「ジャイアントキリング」の意味とは?
「ジャイアントキリング(Giant Killing)」という言葉はスポーツなどでよく耳にしますが、実際はちゃんとした意味を知らないという方も多いでしょう。「ジャイアントキリング」とは「番狂わせ」という意味を持っています。下位の者が上位の者に勝つことを意味しています。
これは予想しにくい状況だと思います。一般的に上位の者が下位の者に勝つのは当然だという頭があるからです。また「大物食い」という意味もありますが、そんな「ジャイアントキリング」の意味だけでなく由来や特徴、例文を用いて使い方や注意点などをご紹介していきます。
ちなみに、スポーツの中でも「ジャイアントキリング」という言葉が多く使われているのがサッカーです。なぜサッカーで「ジャイアントキリング」が使われるのかも説明していきます。
「ジャイアントキリング」の由来
「ジャイアントキリング」とは「番狂わせ」という意味を持っている言葉ですが、元々の由来はどこから来た言葉なのでしょうか。最近ではサッカーなどで使われている「ジャイアントキリング」の由来についてお伝えしていきます。
「ジャイアントキリング」という言葉の由来は英語から来た表現であり、「Jack Tha Giant Killer(ジャック・ザ・ジャイアント・キラー)」という童話が語源になったそうです。有名な作品でもある「ジャックと豆の木」の元になったと言われています。
このことから、小さき者が大きな存在を打ち負かしたという意味を、スポーツなどの勝負事で使うようになったとされています。下位の者が上位の者に勝つことは予想しづらいです。
なので、「ジャイアントキリング」という言葉は「番狂わせ」という意味になるわけです。直訳すると怖い印象もありますが、一つの盛り上がりを象徴しているわけです。
「ジャイアントキリング」の特徴
ジャイアントキリングの意味は「番狂わせ」や「大物食い」ですが、ジャイアントキリングの特徴となるものは一体何でしょうか。この「番狂わせ」や「大物食い」という意味からお伝えしていきます。基本的にはスポーツシーンでよく見る現象であり言葉です。
最近ではサッカーなどでよく使われている言葉ですが、スポーツから見てみると、ジャイアントキリングの特徴は分かりやすいでしょう。ジャイアントキリングという言葉の意味を、さらに深く理解できるので是非とも、参考にしてみてください。
「ジャイアントキリング」は予想できなかった結果に対して使う言葉であり、また体格やフィジカルだけでは勝つことができない勝負事などにも使いやすい言葉です。
この「予想できない」という部分と、「体格の大きさ」という部分から、「ジャイアントキリング」の特徴をご紹介していきます。
「予想できなかった結果」という意味?
先程「ジャイアントキリング」の意味を説明しましたが、この「ジャイアントキリング」という言葉の特徴として、「予想できなかった結果」を表しています。これは、順位が決まっていたり、双方の成績などから勝ち負けを予想しているので、起こる現象なのです。
特に団体競技などは、「ジャイアントキリング」がよく起こっています。これは個人競技では出せない力を発揮したりするからです。また、メンバーが一人変わるだけで大きく戦況が変わってくることも多々あることから、予想できなかった結果が出るということです。
個人競技でもデータがはっきりしていないと番狂わせがあります。例えば100メートル走で公式の記録がないけれど、トップレベルのタイムを持っている場合、番狂わせが起こります。
このように、いくら強いチームでも状況によって結果が変わることはよくあることであり、またそこに加えて、選手の力量が分からないと予想もできないというわけです。
体格が関係しないスポーツに使うのは意味がない?
基本的にスポーツは体格が良い方が有利だと言われています。しかし、体格を関係としないスポーツもあります。例えばサッカーや野球などで身長がそこまで高くない選手も活躍しています。更に、直接1対1で戦うものでなく、自分の長所を活かすことができたら強いです。
つまり、ジャイアントキリングという現象は体格を関係しない競技で、よく起こるものでもあります。またテクニカルな部分を要する場合は、もはや細かい動きが得意な小柄な選手やチームが有利になるのです。これは文字通り、小さき者が大きな者を負かす図になるでしょう。
というわけで、ジャイアントキリングの特徴として、体格だけで結果が決まるスポーツではない競技で、ジャイアントキリングという現象はよく起こるということです。
しかし、ジャイアントキリングはスポーツで使われることが多い印象ですが、他のシチュエーションでも使うことはできるのか気になるところです。そこら辺もお伝えしていきます。
ジャイアントキリングはスポーツの言葉?
「ジャイアントキリング」という言葉はスポーツの世界でよく使われますが、他の分野でも勝負事であれば使えるでしょう。例えば、将棋や囲碁の世界でもジャイアントキリングは起こります。トップの座に君臨している棋士から下位の者が勝つこともあるはずです。
他にも、政治家を決める選挙でも使えそうだと言えます。しかし、「ジャイアントキリング」は基本的にはスポーツで多く使われる言葉です。その理由としてサッカーが良い例で比較的多く、「大番狂わせ」が起きやすいから多くの人に使われるのだと言えます。
またサッカーなど体力やスタミナを必要とするスポーツでは、年を重ねるにつれ段々と衰えていきます。それによってパフォーマンスの低下から下の世代に追い抜かれることがあります。
なので、サッカーなどのスポーツ界では「ジャイアントキリング」が起こりやすいということです。反対に肉体勝負ではなく頭脳戦であれば、比較的番狂わせは起こりにくいと言えます。
「ジャイアントキリング」はサッカーで使われる言葉
「大番狂わせ」という意味を持つ「ジャイアントキリング」は、最近サッカーでよく聞きます。これには理由があり、2007年から連載が始まった「GIANT KILLING」というサッカー漫画が出たことも関係しているのではないかと予想されています。
弱小のプロサッカーチームが、主人公である指導者の指揮によって、上位争いをするようになるといった内容で人気の漫画です。このことから、漫画を例にして「ジャイアントキリング」という言葉を使う人が増えたとも言えます。
また、漫画だけでなく実際のサッカー界でも、プロの有名なチームが大学生のチームに負けるということが起きたりします。これは正に「ジャイアントキリング」になります。
というわけで、サッカー界では頻繁に「ジャイアントキリング」は起こっているので、意味を理解している人達はこの言葉を積極的に使うようになったとも考えられます。
番狂わせは相撲で使われる言葉
「ジャイアントキリング」の意味である「番狂わせ」ですが、この番狂わせは「相撲」で用いている言葉だと言われています。相撲も勝敗があり、トップの座である「横綱」という立ち位置が存在していますが、そこから下に序列があります。
「関取」と言われる「横綱」から「大関」「関脇」「小結」「前頭」に「十両」と呼び名が続いています。そこから下は「力士養成員」と呼ばれる、「幕下」から「三段目」「序二段」「序の口」という下位の立ち位置を意味する呼び名もあります。
このように、番付は細かく順番が決められており、その立ち位置から強者かどうか判断されやすいのです。また、この番付は「期待値の高さ」も表しているように見受けられます。
そんなわけで、相撲の世界でもジャイアントキリングという意味の「番狂わせ」があったということです。そしてここからは、相撲で使われる「番狂わせ」の意味もお伝えしていきます。
番狂わせの意味
ジャイアントキリングの意味にもなっている「番狂わせ」の意味をお伝えします。相撲には「番付」という上位力士と下位力士を分ける意味を持った言葉があります。下位力士が上位力士を負かした時に使われる言葉ですが「番」とは順序や順番を意味します。
下位力士が勝ち、その順序を「狂わす」というところから「番狂わせ」と言われているそうです。また、「当てが外れる」や「志と異なる」という意味を持ったとされています。ちなみに、この「番狂わせ」は江戸時代の頃から使われていたようです。
先程お伝えしたように、相撲会では番付によって順番が細かく決められています。だからこそ「先入観」が生まれやすく、その予想を覆すことが多々起こるのだと言えるのです。
というわけで、相撲会では「ジャイアントキリング」という意味を持った「番狂わせが」起きているので、サッカーと同じくらい相応しい言葉なのです。
「ジャイアントキリング」の使い方
「ジャイアントキリング」の意味をお伝えしていますが、実際どのような時に使うのか考える方もいるでしょう。また意味を知ってはいるが使ったことがないという方もいるのではないでしょうか。ここからは「ジャイアントキリング」を使った例文をお伝えしていきます。
基本的に「ジャイアントキリング」の意味を理解していれば、すぐに使えます。ここでは分かりやすいように、サッカーなどのスポーツを例にご紹介していきます。使うシチュエーションとしましては、結果が出た時に使う場合となっています。
また「ジャイアントキリング」を短く略称したもので、「ジャイキリ」という呼び方をされる人も多いです。最近ではよく耳にしますが聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
そんな「ジャイキリ」の意味も加えて、補足と説明もしていますので、参考にしてみてください。そして、実際にそのようなシチュエーションであれば使ってみましょう。
例文①
ジャイアントキリングを使った例文で「あの弱小チームがジャイアントキリングを起こした」という言い方があります。これはサッカーなどのスポーツチームが「弱小」という立ち位置から、いつも負けているイメージがあり、勝つと思っていなかったという意味にもなります。
なので、「相手がトップのチームでその強いチームに勝った」というよりも、「いつも負けている下位にいるチームが勝つことができた」という意味になります。これこそ予想外であるという意味になり、「ジャイアントキリング」だと判断できる例なのです。
言い方を変えると「奇跡を起こした」という意味にもなります。そこから驚きと興奮が隠せていないのが分かります。ビッグニュースとして使うのもいいでしょう。
例文②
続いて「ジャイアントキリング」を使った例文をご紹介します。「まさかあのチームが勝つなんて。これはジャイアントキリングだ」という表現ができます。「ジャイアントキリングだ」と言っている人は、予想にもしなかった結果に驚いて思わず言っている様が思い浮かびます。
これは、特に勝つと思っていなかったチームが勝ったという、大きな意味を示しています。また、関心がなかったものに注目をしている意味も表しています。先程の「弱小チーム」に近い立ち位置だからこそ、この言い方ができるというわけです。
このようにサッカーなどのスポーツで、期待されていなかったチームが強豪チームに勝った様子を「ジャイアントキリング」という言葉で表す例です。
例文③
次は「ジャイアントキリング」という、言葉そのものの意味を表した言い方です。「あの体格の良い選手に勝つなんて。まるでジャイアントキリングじゃないか」という例文もあります。これは文字通り、体格の小さい選手が、大柄な選手に勝った時に放った言い方です。
基本的に「ジャイアントキリング」は番狂わせという意味もありますが、ここでは「ジャイアント」という「物理的に大きい」意味を指していることがわかります。またそんな小さき者が、大きな者を相手に勝ったことを表して「大金星」という意味にもなる言い方です。
しかしながら、シチュエーションとしましては、滅多になくとても珍しいことなので直接的な意味で使うことはあまりありません。あくまで「予想外」という意味で使った方が無難です。
例文④
次に「ジャイアントキリング」を使った例文をお伝えします。「あのトップチームが負けた。これは紛れもないジャイアントキリングだ」という例文ですが、これはトップに位置する「格上の存在が負けた」ということから、ジャイアントキリングだと判断した言い方です。
ここでは、両者に大きな差があったというより、常に勝っていたトップチームだからこそ、予想に反する意外な結末という意味も込めたセリフだと言えます。これはサッカーでもよく見かける例で、毎年上位にいる強いチームが負けた時に使われます。
しかし、これはあくまで、対戦相手が同じ力でないことが条件です。どんなに無敗を誇っていたとしても、相手も勝率が高いようであれば、「ジャイアントキリング」ではないです。
相手がそこまで良い成績を出してない状態であることが、前提になるので、このシチュエーションで「ジャイアントキリング」を使う際は、意味が合っているか気を付けましょう。
例文⑤
ここでは「ジャイアントキリング」を縮めた言い方である「ジャイキリ」を使った例文をご紹介します。「この前、大学生チームがプロのチームに勝って、ジャイキリしたみたいだよ」という言い方があります。いかにも現代風な言い方で、言葉の調子が軽い印象です。
意味は見て分かる通り、低い立場のものが高い立場のものに勝ったということで、「ジャイアントキリング」であることが分かります。親しい仲である友人や、若者の間で使うことが多い、「ジャイキリ」です。身分が上であったり、年上の方には適さない言葉とも言えます。
また「ジャイキリ」という言葉を知らない方もいるので、使う際は気を付けた方がいいでしょう。一番は「ジャイアントキリング」と言った方が無難かもしれません。
「ジャイアントキリング」の注意点
「ジャイアントキリング」の例文と意味をお伝えしましたが、使う時の注意点はあるのか気になるところです。基本的に意味があった状況であれば、使っても問題ありません。しかし「ジャイアントキリング」の意味にそぐわない場合は使っても相手に伝わらないでしょう。
では、「ジャイアントキリング」の意味とは、かけ離れたシチュエーションとはどういったものなのでしょうか。ここからは、「ジャイアントキリング」の意味とは違う状況や状態をご紹介していきます。本来の意味を理解していれば、すぐに分るでしょう。
特に、意味だけでなく先程お伝えした、「ジャイアントキリング」の特徴や使い方を把握していらっしゃるようであれば、自ら注意する部分に気付けるはずです。
勝敗の意味を持たないスポーツ
「ジャイアントキリング」という言葉を使う時の注意点ですが、勝ち負けがなかったり引き分けがある場合は使えません。または、スポーツで勝ち負けを競っていない時は「ジャイアントキリング」と言える場面はないと言えるでしょう。例えば遊びで行っている場合です。
そこに順位を決めており、立ち位置がはっきり決まっているようであれば「ジャイアントキリング」という現象は出てきます。しかし、遊びや趣味でその場限りのものであれば、「ジャイアントキリング」という意味の出来事は起こりません。
他にも頻繁に順位が変わっている状態の時に「ジャイアントキリング」という言葉は相応しくないと言えます。これは立ち位置や対象となるものも印象がはっきりしていないからです。
なので、「ジャイアントキリング」を使う時は、はっきりと勝ち負けが決まるものや、順位の入れ替えが激しくない時に使うことをおすすめします。
「予想外」という意味ではないもの
「ジャイアントキリング」という言葉は、勝ち負けがない時には使いませんが、双方の力の差がほとんどない場合も、意味が違うので使いません。「ジャイアントキリング」は「お互いの力の差が大きくあった時」が条件でもあります。そのことに注意しましょう。
もしくは、上位の方か下位の方どちらかが、極端な成績であることも使う条件として挙げられます。例えば、ずっと勝ち続けている上位のチームに勝った時や、万年最下位と言われているチームが勝った場合など、予想外と思える結果に使える言葉なのです。
なので同等の力だと使えません。このことから分かるのは、「予想できるもの」や「はっきりした序列」という条件がないと「ジャイアントキリング」は生まれないということです。
その条件が備わった時に「ジャイアントキリング」という意味が生まれ、その認識を覆すことで、「ジャイアントキリング」を使うことができるのです。
「ジャイアントキリング」は「番狂わせ」という意味
「ジャイアントキリング」の意味についてご紹介してきました。また、由来や特徴、使い方に注意点などお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。「ジャイアントキリング」は「番狂わせ」という意味ですが、これは順位や立ち位置がしっかり決まっているから出る言葉です。
スポーツで表すことが多い訳ですが、取り分けサッカーではよく見る現象であることをお伝えしました。また、小さき者が大きな者を負かす際にも使われますが、共通して言えることは「とてもすごいこと」なのです。なので、「称賛」として使われたりもするのです。
もしこれが、当たり前だと思っていたら、そこまで頻繁に使われないのではないでしょうか。それこそ予想通りの結果であれば、「ジャイアントキリング」という言葉は存在しません。
「奇跡」とも言える大金星だからこそ、人は驚いて「ジャイアントキリングだ」と口にするのだと言えます。そしてこのことから、「奇跡は起こるもの」だということでもあるのです。