「薫陶」の意味とは?
「薫陶」は聞き慣れない言葉ですが、ビジネスの場や日常会話で使われる言葉です。「薫陶」が会話で出てきたときに意味を知らないと恥をかいてしまうかもしれません。「薫陶」の意味を理解して使いこなしましょう。
「薫陶」の意味は「他人を感化する」
「薫陶」は「くんとう」という読み方をします。「薫陶」は自分の徳で他人を感化するという意味です。他人を教育するという意味ではなく、人格などの道徳面を他人に教えることという意味でで使われる言葉です。
教えると言っても手取り足取り教える、指導するという意味ではなく、自分自身の徳を相手に魅せることで人を感化して育て上げるという意味を持っています。
ちなみに道徳とは社会において人それぞれが善悪を判断して正しく行動するための規範の総体を意味しています。倫理やモラリティーなどと同じ意味で用いられます。
「薫陶」の由来
「薫陶」の意味が他人を感化するということを理解した上で次は「薫陶」の由来を「薫」と「陶」の漢字から詳しく紹介します。「薫陶」の意味と由来を知ることで「薫陶」を更に深く理解することができるでしょう。
「薫陶」の由来は?
「薫陶」の由来を「薫」と「陶」の漢字に分けて解説していきます。まず「薫」は音読みが「クン」で訓読みは「カオる」という読み方をします。「薫」は「かおる」や「香りを焚きこめる」という意味があります。
そして「陶」は音読みが「トウ」で訓読みは「スエ」という読み方をします。「陶」は「やきもの」や「陶器をつくる」という意味があります。
「薫陶」は「薫」の独自の香りを焚きこめながら、「陶」の土をこねて時間をかけて「陶器をつくる」様子から「自らの道徳を他人に感化させて人格を形成させてゆく」という意味が出来ました。
「薫陶」の特徴
「薫陶」の由来や意味を紹介しましたが、「薫陶」は難しい言葉で聞き覚えが無い人にとってはどうやって使うのか分からない場合が多いでしょう。そこで「薫陶」を日常会話で使うときに役立つ特徴を紹介します。
「薫陶を受ける」で使う
まず「薫陶」の特徴として「薫陶」の使い方を紹介します。「薫陶」は「薫陶を受ける」として使うことが多いです。
「薫陶」は相手から良い影響を自分自身が受けるときに使うので「薫陶を受ける」という使い方が一般的になります。「薫陶を受ける」は「人格ある人から影響されて人格が磨かれる」という意味になります。
「薫陶を賜る」だと敬語に
「薫陶を受ける」を丁寧に言うと「薫陶を賜る」になります。「賜る」は「たまわる」と読み、「もらう」の謙譲語になります。謙譲語とは敬語の一つで自分を下げて相手を立てるときに使うものです。
「受ける」は尊敬語ではないので、より相手に敬意を払って言いたいならば「薫陶を賜る」とすることで敬語になりビジネスの場で使っても失礼のない言葉になります。
「薫陶」を英語にすると?
「薫陶」を英語にするとどのような単語で置き換えられるのでしょうか。「薫陶」という難しい言葉を知っていて、更にビジネスの場で外国の方に「薫陶」を英語で伝えられたら秀才に思われます。
「be under someone’s tutelage」で「薫陶を受ける」という意味になります。「under」は下、「someone’s」は「誰かの」で「tutelage」は後見、つまり補佐、指導を表します。
直訳すると「誰かの下(もと)で指導を受ける」ことを意味します。ここから「薫陶を受ける」という意味になりました。例えば「先生の薫陶を受ける」と英語で言いたければ「be under teacher’s tutelage」と表現できます。
上で紹介した英語は少し堅い表現になります。「influenced」を使うと少しカジュアルに表現できます。「influenced」は「感化される」という意味があります。
例えば「influenced by the artist」とすると「その画家に感化された」と使うことができ、「薫陶を受ける」という意味を表せます。
「薫陶」の類義語
「薫陶」の類義語を紹介します。「薫陶」は読み方も漢字も難しいですが「薫陶」の類義語なら聞いたことがある言葉も多く使い方や読み方が簡単なものも多いです。「薫陶」の類義語の読み方意味を詳しく解説します。
「感化」の意味
「薫陶」の類義語として「感化」を紹介します。「感化」は「薫陶」の意味を紹介した際にも出てきた言葉です。「感化」は「かんか」という読み方で「影響を与えて考えを変化させること」という意味があります。
「感化」は「感化を受ける」や「感化された」という使い方をします。「感化」も「薫陶」と同じく手取り足取り教えるのではなく、生き方などを相手に自然に共感させて影響を与えることを意味しています。
「感銘」の意味
「薫陶」の類義語として「感銘」を紹介します。「感銘」の読み方は「かんめい」で「深く心に刻まれて感動すること」という意味があります。
「感銘」は「感銘を受ける」という使い方をして、よく面接の志望動機などに使われます。「感銘を受ける」は「忘れられないほど深く感動すること」という意味があり、「薫陶」よりも幅広い意味で使われることが多いです。
「感銘」は「薫陶」の類義語ですが、「薫陶」よりもビジネスの場で使われることが多く聞き馴染みの多い言葉になります。
「啓発」の意味
「薫陶」の類義語として「啓発」を紹介します。「啓発」は「けいはつ」と読み、「より深い認識や理解に導くこと」を意味しています。良く「自己啓発本」という言葉を耳にします。
「自己啓発本」の意味としては「自分の知識や認識をより深く導いてくれる本」です。「薫陶」と同じく道徳的な意味を含みます。
「薫陶」と違う面は「薫陶」は導く相手が人に対して「啓発」はセミナーや本など影響を受けるものが必ずしも人ではないことです。そういう意味でも「薫陶」よりも「啓発」の方が幅広い意味で使われます。
「徳化」の意味
「薫陶」の類義語として「徳化」を紹介します。「徳化」は「とっか」と読み、「徳によって感化されて良くなること」という意味を持っています。「薫陶」と同じく徳によって他人に影響を与える意味で使われる言葉です。
「薫陶」の使い方
「薫陶」の意味を正しく理解した上で「薫陶」を日常会話で使うために例文を紹介します。正しい「薫陶」の使い方や使う場面を知ることで「薫陶」という言葉の使い道が増えるでしょう。では例文を4つ紹介します。
例文①
「薫陶」を使った例文の1つ目を紹介します。「両親の薫陶により、様々な経験をしました。」この例文は面接の自己PRで使えます。両親の生き方を尊敬していて印象の良い例文です。
自己PRで使う場合は両親のどのような「薫陶」によってどんな経験ができたのかを具体的に伝えることで面接官に伝わりやすいです。
例えば「両親の様々なことに興味を持ち、積極的に体験するようなところに薫陶を受けた」など薫陶を受けた出来事を伝えると「薫陶」の詳しい内容がよく伝わります。
例文②
「薫陶」を使った2つ目の例文を紹介します。「先生から薫陶を受け、成長致しました」と恩師に伝えるととても喜ばれます。「薫陶」を使うことで相手の人間性まで褒めることができます。
恩師など物事を教える立場の人にとって、自分の内面的なところまで見習ってもらえる最大の褒め言葉です。「薫陶」を使って恩師に感謝を述べることで、あなたの気持ちが伝わります。
例文③
3つ目の「薫陶」を使った例文を紹介します。「AさんはBさんに薫陶を受けていた」という例文はAさんとBさんの様子を見た第三者が感じたことです。このように他人が「薫陶を受けた」場面にも使うことができる言葉です。
基本的に「薫陶」は良い意味で使われるので「薫陶を受けた」と感じたシーンに遭遇したら、例文の場合はAさんにもBさんにも例文の通りに伝えてあげると喜ばれるでしょう。
例文④
「薫陶」の4つ目の例文を紹介します。「薫陶を賜り、ありがとうございます」という例文は相手に感謝の気持ちを伝えるのに使えます。
相手の生き方や考え方に感銘を受け見習い、自分の生き方にも影響を与えてくれた相手に感謝を伝えられる例文です。相手に敬意を表すので「賜る」という敬語を使います。敬語で「薫陶」を伝えることで、相手に対しての感謝を最大に伝えることができます。
「薫陶」は他人を感化するという意味
「薫陶」は道徳的に他人を感化するという意味です。薫陶を受けるのも大切ですが、薫陶を与えられる人にもなりましょう。「薫陶」の意味を理解して正しく使いビジネスの場で恥をかかないようにしましょう。