「喫緊」の意味は?使い方や例文に「緊急」との違いも分かりやすく解説!

「喫緊」の意味は?使い方や例文に「緊急」との違いも分かりやすく解説!

「喫緊」という言葉の意味をご存知でしょうか?「喫緊の課題」などで使われており、今後も使用されることが想定できる言葉です。今回はそんな「喫緊」について徹底解剖。その意味から、類義語、「緊急」との違いも踏まえ、「喫緊」を詳しく掘り下げていきます。


記事の目次

  1. 1.喫緊の意味とは?
  2. 2.喫緊の類義語 
  3. 3.喫緊の使い方・例文
  4. 4.喫緊と緊急の違い
  5. 5.喫緊を使う際の注意点
  6. 6.喫緊の由来・歴史
  7. 7.喫緊の英語表記
  8. 8.カタカナ表記で「喫緊」に似た言葉
  9. 9.喫緊とはさしせまって大切な事という意味

喫緊の意味とは?

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「喫緊」という言葉の意味をご存知ですか?「喫緊の課題などの言葉で聞いたことがある」「競馬?」「リハビリ?」「意味も読み方も不明です」など、その意味までは詳しく知らないケースが多いです。

「喫緊」は、「きっきん」と読みます。確かに近しい読み方の競馬の「コパノキッキング」やエクササイズ「キッキング運動」などを彷彿とする言葉ではありますが、何かの名称や動作を意味する言葉ではありません。

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「喫緊」とは、「さしせまって大切な事(さま)」という意味です。詳しくは後述する「使い方」に譲りますが、冒頭で紹介した「喫緊の課題」などのフレーズでよく使われます。このような意味なので、テレビなどの政府答弁や企業などの会見など、ニュースソースになるテーマです。

意味が分かれば、「喫緊」の言葉を目にするたびに、その緊急性を意識し、先々の展開を注視する発想をすることができます。

今回はそんな「喫緊」について徹底紹介。「喫緊」の類語、使い方、緊急との違い、注意点、由来・歴史、英語表記、カタカナ表記について順に紹介していき、「喫緊」を把握できるよう総力特集をしていきます。

喫緊の類義語 

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まずは「喫緊」の類語から。一体「喫緊」という言葉にはどんな類語が存在しているのでしょうか?「喫緊」はその意味「さしせまって大切な事(さま)」から、私たちの日常生活にもあらゆるシーンで深く関わっている言葉です。

私たちの生活は全てが計画通りに進むわけではなく、時にはイレギュラーに事が進む事があるからです。その際は、「いつもの対応」ではなく「喫緊」の対応に迫られます。

そんな身近な言葉である「喫緊」の類語を知ることは、「喫緊」の意味づけをより明確にするきっかけとなります。以下から「喫緊」の類語を紹介していきます。

さし迫るというの意味

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早速「喫緊」の類語から紹介していきます。1つめの類語に「切迫」が挙げられます。類語「切迫」の意味は「期日などがさしせまっていること」です。

しかし、類語「切迫」には「緊張が増してくる事」という意味も存在しています。「日増しに切迫感が募ってきた」などの例文で表現することができます。

よって類語「切迫」は一概に「喫緊」と同義語として扱うことはできず、読解の際はもう一つの意味も踏まえて解釈することが必要になります。

危機が迫ることの意味

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「喫緊」の類語の2つ目は「焦眉」が当てはまります。類語「焦眉」は「危険が迫っていること」を意味します。現在でも「焦眉の急が目の前に迫ってきている」という言葉で活字で使われている語です。

ただ、上記の意味のように「危機」的な自体に対して使う語であり、「喫緊」のように差し迫ってはいるものの、「危機」という意味合いがその語に含まれていない語と同義語として使用することはできません。

至急の意味

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「喫緊」の類語の3つ目は「至急」が当てはまります。類語「至急」は「非常に急いでいる事」を意味します。

この「至急」も現在でも「至急確認してください」というメールや「至急対応お願いします」などの話し言葉でも頻繁に使われている語です。

ただ、「至急」は上記の例のように、「非常に急いでいる」ことのみを差しており「大切なこと(さま)」という意味はその言葉の意味の要件に含まれておりません。

たとえば「至急連絡」するとしても、連絡することが一大事で大切なことではなく、個人的な事だったり、個人的な事情だったりしても構わないわけです。

喫緊の使い方・例文

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では「喫緊」は実生活でどのように使うことができるのでしょうか?私たちの暮らす生活は、さまざまな出来事が目まぐるしく変化しています。

そんな取り巻く状況の中で、「喫緊」は聞く分にはニュースで、使う分にはビジネスシーンでそれぞれの活用されている言葉です。

「喫緊」という言葉は日常生活において汎用性はありませんが、今後も頻出し、見聞きする機会は多分にあります。実用性の意味で、「喫緊」の使い方を下記の例文で確認していただければ幸いです。

例文①

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「喫緊」の使い方の1つの例文として、会議などのビジネスシーンが上げられます。ミーティングなどで「喫緊」が使われています。

「喫緊の課題としてあげられるのが、この商品の売り上げの先細りをどうするかということです」このような営業ミーティングで「これを機に」という用語の使い方が想定できます。

例文②

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「喫緊」の使い方の1つの例文として、政府や自治体などの対策について上げられます。ニュースなどで「喫緊」が使われています。

「ウイルスが拡大していくこの被害拡大を最小に抑えるのが喫緊の課題となります」このように日々流れるニュースで「喫緊」という用語の使い方が想定できます。

例文③

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「喫緊」の使い方の1つの例文として、ビジネスシーンが上げられます。取引先との打ち合わせなどで「喫緊」が使われています。

「喫緊事として、この先少子化になっていく現状で過当競争になっていく現状にどうメスをいれて、上昇気流にしていくか」このような打ち合わせで「喫緊」という用語の使い方が想定できます。

例文④

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「喫緊」の使い方の1つの例文として、社内メールなどのビジネスシーンが上げられます。全社員一斉配信などで「喫緊」が使われています。

「今後この感染を未然に防いでいくことが、企業にとって喫緊の課題です。テレワークの活用をする方向でご対応願います」このような営業ミーティングで「これを機に」という用語の使い方が想定できます。

上記の4つのケースのように「喫緊」はプライベートではなく、フォーマルなシーンと親和性がある言葉です。「課題」という言葉が後に続く事が多いのもその使い方の特徴となります。

喫緊と緊急の違い

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次に「喫緊」と「緊急」との違いについて紹介していきます。この「緊急」は「喫緊」に非常に似た意味の有名な言葉で、「緊急」と「喫緊」どちらを使えばいいか迷う場面も多々あります。

では以下にて「喫緊」と「緊急」にはその意味にどんな違いがあるのかを、それぞれの意味をそれぞれ比較していきながら、違いを説明していきます。

緊急は重大事態の対応が急を要するという意味

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「緊急」は「重大事態の対応が急を要すること」の意味を持つ語です。対して「喫緊」は「さしせまって大切な事(さま)」を意味しています。

上記を比べてみると、その意味にあまり違いがわかりません。では例文を挙げてその違いを明確にしていきます。「緊急」は「緊急地震速報」「緊急手術」「緊急会見」などで使われる言葉です。

対して「喫緊」は先述した代表的なお役所言葉「喫緊の課題」などが挙げられます。「課題」の他にも「目標」「問題」など、論点となる取組に対して述べられることが多い言葉です。

よって、「緊急」は「差し迫って」はいるものの、その事柄の緊急性が高いという意味がその言葉には含まれています。よって「緊急」は「生命の危険」程の非常性が強い事態を含む意味を有しています。

喫緊を使う際の注意点

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「喫緊」を使う上で気をつけなければならない点はどこにあるのでしょうか?先述で「緊急」との意味の違いを説明してきましたが、注意点はこの両者の意味の違いと関係していきます。

上記の点を踏まえて以下に「喫緊」を使う際の注意点をご紹介していきます。実用につながる大切な部分なので、実際に「喫緊」を使う際、参考になれば幸いです。

生命を害する非常事態では使えない

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「喫緊」を使う上で注意すべきポイントは「生命を害する非常事態」の意味合いでは使う事ができないことが大きなポイントです。

先述した「違い」で「緊急」では「生命の危険」程の非常性が強い事態を含む意味を有していることは先述しました。「喫緊」は「事態が差し迫ってはいる」ものの、「緊急」性を要するまでとは言えない事柄に対して使用できる語です。

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先述した「課題」などの言葉と親和性があり、「取組」でその対策内容を議論するという方向性の中で使われやすい言葉である所以です。逆に言えば「課題」を議論する余裕があるのが「喫緊」であるという事ができます。

よって「緊急性」があり「緊張が走る」中、「喫緊」という言葉の使用はニュアンスの誤りであり、「なに悠長なことを言っているんだ」ということになりかねないので、注意が必要です。

喫緊の由来・歴史

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「喫緊」の意味、類義語、他の語との違い、使い方がわかったところで、一体「喫緊」の由来はどこにあるのでしょうか?

「喫緊」は例文などでご紹介したように、政府や役所などの国や自治体、またはビジネスシーンで汎用性がある語です。そんなシーンで多用され、国の政を報道するニュースで流れている頻度を鑑みると、日本では古くから使用されてきた可能性があります。

上記を踏まえて「喫緊」の語源と「喫緊」が日本で使われていた使用時期を辿っていき、「喫緊」の由来と歴史を深堀りしていきます。

由来

「喫緊」の由来ですが、詳しくはわかっておりません。ただ「喫緊」はもともと「吃緊」と書き、中国が原義にあるという説が存在しています。

「吃」は中国では「喫」の代替字として使われており、それが「漢字」で後述する「緊」と結びついて、「緊」を強める働きをする意味になったとする説も残ります。

「喫緊」の漢字についてですが、まずは「喫」。この語は訓読みで「喫む(のむ)」「喫う(くう)」「喫う(すう)」と読むことができます。

形声文字で、「喫」は偏である「口」と、音符「契」(読み方:ケイ、ケツからケキへ)とから成り、「くう」「のむ」が語源となります。上記の語源から「こうむる」「身にうける」という意味が生まれました。

つぎに「緊」。この語は訓読みで「緊い(かたい)」「緊める(しめる)」「緊む(ちぢむ)」「緊しい(きびしい)」と読むことができ、形声文字で、偏である「糸」と、音符「臤」(読み方:ケンからキンへ)とから成ります。

上記から、語源は糸をきつくしめる意味を表し、そこから、「しまる」「ちぢむ」「さしせまる」「きびしい」という意味が生まれました。

歴史

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上記の点を辿る資料として「喫緊」は過去の文献でも確認することができます。その1つ目は小説家の太宰治が「朝日新聞社」から1945年(昭和20年)に発表された、「惜別 」に見られます。下記の一説を紹介します。

「義和団の乱に依って清朝の無力が、列国だけでなく、支那の民衆にも看破せられ、支那の独立性を保持するには打清興漢の大革命こそ喫緊なれとの思想が澎湃として起り」

「喫緊」の使用時期の由来を辿るその2つ目は小説家の三島由紀夫が雑誌「新潮」に1956年(昭和31年)に発表した「金閣寺」という作品です。下記の一説を紹介します。

「父の死のためにも流さなかった涙を私は流した。 何故なら鶴川の死は父の死にもまして、私に喫緊の問題とつながりがあると思われたからだ」

上記2人の有名な作家が昭和初期の同時代に「喫緊」という言葉を作品中に使っていることが上記の例文から理解する事ができます。

喫緊の英語表記

「喫緊」の言葉のニュアンスは「違い」で理解できましたが、そのニュアンスは日本語だけでなく、英語でも表現する事ができるのでしょうか?

これについては、英語圏において「喫緊」は「urgent」「pressing」という表現することができます。「an urgent issue」「pressing issue」で「喫緊の課題」と訳す事ができます。ちなみに違いで紹介した「緊急」を表す英語は「emergency」で表現することができます。

カタカナ表記で「喫緊」に似た言葉

「喫緊」はひらがなで「きっきん」と読むことは先述しましたが、この読みに似た言葉が存在しています。冒頭でも触れている「コパノキッキング」や「キッキング運動」などで使われている「キッキング」という言葉です。

上述の両者の言葉は競走馬の名前だったり、エクササイズの運動名だったりしますが、この「キッキング」とはなんでしょうか?

この「キッキング」とは「kicking」のことで、いわば「蹴ること」を意味しています。上述の両者とも「蹴ることに」因んだネーミングになっていることがわかります。

ゆえに「喫緊」と「キッキング」は似た発音を持つだけで言葉の意味はまったく関係性がないので、ご参考までお知り置きください。

喫緊とはさしせまって大切な事という意味

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「喫緊」の意味、類語、使い方、緊急との違い、注意点、由来・歴史、英語表記、カタカナ表現を順を追って見てきました。「喫緊」は「差し迫っている大切な」ことを意味している語ですが、「緊急」性の意味合いから鑑みると「課題」を議論できるほどの緊急性になります。

「喫緊」はプライベートではあまり使われる言葉ではありませんが、国や自治体という国民の代表者の対策やビジネスシーンで親和性がありフォーマルな場で多く聞かれる言葉です。「喫緊」の言葉を見聞きした際はこの言葉のニュアンスを思い出していただければ幸いです。

SDA
ライター

SDA

本記事をお読みいただきありがとうございます。近頃はイベント自粛で何かと我慢な日々ですね。ただ最近は、家の中でも新たな発見があるものだと気づかされました。今後はインドアならではのお役立ち情報があれば、記事の通じてどんどん発信していきたいです。明るく取り組んでいきますのでよろしくお願い申し上げます。

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