ミザリー(misery)の意味とは?
ミザリーは英語の「misery」という言葉が、映画や音楽のタイトルとして使われるなど、日本語英語として知名度を広げた言葉です。英語の「misery」が意味することは「惨めさ」や「悲惨さ」を表しています。
日本で一般的なのは映画「ミザリー(misery)」に登場する、主人公への妄執で話題となった女性の名前でもあります。また、HIDEの音楽作品にも「ミザリー(misery)」というタイトルが付けられています。
映画ならではともいえますが、非常に強い執着を見せる女性の名を「ミザリー(misery)」ととてもではないですが良い印象の無い言葉にしていることで、より映画の怖さを印象深くさせている演出だと言えます。
ミザリー(misery)の対義語・類義語
ここでは映画や音楽にも使われた英語「ミザリー(misery)」の意味から、対義語や類義語についてまとめています。それぞれに意味や使い方、例文なども交えて説明しています。ミザリーの英語の対義語や類義語を紹介しています。
ミザリー(misery)の対義語
「ミザリー(misery)」の対義語についてまとめています。対義語とは、意味がまったく反対、もしくは限りなく反対に近しい使い方として定義された言葉の事を対義語と言います。
意味としては反対ですが、「ミザリー(misery)」という言葉が名詞扱いですので、類語や対義語の中には動詞や形容詞の対義語なども含まれ、ミザリーとは使い方が大きく変わるという意味です。
bliss(ブリス)の意味・使い方
ミザリーの対義語、「bliss(ブリス)」とは、「至福」や「幸福」、「満足」や「満悦」を意味する名詞、もしくは動詞で、名詞での使い方は「Years of bottled up emotions spilled out in one brief moment of perfect bliss.」などとして使います。
「ミザリー(misery)」とはほぼ正反対の意味をもち、非常に幸福に満ち足りているさまを表す言葉です。
beatitude(ビアティテュード)の意味・使い方
「ミザリー(misery)」の対義語の一つ、「beatitude(ビアティテュード)」の意味は「至福」「満悦」「幸福」「鼓腹」などで、名詞として用いられる言葉です。
例文としては、「The terrifying aspect of this Self makes Arjuna shudder with fear, and hence the Lord also reveals His most beautiful form that is full of bliss, beatitude , and serenity.」というような使い方をします。
ミザリー(misery)の類義語
「ミザリー(misery)」の類義語についてまとめています。類義語とは、意味が同じ、もしくは限りなく近い意味をもつ言葉のことを「類義語」と言います。「ミザリー(misery)」と同じような意味をもった言葉やその使い方についてまとめています。
suffering(サファリング)の意味・使い方
「ミザリー(misery)」の類義語の一つ、「suffering(サファリング)」の意味は、「苦しみ」「苦悩」「憂苦」「受難」「羅災」「悲惨」などの名詞としての意味をもちます。ミザリーとも非常によく似た言葉です。
ミザリーとの違いは「動詞」として用いられることも出来る言葉である点で、例文として「As an openly gay man in a much less tolerant era, he suffered constant abuse and rejection in his quest to ‘make them understand’.」のように用います。
distress(ディストレス)の意味・使い方
「ミザリー(misery)」の類義語の一つ、「distress(ディストレス)」には、「苦痛」「窮迫」「窮状」「困難」「困窮」「苦悩」「苦しみ」「痛み」などの意味が定義されています。ミザリーよりも「痛み」や「苦しみ」をより強く印象付ける言葉です。
ミザリーとは違い動詞での活用も出来、その場合の意味は「苦しめる」として定義されます。例文として「He reported that he was distressed by the news that one of his friends had relayed today.」などと表記します。
grief(グリーフ)の意味・使い方
「ミザリー(misery)」の類義語の一つ、「grief(グリーフ)」ですが、「悲しみ」「悲嘆」「嘆き」「悲哀」「哀しみ」「哀惜」「傷心」などの意味をもちます。ミザリーとの違いとして、「悲しい」という感情面を強く表現している言葉である点です。
ミザリーと同様に名詞としてしか活用できません。例文として、「We are having so many problems with kids running down and causing grief to the elderly residents that live here.」のように使われます。
torment(トーメント)の意味・使い方
「ミザリー(misery)」の類義語の一つ、「torment(トーメント)」には、「苦しめる」「苛める」「悩ます」「苛む」「憂悶」「悲嘆」「悲惨」「受難」の意味が定義されています。ミザリーとの違いとして、苦しみに焦点を当てている点です。
また、ミザリーのように名詞だけではなく、動詞としての活用もできます。例文として、「This is true whether he's dealing with the tyrannically needy Louise, or the popular kids who torment them both at school.」などとして使われます。
ゲーム「Diablo(ディアブロ)」の難易度を表す単位としても用いられている言葉ですので、ご存知の方もいらっしゃることでしょう。
ミザリー(misery)の使い方・例文
映画や音楽にも使われている「ミザリー(misery)」の使い方を、例文を通して紹介、まとめています。具体的な例文として挙げていますので、ミザリーを名詞としてどのような使い方になるのかをご覧いただき、参考にしてください。
例文①
「During the Thirty Years' War the city received no direct harm; but the ruin of Germany reacted upon its prosperity, and the misery of the lower orders led to an agitation against the Rath.」
意訳は”30年戦争の間、市は直接的な危害を受けなかった。しかし、ドイツの没落はドイツの繁栄に反応し、下層階級の悲惨な状態がラスの町に対する扇動につながったのです。”となります。政治的な悲惨さ(ミザリー)を挙げた例文です。
例文②
「Under these heads it discusses respectively the sin and misery of men, the redemption wrought by Christ (here are included the Creed and the Sacraments), and the grateful service of the new life (the Decalogue).」
聖書に書かれた内容について触れた例文です。訳は、”これらの頭のもとで、人の罪と悲惨さ(ミザリー)、キリストがなした贖罪(ここには信条と聖餐式が含まれる)、新しい命の有り難い奉公(十戒)についてそれぞれ論じている。”となります。
例文③
「But in spite of a quantum measure of misery, it was a holiday weekend, the day was beautiful, as Dean discerned as soon as he managed to pry his eyes open and inhale the smell of Fred's coffee.」
日常の一幕を描いた例文です。意味は、”しかし、かなり悲惨(ミザリー)な休日であったにもかかわらず、その日は美しく、ディーンは目をこらしてフレッドのコーヒーの匂いを吸い込むとすぐにそれに気づいた。”となります。
例文④
「In Constantinople itself sedition and profligacy were rampant, the emperors were the tools of faction and cared but little for the interests of their subjects, whose lot was one of hopeless misery and depravity.」
こちらは「不幸」として用いた例文です。意訳は”コンスタンティノープルそのものには扇動と流行りが蔓延していた。皇帝は党派の道具であり臣民の利益には殆ど配慮しなかった。彼らの運命は絶望的な不幸(ミザリー)と堕落であった。”となります。
ミザリー(misery)とミステリー(mystery)の違い
「ミザリー(misery)」と似たような響きをもつ言葉、印象が似通った言葉に「ミステリー(mystery)」が挙げられます。どちらも映画や音楽などで使われるイメージとしては似ていますが、実は全く違った意味を持っています。
ミステリー(mystery)は神秘という意味
「ミステリー(mystery)」は、直訳した場合は「神秘」と訳されます。そのため「ミザリー(misery)」の意味である「悲惨」や「惨め」といった言葉とは趣(おもむき)がまるで違うことが分かります。
映画や音楽で使われる「ミステリー(mystery)」の本質的な意味は、「不思議な現実」や「神秘的なストーリー」を意味した言葉だと言えます。あくまでも不思議さ、謎めいた様子を意味した言葉なのです。
ミザリー(misery)を使う際の注意点
「ミザリー(misery)」という言葉を使う上で注意しておきたい事についてですが、名詞であることを別にしてそもそもがとても暗い意味をもつ言葉です。なので、人の名前や商品名などにミザリーと使用するのは避けるべき言葉です。
不適切な言葉に考えられがちな言葉といえばより理解しやすいかもしれません。なので映画や音楽の印象がありますが、あれは映画や音楽作品であるから許されるのであって、映画でも音楽作品でもない、いわばノンフィクションに使用すべき言葉ではないのです。
動詞としては使えない
「ミザリー(misery)」は名詞ですので、日本語英語にありがちな「~する」というような意味や使い方はできません。あくまでも対象の状況が「ミザリー(misery)」な状況なのであったり、「ミザリー(misery)」な人という使い方になります。
ミザリー(misery)の由来・歴史
「ミザリー(misery)」という言葉がどのような経緯で生まれたのか、またどのようにして「ミザリー(misery)」という意味になり、そして私たち日本の一般家庭で知られるようになったのかについてまとめています。
ミザリー(misery)の由来
映画や音楽にも使われた「ミザリー(misery)」の元となった語源は、ラテン語の「ミセリア(miseria)」だと言われています。こちらの意味は「ミザリー(misery)」と同じく「悲惨」などの意味を持ちます。
また、古いフランス語の「misere(ミゼール)」も語源のひとつだといわれており、こちらの意味は「不幸」を表しています。
ミザリー(misery)の歴史
映画や音楽で知られるようになった「ミザリー(misery)」は、その語源がラテン語や古フランス語から伝わったと言われているように非常に古い言葉です。映画「ミザリー」が1990年にアメリカで制作され、日本に輸入されたのが最初とされています。
ミザリー(misery)の英語表記
ミザリーはmiseryと綴りますが、クリストファーマーロウの戯曲「ファウスト博士」においてmiseryとしての定義がなされたともいわれています。大きな不幸や悲惨さを戯曲を通じて言葉の印象として固めたと言えます。
ミザリー(misery)の漢字
ミザリーを漢字で表記した場合は、「悲惨」だけでなくほかにもいくつかの言い換えがあります。それは「悲哀」「不幸」「悲嘆」「憂き目」「愁傷」「憂事」「傷心」などが似た意味を持つ言葉になります。
どれも非常に深い悲しみや薄暗い感情を感じさせる言葉です。ミザリーという言葉を漢字であらわすと、どこまでも深い苦しさや悲しさを表現した言葉になります。
ミザリー(misery)は悲惨という意味
「ミザリー(misery)」という言葉について、どれほど重い感情や歴史的背景、さらには人間のもつ薄暗い側面をあらわした言葉であることがわかりましたか?映画や音楽で使われていて気安い感覚ではありますが、このような意味があったのです。
人は誰しも悲しみを背負っていますが、人生が破綻しかねない状況をあらわす悲惨さこそが、「ミザリー(misery)」のもつ意味なのです。