「拙速」の意味や使い方とは?ビジネスで使える例文や類語もチェック!

「拙速」の意味や使い方とは?ビジネスで使える例文や類語もチェック!

ビジネス用語として聞くこともある言葉の中で、そうそう聞くこともないながら結構な重要性をもつ言葉はおうおうにしてあります。「拙速」と聞いたり「拙速」という漢字を目にして知らなかったなどという事のないように、拙速の意味や使い方を勉強しておきましょう。

記事の目次

  1. 1.拙速の意味とは?
  2. 2.拙速の対義語・類義語 
  3. 3.拙速の使い方・例文
  4. 4.拙速と迅速の違い
  5. 5.拙速を使う際の注意点
  6. 6.拙速の由来・歴史
  7. 7.拙速の英語表記
  8. 8.拙速は仕事が早いが荒いという意味

拙速の意味とは?

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拙速という言葉は「せっそく」という読み方で、その意味は「非常に素早いが、出来が良くない」もしくは「とにかくすみやかだが、何かとずさんである」さらに「ヘタクソだが手が早い」という意味をもつ言葉です。

普段の生活の中ではそこまで耳にする言葉ではありませんが、ビジネスの世界においては比較的よく耳や目にする言葉ですので覚えておいて損はありません。特に拙速の語源となった言葉や歴史が、今なお多くのビジネスマンに影響を与え続けています。

そのような背景から、拙速という言葉やその意味についてしっかりと把握しておいた方が良いと言えます。そこで今回は拙速の意味や使い方、そして英語表現や類語、対義語、それぞれの意味や使い方についてご紹介します。

拙速の対義語・類義語 

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まずは、拙速の「対義語」そして「類語・類義語」について解説します。言葉の生まれた理由が比較的歴史に深く通ずるもののため、類語に関しても対義語に関しても、はっきりとした方向性に関しての類語、もしくは対義語としての言葉がそこまで多くありません。

ですので、あくまでも比較的類語や対義語として定義し得るであろう言葉を中心にご紹介しています。ともあれ、拙速という言葉の意味や使い方をより深く理解することに繋がるので、類語や対義語の意味や使い方から学んでいきましょう。

対義語

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対義語というのは、対象となる言葉に対して限りなく真逆の意味を持つ言葉や、真逆という位置に限りなく近い意味での方向性を持った言葉を「対義語」として定義しています。

それぞれの対義語が「拙速」とのどういった対義語関係にあるのかについて、対義語そのものの意味や使い方から、拙速との違いについてご紹介しますので、把握していきましょう。

拙速の対義語「巧遅」の意味や使い方

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拙速の対義語である「巧遅(こうち)」です。意味は、「とにかくおそいが、腕は確かだ」や、「とても素晴らしい仕事をするが非常に時間がかかる」、もしくは「上手だが手が遅い」といった意味をもっている言葉です。

拙速の意味が「速くて拙い」という意味なので丁度真反対の意味をもった言葉と言えます。使い方の例文としては、「彼の仕事は確かに優れているが巧遅だ。今はそこを求めていない」といった使い方ができます。ビジネスでも散見されます。

拙速の対義語「鈍重」の意味や使い方

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拙速の対義語である「鈍重(どんじゅう)」です。意味は、「とても動作がにぶくて、そして重々しい」といった意味や、「全てにおいて鈍くて遅い」といった意味をもった言葉です。拙速のもつ「速さ」に焦点をおいた対義語といえます。

使い方の例文としては、「彼は見るからに鈍重だがこの任務を果たせるのか?」のように使います。「鈍重である」「鈍重な」といった活用が行えるため、幅広く活用されている言葉として知られています。ビジネスマンとしてはあまり評価されてたくない表現と言えます。

拙速の対義語「綽然」の意味や使い方

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拙速の対義語である「綽然(しゃくぜん)」です。意味は、「ゆったりとした行動をとっていて、余裕のあるさま」もしくはただ単に「余裕のあるようす」とした意味を表すこともあります。拙速という言葉の「速さ」と「心の様子」に対しての対義語と言えます。

それほど多用されることのない言葉なので馴染みのない人も多いでしょう。使い方の例文としては「いざ戦が始めればあたりは騒然となり、まさに鉄火場の如き様相となりましたが、かの御仁は綽然たるものでした」のように使います。ビジネスの現場では見かけない言葉です。

拙速の対義語「悠長」の意味や使い方

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拙速の対義語である「悠長(ゆうちょう)」です。意味は、「のんびりとしていて急ぐ様子がない」、といった意味や「動作や態度がやたらとおちついている様子」などが挙げられます。拙速が「とにかく早く急いで行動する」事に対してそもそも急がないといった所が違いと言えます。

拙速の対義語である「悠長」を使った例文をビジネスの現場で挙げるなら「そんな悠長なことでプロジェクトリーダーが務まるんですか?」といったシーンが考えられます。ビジネスの現場では基本的に余裕があるのは全てが終わっているときだけです。

何もかもを終わらせてそのように言われるような「出来る」ビジネスマンとして、仕事を効率的に、そして時に拙速に熟して結果を得たいものです。

類義語・類語

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類語というのは、対象となる言葉に限りなく意味が近しい言葉、もしくは対象となる言葉とほぼ同じ意味を持つ言葉を「類語」もしくは「類義語」として定義しています。ここでは、拙速という言葉に限りなく意味が同じ言葉や近しい言葉をご紹介します。

あくまでも拙速という言葉に近い意味を持っているというだけで、拙速という言葉とまったく同じ意味ではない言葉も当然ですが含まれているので、拙速とどのような違いがあるのかについても含めて、使い方や例文を用いながら解説します。

ビジネスシーンでは同じような意味や使い方をする言葉も多数ありますので、そうした側面からも拙速の類語としてだけではなく独自の言葉としても理解を深めておくべきでしょう。

拙速の類語「速断」の意味や使い方

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拙速の類語である「速断(そくだん)」です。意味は、「与えられた問題に対して即座に判断を下すこと」、「すばやく判断をくだすこと」「早まってあわてて判断すること」「考えもせずにきめてしまうこと」とされています。

ビジネスシーンの多くでは決断力の速さを評価する意味で用いられることの多い言葉ですが、その実意味としては種類存在しており、拙速の類語としては「早まった判断」といった点に類しています。

速断が「決断」することに対して、拙速は「行動そのもの」を意味した言葉という違いが有ります。例文として「速断した結果、ビジネスの失敗に繋がった」といった使い方ができます。

拙速の類語「拙劣」の意味や使い方

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拙速の類語である「拙劣(せつれつ)」です。意味は、「腕前がへたくそなこと」「求めている技術には至っておらず、拙いこと」といった意味をもつ形容動詞となります。拙速には「速さ」という利点がありますが、こちらはただ「稚拙」であることだけを意味しているという違いがあります。

ビジネスシーンでは例文として「噂を聞いて依頼をしてみたのだが、どうにも拙劣すぎて話にならなかった」というようなネガティブな言葉となります。あくまでも劣っている、という表現なので、どうしようもなくひどいという意味ではありません。

拙速の類語「性急」の意味や使い方

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拙速の類語である「性急(せいきゅう)」です。意味は、「落ち着きがまるでなく、気が短いようす」「せっかちである」「物事の進み方がひじょうに急であるようす」などの意味をもった言葉です。

拙速は対象が「人や技術」であることに対して、性急は「全ての事象」を対象としているという違いがあります。また、性急には「~をいそぐ」というようなニュアンスも含まれているので、その点に関しても拙速との微妙なニュアンスに違いがあると言えます。

ビジネスシーンにおいても非常に多くの場面で用いられることのある言葉で、「そこまで性急に事を構える必要はない」「性急な返答を避ける」といった例文のように、用いられることが多い言葉です。

拙速の類語「急造」の意味や使い方

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拙速の類語である「急造(きゅうぞう)」です。意味は、「必要に迫られて慌てて作る事」もしくは「急ごしらえ」「にわかづくり」「突貫工事」などの意味をもった言葉です。拙速は作ることも含まれますが、それ以外の行動にも適用されるという違いがあります。

ビジネスシーンにおいては「急造のプロジェクトなんて上手く行くものか」「ここは急造でも構わんから早急に一隻用意するべきだ」というように状況に応じて求められて作る事としてだけでなく、揶揄するような言葉としても用いられる場面があります。

拙速の類語「早計」の意味や使い方

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拙速の類語である「早計(そうけい)」です。意味は、「早まった考え方をすること」もしくは「軽はずみな考え方に基づくこと」「十分な考えをしないで判断をすること」といった意味を持つ言葉です。

拙速との意味の違いとしては、拙速の意味が「技術的にまずくても構わないからとにかく急いで行動する」のようなビジネスシーンにおける「速度」を重視した言葉であるのに対して、早計はビジネスにおける判断に対しての類語と言えます。

「こんなタイミングで実行するのは早計だ」や「その事実だけで判断を下すのは早計である」といったような例文として表記されます。ビジネスシーンにおいても早計な判断は致命傷になりかねないので、しっかりと状況を確認して判断をくだしましょう。

拙速の使い方・例文

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続いては接続という言葉の例文を用いることで、その意味や使い方についてより深い理解を得るために、いくつかの例文と通して、拙速の使われ方や構文中の意味について言及していきます。

ビジネスシーンでも意外なほど多くの場面で使われることのある拙速という言葉が、それぞれにどのような意味で場面場面に応じて使い分けをしているのかに関しても例文を通じて知ってもらうことがこの項目の意図する所となります。

例文①

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「なぜそのように結果を急ぐのか、そのままの形でプロジェクトを進めるというのはあまりにも拙速に過ぎる。今一度プロジェクトの中でしっかりと検証しきれていない部分を洗い出し、問題点についてもう一度よく考えるべきだ」

例文②

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「いいかよく聞いてくれ、今この状況で我々に求められていることは巧遅ではなく拙速に進める事だ。コロナウイルスは待ってはくれない。何よりもコロナウイルスを恐れる人々の恐怖心が、私たちが非常に優秀なマスクを提供できる状況を許してはくれないのだ」

例文③

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「何の前置きもなく急にこのような判断を下すことは、まさしく拙速な判断であったと言わざるを得ない。様々な問題が想定されることは確かだが、だからといってそれら全てを切り捨ててしまうというのはあまりにも速断に過ぎる」

例文④

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「我々の置かれている状況は極めて逼迫しているのは事実である。ビジネスシーンにおいて、往々にして判断を迫られる場合のほとんどが、十分な検証を行える状況にないことが問題なのだ。拙速を避け、十分な判断を下せる状況になってから行動に移すべきである」

拙速と迅速の違い

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拙速という言葉と似たような言葉に「迅速」という言葉があります。字面も比較的に通っている言葉で、使われるシーンにおいても似たようなシーンで使われることが多いので、ついつい間違って使われてしまうこともあります。

「迅速に」という意味で拙速をビジネスシーンで使った場合は、これまでの拙速という言葉の意味からもわかるように、クオリティーが低いことを意味してしまうので注意が必要です。

迅速はすみやかという意味

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迅速という言葉の意味は「物事の進行速度がとにかく早い様子」や「物事の移り変わりが速やかであること」という意味を持ちます。「迅速な対応をいたします」であれば「速やかな対応をいたします」という意味になります。

しかしこれを「拙速な対応をいたします」とした場合は、「とにかく早いが適当な対応をいたします」という意味になってしまうので、間違えないように注意をしておきましょう。

拙速を使う際の注意点

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拙速という言葉を使う上で、上記のように迅速のような似たような言葉と使いどころを間違えてしまって、ビジネスパートナーやお客様に対しての誤解を生んでしまわないような注意は十分に必要です。さらに言葉の使い方として知っておきたい注意点についてもご紹介しておきます。

動詞としては使えない

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拙速という言葉は分類上は名詞として使われます。そのため用法として動詞のような使い方をすることはできません。つまり、「拙速する」というような表現は間違いです。基本的にはナおよびノでの活用となります。

「拙速な」や「拙速に」として用いられるほか「拙速を」「拙速が」というような使い方をして、ビジネスでも間違った使い方をしないように注意しましょう。

拙速の由来・歴史

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拙速という言葉は、とてもよく耳にはするものの、その由来や歴史の本質まで理解されている人は多くありません。有名な言葉として「巧遅は拙速に如かず」や「拙速は巧遅に勝る」などの言葉と共に語られることが多い一節です。

しかし、この言葉も後世の人がその場その場の状況や都合で言葉として残してきたものの一つでしかなく、巧遅には巧遅の、拙速には拙速のメリットやデメリットがあり、それらを総括的に加味した上で優位性を勘案すべきだ、という話でした。

では、その大本とされる「拙速」の出展元はどこにいたるのでしょうか?巧遅拙速の言葉の元となった、遥か昔の軍略家がそのカギを握っています。

由来

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三国志時代よりもさらに昔、春秋戦国時代と呼ばれる紀元前500年ごろに存在したと言われている非常に有名な戦略家であった「孫ぴん」や、孫武という名将によって残されてきたとされる「孫一族」による兵法書に記されていた一節が由来とされています。

「ゆえに兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧の久しきを睹ざるなり。」という一節は、「戦争の上手な人は戦争を長引かせるような下手な真似はしない、少々戦術がまずくてもさっさと終わらせるものだ」という文章から来ていると言われています。

つまりこの場合の拙速は、「すみやかに戦争に勝つ」ことを意味した言葉として使用されています。漢文が元となっているため、この字がそのまま熟語として伝わったものと言われています。

歴史

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では現代的な「拙速」はどこから解釈されるようになったのかというと、中国は南宋の「謝枋得」という1226年ごろの政治家であり儒学者であった人の言葉だと言われています。文章の書き方について書かれた一節で、試験時間内の文章のコツとして記された一節が元と言われています。

拙速の英語表記

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拙速という言葉を英語にて表記した場合はどのような表現が最適であると言えるのでしょうか?もっとも適した英語表記として挙げられるのは、「hasty」でしょう。hastyには「急ぎの、急な、急いだ」もしくは「慌ただしい、気が早い、性急な、早まった」といった意味を持つ言葉です。

単語としては「性急」や「早計」に近しい意味をもった言葉ですが、日本語における「拙速」の意味として、「ただ速いだけの行動」というようなネガティブなイメージが伴われているために、hastyのような表現が非常に似通った表現として用いられています。

また、ほかの表現としては、「rough and ready」や「Premature(時期尚早)」といった言葉での言い換えもされることがあります。

英語表記の例文①

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「I'm asking you not to make a hasty decision.(拙速な決断はしないようにお願いいたします。)」「She raised her face to look at him and caught Sarah and Connie making a hasty exit from the room.(彼女は彼を見ようと顔を上げ、サラとコニーが部屋から拙速に出ていくのを捕まえた)」

「His corrections are often hasty and false, but a surprisingly large proportion of them have since received confirmation from MSS.(彼の訂正箇所はしばしば拙速で誤りが多いのだが、今回MSSで確認された訂正は驚くべきほどの量だった)」

hastyを使って「拙速」として表現した例文です。実は一つだけ、表現として不適当な例文がありますが、分かりますか?応えは2番目の文で、この場合は「拙速に」ではなく「早々に」もしくは「急いで」という意味で使われています。

英語表記の例文②

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「A premature encounter with a squad of police alarmed the town and broke up their plans.(警官隊との拙速な出会いが町を警戒させ、彼らの計画を中止させた。)」

「The first book opens with a few verses, in which Boetius describes how his sorrows had brought him to a premature old age.(最初の本はいくつかの詩で始まり、その中でボエティウスは彼の悲しみがどのようにして拙速な老年期をもたらしたかを述べている)」

「早まった、時期尚早な、早計な、速すぎる」などの意味をもつprematureを拙速として表した英語表現です。時として「早産」としても扱われる単語なので、あまり見られない例ともいえます。

英語表記の例文③

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「I have recently come to avoid rough and ready conclusions.(最近私は拙速な結論を避けるようになった。)」「And thus the rough and ready pamphlet of a half-educated Gothic monk has been forced into prominence,

almost into rivalry with the finished productions of the great writers of classical antiquity.(このようにして、教養のないゴシックの修道士の拙速なパンフレットは有名になり、古典的な古代の偉大な作家たちの完成した作品に対抗するようになった。)」

拙速を「rough and ready」で表現した例文です。「粗削りな」「間に合わせの」「ぞんざいな」といった意味を拙速と言い換えた形になります。

拙速は仕事が早いが荒いという意味

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拙速にまつわるさまざまな見解や意味、使い方や類語、対義語などをご紹介してきました。拙速のもつ意味である「とにかく速いが仕事が荒い」という言葉は、やや日本ではネガティブな印象のある言葉という事を覚えておきましょう。

五所川原銭男
ライター

五所川原銭男

ガジェット系を好む。雑食。暴食。時折暴走する。知る人ぞ知る某国産プロジェクトの中の人。

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