アネモネとはどんな花?
アネモネは、春に咲く代表的な花のひとつです。一重咲きのアネモネを品種改良し、現在では半八重咲きから八重咲きと、さまざまな花の形があります。また、赤やピンク、紫などの単色の花の他に、グラデーションがきれいなものもあります。今回は、アネモネの花言葉と由来の他に、色別や種類別の花言葉についても紹介します。
アネモネの花言葉は「怖い」というイメージがあるようです。実際にどのような言葉から怖いイメージがついたのかについても検証します。
アネモネの花の概要
花言葉を紹介する前に、アネモネについて学びましょう。アネモネの開花時期と花の色を知ることは、自分で育成するときに役立ちます。また、プレゼントをするとき、開花時期やどのような花の色があるのか知っておくと便利です。また、名称と原産地についても紹介します。
開花時期・花色
アネモネの開花時期は、3月~5月頃です。市場に出回る時期も、3月~5月と開花時期と同じで、最盛期は4月頃です。切り花の日持ちは、4~5日程度です。アネモネの代表的な花の色は、赤・白・紫・ピンク・青など単色の他に、スカーレットやレッドバイカラーなど複色のアネモネもあります。
名称・原産地
アネモネは、キンポウゲ科イチリンソウ属になります。学名はAnemone coronariaです。アネモネには別名が存在し、ボタンイチゲ(牡丹一華)・ハナイチゲ(花一華)・ベニバナオキナグサ(紅花翁草)などと呼ばれることもあります。アネモネの原産地は、地中海沿岸です。
アネモネ全般の花言葉と由来
怖い花言葉が多いと言われるアネモネですが、実際にはどのような花言葉があるのでしょうか。アネモネの花言葉の意味や由来を見ていきましょう。西洋でのアネモネの花言葉も紹介します。また、アネモネの花言葉は、ギリシャ神話に由来していると言われています。「西風の神ゼフュルスの神話」「アドニスの神話」についても紹介します。
アネモネの花言葉の意味
アネモネの花言葉は「はかない恋」「見捨てられた」「見放された」「見捨てられた」「恋の苦しみ」「辛抱」「無邪気」「期待」「可能性」「清純無垢」「薄れゆく希望」「嫉妬のための無実の犠牲」など、さまざまな意味があります。
怖いイメージがあるアネモネの花言葉ですが、「はかない恋」や「見捨てられた」など、悲しいイメージの方が強いようです。捉え方によっては、考えるのも怖いほど悲しい出来事を意味しているのかもしれません。
ギリシャ神話が由来
紹介したさまざまなアネモネの花言葉は、ふたつのギリシャ神話が由来と言われています。このふたつのギリシャ神話に、アネモネの「怖い」というイメージの由来の秘密が隠れています。ここからは、ギリシャ神話「西風の神ゼフュルスの神話」と「アドニスの神話」について、それぞれの話の内容を紹介します。
西風の神ゼフュロスの神話
ギリシャ神話の「ゼフュロス」は、「ゼピュロス」や「ゼフィロス」とも呼ばれる西風の神です。春の風をもたらす穏やかな性格である一方、激しく妬み疑い深い一面もあります。ゼフュロスは、妻である花の神「フローラ」よりも侍女の「アネモネ」を愛していました。
事情を知ったフローラは、アネモネを追放してしまいました。ゼフュロスは、アネモネを花の姿に変えることで、すっと一緒にいたと言われています。フローラの怒りを静めるため、アネモネを花の姿に変えてしまったとも言われています。このような由来から、怖いイメージがついたのかもしれません。
アドニスの神話
アドニスは、美と愛の女神「アプロディーテー」を虜にした美少年と言われています。アプロディーテーが子どものエロース(キューピッド)と遊んでいたとき、エロースの矢がアプロディーテーの胸に当たってしまいました。傷が癒える間もなく、アドニスに恋をしました。
常にアドニスと行動を共にし、野山で一緒に過ごしました。ある日、アドニスが矢を射たイノシシに、脇腹を貫かれてしまいます。悲しんだ女神アプロディーテーが流した涙が、アネモネの花になったと言われています。
悲しいイメージのアネモネの花言葉は、悲しいアドニスの神話に由来していると言えるでしょう。
アネモネの西洋での花言葉
日本と海外では、花言葉の意味が違うことがあります。アネモネの西洋での花言葉を紹介します。フランスでは「清浄無垢・無邪気・辛抱」という意味になり、明るいイメージがあります。イギリスでは「待望・病気・消えた希望」という意味になり、怖くて悲しいイメージがあります。
西洋全体的には「anticipation:期待」「forsaken:見捨てられる、見放される)」という意味になります。アネモネの花言葉は、日本と西洋どちらも明るいイメージと怖くて悲しいイメージがあることがわかりました。
矛盾するイメージのようにも感じられますが、どちらも切り離せない密接な関係の言葉ではないでしょうか。見捨てられても期待してしまう、という人間の心理をうまく表現しているようにも感じ取れます。単純明快ではないアネモネの花言葉は、奥深く興味深いです。
アネモネの花言葉【色別】
アネモネの花は、赤や白、ピンクの他に、紫と青などの色があります。アネモネの花の色それぞれに、花言葉があります。花をプレゼントするときは、アネモネに限らず、色選びに迷うこともあるでしょう。相手の好きな色を贈りたいというときにも、どんな花言葉の意味があるのか知っておくと良いでしょう。
ここからは、色別のアネモネの花言葉について紹介します。アネモネの全体の花言葉と重なるものもあります。
赤いアネモネの花言葉
赤いアネモネの花言葉は「君を愛す」「あなたを愛しています」という意味になります。目を引く情熱の赤い色にぴったりの花言葉です。「わびしい思い」という意味もあり、せつない気持ちを伝えるときにも赤いアネモネはおすすめです。赤い色の花言葉は、「愛」のイメージが強いようです。
白いアネモネの花言葉
白いアネモネの花言葉は「希望」「期待」「真実」「真心」という意味になります。何色にも染まることがない白色は、進学や就職、引っ越しなど、これからの未来に希望と期待を込めて贈る花の色にぴったりです気持ちを新たに一歩踏み出すときに、自分の部屋に白いアネモネの花を飾るのもおすすめです。
紫のアネモネの花言葉
紫のアネモネの花言葉は「あなたを信じて待つ」「信じて従う」「悲しみ」という意味になります。遠く離れた場所にいる大切な人へ、自分の想いを伝えるときにおすすめです。また、遠い場所へ進学や就職、引っ越しする人へ贈るときにも、紫のアネモネは適しています。
ピンクのアネモネの花言葉
ピンクのアネモネの花言葉は「待ち望む」「待望」という意味になります。ふわりとかわいらしいピンクのアネモネは、白いアネモネの花言葉の「希望」や「期待」に近いです。ピンクは、感謝や愛情、しあわせなどのイメージがあります。ピンクのアネモネを贈るとともに、気持ちを伝えてみましょう。
青いアネモネの花言葉
青いアネモネの花言葉は「固い誓い」という意味になります。紫のアネモネと同じ「あなたを信じて待つ」という意味もあります。青は、冷静に物事を判断することが出来る、感情を抑制する色です。邪念にとらわれず、自分の意思を貫き通す固い意志を伝えるときにおすすめです。
アネモネの花言葉【種類別】
アネモネの花言葉は、アネモネ全体と色別の他に、種類別の花言葉があります。アネモネの花の種類は、さまざまあります。
ここでは7種類アネモネ「モナリザアネモネ」「ミストラルアネモネ」「ポルトアネモネ」「デカンアネモネ」「モナークアネモネ」「セントブリジットアネモネ」「絢花アネモネ」をピックアップしました。ここからは、種類別のアネモネの花言葉について紹介します。
モナリザアネモネの花言葉
モナリザアネモネの花言葉は「大人の恋」という意味になります。モナリザは、アネモネの種類中で一番人気があります。草丈は60cmほど成長するので、切り花にもおすすめです。花壇やプランターで育てる場合は、支柱を使いましょう。モナリザアネモネは、単色の花の他に、スカーレットやレッドバイカラーなどもあります。
ミストラルアネモネの花言葉
ミストラルアネモネの花言葉は「気品」という意味になります。ミストラルアネモネは、モナリザアネモネと並んで人気のある種類です。花の大きさは、大人の手のひらサイズほどと抜群の存在感があるため、1輪の花をプレゼントしたいときにもおすすめです。気品あふれる、上品なピンクの花が多いです。
ポルトアネモネの花言葉
ポルトアネモネの花言葉は「一目惚れ」という意味になります。ポルトアネモネは、デカンアネモネやセントブリジットアネモネよりも草丈が低く、20~30cmほど成長します。アネモネの種類の中では草丈が低いく、鉢植えにおすすめです。存在感のある、大輪一重咲きの品種です。
デカンアネモネの花言葉
デカンアネモネの花言葉は「忘れられない」という意味になります。デカンアネモネは、19世紀後半にフランスでつくられた品種です。草丈は、20~40cmほど成長します。ポピーのような大きな花びらで、一重咲きや半八重咲きもあります。可憐な花が、忘れられない淡い恋のイメージにぴったりです。
モナークアネモネの花言葉
モナークアネモネの花言葉は「思い出にふるえる心」という意味になります。モナリザアネモネより若干日持ちするため、切り花にもおすすめです。夏場以外であれば、市場に出回っています。花びらがたくさんつく八重咲きで、菊に似ています。スパーダー咲きとも言われます。
セントブリジットアネモネの花言葉
セントブリジットアネモネの花言葉は「初恋」という意味になります。セントブリジットアネモネは、19世紀にアイルランドでつくられた種類です。モナークアネモネと似ており、八重咲き(スパーダー咲き)で、大輪の花を咲かせます。草丈は20~40cmほど成長するので、生け花にも使われます。
絢花アネモネの花言葉
絢花(あやか)アネモネの花言葉は「少女の頃」という意味になります。絢花(あやか)アネモネは、次々と花を咲かせる多花性の種類なので、特に園芸では人気があります。気温の低い時期は花持ちが良いので、長く楽しむことができます。一重咲きだけでなく、八重咲きもあります。
アネモネの花言葉【本数別】
一般的に本数別のアネモネの花言葉はありません。アネモネを贈るときは、アネモネ全体や色別、種類別の花言葉を参考にすると良いでしょう。本数別のアネモネの花言葉が存在するのは、花屋と花の製造会社などが独自に定めたためのようです。花束を贈る場合は、参考程度に考えると良いでしょう。ここからは、本数別のアネモネの花言葉について紹介します。
1~10本のアネモネの花言葉
1~10本のアネモネの花言葉は「明るい未来へ」という意味になります。普段花を贈らないという人も、1~10本なら気軽に購入しやすい本数ではないでしょうか。恋人や友人、同僚などに、明るい未来へ向かいましょう、という想いを込めて贈りましょう。両親へのプレゼントにもおすすめです。
11~20本のアネモネの花言葉
11~20本のアネモネの花言葉「ずっと変わらない想い」という意味になります。プロポーズの誓いの花言葉として、記念日に贈るときなど、ずっと変わらない想いを伝える場合におすすめです。部屋に飾る本数としても丁度よく、色を組み合わせることで、さまざまな想いを伝えることができるでしょう。
21~50本のアネモネの花言葉
21~50本のアネモネの花言葉は「永遠に共に」という意味になります。アネモネ全体や色別、種別の花言葉にもありません。白いアネモネの花言葉は「希望」「期待」「真実」という意味があることから、白いアネモネの花を21~50本の束にして、花嫁が持つブライダルブーケに使われることが多いです。
50~100本のアネモネの花言葉
50~100本のアネモネの花言葉は「希望」という意味になります。アネモネ全体と白いアネモネの花言葉と同じになります。50~100本であれば、花束にして贈るにもちょっとしたサプライズにちょうど良い本数です。店舗に飾れば、明るい希望に花を添えてくれるでしょう。商売繁盛を願って、開店祝いに贈るのはいかがでしょうか。
100本以上のアネモネの花言葉
100本以上のアネモネの花言葉は「忘れられない記憶」という意味になります。100本以上のアネモネを花束で贈るということは、あまり現実的ではないでしょう。アネモネの花がたくさん咲いている場所が、忘れられない記憶として残っているのかもしれません。忘れられない場所に、色とりどりのアネモネの花を植えるのもおすすめです。
アネモネの花言葉は怖いだけではない!
アネモネ全体の花言葉は、怖いというより悲しいイメージのものが多いです。怖いイメージがあるのは、ギリシャ神話に関係していることがわかりました。色別や種類別の花言葉は、怖いイメージよりも、明るく前向きなイメージが多いです。アネモネの花を贈るときは、花言葉を添えて気持ちを伝えましょう。