画一的の意味とは?
ビジネスシーンや教育の分野で使われることの多い、「画一的」という言葉。読み方は「かくいつてき」ですが、「画一的」という言葉には様々な意味合いが含まれているため、正しく意味を理解しないまま使ってしまうと、語弊が生じてしまう可能性もあります。
そこで今回は、「画一的」の言葉が持つ様々な意味や使い方を、「画一的」の類語や対義語と合わせてご紹介します。
「画一的」の意味①
「画一的」とは、「個性や特徴がなく一律している」ことを意味しています。つまり、物や人の状態が均一していて揃っている状態を意味するのです。用紙や封筒など、作業効率を上げるためにサイズを画一的にしているものは多いです。
しかし、ネガティブな意味合いとして、個性が失われている様子を「画一的」と表現することもあるようです。
「画一的」の意味②
「画一的」には、「一つの枠にはめ込む」という、先ほどとは少し違った意味合いもあります。そのため、チームが団結して一つの目標を目指すという、ポジティブな意味合いで使われることもあるようです。
画一的の由来
「画一的」の意味を理解したところで、続いてはどんな由来で「画一的」という言葉が生まれたのかをみていきましょう。
「画一的」に使われている「画」の文字には、空間や状態、量や時間を区切るという意味があります。つまり「画一的」とは、「物事が一つに区切られている様」を意味しているのです。
画一的の特徴
「画一的」という言葉はあまり英語では使われません。そのため、明確な訳が決まっているわけではありませんが、「画一的」は英語で「uniform」と訳されることが多いです。「uniform」には揃っているや、均一といった意味があります。「画一的」という意味を上手く表現した英訳でしょう。
類語や対義語が多い
「画一的」の言葉が持つ意味は、ポジティブなものからネガティブなものまであります。そのため、利用シーンによっては相手に誤解を与えてしまうことも考えられます。
後ほどご紹介しますが、「画一的」には類語も多く、言い回しを変えることが簡単という特徴があります。シーンに応じて表現を変えてみましょう。
「統一的」との意味の違い
「画一的」の類語には統一的という言葉がありますが、「画一的」と「統一的」にはどのような違いがあるのでしょうか?「統一的」とは、「全てが一つにまとまっている」という意味があります。団体競技や演技などで一糸乱れぬ姿を思い浮かべると、「統一的」のイメージがつきやすいでしょう。
「統一的」には、安定していて美しいという意味合いもあるため、ネガティブな意味合いも含まれる「画一的」とは違い、ポジティブな意味合いで使われることが多いです。
言葉の持つ意味合いにネガティブなものが含まれているかいないかが、「画一的」と「統一的」の違いと言えます。
画一的の類語や対義語
先ほどご紹介した「統一的」も「画一的」の類語ですが、その他にも「画一的」という言葉には、類語や対義語がたくさんあります。続いては、「画一的」の類語や対義語を、意味や使い方と一緒にみていきましょう。
類語①
一つ目の類語は「一様」で、「いちよう」と読みます。「一様」とは、多くのものがどれも同じように揃っているという意味合いがあります。「皆が一様に笑顔を浮かべている」といった使い方をします。
同じ読み方で「一葉」もありますが、こちらは数を数えるときに使う単語ですので、意味が異なります。
類語②
二つ目の類語は、「しゃくしじょうぎ」と読む「杓子定規」です。「杓子定規」とはご飯をよそうときに使う杓子の柄を、定規として使うという意味です。杓子の柄が真っすぐでないのはご存知でしょう。
つまり、曲がっている柄を定規として使うことから転じて、間違った基準で物事をはかってしまうという意味合いで使われます。
また、融通の利かない頑固者という意味でも使われるため、「あの人の考えは杓子定規だ」という使い方もします。「画一的」と違い、ネガティブな意味合いしかもっていません。
類語③
三つ目の類語は、「定型的」です。こちらは読んで字のごとく、型に定まっているスタイルを意味しています。マニュアル通りにすることを表しており、「定型的な仕事だ」というような使い方をします。
こちらも同じ読み方で「定形的」という言葉があります。こちらも意味合いは「定型的」とほぼ一緒ですが、「定型的」が実際には目に見えない型に定めることに対し、「定形的」は目に見える形で定められている状態を意味しています。
つまり、はがきのサイズや用紙の規格などです。定形内郵便をイメージすると、分かりやすいのではないでしょうか。使う対象によって、「定形的」も「画一的」の類語として使えます。
対義語①
「画一的」の類語である、「一様」や「杓子定規」、「定型的」や「定形的」についてご紹介しました。続いては、「画一的」とは正反対の意味を持つ対義語について、意味や例文を交えてご紹介していきます。
「画一的」にはすでにご紹介したように、様々な意味合いを持っています。そのため、類語と同じように、対義語も複数存在します。
1つめは「多様的」です。読んで字のごとく、種類の違ったものが様々にある状態を意味しています。「この会社には多様的な人材が集まっている」といった使い方があります。また、「多様な人材」のように、的の単語を抜かして使うことも多いようです。
対義語②
「多面的」という言葉も、「画一的」の対義語として使用できます。「多面的」とは、物事には多くの見方があることや、一つのものを様々な視点から考えるという意味合いがあります。「彼は多面的な検討ができる」といった使い方をします。
対義語③
三つ目の対義語は、「個別的」です。こちらも読んで字のごとく、一人一人に対して異なる対応をすることを意味しています。
「生徒一人一人に個別的な指導をするのが、この塾の特色だ」というように、サービスや対応などについて表現するときには、「画一的」の一番の対義語となるでしょう。
画一的の使い方
個性や特徴がなく一律しているという意味を持つ「画一的」について、類語や対義語をご紹介していきました。続いては、様々な意味を持つ「画一的」を会話の中でどのように使うのか、例文と一緒に見ていきましょう。
例文①
例文の一つ目は、「私の通っていた塾は、画一的な指導方針だった」という使い方です。このときの「画一的」とは、マニュアル化された指導内容によって、塾生全員が同じような指導を受けているという状態を意味しています。
どちらかというと、特色や個性がないというネガティブな意味合いを含んでいる、と言えるでしょう。
例文②
例文の二つ目は、「ショッピングセンターが画一的になりつつある」という使い方です。よく行く大型のショッピングモールを思い浮かべてみましょう。
10人が10人、食品売り場やコーヒーショップ、雑貨屋やゲームセンター、ファッション売り場などを、同じような配置で思い浮かべるでしょう。そして、フロアに入っているお店もチェーン店が多く、場所が違えど中身はほとんど変わらないことが多いです。
つまり、どこのショッピングモールを覗いても、同じお店が揃っているという意味合いで使われます。
例文③
例文の三つ目は、「コンビニの画一的なサービスが好きだ」という使い方です。チェーンが違えども、どこのコンビニを利用しても同じような商品が並び、コピーやお弁当の温めなど、同じサービスを受けることが可能です。
この場合の「画一的」とは、お店によって違いがなく、取り扱いが変わらないという意味合いで使われています。
どこのお店に入っても、一律のサービスが受けられる安心感があるというニュアンスが含まれており、フランチャイズチェーンのビジネス方針として使われることも多いです。
例文④
四つ目の例文は、「このチームは画一的で素晴らしい」という使い方です。チームメイトがバラバラになっていては目標が達成できません。
このときの「画一的」とは、チームメイトが目標に向かって一丸となっているという意味合いで使われており、「画一的」の意味の中でもポジティブな表現となります。
画一的は個性や特徴がなく一律しているという意味
「画一的」とは、個性や特徴がなく一律しているという意味を持っています。しかし、個性のなさをネガティブに表現する場合と、一律に揃っているというポジティブな表現をする場合と、様々な意味合いで使われる言葉です。
そのため、どんなときでも使える言葉というわけでありません。使うタイミングを間違えないことや、語弊が生じる可能性があるときには別の言い方にするなど、臨機応変に使用しましょう。