「無尽蔵」の意味は?語源や使い方・例文・類義語などを徹底解説!

「無尽蔵」の意味は?語源や使い方・例文・類義語などを徹底解説!

「無尽蔵」という言葉は、どんな意味で、どんなシチュエーションに有効なのか、どんなシーンで使われるのかを、イメージや例文を踏まえて解説しています。「無尽蔵」の意味だけでなく、その言葉がより活きるふさわしい使い方を理解していきましょう。

記事の目次

  1. 1.無尽蔵の意味
  2. 2.無尽蔵の語源
  3. 3.無尽蔵の類義語
  4. 4.無尽蔵の対義語
  5. 5.無尽蔵の使い方の例文
  6. 6.無尽蔵の使い方のポイント
  7. 7.無尽蔵の意味とは限りなく規模が大きい事

無尽蔵の意味

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「無尽蔵」と書いて「むじんぞう」と読み、辞書には「いくら取っても尽きない様子」とだけ記載されています。「豊富にある」という意味合いが強く、「尽きる様子がないほど」というニュアンスを付け足して、豊富さを強調する表現として使われます。

面積や距離、規模について「果てしないほど広大である」といった意味で使われるほか、資金や資源、才能や体力などの「一般的には限りあるとされるものが、いつまでも枯渇しない状態」を表現する意味合いもあります。

意味①際限が無い

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本来の「無尽蔵」という言葉は、いくら人為的に取り去っても全く減らない様子を蔵に例えて、「無限に尽きない蔵のよう」という意味で使われていました。現在は、本来の意味から人為的なニュアンスを省略して「際限がないほど豊富である」という使い方が主となっています。

特に、一般的には上限があると思われるようなものに対して、いくら使っても上限がない場合などに「際限がない」という意味で使うことが多く、よく目にする例文には、「次から次へと無尽蔵にアイデアが浮かぶ」「太陽は無尽蔵なエネルギーだ」などがあります。

資源やエネルギーなどの「数」や「量」など、形のあるものや目に見えるものについて使われており、「形のあるものなのに、何故かいくら使っても無くならない」という切り口で、どれほど沢山あるかを表現しています。

意味②規模が大きい事

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ふたつめの意味も、本来の「人為的に取り去っても全く変わらないほど膨大である」といった意味合いから、人の存在や人為的な関与を省略し、「規模が著しく大きい」という意味で使われています。

感覚的には、「地平線まで続く」「見渡す限り」「果てしない」といった意味合いでの使い方が多く、土地や面積、距離などの規模について「大きすぎて検討もつかない」というニュアンスが含まれます。

大規模な自然にまつわる例文には、「無尽蔵に広がる大海原」「草原が無尽蔵に続く」などがあります。類義語にもあたる「無限大」の方がなじみがありますが、あえて「無尽蔵」を使うことで固い雰囲気や文学的な感じを演出することも可能です。

無尽蔵の語源

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「無尽蔵」という言葉の語源は、仏教にあります。元々は、信者のお布施により寺へ納められた財産を蓄えて、飢饉が起こった際の救済などで庶民へ利息を付けて貸し出しを行っていました。返済があったものを寺の修繕費にあてる「寺の金融機関」があり、この機関を「無尽蔵」と呼んでいたのがそもそもの由来です。

本来「尽きることが無い」という意味を持つ「無尽」と、人が出入りし物をしまったり取り出すイメージを持つ「蔵」が合わさった言葉が「無尽蔵」です。

本来無限の功徳を有する事を喩えた

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寺の金融機関を「無尽蔵」と呼んでいたのには、理由があります。もともと仏教の中に「無尽蔵」という言葉がありました。先に言葉があり、その言葉を借りて、のちにできた金融機関に名付けた形です。

本来、無尽蔵という言葉は、実体がありませんでした。仏教の教えを「財産」に、仏教の存在を「蔵」になぞらえて、仏教にはいくら取っても減らないほどありあまる財産(知恵や功徳)があることを例えたのがそもそもの語源です。

語源に忠実に例文を作ると「仏教の教えで得られる徳は無尽蔵だ」となります。語源となった「無尽蔵」の意味合いを残して、現代でも使える例文を作るとしたら、「あの人の話から得られる知恵は無尽蔵だ」という表現になります。

無尽蔵の類義語

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ここからは、「無尽蔵」の類義語を紹介します。同じような意味を持つ言葉の使い方や例文を見ながら、シーンやシチュエーションごとの類義語との違いを詳しく見ていきましょう。シーンごとに、類義語の中で最もふさわしい単語を選び使い分けることで、「無尽蔵」の本来の意味を活かせるようになります。

全ての言葉に共通した意味を持つ

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「無尽蔵」には、本来は「人為的な関与があったとしても」という意味合いがあります。現在では、本来の「豊富にあるため、人がどれだけ取り去ろうとも減る様子がない」という使い方から人為的なニュアンスを省略されることが多いです。

「豊富にある」「膨大である」「広大である」といった意味を持つ「無尽蔵」の類義語には、スケールの大きさを表現する言葉が当てはまります。類義語の全てに、「通常では予想できないほど広大な規模」を表す意味が共通して含まれます。

①無限大

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「無尽蔵」の類義語で最も一般的に使われている言葉に「無限大」があります。無限大は「限りなく大きい」という意味を持つ他、数学で「最も大きい数字」を意味することもあります。「∞」と書き表すこともあり、「∞」と表記して「無限大(むげんだい)」と読むことが出来ます。

現在では、「無限大」という言葉は宇宙規模のスケールを表現する際にも多用されており、「無尽蔵」よりもかなり一般的に使われている単語です。

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レポートや文献、新聞やニュースなどのシーンでは「無尽蔵」が適していますが、日常会話やSNSなどの砕けたシーンにでは「無限大」の方が馴染みやすいと言えます。わかりやすい表現を目指すなら「無限大」、固い表現をしたいなら「無尽蔵」にするなど、シーンや相手によって使い分けるのが良いでしょう。

また、無尽蔵や無限大の類義語に「無制限」や「無数」、「おびただしいくらい」「数えきれないほど」などもありますので、伝えたい相手に対して、自分なりに言葉のチョイスを変えてみるのもオススメです。

②漫々たる

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「漫々たる」という言葉も、「無尽蔵」の類義語になります。「漫々たる」と書いて「まんまんたる」と読み、広々としていて果てしない様子を意味しています。海や平原など「自然」に対して使われることが多く、「どこまでも果てしなく広がる」というニュアンスを持ちます。

「漫々たる」という単語は、古典や文学の分野で見かけますが、日常的に使われることはほとんどなく、特にニュースや会話などで「耳にする」機会はほぼありません。

③無辺際

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「無辺際」は「むへんさい」もしくは「むへんざい」と読み、果てしなく広い様子を意味する言葉です。「無辺」という言葉自体に広々としていて果てしないという意味がありますが、それに「際」を付け足すことで「際限がない」ニュアンスを強調しています。

「無辺」という言葉は仏教の言葉との関連が高く、「無辺際」という言葉自体も一般的にはあまりなじみのない言葉と言えます。「無尽蔵」も「無辺際」も、語源を遡った時に「無」という概念に行きつく場合は、本来仏教に由来することがあり、意味よりも雰囲気や空気感を描く文学のシーンで好んで使われることが多いです。

無尽蔵の対義語

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「無限にあって終わりが見えない」という意味を持つ無尽蔵の対義語には、「終わりが見える」「限りがある」といった意味合いのものが当てはまります。

無尽蔵の対義語と比較しながら、「無尽蔵」の持つ意味やイメージを具体的に理解していきましょう。

意味①限りがある事

「数や量などの上限が決まっているもの」と思われていることについて、「一般的には上限があるとされていたはずが、全く上限に行きつかないほど潤沢にある」という様子を意味しているのが無尽蔵です。

無尽蔵の「いくら取っても無くならない」という意味に反して、「ずっと取っていったらいずれ無くなる」という意味を持つものが対義語にあたります。

意味②それ以上先へは進めない

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無尽蔵の意味の「果てしない」「どこまでも続いている」というニュアンスに対して、「果てがある」「区切られている」という意味合いを持つものも、対義語にあたります。

距離や面積、空間的な規模について、あえて区切りをつけたりブロックで区切るなど、「人の介入や解釈によって制限が設けられている」ことも、対義語にあたります。

①有限

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限りがあることを意味する言葉のひとつに「有限」という単語が上げられます。主に数を数えられるものに対して使い、初めから最大数が限られているものに対して、数学的、現実的な使い方をすることが多いです。

また、「一日の時間は有限である」「資源は有限だらこそ活用すべきだ」などの例文から見て取れるように、数以外にも期限や期間などの「時間」や「選択肢」「可能性」を制限する意味合いも含まれています。

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「リミット」や「制限」などがあり、プレッシャーがかかっている差し迫ったシーンで使うのであれば、「有限」という表現がピッタリです。

逆に考えると、プレッシャーがなく、制限がないくらい膨大であるシーンに「無尽蔵」という表現がしっくりくるとも言えます。

②臨界点

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「臨界」は境界を意味する言葉です。「臨界点」と書いて「りんかいてん」と読みます。「臨界点」という単語は「これ以上超えることが難しいギリギリのポイント」を意味しています。

本来は物理で使われていた言葉で、物質や化学反応のパターンが崩れる条件がそろった場合に「臨界点を超える」となど使い方をしていました。

一般的に使われるにあたって、意味から物理的な難しさが省かれていきました。現在では、水や大気、エネルギーなどの、数を数えられないものや目に見えないものに対して、「限界」「K点」と似たような意味合いで使われることが多いです。

③限度

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「どこまで行っても境界線や限界点が感じられないくらい規模が大きい」という無尽蔵の意味の対義語として、「それ以上には出られない区切りや限界」を意味する「限度」が挙げられます。

「有限」や「臨界点」のような物理的・数学的で客観的に観測できるようなものに対する制限だけでなく、「彼女の我儘にも限度がある」「我慢の限度を超えた」のように、精神的な許容の境界線を意味する言葉でもあります。

「その境界を越えたらバランスが崩れるであろうギリギリの線」を意味しており、「臨界点」や「限界値」などの言葉と同じような意味合いで使われることが多いです。

無尽蔵の使い方の例文

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類義語や対義語と比較しながら「無尽蔵」のイメージや使い方を明らかにしてきましたが、ここからは実際の使い方や例文を紹介していきます。例文を見て、「無尽蔵」の言葉を使うシチュエーションをより明確にイメージしながら、的確に使いこなせるようになりましょう。

①何かが果てしなくある

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そもそもの「無尽蔵」の語源には、「仏教には、いくら取り除いても減ることが無いほど功徳がある教えが存在している」という意味がありました。そこから仏教や人の関与がある前提を省略することで、「何かが果てしなくある」という意味合いを持たせています。

例文としては「この油田には石油が無尽蔵にある」「ここの湧き水は無尽蔵に湧き出てくる」などがあり、自然に由来する資源が再現なく湧き出てくるシーンで使用されることが多いです。

②機械の体力や性能の凄さ

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また、機械や人など一般的には限りがあると思われていたものに対して、パフォーマンスが衰えることがない様子を表す使い方もあります。

そのような場合には、「この機械さえあれば商品を無尽蔵に生み出せる」「あの人の仕事への情熱は無尽蔵だ」などの表現ができ、意味に加えて「驚きや畏怖、敬意」などの感情をにじませることが出来ます。

無尽蔵の使い方のポイント

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「無尽蔵」の使い方のポイントとなるのは、そもそもの語源である「いくら取っても減ることが無い豊かさ」という意味を抑えて使えるかどうかと、「類義語との使い分け」の2点です。

より効果的に「無尽蔵」という言葉がもつイメージを活かすには、どのような使い方をすればいいのか、ポイントを振り返ってみましょう。

語源を意識する

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無尽蔵という言葉は、「無限に広がる」「尽きることが無い」といった意味で使われることが多くありますが、そもそもは「人がどれだけ持ち去ろうとも枯渇する様子がないほど豊かである」という意味合いでした。

「どれだけ人が関与していても揺るがない」という所が、無尽蔵の使い方のポイントになります。「たくさんある」という表現だけではなく、「誰かがそれを減らそうとしても間に合わない」というバックグラウンドを付け足すことで、どれくほど豊かなのかを強調して際立たせることができます。

単純に「とても沢山ある」と表現するだけでなく、語源を踏まえて表現することで、「無尽蔵」の持つ意味やイメージを最大限に活かすことができるようになります。

類義語と無尽蔵を使い分ける

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「このシーンでは無尽蔵という表現が最もふさわしい」「あのシーンでは無尽蔵よりも無限大の方が伝わりやすい」など、無尽蔵の類義語と使い分けることで、文章の表現力に違いが出てきます。

特に、「後先考えずに使い続ければいつか無くなってしまう」というニュアンスを強調したい時などに使うと、「無尽蔵」が持つ意味とイメージを余すことなく使うことが出来るでしょう。例文を挙げるなら、「この資源は無尽蔵ではない」「エネルギーを無尽蔵に使ってはもったいない」のような表現になります。

無尽蔵の意味とは限りなく規模が大きい事

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「無尽蔵」は、限りなく規模が大きい事を述べるだけでなく、驚きや畏怖の念などの感情を滲ませることができる言葉です。語源でもある「仏教を称賛する」意味合いや、本来の「人為的な障害があっても全く影響がないほど」といったニュアンスを最大限に活用して、相手に伝わりやすい表現に磨きをかけていきましょう。

小和田
ライター

小和田

駆け出しの新人ライターです。良い記事がたくさん書けるよう精進していきますので、よろしくお願いします!

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