追って連絡の意味とは?
「追って連絡」という言葉をご存知でしょうか?ビジネスマンの方では一度は必ず使ったことのある馴染みある言葉です。よくメールなどの返信で使うことの多い言葉「追って連絡」、まずはこの言葉の意味からご紹介していきます。
「追って連絡」をご紹介する上で、まず「追って」と「連絡」に分けてそれぞれの意味を解説していきます。まずは「追って」これは「近いうちに物事が行われるさま。のちほど」という意味を持ちます。つまり、「追って連絡」は「近いうちに連絡」するという意味です。
意味をご理解いただいた上で今回は「追って連絡」の由来、特徴、英語表現、使い方、注意点を順にご紹介していきます。今まで認識していた「追って連絡」の使い方を再点検していただきながら、「追って連絡」の適切な使い方をマスターしていただければ幸いです。
追って連絡の由来
まず始めに「追って連絡」の言葉の出どころを追っていきます。この「追って連絡」、最近のビジネスシーンでは必須ワードな位頻出していますが、どんなルーツを経てきたのでしょうか?
この点「追って連絡」と同じような使い方をしている文献が下記で確認する事ができます。小説家の永井荷風が執筆した「ひかげの花」という1934年(昭和9年)に「中央公論」に寄稿した作品です。
「お千代は此処でもまた追て通知をするというのだろうと思って」と「追って通知」をすると使われている事が確認できます。「追って連絡」と同じような表現は戦前の今から80年以上も昔に既に使われていた事が理解できます。
追って連絡の特徴
では、現代のビジネスシーンにおいて使われている「追って連絡」にはどんな特徴があるのでしょうか?「追って連絡」には、相手方に対して行われる行為であり、「近いうちに連絡する」という意味である以上、結果「相手を待たせる」「相手に連絡する」という2つの内容が含まれます。
ではどのくらい「相手を待たせる」のか?ビジネスシーンにおいて「近いうちに連絡する」の「近いうちに」の時間幅はどのくらいなのか?また「追って連絡」を受ける相手方は何もする必要はないのか?この2つのポイントについて下記にてご紹介いたします。
追って連絡する目安となる時間幅
「追って連絡」する目安となる時間幅は相手方に「追って連絡」すると伝えた日も含めて「3日以内」が妥当とされる日数と見られています。
ビジネス上の一つの業務が終わる日数は1~2日程度ではありますが、不測の事態も想定して、プラス1日余裕を持たせ、結果3日程度あれば、期間としては無難であると見る向きがあるわけです。
ただ、「追って連絡」の時間幅について、企業の認識がしっかりと統一されているわけではありません。法律上の制約もやく、あくまで慣習上の妥当な期間であるという認識のレベルです。企業によっては上記期間以上だったり、以下だったりすることはままあります。
「追って連絡」される側が、火急の用などで、どうしてもその日もしくは、数時間以内に連絡が欲しい場合は、「追って連絡」するという言葉を受けた際、上記急いでいる旨を伝えることによって、待ち時間が短縮される可能性がありますので、一言申し添えてみてください。
一定期間経っても連絡がこない場合
「追って連絡」するという言葉を受け、待ってみたものの、返事の電話や返信が来ない場合は、「いつぐらいに連絡をいただけそうですか?」と再連絡をすることも一つの手段です。ビジネスでは「追って連絡」する期間が一概に3日以内ではない理由は上記で触れました。
一定期間内に「追って連絡」をしない理由は多々あります。「一週間以内に連絡しようと思った」「社内コンセンサスが取れず、連絡が遅れていた」「連絡することを忘れていた」など、一概に答えは決まっていません。
最後の「忘れていた」は、受けてにとっては大変失礼な不作為で、信頼関係を大きく損なう可能性があります。しかし相手方の諸事情、相手方と自社との取引の関係性や継続性を斟酌し、場合によっては寛大に取り計らうこともビジネス上大切なポイントです。
追って連絡の英語表現
今ではビジネスシーンで多く使われている「追って連絡」というフレーズ。ビジネスとなれば、今後ますますグローバル化していくその市場において、母国語の日本語だけではなく、国際語である英語による表現も看過できないポイントです。
そんな変わりゆくビジネス市場を踏まえて、今回は「追って連絡」の英語表現をご紹介していきます。英語表現も「追って連絡」という発想があります。2つの例文も合わせて英語表現をご参考ください。
Let me get back to you on that.
1つ目の英語構文に「Let me get back to you on that」という表現があります。読み方は「レット ミー ゲット バック トゥー ユー オン ザット」になります。
まずは「Let me 〜」ですが「〜させてください」とう英語構文になる丁寧な表現です。続く、「get back to you」は「連絡する」というイディオムとなります。
「on that」は「その件について 」という意味です。「追って連絡する」という日本語も例文にした場合でも、「その件」や「この件」などと表し、聞かれた内容を受けた代名詞は省略こそすれ、必ず存在します。
各文節をつなげてみると「その件について連絡させてください」つまり「その件について追って連絡します」という表現になります。直接でも、電話でも、メールでの返信でも対応可能です。
I will contact you later on that.
2つ目の英語構文に「I will contact you later on that」というオーソドックスな表現があります。読み方は「アイ ウィル コンタクト ユー レイター オン ザット」になります。
まずは「contact」ですが「連絡する」という動詞です。続く、「you(あなた)」を受けて、「わたしはあなたに連絡する」となります。
「will」は助動詞という付属語で主に動詞の前について、動詞の意味を補完する性質を持ちます。この「will」は未来を表す助動詞になりますので、「わたしはあなたに連絡するだろう」となります。laterは「あとで」という意味の副詞になるので、「あなたにあとで連絡するだろう」となります。
各文節をつなげてみると「その件についてあとで連絡します」つまり「その件について追って連絡します」という表現になります。直接でも、電話でも、メールでの返信でも対応可能です。
I'll get back to you later on that.
上記で紹介した助動詞「will」イディオム「get back to you」副詞「later」前置詞+目的語「on that」を使って別な英語構文で表現することも可能です。例えば「I'll get back to you later on that」読み方は「アイル ゲット バックトゥー ユー レイター オン ザット」となります。
和訳すると「その件についてあとで連絡します」つまり「その件について追って連絡します」となります。こちらも、直接でも、電話でも、メールでの返信でも対応可能です。このように英語圏でも日本語同様に「追って連絡」する慣習が存在している事が理解できます。
追って連絡の使い方
今まで、「追って連絡」の意味、由来、特徴、英語表現を順番に確認してきました。では日本の日常のシーンで「追って連絡」をどのように使っていく必要性があるのでしょうか?
「追って連絡」は日常生活、特にビジネスシーンにおいて、回答をするまでの「時間的猶予」を得たり「取次」の役目を果たす非常に大切な業務です。この「時間的猶予」が長すぎたり「取次」がしっかり行われないと業務に支障が生じるばかりか企業の収益にも影響をきたす可能性があります。
そして、「追って連絡」の使い方においてもう一つ忘れてはならない文章表現は「敬語表現」です。この敬語は、社内外、特に取引先やエンドユーザーなどの直接のお客様との円滑な人間関係、信頼関係を構築するにあたり大切なポイントになります。
例文①
「追って連絡」の使い方に関する1つ目の例文としては、業務内容による問い合わせメールが挙げられます。ある消費者から商品に関する問い合わせの電子メールが企業に入ってきたことを想定しました。
「〇〇様、この度は◯◯に関する商品のお問い合わせ大変ありがとうございます。私受付窓口の◯◯と申します。この度のお問い合わせにつきまして、改めて弊社担当者から〇〇様へ追って連絡差し上げますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございます」
上記の内容を電子メールで返信する取次業務を経て、追って担当から電話または電子メールで問い合わせした方へ回答するのが一連の業務の流れになります。
上記「追って連絡」の使い方に関する例文を確認する際、文章中の敬語を確認することができます。相手方がした行為に関する敬語は相手を敬う「尊敬語」になり「お問い合わせ」が該当します。自分の行為に関しては自分を謙る「謙譲語」で「申します」「いたします」「差し上げます」が該当します。
それ以外の敬語表現は聞き手に対して改まった気持ちを表現する「丁寧語」が挙げられ、語尾の「です」「ます」「お願い」が該当します。
例文②
「追って連絡」の使い方に関する2つ目の例文としては、企業間取引によるお見積もり問い合わせメールが挙げられます。ある企業の担当者からお見積もり依頼の電子メールが企業に入ってきたことを想定しました。
「株式会社◯◯御中、営業部〇〇様、この度はお見積もりご依頼のメール、大変ありがとうございます。私受付窓口の◯◯と申します。内容を拝読させていただき、仕様も了承いたました。お見積書を弊社担当者から〇〇様へメールにてご案内させていただきますのでよろしくお願いいたします」
上記の内容を電子メールで返信する取次業務を経て、追って担当からお見積書をメール返信するのが一連の業務の流れになります。直接見積書を送るだけで良かったり、電話などでフォローを入れたりは状況に左右されるので、一概には言えません。
上記「追って連絡」の使い方に関する例文を確認する際の、文章中の敬語ですが、「尊敬語」は「ご依頼」が該当します。「謙譲語」は「拝読」「申します」「いたします」が該当します。「丁寧語」は語尾の「です」「ます」「ご案内」が該当します。
例文③
「追って連絡」の使い方に関する3つ目の例文としては、社内の業務連絡が挙げられます。直属の上司からお業務についての確認の電話に入ってきたことを想定しました。
「もしもし、お疲れ様です。(上司からの問い合わせ内容が入ります)わかりました。それについてですが念のため確認して、追って連絡します。失礼します」
上記のような電話での普段の業務についての社内の問い合わせ以外に、メールや直接口頭で聞かれても、「追って連絡」は使えるフレーズであることが理解できます。
上記「追って連絡」の使い方に関する例文を確認する際の、文章中の敬語ですが、社内なので、くだけた表現が基本ですので、「丁寧語」は語尾の「です」「ます」「ました」が該当します。「お疲れ様」は敬語ではなく労いを表現する名詞なので、ご留意ください。
例文④
「追って連絡」の使い方に関する4つ目の例文としては、プライベートなシーンでの使い方です。あなたが家族に電話することを想定します。
「もしもし、〇〇だけど。今回の帰省の日程だけど、まだシフトが固まってないから今のところなんとも言えない。最終的に決まったら追って連絡するから」
上記のような普段の電話のやりとりや、直接の会話のやりとりでも「追って連絡する」という表現を使う事ができます。また、親しい間柄なので、敬語表現は不要です。
追って連絡の使う際の注意点
「追って連絡」を使う場合、特にどんなポイントに注意して使って行く必要があるのでしょうか?この点「追って連絡」と似た表現に「折り返し連絡」と「I will call you back」という2つの表現があります。これらが「追って連絡」とどのように違うのか?以下よりご紹介していきます。
折り返し連絡で代用するのは危険
「折り返し連絡」の言葉は担当者が「電話中」だったりしたときによく使われますが、1つ目の注意点は「追って連絡」するを「折り返し連絡」をするという表現に代用して用いる事です。「追って連絡」と「折り返し連絡」は返事までの許容されている時間幅が違うからです。
「折り返し連絡」は「追って連絡」とは違い、「間をおかずにすぐ」する連絡になります。体感的にではありますがビジネスでは数分単位でのレスポンスになります。
これを「追って連絡」のように2、3日後返信または電話連絡した場合は、相手によっては「折り返しって言いましたよね?」ということになります。「折り返し」を使う際は「間をおかずにすぐ」というポイントをご留意ください。
I will call you backは忙しい時の英語表現
2つ目の注意点は先述した英語表現において「I will call you back」という英語構文です。「Call you back」は「忙しい場合から、こちらから連絡する」になるので、「Let me get back to you on that」とは大きくニュアンスが異なります。
いわば「忙しく、手が回らないから、手が空いたら連絡するから」のようなニュアンスであり、問い合わせ先によっては「優先順位が後回しにされた」と感情的になる要因にもなりかねませんのでご留意ください。
追って連絡はのちほど連絡するという意味
「追って連絡」の意味、由来、特徴、英語表現、使い方、注意点を順番に確認してきました。「追って連絡」は「のちほど連絡する」というビジネスにおいて一定の「時間的猶予を得」たり「取次」をする業務です。
「追って連絡」による返事・返信までの時間幅の適正を守り、取次ぎ時の、受け取った内容をしっかりと確認していき、相手によって適切な敬語表現を使っていけば、信頼関係が担保できる表現であります。「追って連絡」を使いこなし、今まで以上の人間関係を構築できれば幸いです。