」を英語で表現するときには、理解してくれたことに感謝するという意味合いが強く出ます。そのため、ご了承くださいというお願いよりも、理解してくれてありがとうと先に感謝を示すのです。
「予めご了承ください」は「前もってご理解ください」という意味
ここまで、「予めご了承ください」の意味や類語、英語表現など詳しくご紹介しました。「予めご了承ください」には、前もって理解してほしいという意味があります。
「予めご了承ください」は、よく耳にする言葉でありながら、間違えた使い方をすると、失礼になり相手を不愉快にさせてしまうため、注意が必要です。使う相手によって、敬語での表現に変えるなど工夫が必要になります。
また、類語である「予めご容赦ください」など、使い分けることで相手により伝わりやすいです。「予めご了承ください」を正しい意味を知ることで、正しく使うことができるため、これを機会に理解を深めるようにしましょう。