神棚のお札の正しい並べ方を覚えよう!
結婚や引っ越しなどを機に、新たな神棚を祀らなければならなくなることがありますが、神棚に関する作法をちゃんと知っている人は意外に少なく、神棚にお札を並べる際に間違った並べ方をしてしまうという人も結構います。
最近では神棚を設置しない家庭もありますが、ほとんどの家庭では台所などに火をつかさどる神様などの神棚を祀っています。「家から火事を出さないように」などという願いが込められたお札を神棚に祀るのは、日本の昔からの伝統です。
実家には神棚があるけれどお札の並べ方などは知らないという人も多く、義両親などが遊びに来た時に神棚のお札の並べ方のことで小言を言われるといったこともあります。
神棚のお札の飾り方や並べ方にはちゃんとルールやマナーがあり、それらを守らなければ神棚を祀る意味はないと言えるので、神棚のお札の正しい並べ方を覚えましょう。
お札とは
それではまず、神棚に並べるお札について知っておきましょう。実家や両親の実家などには神棚があっても、神棚に並べてあるお札の並べ方を知らないだけではなく、神棚のお札とはいったいどういうものなのかを知らないという人もいます。
最近の若い人の場合家のことは何もかも親がやってくれていたため神棚のお札のことなど知らないという人も少なくありませんので、神棚のお札がどういうものなのかを知らなくても恥ずかしくはありません。
ですが結婚して所帯を持ち、自宅に神棚をお祀りするようになるなら神棚のお札とはどういうものなのかということもきちんと理解しておく必要があります。
神棚に並べるお札とはいったいどういう目的でどのような手順を踏んで入手するものなのか、神棚に並べるお札についてご紹介しましょう。
神社で神職が神前にて祈祷・お祓いしたもの
神棚に並べるお札は、神社で神職が神前にて祈祷・お祓いしたもので、願い事は様々です。神社では神棚に並べるお札を授かることができますが、台所の神棚用のお札とそれ以外の所に祀る神棚とでは納めるお札の種類が違います。
台所のように火を取り扱う所に祀る神棚には、火事が出ないようにという願いを込めたお札を祀りますが、床の間などに祀る神棚には火事避けのお札ではなく厄除けや開運などの願いを込めたお札を祀ります。
神棚は神様の通り道を作るためのものではありますが、台所と台所以外の所というように複数の神棚を祀っても大丈夫で、昔から日本では二つの神棚が当たり前でした。
神棚に並べるお札はお年始に授かるものもあれば、引っ越し先で引っ越した時に授かるものもありますが、いずれも火事避けや厄除け開運などのお札です。
神棚に祀るお札の種類と順位
神棚に祀るお札がどういうものなのかについてご紹介しましたが、実は神棚のお札は願い事の目的以外にも種類があります。そしてそれだけではなくその種類別にお札の順位がはっきりと決められていますので、これらが並べ方に関わってきます。
神棚に祀るお札には神社ごとに格のようなものがあり、どの神社から授かったお札であるかによって神棚のどこにどのように祀るのかが違ってきます。もちろんお札が一つしかないなら迷う必要はありませんが、複数ある場合には注意が必要です。
例えば有名な神社が近くにある場合には地元の氏神様の他にもお札を授かるケースもありますし、家の宗教が神道である場合にはそちらからお札を授かるでしょう。
神社は意外にたくさんあるため、あちこちの神社でお札を授かることもありますので、神社に祀るお札の種類と順位についても知っておきましょう。
神宮大麻
神棚に祀るお札の種類で最も順位が高いのは、神宮大麻(じんぐうおおぬさ)と言われるお札です。神宮大麻は伊勢神宮のお札ですが、この伊勢神宮という神社は昔から「お伊勢参り」などが有名な日本の神社の総本山とも言える総氏神です。
江戸時代などには江戸からはるばる伊勢神宮まで旅をするお伊勢参りが流行しましたが、当時は新幹線などなかったため皆歩いて伊勢神宮のお札を授かりに行きました。それほどに伊勢神宮は日本人にとって大切な神社だということです。
伊勢神宮で授かる神宮大麻は他の神社のお札よりも格が高い扱いですが、実は伊勢神宮から全国各地の神社にも配布されているためどこでも授かることができます。
神宮大麻というお札には「天照皇大神宮」という神号と印がありますが、これは八百万の神々の中で最も位の高い神様のことを表しています。
氏神神社のお札
神棚に祀るお札には他に、氏神神社のお札もあります。地元の神社というものがあり、それを氏神神社と呼びますが、お正月などに町内会長さんなどが持ってきてくれる焼いたお餅などは、この氏神神社のどんど焼きで焼かれたものです。
さほど有名ではない小さな神社は日本全国あちこちに星の数ほどありますが、それらの神社の近辺に住んでその神社を信仰している人達のことを氏子と言います。その氏子達に授けられるのが氏神神社のお札です。
生まれてから死ぬまでずっと同じ土地に暮らしている人の場合氏神神社は一生変わりませんが、結婚などで違う土地に引っ越すと引っ越し先の神社が氏神神社になります。
要は氏神神社とはその地域に住む人達みんなの神様なので、誰かがよそから引っ越してきたらすんなりと受け入れ、氏子として守ってくれます。
崇敬神社のお札
神棚に祀るお札には他に、崇敬神社のお札というものもあります。最寄りの神社ではないけれど、商売繁盛や開運や家内安全など色々な加護を受けられることで有名なメジャーな神社などで授かったお札は崇敬神社のお札になります。
日本各地には有名な神社が沢山ありますが、特に京都などには商売繁盛の神様として知られる伏見稲荷神社や結婚式などにも使われる平安神宮など全国的にメジャーな神社がいくつもあり、お札を授かりに行く人はとても多いです。
氏神神社にお参りに行くだけでなくこうしたメジャーな神社にもお参りに行ってお札を授かる人は意外に多く、複数のお札を授かってくる人は少なくありません。
このように神棚に祀るお札の種類は大きく分けると三つありますが、それぞれ格などが異なるため並べ方や飾り方には注意が必要になってくるということです。
神棚への2枚以上お札の正しい祀り方・並べ方【三社造り】
神棚に祀るお札の種類と順位についてご紹介しましたので、次はいよいよ神棚のお札の祀り方と並べ方についてご紹介します。神棚に2枚以上お札を並べて祀るという場合には「三社造り」という並べ方をしなければいけません。
先にご紹介した神宮大麻のお札は最寄りの神社などでも授かることができるため、神宮大麻のお札と氏神神社のお札と崇敬神社のお札をすべて授かるというケースも少なくなく、祀り方に迷った末に間違う人も多いです。
中には適当な順番で並べて祀ってしまう人などもいますが、これはとんでもない間違いです。お札を正しい並べ方で並べなければ、お札に対して失礼に当たります。
それでは神棚にお札を2枚以上祀る時の正しい祀り方と並べ方である三社造りというお札の並べ方について分かりやすくご紹介していきましょう。
三社造りの特徴
神棚に2枚以上のお札を並べる並べ方としてまず挙げられる三社造りの特徴は、神社から授かったお札を横に並べるということです。三社造りでは神棚にお札を横に並べるので、どちらかと言えば大き目の神棚に向いている並べ方になります。
家庭に祀られている神棚には色々な種類があり、とても大きなものもあれば小さなものもあります。床の間などにある神棚は大体横に広く作られている物で、こういった神棚には三社造りの並べ方が向いています。
台所用の神棚は幅が狭く小さなものが多いため、三社造りの並べ方は向いていませんが、基本的に台所用の神棚には火事避けのお札しか祀らないため、三社造りの並べ方ができるような大きな神棚は必要ないと言えます。
並べ方の順番
三社造りの特徴は2枚以上のお札を神棚に横に並べるということですが、三社造りの正しい並べ方の順番は、真ん中に最も位の高いお札、その次に位の高いお札は向かって右側、最も位の低いお札は向かって左側に置くという順番です。
具体的に言うと三社造りで順番にお札を並べる場合には真ん中に最も位の高い神宮大麻のお札を立て、向かって右側に氏神神社のお札を並べ、向かって左に崇敬神社のお札を並べれば間違いはないということです。
お札が4枚以上場合には真ん中に神宮大麻のお札、右側に氏神神社のお札を並べるのは変わりませんが、崇敬神社のお札の奥に他の神社のお札を並べることになります。
つまり崇敬神社のお札が複数ある場合には、その中で最も位の高そうな神社のお札を一番手前にして順番に他の神社のお札を重ねるということです。
神棚への2枚以上お札の正しい祀り方・並べ方【一社造り】
神棚への2枚以上のお札の正しい祀り方と並べ方は三社造りだけではありません。先にも少し触れたように、三社造りは幅の広い大型の神棚に2枚以上のお札を並べる際の並べ方で、幅の狭い小型の神棚へのお札の並べ方には向いていません。
昔は日本家屋もとても大きく立派でしたが、昨今ではマンションなどの賃貸住宅に住む家族も増えたため、神棚に使えるスペースが小さい場合あまり大きな神棚を祀ることはできず、とても小さな神棚になることも多いです。
マンションなどの狭い住宅で小さな神棚を祀らなければならない場合にはそれなりの並べ方がありますが、それが一社造りという並べ方です。
神棚に2枚以上のお札を並べる際の正しい祀り方・並べ方の一つである一社造りとはいったいどのような並べ方なのかについてもご紹介しましょう。
一社造りの特徴
昔の日本家屋は寄棟造りなどといったようにとても大きく立派な家が多かったため床の間などに大きな神棚を祀ることが多かったですが、昨今では神棚を祀るスペースが狭く小さな神棚しか設置できない家も増えています。
そんな小さな神棚であっても2枚以上のお札を並べることができるのが、一社造りというお札の並べ方です。三社造りの場合は位の高いものを真ん中にして右と左に順番にお札を並べましたが、一社造りでは一カ所にお札をまとめて重ねます。
そのため小さな神棚でもちゃんと2枚以上のお札を並べることができ、見た目は1枚しかないように見えるお札でも何枚も祀ることができる便利な祀り方です。
昔は台所には小さな神棚、床の間には大きな神棚を祀っていましたが、昨今では住宅事情などの関係でどちらも小さな神棚を祀る家庭が増えています。
並べ方の順番
一社造りは小さな神棚でも2枚以上のお札を並べることができますが、並べる順番は一番手前に最も位の高いお札を置き、その後ろには次に位の高いお札、その後ろには位の低いお札を置くというように、手前から奥に順番に並べる祀り方になります。
崇敬神社のお札が複数ある場合には、その神社の格の高さなどを比べて順番に奥に向かって重ねていきます。神社めぐりが好きな人や商売などをしている人はたくさんのお札を授かることがありますが、たくさんあっても順番に重ねればOKです。
こちらも三社造りの場合と同じで最も位の高い神宮大麻のお札を最も手前に置き、次に氏神神社のお札、最後に崇敬神社のお札という順番で置きます。
崇敬神社のお札が複数ある場合でも順番に手前から奥に並べていけば良いので、一社造りは小さな神棚でもたくさんのお札を並べられる便利な祀り方だと言えます。
神棚に祀ったお札の方角・向き
神棚にお札を祀る際の祀り方や並べ方の順番も大切ですが、並べ方の順番以前にお札の方角や向きが大切なポイントです。実は神棚を祀る方角や位置にも決まりがあり、そこに祀るお札の向きや方角も神棚を祀る方角に従うようになります。
エジプトのピラミッドの入り口はみな同じ方向を向いていますが、日本の神棚も祀る方角がちゃんと決まっているため、それに従って神棚を祀るのにふさわしい場所に祀ることが大切です。
なので引っ越しなどによって神棚を新たに設置しなければならなくなった場合には、神棚のお札の祀り方以前に神棚をどのような場所に設置するのかをきちんと把握し、場所を確保する必要があります。
基本は南向き・東向き
神棚を祀る方角と向きは、神社の入り口の方角と向きと同じにしなければなりません。日本の神社の入り口は南向きか東向きなので、神棚の方角と向きは神社と同じく南向きもしくは東向きにする必要があります。
神社の入り口が南向きか東向きだということの理由は太陽にあります。太陽は東の空からのぼり、南の空を通って西の空に沈んでいきます。
神社の入り口と同じように神棚の方角を東向きや南向きにすると、日に焼けてしまったりしそうですがそういう訳でもありません。もし東側に窓のある部屋に東向きに神棚を祀るなら、神棚を祀るのは西の壁になります。
また南側に窓のある部屋に南向きに神棚を祀るなら、神棚を祀るのは北の壁になります。なので東向きでも南向きでも神棚が日光で焼けてしまうようなことはありません。
大人の目線より上に祀る
神棚の祀り方で方角や向き以外に大切なのが高さです。神棚は大人の目線より上に祀るのが基本で、天井に届かないまでもかなり高い場所に祀る必要があります。また人があまり下を通らない場所というのも大切な条件になります。
高級マンションなどの場合天井が高いためかなり高い場所に神棚を祀ることも可能ですが、通常の賃貸マンションなどの中には天井がとても低いため高い場所に神棚を祀ろうとしてもあまり高い場所に祀れないこともあります。
天井が低いと部屋の最も高い場所に神棚を祀っても大人の目線程度になる場合もありますが、このような場合には「空」もしくは「雲」という漢字を半紙などに書いて天井に貼り付けると高い場所扱いになります。
神棚がない家でのお札の祀り方
それでは次に神棚がない家でのお札の祀り方をご紹介します。賃貸住宅などでどうしても神棚を祀る場所がない場合には「お札を祀る場所がない」と困ってしまってどこかに仕舞い込む人もいますが、それはいけません。
神棚がないならないなりにお札を祀る場所を探して祀らなければ、折角授かったお札がもったいないです。お札を祀る場所は必ずしも神棚でなければならない訳ではないので、神棚以外にお札を祀るならどんな場所が良いのかをご紹介しましょう。
お札を祀るのに適した場所
神棚がない場合にお札を祀るのに適した場所は、神棚の場所と同じく高い場所です。例えば東に窓のある部屋の西側の壁に洋服ダンスなどがある場合には、そのタンスの上にお札を立てて祀ればOKです。
また南に窓のある部屋なら部屋の北側の本棚などの上にお札を立てて祀れば良いです。要はタンスや本棚などのように高い場所にお札を置くことができるならそれで良いということなので、そういう場所を探してお札を祀りましょう。
方角・向き
神棚がない場合にお札を祀る場所は部屋の中のタンスや本棚の上でOKですが、この場合もお札の方角と向きが重要になります。東に窓がある部屋の西側の壁に沿ってタンスや本棚などがあれば、その上に東向きにお札を祀りましょう。
南に窓がある部屋の北側の壁にタンスや本棚があれば、その上に南向きにお札を祀れば大丈夫です。賃貸住宅などでは壁に何かを取り付けてはいけない場合も多いですが、高い場所に南向きか東向きにお札を置けば問題ありません。
部屋の中の高い場所は掃除を怠りがちで知らない間に埃が溜まってしまったりしますが、お札を置く場所は清潔にしなければいけないので常に埃を払うなどして清潔に保ちましょう。
神棚に祀ったお札の処分の仕方
それでは次に、神棚に祀ったお札の処分の仕方についてご紹介します。神棚のお札の処分方法を知らない人は意外に多く、普通の紙ごみと同じように燃えるごみに出してしまうというとんでもない人もいます。
お札は神棚に祀り大切に扱う物なので、燃えるごみに出すなどという処分をすればそれこそばちがあたってしまいます。神社から授かったお札の処分の仕方はちゃんと決まっていて、正しい処分方法を取る必要があります。
神棚に祀ったお札はいったいどのようなタイミングで処分すべきなのか、どのように処分しなければならないのかについてもご紹介しましょう。
お札の交換の目安
お札の交換の目安は大体一年で、初詣の時に授かったお札はまた次のお正月に処分します。昔は神社へのお参りをした際に神社からお札を購入していましたが、お札を購入することは神社への寄付のようなものでした。
そのため一年の始まりにお札を授かり、また次の一年の始まりに古いお札を処分して新しいお札を授かるというのが世間一般的な習慣になっていました。
その習慣が今でも残っていて、神社から授かったお札は一年経ったら新しいお札に交換するのが一般的であると言われていますが、中途半端な時期に引っ越しなどでお札を授かった場合には一年未満で交換することもあります。
お札の処分方法
神棚のお札の処分方法は、お札を授かった神社に引き取ってもらうことです。お札を引き取った神社での処分方法は「お焚き上げ」や「どんど焼き」などのように神社の境内で注連縄などと一緒に燃やすという処分方法です。
お札の処分方法がお焚き上げである場合にはただ単にお札を処分してもらうだけですが、どんど焼きの場合はミカンやお餅などをその火で焼いて食べることで一年の健康を祈念することもでき、一石二鳥の処分方法になります。
またどんど焼きに参加できなかった場合でも、近所の氏神神社でお札を処分してもらった場合には世話役の人などが焼いたお餅を持ってきてくれたりします。
お札を正しい並べ方で神棚に祀ろう!
神棚のお札の正しい並べ方などについてご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。神棚のお札の並べ方や神棚の向きなどには決まりがありますが、そう面倒な決まりではないので、お札を正しい並べ方で神棚に祀りましょう。