オルタネーターの仕組みや点検方法を覚えよう!
車はエンジンをかければ動きますが、そのエンジンを始動させるためには様々なシステムがあり、その要がオルタネーターです。あまり聞き慣れない名前でしょうが、車好きでメカに強い方ならご存じで、自分でチェックした事もあるでしょう。バッテリーの充電にも役立っています。
今回は、そのオルタネーターに絞って、仕組みや点検方法、交換時期などを詳説していきます。ただ車でドライブするだけでなく、車の仕組みを知り、何かトラブルがあった時に、原因を見つける方法を知っておくのも車を維持するためには大切ですので、覚えておきましょう。
オルタネーターとは
オルタネーターというものは、車を始動させるための発電機です。昔の車にはダイナモが主流でした。ダイナモとは直流電流を作り出すもので、昔の車には殆どそれが使用されていましたが、昭和35年頃から交流と直流の両方作れる、オルタネーターに切り替わっています。
オルタネーターは車が走行する時に必要な、電力を流し続けるためのパーツです。自動車だけで無く、バイク、小型の飛行機などエンジンが装備されている車両にはオルタネーターがあり、その仕組みは、車に交流と直流電流を発電して流すモーターと考えると分りやすいでしょう。
先ほども記しましたが、オルタネーターが作り出すのは、交流電流だけではありません。バッテリーに送る際には、直流電流に変換して供給します。基本、カーナビや室内灯、ハザードランプやヘッドライトなど、車の電気系統の全てをオルタネーターが担っています。
従って、オルタネーターが故障すると、車の電気系統がダウンします。電気系統は、車内のパネルだけでなく、パワーステアリングやパワーウインドウなども関連します。昔の車だと窓も手動で開けられ、ハンドルも手動で切れましたが、今は自動ですからハンドルも重くなります。
車で使われる電気を生み出すパーツ
オルタネーターは10個のパーツから成り立っています。一番手前には、プーリーという中心にネジのような部品があり、次にドライブエンドシールドというオルタネーターの外観があり、2つのベアリングにローターが挟まれています。
次にローターを動かすためのステーターがあり、コルクターリングエンドシールドで挟み、トランジスターレギュレーターがあり、直流電流に変換するレクチファイアがあり、最後にプロテクトキャップで蓋をします。このパーツ全てをひとつのオルタネーターと称します。
車は燃料が続いている間は、常に電力が供給されます。その供給元がオルタネーターになるのです。電力不足はバッテリーの問題と思われている方も多いですが、実は根本にはオルタネーターの存在が大きいですので、オルタネーターの仕組みを、もう少し細かく解説しましょう。
オルタネーターの仕組み
キーを回したら、まずオルタネーターのローターが回転し始めます。そこで磁界ができ交流電流になり、車の電気系統に供給されます。この時レクチファイアで直流電流にも変換され、バッテリーが充電されるという仕組みで、オルタネーターは電気を生み出す発電機だと分ります。
つまり、バッテリーの消費分を、半永久的に燃料がある間は、オルタネーターが電力を供給するという仕組みです。例えバッテリーの力でエンジンがかかっても、オルタネーターが故障していれば、走行するための持続電力が不足し、すぐに止まってしまうでしょう。
エンジンが回転することで発電
車のエンジンをかけると、その動きがファンベルトを通してオルタネーターに伝導します。そこに伝導すると中のローターを回転させ、電力が生まれるという、モーターのような働きをします。この事から、エンジンが回転すると発電するという仕組みが分ります。
発電量はエンジンの回転数に比例
オルタネーターの発電量は、エンジンの回転数に比例します。即ち、エンジンの回転数が上がると発電量も高くなるため、その車の必要な電力を大幅に上回ります。またその逆も考えられ、回転数が低いとオルタネーターの出力も低いため、電気系統が上手く作動しなくなります。
しかしこれでは、一定の走行をしていれば良いのですが、運転状況は人やその状態で変わり難しいため、ボルテージレギュレータという制御装置が、装備されています。どれだけ回転数を上げても、オルタネーターの出力はその部品で調整され、安定して電力を供給できます。
オルタネーターが故障すると致命的
ここまでのオルタネーターの仕組みや役割を見ると、オルタネーターが故障すれば致命的だと分ります。バッテリーが上がったから、充電すればそれで解決と思われると、その後に待っている危機を見逃します。オルタネーターが常に安定した電力が作れるように、点検は必要です。
仮にバッテリーが上がったとして、バッテリーを交換しても、もしオルタネーターの異常ならば、走行中でも電気が供給されなくなり、パネルの電気は消え、ステアリングが重くなり制御できなくなるという、想像しただけでも恐ろしい状態に陥りますので危険です。
オルタネーターの点検方法
車を使った楽しいプランを立てていても、オルタネーターが故障してしまえば台無しです。バッテリーに予備の電力が残っていますので、すぐに止まるという事はありませんが、快適なドライブを楽しみたいなら、点検は定期的に行なう事が無難です。
必要な道具
オルタネーターの点検は、整備工場に出すほどのことではなく、費用も大して掛りませんので自分で出来ます。必要な道具を用意して、自分で点検を行なうには、ホームセンターなどへ行き、軍手を買い、「バッテリー&オルタネーターチェッカー」というアイテムを購入します。
これは、バッテリーとオルタネーターに、今どれだけの電力が流れているかを測る装置です。ホームセンターなどで、2000円前後で販売されています。プロの整備士が使うようなテスターもありますが、それは使い方が微妙で、高価ですので前記のチェッカーで良いでしょう。
点検のやり方・手順
使用方法は、赤と黒の端子がありますから、エンジンをオフの状態で、赤をバッテリーのプラスに、黒をマイナスに繋ぎます。3つあるランプのグリーン、オレンジ、レッドでグリーンが点灯すれば異常なし、点灯の色がオレンジなら要注意、レッドは要点検を表しています。
次に、オルタネーターをチェックするには、エンジンを始動させてからチェッカーを見ます。オルタネーターの時には、レッドがオーバー、グリーンとオレンジのランプが正常です。チェッカーに表示されていますので、それで確認出来ます。
オルタネーターが故障した時の車の症状
では、どんな症状が車に現れるとオルタネーターが故障したと思われるのでしょうか。オルタネーターが故障する前には必ず前触れがあり、それを見逃したり聞き逃したりすると大変です。運転中に表れる事が大半ですので、しっかりと以下に挙げる音やサインに気を配りましょう。
バッテリー警告灯が点灯
バッテリーの警告灯が点灯する事で、オルタネーターの不具合が確認できます。前のパネルにある、バッテリーの形をしたイラストで、普段、正常な時には表示されせん。これが、突然の赤い点灯で知らせます。バッテリー警告灯が点滅を繰り返す時もあります。
この判断ですが、バッテリー警告灯が点滅を繰り返すというのは、オルタネーターではなくファンベルトの異常が考えられます。オルタネーターに異常がある時は、ずっと点灯しっぱなしです。ただ、バッテリーの異常も考えられますので、点検が必要です。
エンジンが始動できない
オルタネーターが故障すると、バッテリーを変えたばかりなのにエンジンがかかりにくいや、かからない、走行中に突然エンジンが止まったなどの症状があれば、オルタネーターの故障を疑いましょう。エンジンがかかるなら近くの整備工場へ行くか、動かなければJAFを呼ぶ事になります。
カーナビやメーターパネルなどの照明が消える
オルタネーターに異常があると、車内の電気系に異変が起きます。カーナビやメーターパネルの照明が消えたり、ヘッドライトが暗くなったり、室内灯が点かないなどの症状が現れます。ただ、エアコンやオーディオに関しては、そのアイテムの寿命も考えられます。
異音が発生
走行中に、日頃聞き慣れない異音がするなら、その音がどこから出ているかを確認しましょう。停止してボンネットを開け、異音のする箇所を見つけましょう。
オルタネーター周辺から異音がするなら、どんな音かをはっきりさせます。キュルキュルという音ならファンベルト、カラカラならプーリーという部品が擦り減っている可能性がありますので、即整備工場行きになるでしょう。
オルタネーターの故障の原因
オルタネーターは何が原因で故障してしまうのでしょうか。これだけ大切な役割を持つパーツですので、そう簡単に故障しては困ります。しっかりと故障する原因を把握して、そうならない様な配慮が必要です。オルタネーターが故障する原因になる要素をいくつか挙げてみます。
部品の寿命
まず、オルタネーターが故障する原因の定番は、部品の寿命です。部品と言っても、オルタネーターはファンベルトによって回転していますので、まずファンベルトの寿命が考えられます。そして、もちろんオルタネーター本体の寿命も然りです。
オルタネーターは、数個の部品で構成され、各部品の寿命が原因とも考えられます。車の走行道路には、平坦ばかりではなく、凹凸のある道もあり、振動によりオルタネーターの内部の部品にも、徐々に摩耗が生じます。時間を掛けて摩耗した部品が、故障する原因を引き起こします。
水や熱によるもの
水や熱に弱いパーツがいくつか付属されていますので、故障する原因は大雨の中に車を放置した時などです。台風などではエンジンルームに水が入り、パーツが水の影響を受け故障する原因になります。
熱に関しては、エンジンルームの内部に熱が溜まると、オルタネーターが故障する原因を招くため、オーバーヒートを起こした後などは要注意で、エンジンが焼き付いてしまった時には、オルタネーターだけでなく、他の部品も交換時期と言えるでしょう。
オルタネーターの交換時期・費用
では、オルタネーターの交換時期というものは、いつ頃なのでしょうか。また、その交換でかかる費用はいくらくらいなのかを解説しましょう。
最近の車は、電気とガソリンを併用するハイブリッド車が主流になってきている分、昭和の時代より、現代の方が電力の消費は莫大になっています。オルタネーターの交換時期を見据えて、出来るだけ費用を抑えたいものです。費用を抑えられるコツも一緒に見ていきましょう。
交換時期
交換時期に関しては、激しい運転、おとなしい運転の違いや点検の有無により、いつと断定できるものではなく、昔の車より最近の車の方が、オルタネーターの交換時期が長いとも聞きます。交換時期は様々で、10万㎞走行してアウト、20万㎞走行しても平気な車もあります。
定期的に点検をしていれば、異変があればすぐに気づくでしょうが、オルタネーターの故障というものは、壊れてからしか気づかない事が多いため、走行距離で交換時期の目安を決めるのは危険です。従って、走行中の異変にいち早く気づくためにも、日頃から車の状態を把握します。
異変が起きたら、その時が交換時期になるかも知れません。全く走行できないどころか、エンジンすらかからないなどの危機を防ぐためにも、交換時期というのを決めない方が無難です。
交換にかかる費用
オルタネーターの交換にかかる費用は、新品に交換するには、かなり費用が必要ですので、点検や修理が済んでいる中古のリビルド品と呼ばれるオルタネーターを、手に入れる方が費用を抑えられます。
ただ、リビルド品という物は、中古品を分解し、修理が終わって新品のように組み立て直した中古品です。物によれば半額程度で購入できる時もありますが、当たり外れはありますので、外れに当たった場合には、またすぐ交換の可能性も出て来ます。
具体的には、オルタネーターの新品で5万円前後から10万円程度で、リビルド品は2万円からせいぜい5万円まででしょう。そこに両者とも工賃がプラスされます。リビルド品以外の中古は論外です。電気系統の要ですから、そこは惜しまず新品に交換することをおすすめします。
そして肝心なのは、整備士でもない限り自分で交換しようとは思わない事です。オルタネーターの周辺には、様々なベルトも接続されていますので、その調整なども含めると、かなり高度な技術を要します。工事費用を浮かそうとせずプロに頼む事が、後々の事を考えるとベストです。
オルタネーターは定期的に点検しよう!
オルタネーターが、車の電気系統の要だという事がお分かり頂けたでしょうか。長く愛車に乗車するなら、オルタネーターの知識を付け、日頃の車の音や警告を見逃さず、点検を定期的にする事が大事です。電気を使う車内で変だと思ったら、定期点検でオルタネーターもチェックしましょう。