無理なお願いをするにはテクニックがある!
「無理なお願い」をした経験がある人は多いのではないでしょうか。友人や親しい知人であれば「無理なお願い」をしても許されることがあります。しかし、ビジネスの世界では「無理なお願い」をするときには、マナーを守らなければ、相手に失礼になったり、不快にさせてしまったりします。
ビジネスでは、無理とわかっていても仕事の関係上で、お願いしなければいけないことが起きます。つまり、「無理なお願い」をするケースがあるということです。
「無理なお願い」をするときに相手に失礼にならないまた、不快にさせないビジネスメールでの伝え方のテクニックやマナーを知っておく必要があります。
メールで「無理なお願い」をするときには、どんな伝え方が良いのでしょうか。また、どんなテクニックやマナーがあるのでしょうか。例文を交えながら、ビジネスメールでの伝え方のテクニックやマナーについてご紹介していきます。
無理なお願いの例
ビジネスでは、無理とわかっていてもお願いをしなければならないケースがあります。ビジネスメールで「無理なお願い」をするのにはどんなケースがあるのでしょうか。ビジネスメールで「無理なお願い」をするケースをみていきましょう。
ビジネスでは、相手が対応するのが大変になること、また、無理なことがわかっていてもお願いする必要が生じる場合があります。そのひとつとして、事前の決定事項を変えたいときです。
また、納期などの日程調整をして欲しいときもビジネスメールで「無理なお願い」をします。ビジネスメールで「無理なお願い」をするケースごとに詳しくみていきましょう。
事前の決定事項を変えたい
ビジネスでは、製品やサービスを買ったり、売ったりするために企業間で契約書を交わします。製品やサービスを売る方は、売ったときに代金がしっかり支払われるためまた、売った製品やサービスでのトラブルを起こさないために契約書を交わします。
製品やサービスを買う方は、納期がしっかり守られているかまた、指定したとおりの商品が納入されるかなどを保証してもらう意味で契約書を交わします。つまり、製品やサービスを売る方は、代金が支払われないリスクを回避するために契約書を交わすのです。
買う方は、商品が遅延したり、届かないリスクを回避するために契約書を交わします。企業間で交わす契約書は、製品やサービスのスペックなどの詳細が記載されないことがあります。
契約書に要求するスペックがないことは、製品やサービスを提供する方は困ります。そこでスペックなどの詳細を決めるために決定事項会議を開くのです。
決定事項は、会議の議事録として双方に渡されて守る必要があります。企業間の会議で決めた決定事項を変えなければならないことが起る場合もあります。決めた決定事項を変えたいときには、相手側の同意が必要になります。
また、企業間で決めた決定事項は大事です。大事な決定事項を変更した場合は、素早い対応が必要になります。そのためビジネスメールでのやり取りをします。ビジネスメールで決定事項を変更した場合は、明確な理由の伝え方が大事です。
決定事項を変更することは「無理なお願い」なのです。「無理なお願い」を聞き入れてもらうために、変更する理由をわかりやすい伝え方が大事になります。
決定事項の変更をビジネスメールで出す場合は、まずは、具体的な変更理由の伝え方が大事になります。変更理由の伝え方例文をみていきましょう。変更理由の伝え方は、「お世話になっております」と記載した次にメールの要件になる変更理由の伝え方をしましょう。
変更理由の伝え方での頭の例文として「お世話になっております。先日の会議にて決まった決定事項の変更の件でご連絡しました。」といったようにまずは、メールの要件を伝えることが大事になります。
次に「誠に申し訳ございません」「大変申し訳ございません」「無理なお願いで恐れ入りますが」などの相手へのお詫びの言葉を使うのと相手に失礼にならない、また不快にさせないことになりますので覚えておくと良いでしょう。
その後は具体的な変更内容と理由を記載すれば、ビジネスメールを受け取った相手を不快にさせず、マナー的にも良いのではないでしょうか。
調整をしてほしい
ビジネスでは、事前に決めていた打ち合わせなどの日程を調整してもらいたいことが起きます。つまり、決まっていた打ち合わせの日を別の日にしてもらいたいときです。
打ち合わせ日程の調整をビジネスメールでお願いするときには、決定事項の変更メールと同じように、要件を先に伝えることが大事になります。下記のような例文になります。
「お世話になっております。先日打ち合わせの日時の連絡を頂きましたが、当日は都合が悪く、大変申し訳ありませんが別の日に日程調整してさせていただくことは可能でしょうか。」
「大変申し訳ありません」の例文を「大変恐縮ではございますが」と使うとより低姿勢になりますのでいいのではないでしょうか。
また、この例文で大事なのが、「可能でしょうか」という言葉を使うことです。「欲しい」と使ってしまうと上から目線になる可能性がありますので注意しましょう。
納期が短いものを依頼したい
ビジネスでは、納期を短縮して欲しいといった要求はよくあることです。納期を短縮つまり、買った製品やサービスを決めていた納期より早くし、納入して欲しいということです。
製品やサービスを売る方は、納期に合わせて工程表を作ります。工程表に合わせて商品に使う材料などを購入するなど計画的に進めていきます。そのため決めていた納期より早く納入すること大変なことです。
納期を短縮することは、工程表の見直しとともに、材料の入荷時期を早めたり、生産ラインの稼働を変えたりする必要があります。つまり、納期の短縮を依頼することは、相手の計画的なペースを乱すことになります。
納期を短縮を依頼することは、買う方の「無理なお願い」にあたるのです。しかし、買う方の都合もあり、決めた納期より早く納入して欲しいケースが生まれます。
見てすぐに納期短縮がわかるようにビジネスメールの件名に入れるようにしましょう。たとえば「納期短縮のお願いの件」「納期短縮のご連絡の件」といった例文のように記載すればビジネスメールを見た人がすぐにわかるようになり、マナー的にもいいのではないでしょうか。
また、製品やサービスの具体的な名前を記載するともっとわかりやすくなります。たとえば「冷蔵庫の納期短縮の件」とか「稼働システムの納期短縮」といった例文のように記載するとより、わかりやすく相手も対応しやすくなります。
また、納期の短縮をお願いすることは、相手のビジネスペースを乱すことになり、「無理なお願い」であることやマナー的にも良くないことを自覚しましょう。
また、メール文に「誠に恐縮ではございますが」とか「計画を狂わせることになり大変申し訳ございません」などの例文を記載することを忘れないようにしましょう。
無理なお願いをするときの伝え方のマナー
「無理なお願い」をするときの伝え方のマナーについてみていきましょう。「無理なお願い」をするときには「理由を添える」伝え方をするのがのマナーです。「無理なお願い」をするときには、相手の気持ちをよく考えて柔らかい言葉の伝え方をするのもマナーです。
また、自分が相手に「無理なお願い」をしていることを自覚する必要もあります。「無理なお願い」をする以上は、契約書で交わした報酬に上乗せするのもマナーと考えると相手に不快を与えづらくなりますので覚えておきましょう。
理由を添える
物事を変更することは、何かしらの理由があります。理由がなく変更することはありえません。また、理由がなければ変更を認めてもらえないのが一般的な常識ではないでしょうか。
また、ビジネスでは、決まったことあるいは、決めたことを変更するためには、明確な理由を示すことが必要であり、マナーになります。では決まったことをビジネスメールで変更する場合は、どのような言葉の伝え方が良いのでしょうか。
たとえば、日程変更の「無理お願い」をする場合は、「お願いします」「欲しいのですが」「検討ください」といったような例文になるのが一般的です。
クッション言葉を使用する
ビジネスメールで日程変更の「無理お願い」をする場合は、明確な理由を伝えることはもちろん大事です。また、理由を伝えること同じぐらい大事なのが、相手が不快にならない言葉を選ぶことです。
前項に示している「お願いします」「欲しいのですが」「検討ください」といった例文では、「無理お願い」を頼む方が言い切った言葉遣いになっています。つまり、必ず変更を認めてくれるだろうといった気持ちに相手から受け止められる可能性があるということです。
まずは、変更を認めもらうためには、変更が可能でしょうかといった言葉から入るのがいいのではないでしょうか。つまり、ストレートに依頼や確認するのではなく、相手に不快を与えない、また衝撃を和らげるクッションのような言葉での伝え方にした方が良いということです。
無理なお願いであることを理解する
「無理なお願い」をしていることを自覚することが大事になります。「無理なお願い」をしていることを自覚すれば、ビジネスメール文も相手を思いやる気持ちがこもった言葉での伝え方になります。
「無理なお願い」をしていることを自覚していないと形式ばったビジネスメールになってしまい、受ける相手によって不快にさせてしまう可能性がでてきます。「無理なお願い」をしていることを自覚していれば、単に「お願いします」や「欲しいのですが」といった例文は使いません。
「大変恐縮ではございますが、決定している月日の変更は可能でしょうか」といった例文のように、相手に伺うといった上級者や目上の人に使う言葉を選ぶはずです。
可能であれば報酬を上乗せする
契約書で交わした報酬に上乗せするのは、相手に誠意を示すことになります。特に納期を短縮してもらいたいときには、有効なやり方です。報酬に上乗せすると言われれば、計画を練り直して納期短縮に対応してくれやすくなります。
つまり、「お願いを受けてくれたらこんなメリットがありますよ」といって相手を納得させるテクニックなのです。「無理お願い」を引き受けてもらえるために有効なテクニックです。
しかし、報酬に上乗せすることができる立場にいる人でなければ使えないテクニックでもあります。つまり、有効なテクニックですが安易に使わないように注意をする必要もあるということです。
無理なお願いをするビジネスメールの書き方
「無理なお願い」をするビジネスメールの書き方についてみていきましょう。ビジネスメールで「無理なお願い」をするときには、明確な理由とともに、相手を不快にさせないで納得してもらえる書き方が大事になります。
また、決定事項などの変更をお願いするときには、変更した内容を示すことも大事です。では具体的にどのような文面になるのか、例文でみていきましょう。
理由の書き方
ビジネスメールでは、相手に余分な時間を費やさせないために、メールの一覧を見たときに、どんな内容がすぐわかるように「決定事項の変更のお願いの件」といったような例文で用件を件名に入れましょう。
わかりやすい理由、相手に不快を与えない理由の書き方が大事になります。もちろん「無理なお願い」を納得してもらえる理由の書き方をする必要もあります。まず大事なのが、個人的なことが理由でないことです。
個人的な理由は絶対に納得してもらえません。間違っても個人的な理由は書かないようにしましょう。また、説得力のある論理的な理由であることも必要です。
こちらの要望の書き方
無理な変更をお願いするときには、具体的に数字やデータで示すようにしましょう。数字やデータで示すことで相手に変更箇所をわかりやすく伝えることができす。
「○○決定事項の5項の数値を△△に変更した」といった例文にような書き方をすれば、相手に変更箇所をわかりやすくなり、納得してもらいやすくなります。
納得してもらえることは、変更することを検討してもらえることです。つまり、変更を引き受けてもらいやすくなる確率が上がるということです。数字やデータで示すことは常識であり、テクニックでもあるのです。
無理なお願いで使いやすいフレーズ
実祭に「無理なお願い」で使うフレーズについてみていきましょう。「無理なお願い」で使う「ご面倒をおかけいたしますが」がもっとオーソドックスなフレーズです。
また、「よろしければ」「お差支えなければ」「ご無理を申し上げまして恐れ入りますが」のフレーズも「無理なお願い」で使います。「無理なお願い」で使うフレーズごとに詳しくみていきましょう。
ご面倒をおかけいたしますが
「無理なお願い」で「ご面倒をおかけいたしますが」と使うのは、相手に大変申し訳ない気持ちを伝えるときです。面倒をかけることは、相手に手間や手数をかけることです。
「面倒くさい」といった使い方をするように、相手はやりたくない、避けたいことなのです。そんな相手の気持ちを和らげるテクニックのあるフレーズと言えます。
よろしければ
「無理なお願い」で「よろしければ」と使うのは、相手に許可してもらいたい、認めてもらいたい気持ちを伝えるフレーズです。「よろしければ」と使うのは、お願いを強制しているのではなく、相手の気持ちを尊重しているフレーズなのです。
つまり、強制にならないようなクッション言葉とも言えます。「よろしければ」と使うことで後から書く言葉を柔らかくしてくれるテクニックの言葉でもあるのです。
お差支えなければ
「無理なお願い」で「お差支えなければ」と使うのは、相手の都合、相手に支障がないかを気遣うフレーズです。「よろしければ」のフレーズと同じように、「お差支えなければ」の後に書く言葉を和らげています。
つまり、クッション言葉なのです。また「お差支えなければ」と使うのは都合や支障があるなら無理とは言いませんといった気持ちが隠れているフレーズとも言えます。
ご無理を申し上げまして恐れ入りますが
「ご無理を申し上げまして恐れ入りますが」と使うのは、現実的に難しい、理屈や道理に合わないとわかっていますといった気持ちを伝えるフレーズです。「無理を言ってすみません」を丁寧に言っているフレーズです。
「ご無理を申し上げまして恐れ入りますが」と似たフレーズとして「ご無理を申し上げ恐縮ですが」があります。また、より丁寧な伝え方には「ご無理を申し上げまして恐れ入りますが」に「ご検討いただけますと幸いです」を加えるフレーズもありますの覚えておきましょう。
無理なお願いのビジネスメールの例文
ビジネスでは「無理なお願い」が起こります。ビジネスメールで「無理なお願い」を相手に伝えるときの書き方の例文をみていきましょう。急なお願いの例文、納期変更の例文、日程調整の例文ごとについて詳しくご紹介します。
急なお願いの例文
「急なお願い」をメールで書くときには、急なことで申し訳ありませんの気持ちを伝えることが大事です。そのため「突然のお願いで恐れ入りますが」「突然のお願いで恐縮ですが」などの例文を使うといいでしょう。
また「急なお願い」をメールで書くときには「急な依頼で面倒をおかけします」といった例文のようにストレートに気持ちを伝えるのもありです。
納期変更の例文
納期変更には延期・遅延があります。延期とは、納品する日を先に延ばすことです。遅延は納品時期が遅れることです。納品延期をメールで伝えるときには、具体的な数値で伝えることが大事です。
「9月5日に納品予定でしたが、納期限内には納品ができなくなりご猶予をいただき納品日を9月10日に変更していただけないでしょうか」といった例文のような書き方をすれば、わかりやすい伝え方になります。
日程調整の例文
ビジネスでは、定期的な打ち合わせや会議が多くあります。打ち合わせや会議の席上で次回の開催の日時を決定するのが一般的です。しかし、決定した打ち合わせや会議の日時では出席できなくなることも起きます。
そんなときには、ビジネスメールで日程調整をお願いすることもあります。また、打ち合わせや会議をいつ開催するかといった日程調整もあります。打ち合わせや会議の日程調整のお願いメールでは、打ち合わせや会議の必要性とともに、いつまでといったリミットを伝えることが大事です。
また、日程調整では、「この日時はいかがでしょうか」といったように開催する日時の候補を伝えることで調整がスムーズにいくことがあります。日程調整で大事なのは、メールの返信に期限を設けることです。返信に期限を設けるで日程調整がしやすくなります。下記のような例文があります。
「第1回の打ち合わせについて、ご都合をお伺いしたく、ご連絡を差し上げました。希望日時として9月15日(水)10時から14時、9月19日(金)15時以降で調整したいと考えております。ご都合を確認した上で8月25日までにご連絡をお待ちしております。」
また、いくつかの案を提示して選んでもらう方法もあります。「1案として10月10日、2案11月2日、3案12月10日で調整をしたい考えております。都合つく日のご連絡をお待ちしております。」
案を示すことで、月日が絞られて日程調整がしやすくなる効果が生まれます。ビジネスでの日程調整が必要なることが多くあります。ですので、ビジネスメールでの日程調整や伝え方を理解しておきましょう。
無理なお願いはマナーを抑えて交渉しよう
ビジネスでは、立場上あるいは状況により相手に「無理なお願い」をすることが起きます。「無理なお願い」には、相手を納得させるテクニックだけではダメです。テクニックより相手への思いやりの心と、本当にすみませんといった心を持つことが大事です。
その心を持つことで、「無理なお願い」をする言葉使いが変わります。その心を持つことでお願いする態度が変わります。このことを意識してお願いをするようしましょう。