「心配してくれてありがとう」の敬語表現の使い方
日常生活やビジネスシーンにおいて、あなたやあなたの身近なものに対して心配をしてくれる相手に「心配してくれてありがとう」と心配をしてくれていることに対する感謝の気持ちを伝えたいものです。
伝えたい相手が職場や学校の目上の人の場合には特に、敬語で正しく伝える必要があります。敬語で「心配してくれてありがとう」と感謝の気持ちを表現するときの使い方と例文を紹介していきます。また、尊敬語、謙譲語、丁寧語を使った表現も覚えていきましょう。
「ご心配くださりありがとうございます」は尊敬語・謙譲語
「心配してくれてありがとう」を尊敬語で言うと「ご心配くださりありがとうございます」となります。「ご心配くださり」は「相手が心配してくれていること」という動作に敬意を表していますので、尊敬語となります。
敬語は大きく分けて「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類あります。「尊敬語」とは、相手や相手の動作に対して敬意を表す言い方です。
一方「謙譲語」とは、自分や自分の動作をへりくだることで相手に敬意を表す言い方です。謙譲語の場合は「ご心配いただき」となります。「相手に心配をしていただいている」という自分の動作をへりくだることで相手に敬意を表す言い方です。
どちらも相手に対する敬意を表し、使い方としては間違っていませんが、相手の動作に敬意を表すことに重点を置くという意味では「心配してくださり」を使うほうが無難とも言われます。
「ご心配ありがとうございます」は丁寧語
「心配してくれてありがとう」を丁寧語で言うと「ご心配ありがとうございます」となります。語尾に「です」「ます」「ございます」を付けたり、名詞の頭に「お」「ご」を付けて丁寧な表現にしたものが丁寧語で相手を問わず使います。
丁寧語の接頭語には「お」を付ける場合は、「話」を「お話」、「手紙」を「お手紙」、「車」を「お車」など「ご」を付ける場合は「注意」を「ご注意」、「連絡」を「ご連絡」、「住所」を「ご住所」など「お」と「ご」で使い分けがあります。
多くの場合、丁寧語の言い回しは尊敬語や謙譲語も一緒に使うことになります。誰に対しても正しく使えるように心がけましょう。
「心配してくれてありがとう」の敬語表現の例文
では実際に「心配してくれてありがとう」を敬語で伝えるのにどのような使い方、表現があるのか、尊敬語、謙譲語、丁寧語の使いかたを例文でご紹介していきましょう。
「心配が解決したとき」「心配ごとの最中」など、相手が心配してくれているときの自分の状況を伝える使い方、また「目上の人への感謝」を表す使い方など、「心配」「ありがとう」の言葉以外にも表現の仕方があるので、覚えておくと良いでしょう。
心配事が解決したときの例文
心配をしてもらっていたけど、自分の状況が解決に向かい、心配をしてくれたこと自体にお礼を伝えたいときがあります。そんなときの「心配してくれてありがとう」の尊敬語の例文として、「ご心配くださりありがとうございました」「ご心配くださりましたこと感謝いたします」などです。
ありがとうございます、から、ありがとうございました、と過去形になっていることから大丈夫になったことが伝わりやすくなります。
謙譲語を使った例文は「ご心配いただきありがとうございました」「ご心配いただきましたこと感謝いたします」などです。
また、上記いずれの例文も心配事が解決していてもしていなくても使える表現でもあります。まだ解決はしていないけれど、一旦相手が自分に対し心配をしてくれたことに感謝を伝えることが大切です。
心配事の最中に使える例文
では、あなたが実際に何かの心配事の真っ最中なときに気遣って言葉をかけてくれた目上の人への「心配してくれてありがとう」と伝える言い回しはどうでしょうか。心配事の最中ですので、そのまま相手の気持ちに対しシンプルに感謝を伝えるのが良いでしょう。
「心配してくれてありがとう」を、尊敬語では「ご心配くださりありがとうございます」謙譲語では「ご心配いただきありがとうございます」。
「ご心配いただき恐縮です」「ご心配いただき恐縮いたしております」などは「心配をかけたことに申し訳ない」という意味合いを持っています。
「恐縮です」は、謙譲語ではありませんが、謙遜を表す堅い表現になっており、ビジネスのシーンなどで目上の人に対して使います。
目上の人に感謝を伝える例文
目上の人が心配してくれたときに「心配してくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝える敬語表現で「心配してくれて」を、尊敬語で「心配してくださり」、謙譲語で「心配していただき」のほかにも「心遣い」という言葉があります。
「心遣い」は敬語の種類は尊敬語で、接頭語に「お」をつけて丁寧な表現にしています。相手の気持ちに寄り添い思いやる事なので、コミュニケーションの中で自分に向けて配慮や心配りを向けてくれたことへの感謝を伝えます。
「心配してくれてありがとう」の「お心遣い」を使う例文として「お心遣いありがとうございます」お心遣いくださり(いただき)ありがとうございます」「お心遣いに感謝いたします」などあり、身に付けておくと便利です。
「心配してくれてありがとう」の活躍シーンとマナー
「心配してくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えるシーンは、日常、仕事、家庭などで様々なときにあります。メール・ビジネスメール、電話や対面で話す場合なども含むシーン別、尊敬語、謙譲語、丁寧語でどのような使い方、表現のしかたが相応しいか、マナーも一緒に紹介していきます。
メール・ビジネスメールでのマナー
「心配してくれてありがとう」は、家族、友人との間ではもちろん、ビジネスでのメールで伝える機会がとても多いのではないでしょうか。メールは特に声や表情が相手には分からないので、丁寧なコミュニケーションが大切です。
特にビジネスにおいては、どんなケースで相手に「心配してくれてありがとう」と感謝を伝えたいのか、相手に伝わってほしいのか、また、上司と自分、お客様と自分など相手と自分との関係性も意識した敬語での使いかたもこころがけましょう。
体調に配慮してもらった
あなたが病気やケガで職場を休んだり、体調悪いことを知って配慮してくれた相手へ「心配してくれてありがとう」と感謝の気持ち伝える場合、
「ご心配くださり(いただき)ありがとうございます」の他に「ご配慮くださり(いただき)ありがとうございます」があります。「配慮」は相手が自分に対して心をくばってくれることに対する敬意を表します。
また、病気やケガを克服した後、あなたの体調を配慮してくれた相手へ「心配してくれてありがとう」と伝える場合、「ご心配くださり(いただき)誠にありがとうございました」「ご配慮くださり(いただき)ありがとうございます」などが相応しい表現でしょう。
「配慮」は「気配り」「心遣い」と同じような意味ですが、「配慮」のほうがビジネス文書や、論文などで使いやすい言葉です。
時間に配慮してもらった
時間の配慮を受ける状況として感謝の気持ちを伝える場合はどうでしょうか。例えば、仕事での待ち合わせや打ち合わせで、相手があなたの時間にできるだけ合わせてくれたり、あなたに負担のない予定で時間を組んできてくれたことなど挙げられます。
これに感謝の気持ちを伝える場合「ご配慮くださりありがとうございます」「ご配慮いただきありがとうございます」「お心遣いありがとうございます」などが相応しい表現です。
また「お気遣いありがとうございます」も便利な表現です。相手が自分や自分の周りの物事に細かく気を遣ってくれたり、心配をしてくれることに対し使用する言葉です。
「お気遣いありがとうございます」も「心配してくれてありがとう」と同じ意味合いで感謝を伝える敬語表現なので、ケースに応じて使うといいでしょう。
事故に配慮してもらった
事故に遭遇したり、巻き込まれたりすることの無いよう「気をつけて来てね」「車に気をつけて」など、相手があなたへ気遣いの言葉をかけてくれたことに対する感謝を伝える場合「お気遣いくださり(いただき)ありがとうございます」となります。
この「気遣い」は「心遣い」と似ていますが、「心遣い」は、相手が自分や自分の周りの物事に対し、助けになることを積極的に行う行為を意味します。
「気遣い」は、相手が自分や自分の周りの物事に細かく気を遣ってくれたり、心配をしてくれる行為を意味します。「心遣い」は一段階上の親切を受けたときに使うのに対し、「気遣い」が主にマナーとして使用することが多いため、しっかり覚えましょう。
事故に配慮してくれたときも、時間に配慮してくれたときと同様「心配してくれてありがとう」を「お気遣いありがとうございます」と丁寧に言い換えることができます。
「心配してくれてありがとう」を使う時の注意点
「心配してくれてありがとう」を「心配してくれてありがとうございます」と、一見丁寧語に言いかえたように見えて、敬語になっていない部分があります。「心配してくれて」の部分です。「心配してくれて」の部分は「平語」となっており、相手を敬っていないので敬語ではありません。
気心しれた仲の日常会話では良いですが、敬語をしっかり使うことが望ましいビジネスや公式の場では、「ご心配ありがとうございます」「ご心配くださり(いただき)ありがとうございます」と正しく、尊敬語、謙譲語、丁寧語を意識して使いましょう。
補足の言葉を添える
相手が心配してくれた事柄について「心配してくれてありがとう」と伝える他に、今の自分の現状はどうなのか伝えたり、相手の心配を和らげるような言葉を添えると相手への気遣いになります。
心配してくれたことに対して「心配してくれてありがとう」「ご心配ありがとうございます」の後に、補足の言葉を添えると、相手とのより丁寧なコミュニケーションになるでしょう。
丁寧なコミュニケーションが大切
ビジネス、人間関係、ひいては人生全般にコミュニケーションは欠かせない重要なことです。社会生活において、意思や感情を伝えるうえで丁寧な言葉で感謝の気持ちを伝えるようにしていきたいものです。
相手が心配をしてくれることは、あなたへ関心を向けてくれていることにもなり、「心配してくれてありがとう」の一言でも、心配をしてくれた相手の誠意に対して丁寧なコミュニケーションで感謝の気持ちが伝わるよう心がけましょう。
「心配してくれてありがとう」と似た敬語表現
「心配してくれてありがとう」と似た敬語表現には、他にどんな表現、使い方があるでしょうか。先に上で紹介したケースでの「お心遣い」「お気遣い」「恐縮」も似た使いかたです。再度、使い方の例文を見ていきましょう。
お気遣いいただきありがとうございます
「気遣い」とは「心をつかうこと」であり、相手や相手の身の周りの物事に対しての配慮や優しさのことをいいます。「私のために気配りや配慮をしてもらいありがとうございます」という意味の表現です。
例えば、取引先のところへ訪問時にお茶をいただいたり、体調悪いときに心配してくれたりしたとき、何かのお誘いを受けて都合がつかず行くことができなかったときなどで使う表現です。
「平素よりお気遣いいただきまして誠にありがとうございます」「ご多忙のところお気遣いいただきありがとうございました」「その日は都合がつかず参加できそうにありません。お気遣いありがとうございます」などの使い方ができます。
「お気遣いありがとうございます」も「心配してくれてありがとう」と同じ意味合いで使える丁寧な表現法です。
お心遣いいただきありがとうございます
「心遣い」とは、相手や相手の身の周りのことに対して助けになることを積極的に行う行為のことをいいます。
例えば、自分の入院時にお見舞いの品を持ってきてくれたり、仕事のプロジェクトなどで相手から配慮を受けたときなど「気遣い」よりさらに一段階上の親切を受けたときに、感謝の気持ちを伝える表現です。
「日程の件、お心遣いいただきありがとうございます」「お心遣いいただきありがとうございました。お蔭さまで無事に退院することができました」などの使い方ができます。
「お心遣いありがとうございます」も「心配してくれてありがとうございます」と同じ意味合いで使えることができ、さらに「お気遣いいただきありがとうございます」より、実際に助けになる行動を受けたときに使えることが分かります。
ご配慮いただきありがとうございます
「お気遣い」「お心遣い」の他に「ご配慮」という表現があります。意味は「相手や相手の身の周りのことに、心を配ること」です。
相手が自分に気を配ってくれたこと、心を配ってくれたことへ「心配してくれてありがとう」という感謝の気持ちを伝えるときに使う表現です。
「お気遣いいただきありがとうございます」や「お心遣いいただきありがとうございます」「心配してくれてありがとう」と同じシチュエーションで使うことができます。
他には「こちらの薬は、お子様の手が届かない場所で保管していただくよう、ご配慮をお願いいたします」などの使い方ができます。
ご心配していただき恐縮です・恐縮に存じます
「心配してくれてありがとう」に似た表現で、上で紹介した例文の他に「ご心配いただき恐縮です」という表現もあります。この「恐縮」とは「相手に心配をかけたことに対し、申し訳なく感じる、畏れ入る」という意味があります。
また、「ありがとうございます」の意味も含まれているので「心配してくれてありがとう」と同じ意味合いで使えます。「お忙しい中、ご連絡いただき恐縮しております」「この度はご丁寧な計らいをいただき、大変恐縮です」というように使います。
「恐縮ではございますが、何卒宜しくお願いいたします」というような使い方の場合は「申し訳なく思う」という意味が含まれていますので、相手への配慮の意味も含めることができます。
このとき「すみませんが」「失礼ですが」などの言い回しだと軽率な印象を与えるので、この「恐縮ですが」を使うようにしましょう。
「心配してくれてありがとう」は丁寧に心を込めて伝えるべき
いかがでしたでしょうか。「心配してくれてありがとう」の一言でも、尊敬語、謙譲語、丁寧語での言い回しの違いや使い分けが分かってきたでしょうか。
相手からの気遣いや心遣いに対し「心配してくれてありがとう」と心を込めて述べることで感謝の気持ちを伝えたいものです。
日常生活でもビジネスシーンにおいても、丁寧なコミュニケーションは今後の社会生活と人生の中で、かなり重要なこととなります。意識して身に付けてスムーズな人間関係をつくりあげていきましょう。