畳にカビが生える原因と予防方法を紹介!
和室に敷かれた綺麗な畳に、ある日黒い一見汚れのようにも見えるカビが生えていたという経験はありませんか。水をこぼすこともそれほど多くない畳に、どうしてカビが生えてしまうのでしょうか。この記事では、畳にカビが生える原因と対策、予防法について紹介します。
畳にカビが生える原因
まずは畳にカビが生えてしまう原因から見てみましょう。カビが生えてしまう原因が分からなければ、対策のしようがありません。まずはその原因を知り、そこから対策、予防について考えていきましょう。ここでは畳にカビが生える主な原因、四つを紹介します。
湿度が高い時に換気をしていない
畳にカビが入る原因の一つ目が、湿度の高い時期にしっかりと換気を行っていないということです。カビは気温が20〜30度、湿度が70〜80%になると繁殖しやすくなります。
梅雨の時期は最もこの条件に当てはまってしまいます。この気温と湿度に加え、生活している中で必ず発生してしまうホコリや汚れが加わると、更に繁殖が進みます。梅雨の時期は中々スッキリとした天気になりませんが、隙を見て換気を行うようにしましょう。
イ草に湿気が溜まってしまっている
畳にカビが生える二つ目の原因は、畳を構成しているイ草に湿気がたまってしまっているということです。やはり湿気が大きなカビの原因と繋がっています。
畳に使われているイ草は、約1100年前から畳に使用されてきました。天然物のイ草は呼吸するように、空気の吸収、放出を繰り返します。そのおかげで、天然のイ草を使って作られた畳に関しては、その畳を敷くだけでその部屋の除湿をすることができます。
ただそれにも限度があり、あまりにも湿度の高い状態が続くと、イ草の中の水分量がいっぱいいっぱいになってしまい、湿度の調整ができなくなり、カビの発生に至ります。イ草の水分吸収機能は、新しいイ草程効果を発揮する為、新しい畳程カビが発生しやすくなります。
畳の上に布団を敷いている
畳にカビが生える三つ目の原因は、畳の部屋に敷いた布団にあります。畳を敷いた和室に、直に布団を敷いて寝ているという方は多いでしょう。
その布団を毎日片付けていますか。人間は寝ている間に200ml、およそコップ1杯分の寝汗をかくと言われています。その寝汗が布団に吸収され、そのまま畳にも移ります。それをそのまま放置し、布団をずっと同じ場所に置いたままにすると、布団の下にカビが発生しやすくなります。
つまり、人間から発生した水分が畳のカビに繋がっているということです。ちなみに、人間が裸足で畳の上を歩くだけでも、人間から出る汗や垢による湿気によってカビに繋がります。畳は日本の和の心を感じられる素晴らしい物ですが、人間がその敵になりうるということです。
洗濯物を部屋干ししている
畳にカビが発生する四つ目の原因は、洗濯物の部屋干しです。これはここまでに述べてきたように、洗濯物から発生する湿気が原因です。カビが発生しやすい梅雨は特に部屋干しする機会が増えますが、できれば部屋干しをする際は畳が敷かれた部屋以外で干しましょう。
カビが生えた畳にしてはいけないこと
カビが生えてしまった畳は一刻も早くなんとかしたいものです。しかし、そのカビを取り除こうとした時にやってはいけないことがあります。畳にカビが生えた時の対策の前に、まずはやってはいけないことを知っておきましょう。中にはついついやってしまうようなこともあります。
掃除機をかける
カビが生えてしまった畳にやってはいけないことの一つ目は、カビが生えた畳に向かって、掃除機をかけることです。畳に生えたカビを掃除機でさっさと吸い取ってしまいたい、という気持ちは誰しもの共通の思い出はありますが、掃除機で吸ってはいけません。
カビを掃除機で吸ってしまうと、掃除機でゴミ等を吸い込んだ際に一緒に吸い込んだ空気を排出する、排気口という部分から細かなカビが空気と共に排出され、部屋中に広がってしまいます。排気口にはゴミが出ないようにフィルターがありますが、細かなカビは通してしまいます。
但し、これはカビの生えた畳だけの話であり、普段の畳掃除の際には掃除機を使っても構いません。畳に掃除機をかける前には、畳にカビが生えていないかをしっかり確認するということも大事です。間違った掃除の仕方で、部屋にカビをまき散らさないように気をつけましょう。
濡れた雑巾で拭く
カビの生えた畳にやってはいけないことの二つ目は、ついついやってしまいそうになりますが、濡れた雑巾で拭いて取り除くことです。先述したように、カビは湿気を好みます。濡れた雑巾で畳を拭いてしまっては、カビにエサを与え喜ばせてしまうようなものです。
乾いた雑巾で拭く
カビが生えた畳にやってはいけないことの三つ目は、乾拭きです。水拭きがダメならせめて乾拭きでと思いがちですが、乾拭きでカビの生えた畳を拭いてしまうと、畳の目の中にカビ菌を入れてしまうことに繋がります。そうなってしまえばカビを取り除くことは困難です。
畳にカビが生えた時の対策
畳にカビが生えた時に、掃除機をかけてはいけない、雑巾で拭いてもいけないとなれば、どのような対策を講じれば良いのでしょうか。ここからは畳にカビが生えてしまった時の、対策方法に付いて紹介します。まずはこの対策に必要な物を見ていきましょう。
用意するもの
用意する物は、エタノールの濃度が70〜80%、若しくは無水エタノールと精製水を7:3で混ぜた消毒用アルコールをスプレーボトルに入れて用意します。
その他に、使い古しの歯ブラシ、雑巾、ゴム手袋、マスクです。ゴム手袋は、エタノールに直接触れるのを防ぐ為に使います。エタノールに直接触れると、手荒れを起こすことがあります。但し揮発性が高い為、掃除後は掃除をした上を裸足で歩いたりしても問題ありません。
マスクは、掃除中にカビ菌を吸い込まないよう、自分を守る為に使います。ちなみに、浴室掃除用やキッチン掃除用に販売されている、アルカリ性のカビ除去剤は畳のカビ対策に使ってしまうと、畳の変色を招く恐れがある為、絶対に使ってはいけません。
掃除の手順
では掃除方法について紹介します。まずは、空気中のカビが外に出ていくようにする為にも、窓等を開けて部屋の換気を必ずします。
次に畳に生えたカビに向かって、消毒用アルコールを吹き付けます。この消毒用アルコールをカビに十分馴染ませる為に、吹き付けた後20分程放置します。そうすることで、アルコールの殺菌成分がカビの根にまで到達し、よりカビを取り除きやすくなります。
20分程放置した後、使い古しの歯ブラシを使って畳に生えたカビを取り除きます。取り除く際は畳を傷付けないように優しくこすりましょう。消毒用アルコールを吹き付け、歯ブラシでカビをこするまでの工程を、カビがなくなるまで繰り返し行います。
カビが取り除けたら、もう一度畳のカビが生えていた部分に消毒用アルコールを吹き付けます。そして、消毒用アルコールを吹き付けた部分を畳の目に沿って雑巾で乾拭きします。畳の目に沿って乾拭きすることで、畳の中に消毒液を染み渡らせます。
ここまでできれば後は部屋を乾燥させるだけです。消毒用アルコールで畳には多少湿気が含まれた為、しっかり最後に部屋の乾燥を行います。部屋の中に換気扇がある場合は使いましょう。ここで畳の乾燥を怠ってしまってはここまでの努力が水の泡になってしまいます。
畳の黒いカビ汚れの掃除方法
では次にカビはカビでも黒カビの対策方法について紹介します。風呂場や洗面所、エアコンの内部等によく見られる黒いカビ、黒カビが畳に生えてしまった場合は、先程とは対策方法が少し異なります。先程とは違い、黒カビの除去には消毒用アルコールが効きません。
用意する物
まず黒カビ対策に用意する物は、洗濯の際に使われるような酸素系漂白剤、綿棒、雑巾2枚、それに加えてゴム手袋やマスクもあると無難でしょう。そして、黒カビ対策に1番大事な物が、重曹です。黒カビには消毒用アルコールではなく、重曹が効果的とされています。
但し重曹を使う際には注意しなければいけないことがあります。重曹はアルカリ性の為、畳に使用すると畳が黄色く変色する恐れがあります。変色を防ぐ為に、使う重曹の量は最小限にし、カビが生えていない畳の部分には決して使用しないよう気を付けましょう。
掃除の手順
では黒カビ除去の掃除の手順を紹介します。まずはやはり窓を開けたり、換気扇があれば回す等して換気をするようにしましょう。
そして黒カビ対策に最も重要な、重曹ペーストを作ります。重曹ペーストは、重曹と酸素系漂白剤を1:1の割合で混ぜ、それらを混ぜた後の量と同じ量の水を入れて混ぜて作ります。この重曹ペーストを綿棒を使って黒カビが生えた畳の部分にのせていきます。
のせられたら5分程度放置しておきます。5分程度経った後、水で濡らして堅く絞った1枚の雑巾を使って、畳にのせた重曹ペーストをしっかり拭き取ります。その後乾いたもう1枚の雑巾で、水拭きした時の水分をしっかりと拭き取ります。後はしっかり換気をしましょう。
畳のカビを予防する方法
畳に生えたカビの対策、掃除方法について紹介しましたが、できれば畳にカビが生えない方がありがたいです。では、畳のカビを予防するにはどうすれば良いのでしょうか。今からでもできるちょっとしたことで、畳のカビの発生を簡単に予防することができます。
こまめに畳を掃除する
畳のカビの予防法の一つが、こまめな畳掃除です。カビは湿気が大好物な上、畳に付いた汚れやホコリも大好きです。それらのカビのエサとなるような物を、普段からのこまめな掃除で取り除いておきましょう。カビが生えていなければ、掃除機を使って掃除しても大丈夫です。
天気が良い日は布団を干そう!
又、畳の上に布団を敷いて寝ているという方は、その布団を天気の良い日には干したり、乾燥機にかけて布団の湿気を追い出しましょう。
布団を干す際は、布団の表裏をそれぞれ1時間程度ずつ干して風にあてます。布団の両面を風にあてることで、臭いを飛ばすことにも繋がります。ちなみに、中々布団の臭いが取れない場合は、消臭スプレーを使用したり、布団カバーを洗うようにしましょう。
布団を中々干せない時でも、畳の上に布団を敷きっぱなしにするのはよくありません。畳を換気させる為にも、起きたら布団を押し入れに片付けたり、部屋の中でも使えるコンパクトな布団用物干にかけるようにしましょう。これだけでもカビの発生の予防に繋がります。
どうしても布団を中々干したり片付けたりが難しい場合は、布団と畳の間にすのこを敷くようにしましょう。そうするだけでも布団から直接畳が湿気を吸わなくなる為、効果的です。又、すのこと布団の間に湿気を防ぐ防湿シートを敷くと、更にカビの発生を抑えられます。
換気をして湿度を下げる
畳のカビを予防する二つ目の方法が、これまで何度も述べてきたように、畳が敷かれた部屋に湿気がこもらないように、換気をしっかりと行うことです。
特に湿気の多い梅雨の時期は、換気も中々難しいですが、合間を狙って窓を開けて換気をしましょう。部屋に換気扇があれば換気扇を使ったり、窓を開けた状態でサーキュレーターやエアコンの送風機能等を使い、部屋の中の空気を循環させるようにするのも効果的です。
お酢で拭くと臭いにも効果あり
畳のカビを予防する三つ目の方法は、畳を酢で拭くという方法です。酢に含まれている殺菌作用を使って、カビを予防します。
酢の主成分である酢酸には雑菌を抑える効果があります。又、防腐効果もある為、マヨネーズ等の保存食品や、その他様々な調理の際にも使用されています。洗濯をする際に洗濯物と共に酢を入れると洗濯物だけではなく、洗濯槽の殺菌もしてくれるとされています。
そして酢で畳を拭くとカビの発生を予防できるだけではなく、嫌な臭いも防いでくれます。これは例え畳にカビが見当たらない、なんとなく臭いがするといった時でも酢で畳を拭けばその嫌な臭いを消してくれます。では、酢を使ったカビや臭いの取り方を紹介します。
畳のカビの発生や臭いを除去する為に用意する物は、酢とバケツと雑巾です。必要に応じて、ゴム手袋をはめて作業しても良いでしょう。
まず作業を始める前に換気をすることと、掃除機である程度周りのゴミを掃除しておきます。カビが生えている所は直接掃除機をかけないように注意してください。次にバケツに水を入れ、その中に大さじ2杯の酢を入れて酢水を作っておきます。これをカビ、臭い対策に使います。
そして雑巾に酢水を染み込ませ堅く絞り、畳の目に沿ってカビが生えている部分、臭いがある部分を拭いていきます。拭き終わったら、しっかりと畳を乾燥させて終わりです。これだけでカビ予防、臭い対策ができます。最後の乾燥を忘れるとカビの原因になる為、乾燥は必須です。
畳の部屋はこまめに換気をしてカビを防ごう!
畳のカビ対策の一連を通して最も重要なことは、畳の換気及び乾燥です。これがしっかりできていないとカビの発生、嫌な臭いに繋がってしまいます。家のどの場所も換気は必要ですが、畳が敷かれた部屋は特にこまめな換気、乾燥を心がけてカビや臭いの発生を抑えましょう。