「経験を積む」の意味とは?
「経験を積む」の意味をご説明をする前に、まずは「経験」の意味を改めて確認しましょう。「経験」とは想像や空想の中ではなく、実際に見る、聞く、味わうなどの五感を通じてある物事を知覚したり、実際に自身がある物事を行うことによって知識や技術を得ることを言います。
つまり、「経験を積む」とはそんな「経験」の数を繰り返しながら徐々に増やしていく、またはある「経験」を十分に高めるといった意味になります。
「経験を積む」の特徴
「経験を積む」の大まかな意味を前述しましたが、ここではさらに「経験を積む」という言葉と区別しにくい似たような言葉と比較をしながら、「経験を積む」という言葉の特徴を掴んでいきます。比べてみるのは「経験」と「体験」、「経験を積む」と「経験を重ねる」の2つです。
「経験」は反復して得ること「体験」は断片的な記憶
あまり違いを意識せず「経験」と「体験」を同じような意味合いで使いがちですが、両者には明らかな意味の相違があります。「経験」は長期的に反復して行いながら何かを会得していく、といったようなイメージがあります。
一方「体験」は「経験」の中にある特段記憶に残っている出来事のことを指します。「経験」という長い1本の線の中に、「体験」という点がその線のところどころにあるイメージです。また「体験」は何かを修得するというより、体感するという意味を持ちます。
つまり「経験」は一時的に何かを行っただけでは「経験」とは言えず、長い間何度も行い何かを身に付けた結果として使うことができる語だと言えます。
「経験を積む」は蓄積を伴うが「経験を重ねる」は蓄積を伴わない
「経験を重ねる」は「経験を積む」の言い換えなのではないかと思う人も多いかもしれませんが、「重ねる」と「積む」という言葉には違いがあるため、「経験を重ねる」と「経験を積む」は異なる意味を持っています。
「重ねる」という言葉は単に何かを反復することを指します。しかし一方で「積む」には何かを反復することに加え、それを蓄積していくという意味も含まれています。
そのため「経験を積む」とは、「経験」という言葉の意味と同じように、長期間に渡り何かを繰り返し行いながらそれを自分のものにしていった場合に用いられる言葉だと言えます。
「経験を積む」の言い換えと英語表現
「経験を積む」という使い慣れたコロケーションにはいくつかの言い換えと英語表現が存在します。仕事や学業において、同じ言葉を何度も使うことはなるべく避けたいものです。言い換えを知ることで語彙のバリエーションを増やし、英語表現を知ることでその言葉に関する知識を深めることができます。
「経験を積む」の言い換え
「経験を積む」という言葉には、「経験」という言葉を使い「積む」という動詞を変える言い換えと、「経験」という言葉を含まずに同じような意味を表す言い換えがあります。ここではそれぞれ3つの言い換えをご紹介していきます。
「経験」を使った言い換え
まずは、「経験を積む」の言い換えの中で「経験」という言葉を含んだものを3つご紹介します。1つ目は「経験を培う」。「培う」という言葉には長い時間を費やしながら何かを育てるという意味があります。
2つ目は「経験を蓄積する」。そもそも「経験を積む」という言葉自体に「蓄積する」という意味があるため、「経験を積む」の意味をそのまま説明するような言い換えであると言えます。
3つ目は「経験値を得る」。「経験」という言葉を「経験値」と言い換えて、自分のものにするという意味を持つ「得る」を使います。ロールプレイングゲームなどでよく耳にする言葉でもあります。
「経験」を含まない言い換え
続いてはそもそも「経験」という言葉を含んでいない「経験を積む」の言い換えを3つご紹介します。まず1つ目は「場数を踏む」という成句。「場数」とはどのくらい経験をしているかの度数という意味で、「場数を踏む」という成句で「経験を積む」という意味になります。
2つ目は「見聞を広める」。「見聞」は、実際に見たり聞いたりすることで得た知識や経験という意味なので、「経験」とほぼ似たようなことを指すことができます。「広める」という言葉とくっつくことで、「経験を積む」の言い換えになります。
3つ目は「鍛錬する」。意味そのものが「経験を積む」の言い換えになっているというより、経験を積んでいく過程が鍛錬をしていくようなものとも言えるので、このような言い換えもできると言えます。
「経験を積む」の英語表現
続いては「経験を積む」の英語表現です。「経験」は英語でExperienceと言います。そのExperienceを用いて、Gain experience、Get experience、Accumulate experienceと表現することができます。
GainとGetは何かを得るという意味なので、「経験を積む」というよりは「経験を得る」という日本語のほうが当てはまるかもしれません。一方Accumulateは何かを積み上げるという意味の単語なので、ちょうど日本語の「積む」という動詞に該当します。
しかしながら、3つの言い方のいずれも日本語の「経験を積む」を伝えるのに適した英語表現です。状況や相手に応じて使い分けたり、同じ単語の繰り返しを避けるために使い分けて使用するのが良いでしょう。
「経験を積む」の使い方
「経験を積む」の使い方を日本語と英語の例文で2つずつご紹介します。例文をそのまま使用することにこだわらず、前後の単語や言い回しを自分の伝えたい言葉に変えることによって、仕事や日常会話で自然に使うことができるようになります。
日本語の例文
まずは「経験を積む」を使用した日本語の例文を2つご紹介します。それぞれ仕事の場面と日常の場面で用いることができそうな使い方ですが、いずれも誰かの働きぶりを評価したりフォローしたりするような表現になっています。
日本語の例文①
最初は仕事で使う機会がありそうな「経験を積む」を用いた例文です。例えば、慣れない仕事に不安を抱えている新入社員に「現場で多くの経験を積むことでその業務に慣れていくはずだ」のように伝えることができます。
また相手をフォローする時だけでなく、「現場で経験を積んだことで成長した」などと評価を伝える際の使い方もあります。
日本語の例文②
「経験を積む」という言葉は仕事の場面だけではなく、日常の場面でも使用することができます。例えば、あるスポーツを観戦している時に「あの選手のプレーはひどい。もっと実践経験を積んだほうが良い」と批判の言葉を口にしたりする際に使用することができます。
また反対に「あの選手、経験を積んでプレーが良くなった」と仕事の場面と同様に称賛の言葉としての使い方もあります。
英語の例文
続いては、英語で伝える「経験を積む」の使い方を2つご紹介します。先述したように「経験を積む」を英語で言う場合は、Gain experience、Get experience、Accumulate experienceの3つの表現ができるとお伝えしました。
今回はそのうち、Gain experienceとAccumulate experienceを使った例文をご紹介します。いずれも大学生を想定した例文になっていますが、仕事や日常生活でも使う機会がありそうなものになっています。
英語の例文①
まずは「経験を積む」の英語表現の1つ、Accumulate experienceを使った例文をご紹介します。例えば大学で友人と大学卒業後にどうしたいか、という将来の話題について話しているとします。
友人は大学院に進学したいと言っていますが、自分は「就職して社会経験を積みたい」と伝えたい状況です。そんな時はAccumulate experienceを使用して、”I want to get a job and accumulate experience of life”と表現することができます。
英語の例文➁
続いてはGain experienceを用いた「経験を積む」の例文をご紹介します。先述の例文と同様、大学で友人とあるプログラムについて話しています。そのプログラムは若い人たちが仕事の経験を積むことができる内容のものなのですが、それを友人に英語で説明する必要があります。
そんな時はGain experienceを用いて、”The programme provides young people with the chance to gain work experience”と表現することができます。
Gain experienceの間にWorkという単語を入れることで、「職場経験を積む」といった意味になります。この表現は仕事の場面でも使うことができそうです。
「経験を積む」は「反復して行い蓄積していく」という意味
「経験を積む」とは単に何かを行うだけではなく、繰り返し何かを行うことでそれを習得していくという意味です。
「経験を積む」ことは仕事や学業のみならず、日々の何気ない生活においても何かを身に付けていくうえでとても重要なこと。「経験を積む」という言葉を正しく使いながら、実際に「経験を積む」ことで自分自身も磨いていきましょう。