交通費の消費税ってどう計算するの?
消費税には外税と内税があります。現在の消費税は、食品は8%食品以外は10%なので、外税で1200円の買い物をした場合の消費税は96円(食品)または120円(食品以外)になります。交通費は内税なので1200円の切符を購入した時には1200円の中に10%の消費税がすでに含まれています。
交通費の消費税は10%なので、単純に1200円の切符の消費税は120円と考えると間違いになります。では一体どうやって交通費の消費税を計算するのでしょう。
税抜きの交通費(本体価格)の10%と交通費本体価格を足したもの110%が1200円なので、1200÷110×100=1091円(1円未満切り上げ)が本体価格になり、消費税は1091円×10%=109円(1円未満切り捨て)となります。1091円(本体価格)+109円(消費税)=1200円なのです。
交通費は内税で表示されているため消費税を計算するには、少し面倒ですが前述のように計算する必要があります。単純に表示金額の10%で計算すると間違いになるので気をつけましょう。
交通費の消費税が気になるタイミング
会社の経理で発生する交通費は、主に役員や従業員の通勤手当と出張などで移動するための交通費と宿泊費などの「旅費交通費」です。経理でよく混同して勘違いをするのが「非課税」の取り扱いです。非課税とは税金がかからないという意味ですが、税区分で非課税とは所得税の場合です。
会社では売上から経費を引いた利益に所得税(法人税)と消費税がかかります。また個人が貰う給料には所得税がかかりますが、通勤手当(交通費)は一定の限度額までは所得税は非課税になります。個人の場合の消費税はすでに買い物などで支払っているので(非課税となり)支払う必要はありません。
会社の場合は年度の課税売上高が1000万円以下であれば消費税は非課税になります。つまり会社と個人で所得税と消費税の非課税の意味と扱い方が税区分で違うので混乱してしまうのです。特に交通費の消費税がややっこしいので面倒です。では交通費の消費税が気になるタイミングを紹介します。
経理の計算で
会社の経理担当者は、本体価格と消費税をはっきりと分けて計上する必要があります。個人に支払う通勤手当でも経理上は定期代の本体価格と消費税を分ける必要があります。定期代は交通費なので内税です。前述の計算方法で消費税を割出さなければなりません。
会社が支払う消費税とは、総売上の10%から経費などで実際に支払った消費税を差し引いた金額を納める必要があります。つまり経理で経費として支払った消費税をしっかり計算しておかないと会社が払う消費税額が大きく変わる可能性があります。そこで内税の交通費の計算が気になるのです。
請求や清算時に
出張から帰った時に、旅費交通費の清算を経理に請求します。清算時に提出する領収書が公共交通機関のものであれば内税と決まっているので経理担当者も迷うことはないのですが、宿泊が伴う場合、領収書の書式はホテルによって内税もあれば外税もありまちまちなので税区分に注意する必要があります。
領収書には金額だけで、消費税額や税区分が明示されていないことが多々あります。出張した本人もうっかり領収書の金額に消費税を加えて清算請求することがあります。領収書が内税の場合は消費税の二重清算になってしまいます。そのため経理は清算時に請求された領収書の税区分には気を使います。
交通費の消費税の仕組み
交通費の消費税は基本的に本体価格の10%です。しかし交通費とは実際にはどのような費用なのでしょうか。意外に交通費とは思わずに知らないで請求し忘れて見落としている場合があります。
例えば出張に公共交通機関を利用した場合は問題ないのですが、自分の自家用車で出張した場合には、高速代やガソリン代がかかります。高速代は内税の交通費ですがガソリン代には消費税の他にガソリン税や石油税が入っています。また航空機を利用した時にも税区分が複雑です。
それでは交通費にまつわる消費税の仕組みは一体どのようになっているのでしょう。一口に交通費といってもその税区分は様々です。その疑問を解消するために交通費の消費税の仕組みを紹介します。
交通費の税区分
消費税は非常にうまく考えられた税区分で、悪い言い方をすれば非常にずるい税の徴収手段です。例えば輸入品には関税が、お酒には酒税が商品の価格の中に入っています。バスや車両には重量税、電車の運行には電気税、車のガソリン代にはガソリン税や石油税、飛行機代には燃料税が含まれています。
しかし消費税は本体価格にどんな税金が含まれていようと関係なしに、本体価格×10%なのです。つまり消費税とは様々な税区分を無視して一律に本体価格に10%をかける税金です。ですから交通費の消費税はどんな場合でも本体価格(他の税金を合わせた)金額の10%なのです。
公共機関の交通費は消費税込み
バス・タクシー・電車・新幹線・船舶・航空機などの公共機関の交通費は、消費税込みの内税で表示されるのが原則です。つまり公共機関が発行する領収書は、そのままの金額で経理清算して構いません。
たまに観光地などに出張した場合に、取材やデータ収集のために観光船や人力車に乗った場合の領収書には金額だけが表示されている場合があります。しかしどのような交通機関でも原則は消費税込みなので、後で請求清算する際に記憶が薄れていても消費税の外税請求をしないように気をつけましょう。
出張費の場合は宿泊代金もチェック
地方や遠方に出張した場合には宿泊することがあります。この宿泊代も旅費交通費として経費計上が認められています。しかしこれを悪用する人が多いのも事実です。そのために経理責任者は宿泊代金には目を光らせます。
宿泊の領収書には、宿泊代の他に飲食代や遊興費も含まれます。遊興費には食事以外に楽しんだカラオケや盛り上げるために呼んだコンパニオンや芸妓の代金も含まれます。接待のためにどこまで必要なのかの判断が難しいのが現実です。
その結果取引先との成果が得られれば問題ないのですが、自分が楽しみたいだけの遊興費は問題です。このように交通費(宿泊費)の清算には様々な要素が絡んでくるので要チェックです。
交通費の消費税が非課税になる場合
非課税とは前にも説明しましたが、税金がかからないという意味です。しかし消費税は何を買うにも無条件でかかる税金です、ここで交通費の消費税が非課税になる場合というのは、交通費が所得税の課税対象にならない場合という意味です。
例えば会社から給料を受け取る場合、所得税が差し引かれています。それを源泉徴収税と言いますが、税額の計算は基本給に各種手当を合算した額に課税され、交通費(通勤手当)には課税されず非課税になっています。
給与の通勤手当(交通費)にはすでに支払った消費税が含まれています。つまり通勤手当(交通費)に含まれる消費税も結果的に非課税対象になるという意味です。ただし1ヶ月の交通費が15万円を超えると課税対象になります。
通勤手当で非課税となる対象は、交通機関で通勤する人、車両や自転車など交通用具で通勤する人、定期乗車券で通勤する人、交通機関+交通用具を利用する人です。それぞれの場合で非課税限度額などに違いがあります。
交通機関で通勤する場合
交通機関とは、バス・電車・新幹線・船舶などの公共交通機関のことで、これらの運賃は全額(1ヶ月15万円以内)通勤手当として非課税になります。ただし国税庁の通達では「通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合」となっています。
自宅から会社まで距離があり、新幹線を利用しなければならない場合には通勤手当として非課税になりますが、グリーン車の利用料金や、在来線で十分通勤が可能なのに新幹線を利用する場合は非課税になりません。要するに楽だからという理由で経済的でない高い交通費の利用は認められません。
定期券で通勤する場合
定期券で通勤する場合は、1ヶ月の金額が15万円を超えない限り全額非課税になります。通勤距離が長く定期代が1ヶ月15万円を超えてしまう場合、全額を会社が支払ってくれる場合は超えた金額が課税対象になりますが、会社によっては認めない場合があるので、社則などを確認するようにしましょう。
また定期の期限が切れて、うっかり買い忘れて新しい定期を買うまで普通の切符で通勤した場合の交通費は非課税にはなりません。もっとも会社は定期代以上の金額は支給してくれないのが一般的です。
交通用具を使用する場合
車やバイク、原付、自転車などの交通用具を使って通勤する場合は、法律では非課税限度額が通勤距離によって定められています。片道の通勤距離が2km未満の場合は全額、2km〜10km未満は4200円、10km〜15km未満は7100円、55km以上は31600円、15km〜55kmの間も細かく規定されています。
しかし、これはあくまで法的な非課税限度額であり、会社によっては交通用具での通勤を禁止しているところもあります。交通用具通勤を認めている会社でも、駐輪場や駐車場のスペースなど条件はまちまちなのでよく確認するようにしましょう。
交通費の消費税の仕組みを知っておこう
電車の切符や定期券などの交通費の消費税は、内税で代金の中に含まれています。1200円の切符を購入した場合には109円の消費税を払ったことになります。
交通費とは通勤手当だけでなく、出張旅費や宿泊代も含まれます。旅費の消費税は原則内税ですが、宿泊費は外税の場合もあります。経理などで出張費を清算する際には、消費税の内税・外税の仕組みを混同しないようにしましょう。