オイミャコンはどんな場所?
ロシアにある世界で最も寒い国オイミャコン。最近では人が住む地域で一番寒く、美しい場所として観光地にもなってきています。
今回は、オイミャコンの気温や住んでいる人たちの生活などについても解説しますので、ぜひこの機会にオイミャコンを知っておきましょう。さらに、旅行で行ってみようと思っている方のために、日本からオイミャコンまでの行き方もご紹介します。
ロシアにある世界で最も寒い定住地
オイミャコンは、世界で最も寒い定住地で半年以上の季節が冬になっています。場所はロシアのサハ共和国から北東にあるオイミャコン地区の、さらに西へ2km進んだ場所にある村です。村の近くには川と平原が多いのですが、川から数キロほど離れると丘陵地帯が広がっています。
オイミャコンは標高740mに位置し、人口が2010年では462人しかいませんでした。そして、2019年現在も500人程度しか住んでいないでしょう。
サハ共和国とは
サハ共和国とは、ロシアの連邦構成主体国の一つです。日本でいう地方自治区と同じ意味になるのですが、国家主権宣言などを行っていた国で主権国家ということにもなっています。
ロシアの中でも大きい国となっており、ダイヤモンドなどの鉱石が取れる名産地ともなっています。ですので、輸入されているダイヤモンドでロシア産と記載されているものは、ほとんどがロシア全土ではなくサハ共和国で発掘されたものになります。
元々は流刑地だった
オイミャコンという村が最初に知られることになったのは、20世紀ごろです。当時は、今より暖房設備も少なく生活も苦しかったため、ロシアの流刑地としても使われていました。今のオイミャコンからは、まったく想像ができないほどの暗い過去です。
昔、ソ連の独裁者たちはオイミャコンに人を送るだけで、人々を苦しめることができると考えていました。現在は観光地として人々から愛されていますが、悲しい過去があった場所としても知っておきましょう。
長寿の村といわれている
オイミャコンで生活をする住民たちは、気温が寒いためお年寄りになると長くは生きられないと思われてしまうこともあるでしょう。ですが、オイミャコンの平均寿命は世界で2位になったこともあるほど長寿の村です。
お年寄りも元気に生活をしており、100歳を超えていても珍しくはありません。オイミャコンで生活をするヤクート族の人達が長寿なのは、気温が寒いのでウイルスや細菌が凍り感染症にかかる確率が低いからです。
オイミャコンの気温
最も寒い地域といわれている、オイミャコンの気温が気になる方も多いでしょう。北半球の寒極、「北の極寒の地」とも呼ばれていますので、みなさんが想像しているよりもかなり寒い気温になるでしょう。
オイミャコンは半分ほどは冬なのですが、年中冬ではなく夏の季節もあります。夏場の最高気温は、摂氏30度を越える日もあるほど寒暖差の激しい地域でもあります。夏は、24時間暗くならない「白夜」と呼ばれる現象もおきる地域です。さらに、昼間の気温は高いのですが夜になると0度になることもあります。
5月ごろには雪が完全に溶けて、季節は夏に変わります。日本には春夏秋冬がありますが、オイミャコンは春と秋がありません。そして、夏の期間はとても短く4か月後の9月にはまた雪が降り始めます。
平均気温はマイナス50℃
先ほどは夏場の気温を紹介しましたが、冬の平均気温はマイナス50度となっています。そして、2018年1月の真冬には氷点下65度を記録しました。氷点下65度といわれてもしっくりこない方もいるでしょう。
氷点下65度は、目元のみ出しているだけでもまつげが数秒で凍ってしまうほどの寒さです。温度計が壊れてしまうという現象も起こっています。ちなみにオイミャコンで記録した過去最高の気温は、マイナス71.2度です。
気温が上がらない理由
オイミャコンの気温がもっとも寒いのは、シベリアに位置しており永久凍土だからです。一年の半分以上がシベリア気団の影響を受けているので、気温がかなり下がるのです。
さらに、山脈に挟まれている盆地となっています。山に挟まれていることで、オイミャコンでは風がまっすぐ通り抜けずに冷たい空気が溜まり、気温が上昇しにくくなっています。
オイミャコンの寒さで生活する理由
オイミャコンを旅行で訪れた人は、綺麗な村だと絶賛します。オイミャコンという村に、どんな良さがあるのか気になる方も多いでしょう。北の極寒地とまでいわれている寒い地域で、移り変わることなく生活する理由についても詳しくご紹介します。
オイミャコンという名前の由来は「不凍の水」からきているのですが、そのことについても少しご紹介します。
豊富な資源が多く眠っている
オイミャコンには、豊富な資源が多く眠っており水もその一つです。「不凍の水」というのは、そのままの意味で水が凍ることはないということです。オイミャコンは氷点下を記録するほどの寒さですが、天然温泉が湧き出ている土地なので川の水は真冬でも凍ることがありません。
さらに、オイミャコンの氷で覆われた地面の下には、数多くの金が眠っていると言われています。実際1993年には、地面から10トン以上の金が採掘されています。
オイミャコンは、厳しい寒さの中にも砂漠にある街と同じように、オアシスを求めることができる安息の地として先祖から受け継がれている村です。オイミャコンに住む人は、先祖からもらった歴史をなくさないように、凍てつく寒さの中でも人や資源を守りながら生活しているのでしょう。
住人の生活の仕方
オイミャコンに住む人々が、普段からどんな生活をしているのか気になるでしょう。オイミャコンには、「ヤクート族」という人たちが住んでいます。
ヤクート族は牧畜やトナカイの飼育や、さらに漁業などもして暮らしています。ヤクート馬という毛の長い馬もいるので、移動をするときは馬に乗ったりもします。
気温が寒い為野菜などは育たないので、肉や魚が生活する中で重要になります。肉や魚は小さな市場で売られているのですが、気温が寒くすぐにフリーズドライになるので新鮮さが保たれたままでとても美味しいでしょう。
学校も、気温がマイナス56度になるまでは休校になりません。ですので、子ども達は何枚もの重ね着をして顔もマフラーをして目元だけを出しています。そして、ロシアでも端の地域の田舎なのですがスマートホンも普通に使える電波も通っています。
オイミャコンの行き方
オイミャコンはロシアの中でも一番寒い地域なのですが、ちょうど北海道の左上あたりに位置しています。意外と近いようにも思えるでしょう。日本からオイミャコンの行き方は簡単なのですが、少し長い道のりになります。今回は、旅行に行く人がよく使うオイミャコンへの行き方をご紹介します。
日本から行けるルート
日本からオイミャコンまでの行き方は、まず千葉県にある「成田国際空港」から飛行機で中国の首都「北京」に向かいます。そこから、また飛行機に乗りサハ共和国の首都「ヤクツク」に行きオイミャコン村まで車で向かいます。
一般的なルートを簡単に説明しましたが、オイミャコンまで行くには片道2日程度はかかります。飛行機に長時間乗っているのも相当しんどくなりますが、ヤクーツクからオイミャコン村までは車で1日かかります。オイミャコンではお祭りも開催されるので、ツアーもありますがレンタカーを借りるのなら運転ができる人と複数人で行きましょう。
オイミャコンまでの費用
オイミャコンの旅行は行き方でもご紹介していますが、往復で4日かかります。ですので、最低でも1週間ほどの長期旅行プランを組む行き方が最適でしょう。オイミャコンのお祭りに参加する、旅行プランを使った行き方もあります。時間や場所が決められていますが、航空代を除いて30万円ほどあれば行けるでしょう。
ですが、やはり旅行なのでオイミャコンまでの行き方や時間、着いてからの場所に縛られずに楽しみたいという方も多いでしょう。ツアーに参加せず個人で行くのならば、最低でも40万円ほどかかりますので覚えておきましょう。
オイミャコンに行くときに注意すること
先ほどもお話ししていますが、オイミャコンの気温は目元を出しているだけでもまつげが凍るほどの寒さとなっています。
体調を崩してしまってはせっかくの旅行が楽しくなくなってしまうので、あらかじめ防寒対策は万全にしておきましょう。他にも注意することがいくつかあるので、覚えておきましょう。
メガネを外す
オイミャコンに滞在するのなら、寒すぎるためメガネを外していきましょう。メガネをかけていると、メガネの金属部分が皮膚にくっつき外れなくなってしまいます。ですので、普段からメガネをかけている人は注意しましょう。2分か3分ほど外に出れば、すぐに凍傷になってしまうので分厚い手袋も忘れずに身に着けておきましょう。
アクセサリーなどの小物に注意
せっかくの旅行なので、アクセサリーを身に着けておしゃれを楽しみたい方もいるでしょう。アクセサリーでも、もちろん金属製のものも注意が必要になりますが、プラスチックやビニール素材でできているものも身に着けるのは控えましょう。
プラスチックやビニール素材のものは、凍ってしまうとさらさらした粉末状に早変わりしてしまいます。ヤクーツクのほうに旅行する際は、なるべくアクセサリーなどは付けないようにしましょう。
車のエンジンは停めない
もし車でオイミャコンへ向かうのなら、エンジンを停めないようにしましょう。寒すぎるため、車のエンジンを一度きってしまえば、二度とつかなくなるのでかけっぱなしにしておきましょう。オイミャコンに住んでいるヤクート族の人たちも、エンジンが凍ってしまうことを恐れてずっとかけたままにしています。
ドアノブには素手で触らない
エンジンの次に、ドアノブを素手で触らないようにするのも注意しなくてはならない大事なことです。素手で触ってしまうと、メガネと同じで手とドアノブがくっつき外れなくなってしまいます。
もしくっついてしまったら、焦って無理に引きはがさないように現地の人や観光案内をしてくれている方を呼びましょう。もう一度言いますが、手の皮が取れてしまうので無理に引きはがさないようにしましょう。
ホテルは無い
オイミャコンは、季節の絶景や住民の生活が見れる観光地となっています。ですが、田舎でごく少数の民族が暮らしている土地なため、大きいホテルなどはありません。オイミャコンにホテルはないのですが、2018年にログハウスが2棟建てられました。ログハウスはすぐ満室になるため早い予約をするか、民家に泊めてもらうかをあらかじめ決めておきましょう。
洗濯物は一度凍らせる
洗濯物を凍らせることは注意点ではないのですが、知っておいて損はない裏技です。肉や魚がフリーズドライになるのと一緒の原理で、洗濯物や靴も外に置いておけば一瞬で凍ります。ヤクート族の人たちは洗濯機がないので、手洗いをして外に干します。数分で凍り付くので、その凍った洗濯物の表面についた氷を払い落とせば綺麗に乾きます。
オイミャコンでの極寒祭り
オイミャコンでは、「極寒祭り」というイベントがあります。このお祭りは、毎年3月に開催される催しで様々な体験ができます。ですので、旅行は3月に行くと楽しいお祭りをみることができるでしょう。
オイミャコンの極寒祭りには、オイミャコンでしか経験できないイベントも多いので、ぜひこの機会に体験しておきましょう。
オイミャコンでしか経験できないイベントも多い
極寒祭りには、オイミャコン伝統衣装の展示や現地の音楽に合わせた踊りも開催されます。さらに、半年以上が冬のオイミャコンでしかできないトナカイのレースや犬ぞり、氷穴での魚釣りもあります。
オイミャコンは3月でもマイナス40度しかないので防寒対策は必須ですが、楽しいお祭りになることは間違いないでしょう。ヤクート族の人たちも優しい方が多いので、交流をすることも一つの楽しみとなります。
オイミャコンとは反対に世界で最も暑い国は?
オイミャコンは世界で最も寒い国といわれておりギネスブックにものっていますが、反対に最も暑い国はどこなのか気になる人もいるでしょう。世界で一番暑い国といわれているのが、アフリカ北東部にある「ジブチ共和国」です。
ジブチ共和国は、日本から1万kmも離れたところにあります。かなりの猛暑となっていますが、人口は約90万人が暮らしています。オイミャコンと似ていて一年のほとんどが夏になっており、夏季と乾季のみしかありません。
年間で平均の最高気温は30度くらいで、真夏になると50度以上も気温が上がります。これだけ暑いとプールや海に入りたくもなりますが、真夏にはプールが熱湯になるので使用禁止となっています。
オイミャコン旅行はイベントに合わせて行こう!
今回は世界で最も寒い、ロシアにあるオイミャコンという村についてご紹介しました。オイミャコンは極寒祭りという現地ならではの伝統的な祭りが開催されたり、冬と夏ではまた違った美しい景色を見ることが出来ます。オイミャコンまでの行き方をしっかりと把握して、最高のイベント旅行にしましょう。