都合がつかないの意味とは?
「都合がつかない」という言葉は、いろいろな場面で遭遇することのある言葉です。ビジネスシーンしかり、メールしかりとよく耳にしたり目にしたりすることがありますが、結局のところその意味は「暇がない」という意味になります。
何かをしている暇がないから都合がつかない、とも考えられますし、計画が立てられない、予定が組めないといったような意味も含まれます。そんな「都合がつかない」ビジネスマンの基本的な処世術についてご紹介してまいります。
常連のお得意様からご注文を頂いたけれども都合がつかない時の返事の仕方や使い方など、ビジネスシーンでありがちな「都合がつかない」状況の対処法など、言葉の意味や使い方、敬語や似たような言い回しについてご紹介します。
都合がつかないの由来
都合がつかないという言葉も由来をひもとくには、「都合」と「がつかない」を分けて考える必要があります。つまり、本質的に由来を知るには、「都合」の由来を見るべきというわけです。
都合とは意味を「折り合い」「タイミング」「機会」「スケジュール」「合算」などと定義されている言葉ですが、漢字の意味としては都(すべて)合(あわせる)という意味になります。つまり元々は「合計」を意味する言葉だったのです。
そこから「都合(合計数)が合わないから取りやめだ」という使われ方をしてきたことによって「折り合い」や「具合」「事情」と言った意味で「都合がつかない」が用いられるようになりました。時間的な状況に言及するようになったのは近代になってからと言われています。
都合がつかないの特徴
「都合がつかない」は語源として「数が良くない」「数が集まってない」といった意味をもともと持っていたことから、目算した場合などに用いられやすいという特徴があります。目算しやすいものとして「日程」が挙げられることが多く、もっとも頻繁な使い方と言えます。
また、「口実」や「うまい言い訳」として「都合がつかない」「都合が悪い」というように、何かに誘われたときの返事として使う場合もあります。
また元来の意味を受け継いで、支払いの請求を受けた時に、手持ちの金銭が足りないような場合に「都合がつかない」と表現するという特徴もあります。
都合がつかないの類似表現
続いては、そうした本来の意味から大きく発展を遂げることによって、ビジネスシーンなどで様々な意味で用いられるようになった「都合がつかない」という言葉と、現代の日本語で使われている言葉の中で極めて似た言葉についてご紹介します。
場合によってはこちらの言い方に変えた方が、相手への印象が良くなる場合もあるので、状況に応じて「都合がつかない」との使い分けをすることが大切だといえます。
また、「都合がつかない」という言葉はどうしても本来の意味とは違った意味合いで受け止められることもあるため抽象的な言葉となっているというところもポイントと言えます。
類似表現「時間がありません」の意味と使い方
都合がつかないの言い換えとして「時間がありません」という言葉があります。意味はそのまま「何かをしている時間がない」という意味であったり、「もうタイムリミットが迫っている」という意味での言葉となります。
しかし、単純に「時間がありません」の場合では、もはや一刻の猶予もなく差し迫っているような印象を受けるとても逼迫した言葉になりますので、ビジネスシーンにおいては使う側にも十分な配慮が必要な言葉と言えます。
返事としての使い方は、「そのビジネスを請け負うには時間がありません」「そこまでの仕事をこなせるだけの時間がありません」のような意味での使い方であれば、都合がつかないという言い換えに近しい意味となります。
また、敬語表現としては「時間がございません」のように表記します。敬語として変化が掛かるのは概して後半部分の「ありません」や「ない」という部分になります。
類似表現「折り合いがつきません」の意味と使い方
都合がつかないの言い換えとして「折り合いがつきません」という言葉があります。意味としては「まとまらない」「締結しない」「収拾がつかない」などの意味で用いられる言葉となっています。
ビジネスシーンに置ける考え方や返事としての使い方は、契約内容などを煮詰める場合に、先方との条件などを照らし合わせた末に「折り合いがつきません」として用いられます。敬語では「只今大変込み合っておりまして」と言い換えられます。
都合がつかないとの意味の違いとしては、「都合がつかない」という言葉そのものが意味する状況の広さが大きな違いと言えます。
類似表現「日程が合わない」の意味と使い方
都合がつかないの言い換えとして「日程が合わない」という言葉があります。意味はそのままに「その日には問題がある」という意味や、「なにかの予定とバッティングしている」というような意味で使われる言葉です。
ビジネスではしばしば、資金調達などの予算との兼ね合いや、ほかのビジネスにおける予定との兼ね合いなどから「日程が合わない」というように表現することで都合のよい日程を手繰り寄せる時にもちいられる言葉です。
ですので「都合がつかない」という包括的な言葉とは違い、ビジネスにおいては攻めの言葉としての使い方が一般的です。敬語表現では「日程に難がございます」と言い換えられます。
類似表現「予定が調整できない」の意味と使い方
都合がつかないの言い換えとして「予定が調整できない」という言葉があります。意味としては、「スケジュール調整が上手くいかない」であるだとか、先ほど同様に「日程が合わない」という意味でも用いられる言葉です。
しかし、日程が合わないという言葉に比べると否定のニュアンスの強い言葉で、ビジネスにおいては逃げに分類される言葉であると言えます。「都合がつかない」という意味にかなり寄り添った形の言葉です。敬語表現としては「予定があわせられません」などと表記できます。
返事としての使い方は「そのスケジュールでは我々のビジネススタイルとしては予定が調整できない」のように、どうあがいても難しい、抜本的な改善が必要だ!というニュアンスで用いられることが多い言葉です。
類似表現「持ち合わせがない」の意味と使い方
都合がつかないの言い換えとして「持ち合わせがない」という言葉があります。こちらは本来の「都合がつかない」という言葉に近しい類語で、意味は「お金がない」「金銭が足りない」「持っている額が少ない」「足りない」のような意味の「都合がつかない」となります。
敬語表現では「持ち合わせがございません」と表記できますが、残念ながら意味はあまりまろやかにはなりません。返事としての使い方は、「申し訳ない、少々今持ち合わせがないもので」といった返事や、「何分、持ち合わせがなく、如何ともしがたい状況でして」といった返事ができます。
都合がつかないとの意味の違いとしては、ビジネスシーンというよりは、友人知人、先輩後輩などでのアフタータイムなどの一幕で、ビジネス以外で用いられることの多い言葉である点と言えます。
都合が合わないとの違い
都合がつかないという言葉ととても似ている言葉に「都合が合わない」という言葉があります。「都合がつかない」と「都合が合わない」の違いにはどのようなものがあるのでしょうか?
単純にいえば、目的の数値に合わせるために努力したが、結果として至らなかったり達成出来なかった場合は「(色々と手は尽くしたが)都合がつかない」として表現できます。
翻って、あらゆる方面から目的を達成するための検証した結果、どう考えてもその結果に至るとは考えられないことから、「(あらゆる可能性を考慮した結果)都合が合わない」というような意味の違いが現れます。
都合がつかないの敬語
目上の人や顧客から何かを頼まれたり、何かの依頼を受けた物の、他の事情があってどうしても断りたい時に、素直に「都合がつかないので」などと返事してしまうのはよろしくありません。
そんなときのためにも、しっかりと敬語での表現の仕方を覚えておくべきです。正しい敬語で返事をしたければ、少なくとも「都合がつかない」ではなく「都合がつきませんので」と敬語で返答をするべきでしょう。
もっと柔らかい言い方
さらに言えば、理由はさておきわざわざ誘ってもらった(依頼を頂いた)にもかかわらず、自分の都合で断るわけですから、「大変申し訳ありませんが」と前置きのクッション言葉を入れてから「都合がつきませんので」と謝辞しましょう。
「すみませんが、都合がつかない」では「都合がつかない」だけではなく「格好もつきません」。ビジネスマンとしてちゃんとコミュニケーションを図るためにも、敬語表現や緩衝表現は言えるようにするべきでしょう。
メールでは敬語がベター
メールでも同様です。むしろ、メールのような相手の行動や姿、振舞いが見られない環境下であるからこそ、より丁寧なメールを心がけるようにしましょう。古来より伝わるメールなどの文面の作法があれほどきめ細やかなのはそうした理由があるからです。
メールのような文章だけで相手に意思を伝えなければならない場合は、よりそうしたことが顕著に現れます。簡単、単純に済ませてしまうのはメールを送る側は楽かもしれませんが、受け取る側に労力を割くようなメールはご法度です。
伝えるがわにはキチンと伝える義務がかると思って、しっかりと可能な限りメールの返事の文面には注意して、失礼や誤解の無いように気持ちを伝えるように気を付けましょう。
都合がつかないの使い方
続いては「都合がつかない」という言葉の使い方についてさまざまなシチュエーションを想定しながら例文としてご紹介します。例文によってどのような文脈でどのようにして使われるべきか、また返事として正しいかどうかも加味しながらご覧ください。
例文①
「先方より、よりによって私たちのプロジェクトの完遂日程にカチあうような都合で依頼が来た。これはどう考えても都合がつかない。代替案もいくつか考えてみたが、このままでは共倒れになってしまう可能性もある。どうしたものか…」
同じプロジェクトの車輪をお互いが回すようにプロジェクトにおいて、もう片方の車輪を担うと取引相手からどうしても良くない日程の打診がきた場合の例文です。このような状況に対して「都合がつかない」と表現しています。
例文②
「何度も言うが都合がつかないものは都合がつかないんだ!あんたもしつこいな、俺だってどうにか出来るなら笑顔でハイハイ言ってやることも出来るが、どう足掻いたって都合がつかないんだから仕方ねえだろう!?」
取引先か、はたまた受注先との折り合いなのかは分かりませんが、どうやら無理難題を吹っ掛けられて怒ってしまった例文です。「都合がつかない」には明確な理由があるはずですが、そこを説明しないと相手も納得しません。
どのように「都合がつかない」のか、その「都合がつかない」は解決できる「都合がつかない」ではないのか?という疑念を抱かせてしまっては本末転倒なので、説明責任をはたしつつ、上手に使いたいものです。
例文③
「誠に申し訳ありません、そちらの条件では我々としても都合がつかないので如何ともしがたいですな。少なくとも、こちらの…そうです、そちらの条件では都合がつかないので、せめてこちらの条件で改めてご提案いただければと、ええ。」
比較的近しい間柄のビジネストークであればこのような会話も成り立ちます。しかし、一般的な企業人にはこうした会話を折り込むことは極めて難しいでしょう。
例文④
「だめだ!だめだ!!そんな条件では都合がつかない!高橋君、先方にメールで【都合がつかないから条件を変えてくれ】と伝えておいてくれ。メールか電話でもいいが、まあメールでいいだろう。頼んだぞ」
ありがちなワンシーンです。ビジネス上の上司が先方からの条件を耳にして、途端に怒り狂ったように部下に指示を出すシーンとなっています。当然ですがこのまま「都合がつかない」と送ってしまってはいけません。正しく言い換えましょう。
都合がつかないの注意点
「都合がつかない」を丁寧に表現しようとして「ご都合がつかない」と言うのは間違いです。この場合は「あなたに対して」敬語表現を使った言葉であって、相手に対しての敬語として使うのならば「都合がつきません」とするべきです。
都合がつかない時の謝り方
どうしても先方からの依頼や要望に応えられない場合に、気持ちのこもった断り方として都合がつかないことを伝えるには「大変残念ではございますが」や「誠に申し訳ありませんが」のような前置きを入れましょう。
その上で、「この度は都合がつかず申し訳ございません」というように続けましょう。あくまでもこちらの不手際ですから、という低姿勢を保つことが大切です。
都合がつかないは暇がないという意味
都合がつかないという言葉の意味は「暇がない」「時間がない」「時期が悪い」「お金がない」など非常にたくさんの意味があります。総じて「断りたい」という使い方になりますので、先方によっては穿った見方をされるかもしれません。
あくまでも「諸々の事情が多々ございますが、様々な状況や事情に鑑みた上でお断りさせて頂きます」という言外の意味を伝えられるような使い方がビジネスパーソンにとって理想的な使い方と言えるでしょう。