竜胆(リンドウ)の花言葉を覚えよう!
花屋では、夏のお盆の時期が終わる頃、竜胆が店先に並び始めます。花の色も豊富で、ブルー系の花が咲くことから、花束やアレンジメントに人気です。和にも洋にも使える花として、お花の師匠たちが好む花です。
花の色はブルーや紫が主流ですが、白やピンクもあり、咲き方も丸い蕾からキキョウの様な咲き方をする姿が美しいと好評です。竜胆には、色別の花言葉が付いていることも知られています。花言葉も勇ましかったり、厳かだったりと、様々なシーンで使えそうな花言葉ですから、覚えてみましょう。
竜胆(リンドウ)とはどんな花
竜胆は、中国はから入って来たリンドウ科リンドウ属の植物で、多年草です。別名ではイヤミグサ(胃病草)とかエヤミグサ(疫病草)とも言われ、薬用としても扱われています。特に根に薬用成分が含まれるため、胃もたれや食欲不振にも重宝されました。
味は苦く、とてもそのままでは口に出来ませんので、煎じて飲んだり、粉末にして薬のように服用したようです。山野草としての竜胆の草丈は30㎝から50㎝程度の低さですが、花屋で並んでいる切り花はもっと背が高いです。これは、市販の流通用の改良がされる事もあり、自生の竜胆とは異なります。
竜胆の花の特徴
竜胆の花の特徴は、茎の先端や茎と葉の付け根に花を付け、縦に並ぶような形の花付きになる事です。開花は9月上旬から11月上旬までの期間で、鐘状の花を太陽に向かって上向きに咲くのが特徴です。野生の竜胆なら実を付け、羽の付いた種が飛びますが、市販の切り花の竜胆には実は付きません。
ただ、竜胆でも種類によっては、花を茎の先端にしか付けない種類も存在します。後で出てきますが、オヤマリンドウがその種類です。これはとても珍しい特徴を持っていて、葉の枚数が多いのに花は先端だけという竜胆です。また、草丈も市販に近い背丈の特徴があり、自生でも迫力があります。
竜胆の葉の特徴
竜胆の葉は、笹のような形をしていて少し丸みがあり、茎を挟んで向かい合う対生に付きます。花の周りに額のような小さな葉があり、葉の表面はよく見ると細かいギザが付いています。自生の竜胆だから丸みがあるのではなく、市販されている竜胆の葉が、細身の傾向にあるのには理由があります。
この葉の形の違いは、種類によるものと改良されたものの違いです。市販されている竜胆でも、自生の竜胆を養殖して栽培したものもありますので、極めて自生に近い時もあり、一目で見分けるのは難しいでしょう。市販されている竜胆は、エゾリンドウが元になっているのが大半です。
竜胆(リンドウ)の花名の由来
竜胆は、古くの公家や武家の家紋にもなるほど、格の高い花とされています。鎌倉市では市章にもなっていますが、源氏の代表紋のようで源頼朝の家紋であるのではなく、縁が深いだけとされています。その由来については、中国のりゅうたんを日本で音読みにした事が由来です。
家紋に使用されるのは、竜胆の葉の部分で、笹の葉に相似しているため笹竜胆と呼ばれる竜胆の葉が家紋のデザインになっています。では、何故竜胆という漢字が当てられたのか、由来をもう少し細かく分析していきましょう。
「竜胆」の由来
竜胆の花名の由来は、中国の漢名からで、漢字は同じですが、「りゅうたん」と読み、薬用の竜胆の味が、驚くほど苦いため、まる龍の肝のような味という意味で由来したようです。この中国の「りゅうたん」が「リンドウ」となったのは、音読みでの「リムタウ」が「リンドウ」に変化したようです。
中国では昔から、熊の胆嚢を乾燥させたものを生薬として利用していましたが、その熊の胆嚢よりもリンドウの根の方が苦く感じたことから竜胆という漢字が付けられました。因みに熊の胆嚢も消化不良などに効果があったようです。動物性と植物性の違いはあれど、どちらも生薬の特徴は苦みです。
学名「Gentiana」の由来
現在のバルカン半島の西側にイリュアという王国があった頃、そこにgentius(ゲンティウス)というのイリュア最後の王がいました。その王が、根に薬効果があると発見したため、王の名前が由来になったと言われています。この年代には紀元前の500年前とも168年前とも言われ、定かではありません。
由来についてはイリュアの国王から由来している事は間違いないようです。しかしイリュア人やイリュアの所在地に関しての正確な記述は無く、古代ローマ時代に存在したらしいという記述のみです。ただ、ゲンティウスが竜胆の効能を発見したのは事実でそこから名付けられたのも事実です。
竜胆(リンドウ)の花言葉と由来
竜胆については、冒頭にもありますように、花言葉が色ごとにあり、それぞれの花言葉は様々な事も竜胆の特徴でしょう。花言葉も竜胆全体に付いているのがふたつあり、これも非常に興味深いものです。このふたつは日本で付いた花言葉ですが、西洋での花言葉も一緒にご覧下さい。
「勝利」「正義感」
このような花言葉が付いた由来は、古くから薬効に注目されていた事からの由来で、病に負けないという意味で「勝利」と付けられています。もう一つは、花の咲き方に由来します。太陽の日差しがあれば咲き、無ければ閉じるという姿から、律儀というイメージが付き、「正義感」に繋がります。
そして、後半の伝説にも通じますが、竜胆の薬用としての効果も、花言葉だけでなく根の利用価値が高い事を竜胆は示しています。花言葉の勝利は、伝説ではなく、事実として捉えてもいいものです。中国から伝わった竜胆が日本で花言葉になるくらい、生活に欠かせない植物とも言えます。
「あなたの悲しみに寄り添う」「寂しい愛情」
次にこちらの花言葉ですが、これは自生の竜胆の姿に由来します。自生の竜胆は、群衆ではなく単独でひっそりと姿を見せます。その控えめな様子からの由来です。寒色系の花が「ここで見ています」という寄り添い方をしているようで、花言葉になりました。
竜胆はポット苗で市販されている種類も多く、切り花も良いですが鉢植えの竜胆も贈り物には最適です。この花言葉を添えて敬老の日に贈るお孫さんも多いようです。また、哀しみに暮れている方へ勇気づけに贈るのも良いでしょう。ブルーの花が優しく癒してくれます。
西洋での花言葉は?
竜胆は西洋にも存在し、花言葉も「I love you best when you are sad」というのがあります。意味は、「悲しむあなたを愛します」ですから、日本の花言葉の原型とも言えるでしょう。もう一つ「loveliness」というのも存在して、意味は「愛らしい」と、竜胆の花をイメージして付きました。
竜胆の花が、太陽に向かって咲く姿や、茎の先端から連なって咲く姿に、花言葉と一緒に、プレゼントすると親近感が湧くでしょう。悲しい姿を見せてくれるあなたも全て愛するという意味ですので、日本の花言葉と類似するものがあり、好きな人への贈り物になります。
竜胆(リンドウ)の色別の花言葉
冒頭から記していますが、竜胆には色別の花言葉が存在します。竜胆にはピンクもありますが、ここでは紫と白の竜胆について花言葉をお届けしましょう。紫も白も、微妙に色合いが違うものもありますが、紫がかったり白に模様が入っても同じです。
紫の竜胆の花言葉
「満ちた自信」という花言葉が紫の竜胆に付いています。竜胆は紫が主流と思われがちですか、主流はブルーで紫に近い色合いですから、花言葉は同じと思っていいでしょう。これは、太陽にまっすぐに咲き、誇らしげな様子が由来しています。
紫の竜胆は、敬老の日に贈り物として扱われる花でもあり、高貴な気品が漂うという意味でも用いられます。いつまでも自信を持って余生を送ってほしいという願望も含まれるでしょう。竜胆全体の花言葉はそのまま付きますから、贈り物に紫の竜胆は最適です。
白い竜胆の花言葉
「貞節」という花言葉が白の竜胆に付いています。白には「純潔」という意味も含まれます。こちらも、竜胆の花の咲き方が由来します。太陽の日差しがあれば咲き、無ければ閉じるという、節操を守った咲き方から付いたようです。
そして、白の竜胆には、前記と同じ花の咲き方から、「的確」というのもあり、特徴的な明るいと咲き、暗いと閉じるという的確さが花言葉の由来に反映されているようです。女性に関するものではなく、人として見た時の誠実さに例えられたという特徴を持ちます。
竜胆(リンドウ)に纏わる伝説
竜胆には、昔から不思議な伝説があると言われています。これは竜胆の持つ成分に関する事からの伝説です。今では花屋で背の高い竜胆がメジャーになりましたが、以前は水田の側に背の低い竜胆が自生していました。最近ではあまり見かけなくなりましたが、その自生の竜胆に関する伝説です。
今では、山地の奥や湿地公園など、あまり暑くない地域での自生を確認されたという情報は入ります。次に出てくる伝説も、雪深い日光での伝説ですので、昔から竜胆の生息地は変わっていないようです。宅地開発が進み、山を切り崩したりすると、自生の竜胆は行き場を無くすのが残念です。
ウサギと竜胆の伝説
それは古く、飛鳥時代のお話です。ある日、修験道を開いた役行者(えんのぎょうじゃ)の、役小角(えんのおづぬ)という人が、日光の雪深い山道を歩行中、雪を掘り返し何かを口にしているウサギを発見します。
その姿を見て、何をしているのかウサギに尋ねると、自分の主人が病に伏していて、この植物を探しに来たと言い残し立ち去ります。当人も真似て植物を雪から掘り起こし持ち帰ります。病に伏した人に飲ませ、回復したことから、二荒神のお告げだと信じ、その後竜胆が霊草になったという伝説です。
これは、ウサギが竜胆の根に薬用の効果がある事を知っていたとしか思えません。実際に、今では竜胆瀉肝湯という漢方薬もあり、炎症を抑えたりリュウマチや尿道炎などにも効果のある薬品として利用されています。昔から民間療法としても使われていましたので、ウサギから教えられた事になります。
竜胆(リンドウ)の種類
前記にもありますが、竜胆は単独で自生する植物です。その草丈の低い竜胆を改良し、店先で並ぶ草丈の高い竜胆になりました。しかし、自生の竜胆にも種類がいくつかあり、その姿はあまり変化が無いのですが、生息地が異なります。その地域に馴染む竜胆の種類を3つ挙げてみます。
エゾリンドウ
こちらの竜胆は、北海道から本州では近畿地方より北側に生息する種類です。山の中の湿地帯を好んで生息し、花の色は淡い青紫で、草丈は30㎝から1m前後まで伸びます。花屋の店先に登場する竜胆は、この種類が元になっている竜胆がほとんどです。
後で出てくるオヤマリンドウよりも花が大きく、尾瀬の湿地では秋の最終の花になります。自生のエゾリンドウは花は開かないのが特徴で、ずっと蕾だと思う人も多いようです。花屋で見る竜胆は、このエゾリンドウが花の咲くよう改良されています。葉も細葉で対生に付いています。
アサマリンドウ
三重県の朝熊山(あさまやま)で最初に発見されたことから名前の付いた竜胆で、本州の四国地方や九州地方、紀伊半島の南部などの低い山地に生息する種類です。通常の竜胆より葉の緑が濃く、対生な付き方ですが、通常の5枚より少ない2枚から4枚の卵形の葉が付きます。
草丈は低く10㎝から25㎝程度で、香川県では、開発に伴い絶滅危惧種にも指定されるほど、貴重な種類です。花色は淡いブルーで、若干紫がかっています。太陽に向いて咲く姿は優しい色合いが映えます。希に自生するアサマリンドウと通常のリンドウとの雑種で、イセリンドウも発見されています。
オヤマリンドウ
名古屋を中心とした中部地方から北側に生息する種類で、エゾリンドウより少し小ぶりの竜胆です。花も大きく開かずすぼんだ感じが開花です。秋になると湿原に咲き誇る事が知られています。通常の竜胆より葉数が多く、まっすぐに伸びた茎は、1株から複数の茎を伸ばし、60㎝ほどまで生長します。
花の色は濃い紫色で、茎の先端にたくさんの花を咲かせます。通常、竜胆は茎の先と葉の付け根に花を縦に付けますが、オヤマリンドウは、茎の先端だけに付ける特徴があります。栂池自然園で、アキノキリンソウに囲まれた、多数のオヤマリンドウを見る事が出来ます。
シーンに合わせて竜胆(リンドウ)の花言葉を贈ろう
秋になると竜胆を飾ると、花言葉と共に癒されます。竜胆には生活に足りていない細やかな優しさのような花言葉が付いていますので、生活に潤いを与えてくれます。友人が何かで哀しみを抱いていたら、花言葉を添えてそっと竜胆の花束を贈ってみましょう。
また、受験勉強に励むお子様にも竜胆の花言葉は刺激的です。勝利という花言葉を付けて学習机に置くのも良いでしょう。自生の竜胆が少なくなりつつある中、庭先に植えて癒しを求めるのも生活が潤います。自他ともに、竜胆はポジティブな花に違いは無いでしょう。