「送る」の意味・敬語とは?
「送る」とは、物や人をある所から他の所に動かして移す事、行く人や去る人に付き従ってある所まで一緒に行く事、時を過ごす事などを意味します。今回は「送る」の尊敬語や謙譲語、類語などの敬語表現や、メールや手紙で使える「送る」の例文もお伝えいたします。
「送る」の敬語表現の特徴
まずは「送る」という言葉を、謙譲語・尊敬語にすると、どのような敬語表現になるのか見ていきましょう。謙譲語と尊敬語は、時に混ざってしまうことがあるので注意が必要です。上司や先輩等と話をする時に、敬語は必須なので正しく覚えておいてください。
敬語「送る」の謙譲語
謙譲語とは、へりくだった言葉で相手への敬意を表す敬語です。「送る」を敬語表現の謙譲語にすると「お送りいたします」と「お送りします」の2通りとなります。「お送りいたします」は「お送りします」よりも、より丁寧な敬語です。
「お送りいたします」は、例えばお客様や上司等、かしこまって使う敬語表現となります。誰に対して使っても失礼にあたらないでしょう。例文として「駅までお送りいたします。」「書面をお送りいたします。」など使えます。
「お送りします」は、幅広い相手・場所で使える敬語表現となっており、年齢の近い先輩などに対し使いやすいでしょう。「メールをお送りしました」など、気軽に使える敬語です。あまりかしこまらない相手に対しては後者の敬語の方が適切です。
敬語「送る」の尊敬語
ビジネスなどでもよく使う尊敬語は、動作主に対して敬う気持ちを表す表現の敬語を意味し、相手を高めるときに使う敬語のことを言います。なお「送る」の尊敬語は「お送りになる」「送られる」の2通りとなります。
尊敬語は相手の動作に対して使う敬語なので、自分が「送る」場合には使いません。例えば仕事上では「部長がメールをお送りになる」「部長がメールを送られる」などで使えます。それ以外にも「部長に車でお送りいただいた」などでも使えます。
尊敬語は上司やお客様、取引先などに対して使える敬語なので、正しく使う事が出来れば、貴方の信頼度も高められるでしょう。きちんとした綺麗な敬語を使うことにより、仕事が出来る人だと思われやすいです。
「送る」の類語は?
敬語の次は「送る」の類語についてお伝えします。「送る」という言葉は普段の生活の中で使う事が多いので「送る」という表現以外にも、同じ意味の別の言い方(類語)を覚えておいた方が何かと便利でしょう。「送る」の類語は下記の通りです。
「送る」の類語①納める
「送る」の類語の1つ目は「納める」です。「納める」は「送る」とは少々異なる意味を持っていますが「代金を納める」など、お金や物を相手に送る際に使える「送る」の類語です。
例えば「お金を送る」という言い方でも問題はないのですが、「お金を納める」と言った方が語彙力が豊かで知的に感じるでしょう。またビジネスでメールや手紙でも使える表現となります。
「送る」の類語②運ぶ
「送る」の類語の2つ目は「運ぶ」です。自分や誰かが何かを動かす際に使う「送る」の類語となります。敬語を使うと「お荷物をお運びする」や「物を運んで頂く」などあげられます。
誰かのために物を運ぶ時、謙譲語の「運ぶ」を使う事が一般的でしょう。無意識に皆さん使っているかと思いますが、誰かが重い荷物などを持っている時など「お運びしましょうか」等使ってみて下さい。
「送る」の敬語の使い方
手紙やメールで「送る」という言葉を敬語で使いたい場合の表現も含め、「送る」の敬語表現、尊敬語・謙譲語の言い回しを使った例文を見ていきましょう。今後「送る」を使う際、言い間違いがないようにチェックしてください。
例文①コピーをメールにてお送りいたします
「送る」の敬語例文1つ目は「コピーをメールにてお送りいたします」です。こちらのフレーズは謙譲語となっており、仕事上で使うことの多い表現と言えるでしょう。その他謙譲表現として「させていただく」という言い方も相手によっては使えるフレーズです。
「送らせていただきます」は、お客様や取引先など、かしこまった相手に対して使いやすいですが「させていただく」は自分の意思を感じられないと思う人もいるようなので、出来る限り「送付いたします」を使うことをおすすめいたします。
「送付いたします」は「送付させていただきます」よりも、比較的カジュアルな表現です。どちらも間違いではないので、そのシュチュエーションに合った敬語を使うようにしましょう。メールでは相手の顔が見えないので、直接会話をするよりも、慎重・丁寧な敬語を使う必要があります。
例文③手紙を送っていただけますか
ビジネスの場面では、重要な内容は書面に残し、手紙で取引先やお客様の自宅に送る場合があります。相手に手紙を送ることを知らせる敬語は「手紙をお送りします」と謙譲語を使います。
逆に相手に自分へ手紙を送って欲しい時に伺う場合「送る」の敬語例文2つ目「手紙を送っていただけますか」と聞きましょう。「送る」という言い方以外には「郵送する」という言い方もあります。
例文③課長が私に手紙をお送りになりました
「送る」の敬語例文3つ目は「課長が私に手紙をお送りになりました」です。こちらのフレーズは、敬う相手が動作した時に使う尊敬語となります。目上の方が「送る」時には謙譲語は使えません。
また目上の方へ、自分に手紙を送ったのか確認をしたい時には「私に手紙をお送りになりましたか」と伺いましょう。自分の行為に対して尊敬語は使えないので注意して下さい。
例文④楽しい生活を送られていますか
「送る」の敬語例文4つ目は「楽しい生活を送られていますか」です。「送る」には時間を過ごす・時の経過の意味も含まれています。例えば昔の友人や先輩などに、近況を聞く際に使えます。
「送られていますか」という表現以外にも「生活を送っていらっしゃいますか」という言い方もあります。どちらも尊敬語となりますので、シチュエーションによって使い分けましょう。
「送る」の敬語を使う時の注意点
最後に「送る」の敬語を使う時の注意点をお伝えします。特にビジネスで目上の方と会話をする時や手紙・メールでやりとりをする際、誤った敬語を使うことは恥ずかしいことですし、失礼にあたってしまいます。下記項目に注意をして正しい「送る」の敬語を使いましょう。
「送らせていただく」は避けよう
「送る」の謙譲表現として「送らせていただきます」「送付させていただきます」とあり、頻繁に使っている人も多いです。決して間違いではない敬語なのですが、なるべく「お送りいたします」にした方が賢明と言えるでしょう。
理由は「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語です。「させてもらう」は自分の意思が弱い、意思を感じられないことに対して問題があるのです。特に仕事上で資料等を送る際には、自分の意思で行なっているのではないでしょうか。
「させていただく」を使うと、相手の許可がいるような言い回しとなっているので、ビジネスシーンでは、なるべく「させていただく」ではなく「いたします」を使った方が、どんな相手でも悪い印象を受けることはないでしょう。
「お送りいたしましたか」は間違い
初歩的な間違いとなりますが、目上の人に対し「課長、メールをお送りいたしましたか」というフレーズは間違った敬語です。「いたします」という謙譲語は自分の行為対し使うものなので、使うべき対象がおかしいです。
上司や目上の人にこのフレーズを使う場合「部長、メールをお送りになりましたか」「部長、メールは送られましたか」と尊敬語を使うのが正しい敬語の使い方です。「送られましたか」と聞くのが自然で使いやすいと言えます。
緊張していると、時々変な敬語を使ってしまうことがありますが、このフレーズは比較的ビジネス上で使うことが多いので、覚えておくようにしてください。また自分が頼んだ場合「送って下さいましたか」という言い方が適しています。
私がお客様へ「カタログをお送りになる」は間違い
こちらも初歩的な間違いとなりますが、自分がカタログをお客様に送付する時「カタログをお送りになる」は間違いです。「お送りになる」は尊敬語のため、自分に使うことはありません。
尊敬語は目上の人に対して使う敬語なので、この場合謙譲語を使い「カタログをお送りいたします」が正しい言い方となります。尊敬語を自分に対して使うと、自分を高めていることになってしまいます。
「送る」は主に物や人を移動するという意味
今回は「送る」の敬語を使う時の尊敬語や謙譲語について、またメールや手紙で使える「送る」の例文も含めお伝えいたしました。「送る」の具体的な意味も分かって頂けたかと思うので、正しい敬語を使ってビジネス等で生かしてみてはいかがでしょうか。