ティラピアは生命力が強い外来種
ティラピアはアフリカが原産地となっており、世界中の河川に生息する淡水魚です。日本では外来種となります。繁殖力・生命力ともに強く環境適応力にも優れるので日本の南の方には自生しているティラピアもいます。
そんなティラピアの生態や日本に持ち込まれた経緯と世界中でどの様にティラピアが食べられているのかを紹介します。
ティラピアの入手方法や買える場所を紹介し、ティラピアの美味しい食べ方や味とティラピアを下処理する上での注意点を解説します。
原産地はアフリカで世界中に生息している
ティラピアはスズキ目カワスズメ科に属する魚です。戦後の食糧難の時期にたんぱく源の供給の為、ナイルティラピア・モザンビークティラピア・ジルティラピアの3種類のティラピアが輸入され、養殖魚としてティラピアを利用しようとしました。
しかし、当時の日本人には受け入れられず、持ち込まれたティラピアは自然界で自生する様になり、要注意外来種として指定されており、現在に至ります。
気性が荒い魚で縄張り意識が強い為、ルアーフィッシングなどでも簡単に釣る事ができますので、ゲームフィッシングの対象魚として初心者にも人気がある魚です。
ナイルティラピアなどの種類がいる
日本に持ち込まれたティラピアはナイルティラピア・モザンビークティラピア・ジルティラピアの3種類が食用として持ち込まれたことはすでに説明した通りです。
他にも観賞魚として流通しており、飼育方法によってはナイルティラピアは体長80cm以上、3kg以上の大きく成長する事が知られています。
ナイルティラピアは1962年にアラブから輸入され、当時は鹿児島県などでナイルティラピアは盛んに養殖されていましたが、養殖のマダイの低価格化に伴い、ナイルティラピアの養殖は廃れてしまいました。
繁殖力が強く簡単に釣ることができる
繁殖力が強く、個体数が多い為、ティラピアは簡単に釣る事ができます。日本ではあまり養殖されていませんが、世界では貴重なタンパク源として養殖や漁獲が盛んに行われています。
外来種のティラピアは繁殖力が強く、餌釣りをはじめ、ルアーフィッシングでも釣る事ができますのでティラピアが分布されている南日本の河川や汽水域では釣る事ができます。
ティラピアの生態
ティラピアは原産地がアフリカとあって高い水温に適応しています。反面、水温が10度以下の水域では生存確認されていません。
またティラピアは外来種として日本に持ち込まれましたが、なんでも食べる雑食性と高い環境適応能力で水温の適応さえ合っていればどこにでも生存している強い魚です。ここではティラピアの生態を水温・エサとティラピアの繁殖における生態を紹介します。
水温40度まで生存できる
ティラピアの生態は水温の高い場所に生息すると言う事が揚げられます。ティラピアは基本的に淡水魚となっており、河川に生息しています。特に水温が高い沖縄諸島の河川に多くいます。
他にも温泉地で温水と河川の水が混ざり合い、水温が高くなる傾向の場所に多く生存しています。しかし、繁殖力が強い為、在来魚を駆逐してしまい、従来の生態系を乱す魚としてナイルティラピアとカワスズメは要注意外来種として指定されています。
ティラピアの好むエサ
ティラピアの食性の生態は雑食性で口に入る物なら生きている物・死んでいるものを問わずなんでも食べてしまいます。基本的には藻を食べますが小型の甲殻類や昆虫も食べる他、釣りなどでは野菜クズでも魚の切り身などでもなんでも餌にする事ができるほどの雑食ぶりです。
産卵は24~32度であればいつでも産卵可能
ティラピアの繁殖における生態は産卵期が特定の時期と決まっておらず、水温が24度〜32度の間であればいつでも産卵できます。逆にいうと水温に合わせて繁殖期をコントロールしていると言えます。
水温が19度以上になると雄は縄張りを作り、産卵する為の穴を作り、水温が22度を越えると雌がそこに卵を産みます。受精卵は静止すると孵らない為、ティラピアは独特の生殖特徴を持っています。
メスの生殖の特徴
ティラピアメスの生殖の生態的特徴は口腔内で受精卵の時期から哺育します。これをマウスブリーダーと言います。孵化した後もしばらくの間、稚魚は雌の口腔内で暮らします。
大きくなると稚魚は口腔から出てメスの周りを泳いでいますが、捕食生物などの敵や危険が近くにきた時は口腔内に避難します。
オスの生殖の特徴
ティラピアオスの生殖の生態的特徴は水温が産卵に適した温度に上がってくると縄張り意識を持ち、オスが産卵の為の産卵床を作ります。
特に産卵期が近づいたティラピアは縄張りに侵入してくる他の魚に執拗に攻撃を仕掛けることもあります。ティラピアは一夫一婦制でオスとメスが協力して子育てすることもティラピアの生態的な特徴です。
ティラピアの認知度
ここまで紹介した様にティラピアは日本に持ち込まれた外来種の魚です。元々はたんぱく源として期待されたティラピアでしたが普及する事なく野生化していきました。
現在、日本では主に食用という本来の目的よりはブラックバスなどと同じく、ゲームフィッシングの対象魚として認知されている魚となっています。
日本にはたんぱく源として持ち込まれた
ティラピアは戦後の食糧難にたんぱく源にする事を目的に持ち込まれましたが、当時の河川は公害で汚染されていた場所も多く、ティラピアは淡水魚で良いイメージが付かなかった為、食卓に定着しませんでした。
最近では味も鯛に似ていると言う事が認知され、ゲームフィッシングで獲れたティラピアを調理して食べる人も増えてきています。
世界的には好んで食されている
日本では普及しなかったティラピアですが、原産地と言われているアフリカはもちろん、中国や台湾・フィリピンなどのアジア地域や、アメリカではティラピアは当たり前の様に食卓に並んでいます。
特にフィリピンでは人気となっており、大衆魚として普及しています。ティラピアの食べ方や調理法も様々となっており、それだけ人々の身近な存在の魚であると言えます。
台湾ではティラピア養殖が盛んに行われ、日本はたくさんのティラピアを輸入しています。ティラピアとして意識しなくても白身魚食品の原材料として知らないうちに食べているかもしれません。
ティラピアの入手方法
スーパーに並んでいるイメージがあまりないティラピアですがここではティラピアの入手方法とティラピアを買うことのできる場所を紹介します。ティラピアのなんでも食べる習性のおかげで初心者でも簡単に釣る事ができます。
沖縄など南日本の河川でよく釣れる
ティラピアは水温の高い河川や汽水域にたくさん生息しています。水温の高い場所ではティラピアの高い生殖力でたくさんのティラピアがいる可能性が高いので釣れる可能性が高くなっています。特に年間を通して気温、水温が高い沖縄ではどこの河川に行ってもティラピアがたくさん生息している様です。
初心者でも簡単に釣れる
ティラピアは初心者でも簡単に釣れてしまいます。雑食性で餌を問いませんのでティラピアが食べそうな物ならなんでも釣り餌にする事ができます。他にもルアーでも釣る事ができますので初心者が挑戦してみても釣りやすい魚となっています。
ティラピア年間を通して釣る事ができますが、は温かい場所が原産の為、夏などの水温が高くなる時期に活性が上がるので夏場の方が比較的釣りやすい魚種となっています。
冷凍ティラピアはコストコで購入可能
釣りをしない人や買って食べたみたいと言う人にはコストコで販売されている冷凍ティラピアを試してみてはいかがでしょうか?
コストコで販売されているティラピアは切り身としてパッキングされているので捌く必要もなく、冷凍で賞味期限も長くなっていますのでおすすめです。
価格は上昇傾向
ティラピアは輸入価格が徐々に上昇傾向にあります。輸入量も右肩上がりに上昇しており、国内で食用として増加傾向にあります。輸入相手国は台湾が9割を占めており、次いでインドネシアからの輸入が多くなっています。
ティラピアの食べ方
普段意識してティラピアを買ったり、食べたりすることはあまりないのではないでしょうか?ここではティラピアの味とティラピアを下処理する時のコツ・生で食べるときの注意点とおすすめのティラピアの食べ方を紹介します。
味は鯛に似て美味しい
ティラピアは世界中でたくさん食べられている様に日本でも美味しく食べる事ができます。ティラピアは白身魚で淡白な味わいは鯛に似た味となっています。調理方法も魚を調理する方法であれば、焼く・蒸す・揚げる・煮ると様々な食べ方でティラピアを楽しむ事ができます。
内臓の処理にコツがある
ティラピアは雑食性の為、身からはあまり匂いがしませんが、内臓からは独特の臭い匂いがします。ティラピアを処理する時には普通の魚と手順を変える事でティラピアを美味しく料理する事ができるコツがあります。
ティラピアの下処理のコツは普通の魚であればハラから肛門にかけて包丁を入れ、内臓を取り出してから3枚おろしにして調理しますが、ティラピアの場合は腹を開かずに食べる身の部分だけ削ぎ取る様に捌くと内臓を傷つける事なくティラピアの臭みを身に移す心配がありません。
刺身の場合は寄生虫に注意が必要
ティラピアの食べ方で刺身として食べる時には寄生虫に注意する様にしましょう。ティラピアに限った話ではありませんが、淡水魚には寄生虫が潜んでいる可能性が高いので注意してください。
寄生虫対策としては加熱する事が一番ですが生食をしたい時には一旦凍らせる、塩水で処理する。などの方法で寄生虫のリスクを下げる様な処理をしてから食べることをおすすめします。
ティラピアの刺身は鯛の刺身を思わせる身の締まりと淡白な味わいとなっていますので生食できる鮮度のティラピアを手に入れた時にはぜひ試してみたい食べ方です。
養殖のナイルティラピアの刺身が販売されていることも
イオンでは養殖したナイルティラピアを刺身として販売しています。イオンで取り扱われているナイルティラピアは台湾で養殖されたナイルティラピアとなっており、低価格で鯛に似た味わいの刺身を食べる事ができます。
おすすめの食べ方
味が淡白なティラピアは焼く・蒸す・揚げる・煮ると様々な調理法で美味しく食べる事ができます。ここでは鯛の味に似たティラピアのおすすめの食べ方と調理法を紹介します。
ティラピアのソテーをはじめ、鯛めしの様な食べ方をしても美味しくティラピアを食べる事ができます。ティラピアの本場であるフィリピン風ティラピアも紹介します。
ティラピアのソテー
ティラピアおすすめの食べ方その1はソテーです。淡白で鯛に似た味のティラピアはバターの濃厚な味によく合います。
ティラピア以外の魚の調理でも当てはまりますが、魚を加熱する前に塩をふり、しばらく置いてから浮き出てきた水分をキッチンペーパーで取り、調理する事で魚の臭みをとる事ができますのでおすすめです。
下処理をしたティラピアの切り身に塩胡椒をして、小麦粉を少しはたいてからバターを熱したフライパンでティラピアを焼くとティラピアのソテーの完成です。
レモンを絞っても美味しいですし、タルタルソースとの相性も良く、他にも好きな調味料で食べると美味しくティラピアのソテーを食べられます。
鯛めし風ティラピア
鯛に似ている味の言われるだけ合ってティラピアを鯛めし風に調理しても美味しく食べる事ができます。ティラピアの下処理はソテーの時と同じ様にしておきましょう。
お釜にお米を適量取り、昆布を入れ、水を入れてしばらくお米に吸水させましょう。炊飯器のスイッチを押す前に下処理したティラピアと醤油・みりん・酒を入れましょう。
おすすめの食べ方は1杯目は普通に食べて、2杯目に出し汁を炊き込みご飯の上にかけて出汁茶漬け風に味変して食べるとティラピアの鯛めし風を2度楽しむ事ができますのでおすすめです。
フィリピン風ティラピア
ティラピアは和風・洋風の調理方法にも合う魚ですが、ティラピアの本場はフィリピンとなっていますのでフィリピンの調理法に倣った調理法がティラピアを最も美味しく食べられるかもしれません。
ここまで紹介してきましたがティラピアは独特の匂いがする魚となっており、下処理を工夫する事で臭いを抑えた料理にする事ができますが、フィリピンでは調味料を臭い消しとて使います。
香りの強い鷹の爪や玉ねぎを加えながらじっくりと油で揚げます。揚ったティラピアをスイートチリソースと一緒に食べるとフィリピン風ティラピアとなります。
ティラピアは生命力の強い美味しい魚
ティラピアは外来種として日本に持ち込まれてから普及せずに自生する様になりました。高い繁殖力と生命力で在来種を脅かす特定外来種と言われていますが、美しく見栄えのする体は観賞用としても人気があります。
ゲームフィッシングの対象魚にもなっており、初心者にも釣りやすいティラピアは近年注目を集めています。
釣りでティラピアを獲る以外にもコストコでは下処理の済んだティラピアを買う事ができますので一度ティラピアを食べてみてはいかがでしょうか?おすすめの食べ方はやはり本場フィリピンに倣ったピリ辛の効いた揚げティラピアです。