てんとう虫の種類・名前を詳しく紹介!特徴・生態や害虫・益虫の違いも解説

てんとう虫の種類・名前を詳しく紹介!特徴・生態や害虫・益虫の違いも解説

てんとう虫について、どれくらいのことを知っていますか。どんな種類がいて、どんな特徴や生態を持っているのでしょう。赤地に黒いドットが可愛いものから、これもてんとう虫かと思うような変わった種類もいます。幸運の象徴とも言われるてんとう虫について、徹底的に解説します。

記事の目次

  1. 1.てんとう虫の特徴・生態【肉食の種類】
  2. 2.てんとう虫の特徴・生態【菌類食の種類】
  3. 3.てんとう虫の特徴・生態【草食の種類】
  4. 4.害のある種類のてんとう虫
  5. 5.役に立つ種類のてんとう虫
  6. 6.てんとう虫の飼い方
  7. 7.てんとう虫は幸運のシンボル
  8. 8.てんとう虫は種類ごとに害虫か益虫か異なる

てんとう虫の特徴・生態【肉食の種類】

Photo byAquilaSol

てんとう虫をその特徴や生態別に分けると、おおよそ3つのグループに分けられます。そのうちのひとつである他の虫を捕食する肉食の種類について、まずはご紹介しましょう。これら肉食のグループに属するてんとう虫は、いわゆる益虫と呼ばれるものが多いです。てんとう虫といえばお馴染みのナナホシテントウも、この種類に属します。

ナナホシテントウ

Photo bykrzysztofniewolny

もはやてんとう虫の代名詞とも言えるのが、このナナホシテントウというてんとう虫です。赤い地に黒い点という特徴に、可愛らしさを感じる方も多いのではないでしょうか。和名はその名前の通り、点が7つあることから付けられました。日本を含むアジアの他、アメリカやヨーロッパにも分布しています。

生態としては、アブラムシを食べることが有名です。成虫だけでなく幼虫も、害虫であるアブラムシを食べます。しかし餌がなくなると、幼虫同士で共食いをするという生態も報告されています。

ナミテントウ

Photo byMyriams-Fotos

黒い翅に赤い紋が2つ並んだてんとう虫を見たことはありませんか。それは、ナミテントウという種類のてんとう虫です。このてんとう虫の大きな特徴は、その模様の多彩さにあります。黒い翅に赤い紋のものもいれば、紋が4つのもの、赤や黄といった翅に多数の紋を持つものもいます。こちらも益虫としてメジャーな種類で、アブラムシを捕食します。

ナミテントウは害虫の天敵として移入されることもありますが、その場所の生態系を脅かすほどの勢いで世界的に広がっているとも言われています。

ダンダラテントウ

Photo bypixel2013

ナナホシテントウやナミテントウよりも小さいという特徴を持つのが、ダンダラテントウという名前のてんとう虫です。翅の色は黒で、そこに独特の赤い模様が広がるという特徴もあります。基本的には黒地に赤い紋が4つという姿ですが、個体によって差が生じています。似た模様を持つナミテントウもいるため、区別が付きくいこともあります。

カメノコテントウ

Photo byOpenClipart-Vectors

黒地にオレンジ色の模様が入ったてんとう虫で、体長が12mmにもなる大型の種類です。翅の模様が亀の甲羅に似ていることから、この名前が付けられました。先にご紹介したてんとう虫とは違い、この種類はクルミハムシの幼虫を食べます。他のてんとう虫と同様に、触ると威嚇のために赤い血のような液を出すという生態を持っています。

ヒメカメノコテントウ

Photo byAnnaliseArt

カメノコテントウと同じような模様があり、このような名前を持っています。模様だけでなく、翅の色にも個体差があります。カメノコテントウが大型の種類だったのに対し、こちらはてんとう虫の中でもかなり小型の種類と言えます。餌もクルミハムシの幼虫ではなく、アブラムシを捕食するのが特徴です。小さいですが、こちらも立派な益虫と言えるでしょう。

ジュウサンホシテントウ

Photo bystanbalik

その名前の通り、オレンジ色の翅に13個の紋があるてんとう虫です。この種類の特徴は、その体付きにあります。他のてんとう虫が丸っこいのに対して、ジュウサンホシテントウは縦に長い体をしています。脚が他の種類に比べて長めなのも、特徴と言えるでしょう。こちらも、捕食するのはアブラムシです。

ウンモンテントウ

Photo byekamelev

このてんとう虫の一番の特徴を挙げるなら、それはやはり模様の美しさにあるでしょう。ウンモンテントウはオレンジ色の翅に黒い紋を持つのですが、ただ黒いだけでなく、周囲が白で囲まれた黒い紋なのです。夏の山地で見られることがありますが、出会うのは簡単ではないようです。

オオテントウ

Photo bycocoparisienne

カメノコテントウと同じように、大型の種類に入ります。よく見かけるナナホシテントウが10mmに満たないのに対し、こちらは13mmもあります。この種類も、幼虫と成虫がアブラムシを捕食します。大型なので見つけやすいかと思いきや、その生息数は少なく、レアな種類だと言えるでしょう。

ベダリアテントウ

Photo byAlexas_Fotos

ベダリアテントウという名前には、どこか日本らしくない雰囲気を感じませんか。紫がかったような赤色の翅に黒い模様のあるこのてんとう虫は、害虫駆除のためにオーストラリアから導入された外来種なのです。成虫は、体がごく短い毛に覆われています。この種類は柑橘類に付くイセリアカイガラムシという害虫を好んで食べ、その食欲も大変旺盛です。

結果、ベダリアテントウはイセリアカイガラムシの防除に成功した例として、図鑑でも取り上げられるようになっています。しかしこれはあくまで成功例であり、外来生物を入れる際には、その生物が日本の生態系を崩さないか熟考する必要があります。

アカホシテントウ

Photo byPIRO4D

艶のある黒い翅に、ぼんやりとした赤い紋がひとつずつ入っているてんとう虫です。翅の縁が少しせり上がって見えるのも、この種類の特徴でしょう。幼虫と成虫共に、餌となるのはクヌギやクリに付くカイガラムシという害虫です。梅の木にもよく付くと言われています。また、脱皮した殻の中で蛹になるという、珍しい生態も持ち合わせています。

ベニヘリテントウ

Photo byNata-Ap

黒地に赤い縁の翅を持つことから、この名前が付きました。ベダリアテントウと同様に、この種類も体が細かい毛に覆われています。ブナ科の植物に付くと言われる、オオワラジカイガラムシが餌となります。このてんとう虫の幼虫は雌のカイガラムシの近くにおり、雌を求めて飛来した雄を食べるのだとも言われています。

ちなみにオオワラジカイガラムシは雄と雌で形態が違い、雄は成虫になると翅を持ち、雌は成虫になってもほぼ幼虫のような姿をしています。てんとう虫にとっては雌も大きな獲物ではありますが、ベニヘリテントウは果敢に立ち向かっていきます。

アミダテントウ

Photo byVictorianLady

「アミダ・トリコロール」という学名を持つこのてんとう虫は、その名前の通り、翅に3つの色を持つてんとう虫なのです。基本となるのは赤茶色で、そこに黄色や黒の紋が入ります。おおよそ2色で構成されているてんとう虫が多いので、これは珍しい種類と言えます。模様の入り方には個体差があり、こちらも体に毛があります。餌はアオバハゴロモです。

てんとう虫の特徴・生態【菌類食の種類】

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てんとう虫はアブラムシを食べる益虫だと思い込んでいませんか?アブラムシを食べるのは肉食性のてんとう虫で、てんとう虫には、他の虫を捕食して食べないものもいます。そんな種類のうちのひとつに、植物に付くカビや病気などの菌類を食べる生態を持つものもいるのです。

キイロテントウ

Photo by urasimaru

名前の通り、鮮やかな黄色をしたてんとう虫です。翅にではなく、頭の方に黒い斑点を持ちます。菌類食の種類なのでアブラムシは食べず、うどん粉病菌を食べます。植物に付いた病気を食べてくれる、益虫だと言えるでしょう。サイズは5mm程度と、てんとう虫の中では小ぶりな種類です。

シロホシテントウ

Photo byClker-Free-Vector-Images

オレンジ色の翅に白いドット模様が特徴的なのが、シロホシテントウです。言わずもがな、見た目からその名前が付けられたてんとう虫です。斑点の数はおおよそ12個であり、規則正しく背中に並んでいます。個体によっては変異によって斑点の数が減る場合もありますが、日本においてはほとんど見られないとのことです。こちらもうどん粉病を食べます。

クモガタテントウ

Photo by urasimaru

クモガタテントウという名前は蜘蛛に似ているというわけではなく、翅のぼんやりとした模様が雲のようだからという意味です。この種類も菌類食で、うどん粉病を食べてくれます。かなり小型のてんとう虫で、見た目もさほどてんとう虫らしくありません。実は古くから日本にいたてんとう虫ではなく、いわゆる帰化種と言われる種類です。

元は北米で見られたてんとう虫で、日本では1984年に東京で見つかったのが最初だと言われています。以降、日本に定着したてんとう虫なのです。

てんとう虫の特徴・生態【草食の種類】

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益虫の呼び声が高いてんとう虫ですが、それはあくまで、植物に付くアブラムシや菌類を食べてくれるからです。てんとう虫の中には、肉食性でも菌類食性でもない第3のグループが存在します。それが、草食性のてんとう虫なのです。植物を食べるとなると、あっという間に立場は逆転します。害虫となってしまうてんとう虫には、どんな種類がいるのでしょう。

ニジュウヤホシテントウ

Photo by harum.koh

その名前の通り、茶色っぽい翅に28個の斑点を持ちます。サイズは、ナナホシテントウより少し大きいくらいです。このニジュウヤホシテントウに限らず、草食性のてんとう虫は体に毛が生えていて、肉食性のてんとう虫に比べて翅の光沢があまりないという特徴があります。幼虫と成虫ともに、ナス科の植物を食べる害虫です。

生態としては、葉の食べ方がユニークです。食べる時には葉裏から始まり、表面の薄皮は残します。葉にはてんとう虫の食べ跡が平行に並ぶように見える、独特の食べ方をします。

オオニジュウヤホシテントウ

Photo byPrawny

ニジュウヤホシテントウよりも、体も斑点も大きめの種類です。じゃがいもや、ナス、トマト、ピーマンなどのナス科の葉をよく食べます。繁殖力も強く、葉を集団で食べるので注意が必要です。成虫を見つけ次第駆除し、葉裏も確認して卵や幼虫を退治するのが有効な対策と言えるでしょう。

益虫のてんとう虫と見間違え安いですが、翅の艶を確認すればよく分かります。草食性は翅に毛が生えているため、艶が鈍くなるのです。

ヤマトアザミテントウ

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アザミに付くことが多いですが、じゃがいも畑でも見られる種類です。オオニジュウヤホシテントウに似ていますが、翅にある斑点が大きめなのが特徴です。斑点が大きいために、翅の中央にあるものがくっ付いて、ひとつの大きな模様のようにも見えます。草食性ですが、艶は強い方です。

エゾアザミテントウ

Photo byFrantisek_Krejci

ヤマトアザミテントウと似ていますが、エゾと名前に付くだけあって北海道にいる種類です。生息するのは山地で、アザミ類の葉を食べているとされています。以前はコブオオニジュウヤホシテントウと呼ばれていましたが、それがエゾアザミテントウとヤマトアザミテントウに分けられたという経緯を持っています。

ジュウニマダラテントウ

Photo byArtvision-So

名前の通り、茶褐色の翅に12個の斑点を持ちます。沖縄諸島で見られる種類で、ウリ科の植物の葉を食べるとされています。じゃがいもなど、ナス科の植物の葉も食べます。翅に対して、斑点は小さめという特徴もあります。こちらも害虫とみなされる草食性のため、翅に光沢はありません。

ミナミマダラテントウ

Photo bykie-ker

ジュウニマダラテントウと、かなり似た姿形をしている種類です。似ているものの、ジュウニマダラテントウよりは斑点が小さい傾向にあります。ミナミと名前に入っているだけあって、生息地は与那国島などの八重山諸島です。元々日本にいたてんとう虫ではなく、南方より侵入し、そのまま定着した種類だと考えられています。

トホシテントウ

Photo by urasimaru

茶褐色の翅に、大きめの斑点が10個あるのが特徴のてんとう虫です。こちらも植物の葉を食べる害虫で、カラスウリを始めとしたウリ科の植物の葉を好んで食べます。ウリ科の植物を食べるせいか、巻いた蔓の間に産卵をするという生態を持っています。北海道南部以南の日本全国と中国が、主な生息地です。

ツシママダラテントウ

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中国に生息しているシナマダラテントウという種類の亜種とされていて、日本ではその名前の通り対馬でしか見られないてんとう虫です。日本以外では、中国、韓国、インドネシアに分布しています。近年では壱岐でも確認されていますが、対馬から侵入したのかは定かではありません。ヘクソカズラなど、アカネ科の植物の葉を食べます。

害のある種類のてんとう虫

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てんとう虫は益虫だというイメージが強いですが、何を食べるかによっては害虫にもなり得ます。てんとう虫は似た模様の種類も多く、ぱっと見ただけでは益虫か害虫か判断に困ることもあるでしょう。植物を守る益虫を駆除したり、植物を食べる害虫を生かしておくことのないように、どの種類が害虫にあたるのかを知っておきましょう。

野菜を食べる種類は害虫

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害虫となるのは、草食性のてんとう虫です。特にナス科などの野菜を食べる種類は害虫だと考えましょう。主な害虫として挙げられるてんとう虫に、ニジュウヤホシテントウがいます。肉食性のてんとう虫にも斑点の数が多い種類がいますが、どのように見分ければいいのでしょう。

てんとう虫をよく観察することが大切

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まず、成虫の動きを観察してみましょう。肉食性のてんとう虫はアブラムシを探して食べるために動き回っていますが、葉を食べる種類は動きが鈍いのです。また、てんとう虫がいる葉っぱに、削られたような食べ跡があるのも特徴と言えます。幼虫に関しては、かなり違いがあるので一目瞭然です。

ニジュウヤホシテントウに関して言えば、幼虫は体中が棘に覆われた姿をしています。益虫と言われるナナホシテントウやナミテントウは、そのようなことはありません。卵は、肉食性の種類よりも間隔を空けて広範囲に産むようです。

害虫への対策

Photo bykie-ker

害虫となるてんとう虫から野菜を守るには、出来るだけ駆除をして数を減らしましょう。先にご紹介したように、見た目は似ていても、害虫と益虫では様子が違います。野菜に群がるてんとう虫の絶対数を減らせば、野菜の食害はひとまず防ぐことが出来るでしょう。数を減らしたら、新しいてんとう虫が付かないように防虫ネットを張ることもおすすめです。

害虫となるニジュウヤホシテントウが好むナス科の植物に、イヌホオズキという雑草があります。人間の食用には向きませんが、てんとう虫は好んで食べます。したがって、この植物を囮として使うという手も対策として考えられます。

役に立つ種類のてんとう虫

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てんとう虫に抱くイメージは、害虫より益虫の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。事実、草食性以外のてんとう虫は、アブラムシや菌類といった植物に害をなすものを餌としています。これが益虫です。こちらでは、益虫と呼ばれるてんとう虫について見ていきましょう。

益虫としてのてんとう虫は物理的、遺伝的に飛ばないように改良され、生物農薬としての価値も高いのです。農薬として使うてんとう虫が元からいる地域ならば、生態系に悪影響を及ぼすこともないと考えられています。

害虫を食べる種類は益虫

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アブラムシは雌だけで生殖が可能な生態を持っており、爆発的に増える害虫です。そのアブラムシをもりもりと食べてくれるのが、お馴染みのナナホシテントウといった肉食性のてんとう虫なのです。成虫だけでなく幼虫もアブラムシを捕食するため、ガーデニングや畑にとっての強い味方と言えるでしょう。

アブラムシは植物に直接的な害を与えるだけでなく、病原菌を運ぶなどの間接的な害も及ぼしてきます。ぜひ、てんとう虫に退治してもらいましょう。肉食のてんとう虫の中には、同じく害虫であるヨトウガの卵を食べる種類もいます。

病気を防ぐ菌食系は益虫

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アブラムシを食べるのは知っていても、植物の病気まで食べてしまうてんとう虫がいたとは驚くべきことです。植物に付いたカビや病原菌を食べるとは、菌類食のてんとう虫は究極の益虫だということも出来るでしょう。キイロテントウを始めとした菌類食のてんとう虫は、カボチャやきゅうりといったウリ科の植物によく出るうどん粉病を食べてくれます。

食べるのは葉の表面だけなので、菌が葉の内部まで浸透している場合には手の打ちようがありません。それでも、なるべく農薬を使わずに野菜を作ろうと思う方には、菌類食のてんとう虫が役立つことでしょう。

てんとう虫の飼い方

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ここまで、様々な種類のてんとう虫の名前や生態についてご紹介してきました。てんとう虫に興味を持ったり、上手く増やして害虫対策に使いたいなどの理由で、てんとう虫を飼ってみたいと思いましたか。てんとう虫は小さく、飼育するのにも場所は取りません。毎日観察して、もっとてんとう虫のことを知ってみましょう。

飼育環境

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例えばナナホシテントウを飼うとして、飼育環境について考えてみましょう。まず用意したいのは、透明なプラスチックケースに網状になった蓋の付いている飼育ケースです。たいていの虫はここに入れるだけで飼えますが、てんとう虫に関しては餌のアブラムシのことも考えてもう一工夫しましょう。

ケースの上に、不織布かキッチンで使う目の細かいゴミ取りネットを被せます。そしてその上から、蓋を被せましょう。これがないと、餌のアブラムシや小さな種類のてんとう虫が蓋の隙間から逃げてしまう恐れがあるからです。

エサの調達方法

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道端の雑草を見てみると、アブラムシは容易に見つけられます。ヨモギ、セイタカアワダチソウ、カラスノエンドウなどの葉や茎に群がっています。草ごと持ち帰り、飼育ケースに入れます。てんとう虫は1日に20匹ほどのアブラムシを食べると言われています。群れたアブラムシなら、1匹の餌として数日はもつはずです。

アブラムシを取るのは楽しい作業ではありませんが、てんとう虫のために頑張ってゲットしましょう。どうしてもアブラムシが嫌ならば、砂糖水か市販のシロップをティッシュなどに染み込ませたものでも代用できます。

てんとう虫は幸運のシンボル

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てんとう虫が、四葉のクローバーなどと一緒になっているモチーフを見かけたことはありませんか。四葉のクローバーは、言わずと知れた幸運のシンボルです。あまり知られていませんが、てんとう虫もまた、幸運のシンボルになっているのです。生態などの実質的なことから離れ、てんとう虫がなぜ幸運の象徴になっているのかをご紹介しましょう。

てんとう虫は太陽神の使いと言われている

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てんとう虫には、神様の使いという意味もあると言われています。てんとう虫は漢字だと「天道虫」と書きますが、天道とはお天道様、つまり太陽のことを指します。特に欧米では、てんとう虫が太陽に向かって飛んでいく様を天国の席を予約しに行ってくれることだとして、神の使いだと考えているようです。

また、てんとう虫が我々の前に現れるのは、太陽神のお使いとして幸運の訪れを知らせに来ているとの考えもあります。いずれにしても、私たちに何かしらの幸運をもたらす存在だと言えるでしょう。

名前の由来

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てんとう虫を捕まえた時、指先を上に向かって揚げたことはありませんか。そうするとてんとう虫が指先まで登っていき、やがて翅を開いて飛んでいくのです。てんとう虫には、枝などの先端に上り詰めて行き場がなくなると飛ぶという習性があるからです。このことが太陽を目指して飛んでいるとされ、天道虫という名前が付いたのです。

この習性から、面白い実験が出来ます。軽い素材でてんとう虫のシーソーを作ります。てんとう虫は上に向かって上がって行きますが、片側に行くと下がります。そうすると反対側へ登っていくのですが、結果は同じです。てんとう虫は、シーソーを行ったり来たりします。

てんとう虫と幸運の言い伝え

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太陽の神様の使いでもある信じられているてんとう虫は、私たちにどのような幸運をもたらしてくれるのでしょうか。てんとう虫は、恋愛成就にも一役買う生き物だと言われています。こちらでは、てんとう虫が運ぶとされる幸運の言い伝えについてご紹介しましょう。恋愛関連の幸運にあやかりたい方は、要チェックです。

てんとう虫が体に止まる

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ふと気付くと、てんとう虫が体に止まっていたということはありませんか。虫嫌いの方はすぐに払いたくなってしまうかもしれませんが、相手がてんとう虫なら少し待ってみましょう。てんとう虫が体に止まると、幸運が訪れると言われているからです。中でも手に止まった場合には、重要な意味があります。

どれくらいの時間手にいたかをカウントしておくと、その数字の年数後に結婚するといういわれがあるそうです。また夢でこのような状況になった時には、パートナーが現れる吉報だとも言われています。

てんとう虫が飛んで行く

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てんとう虫が飛んで行った方向には、好きな人、あるいはこれから好きな人がいるという言い伝えがあります。好きな人がどこにいるか知りたい時は、飛んで行くてんとう虫を追ってみるのもいいでしょう。信じるか信じないかは人それぞれですが、てんとう虫が神の使いだと考えると、そういった幸運をもたらす力があっても不思議ではないでしょう。

キイロテントウは幸運の象徴

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てんとう虫の中でも、特にキイロテントウには幸運の兆しが強いようです。菌類食であるキイロテントウは、普段なかなか見つからないものです。それが急に部屋の中に入って来たり体に付いていたりすると、幸運が訪れると信じられています。また、キイロテントウが夢の中に現れた時には、こんな幸運を暗示している可能性があります。

夢でキイロテントウに出会うことは、自分の周りに理解者や支援者がいることを表しているといいます。あるいは、今後そういった人が現れるだろうという吉報だとも言われています。

てんとう虫の他国の名前

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欧米では、日本ほど虫や動物をキャラクター扱いすることは少ないと言われています。虫は虫と捉える彼らにとっても、てんとう虫はやはり特別な存在のようです。諸外国において、てんとう虫がどのような名前で呼ばれているかをご紹介しましょう。どの言葉にも、てんとう虫が神様と結びついていることを思わせるものがあります。

英語とドイツ語

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英語とドイツ語は元はひとつの言語であったことから、言い回しも似たものが多いです。英語でてんとう虫は「lady bug」と言いますが、ここで言うladyは女性は女性でもマリア様を指します。言葉の意味としては「マリア様の虫」となります。ドイツ語ではもっと率直に「Marienkaefer」と言い、これもマリア様の虫、特に甲虫であるという意味です。

英語でもlady beetle(マリア様の甲虫)と言うことがありますし、他に「lady bird」でマリア様の鳥という言い方もあります。

フランス語とイタリア語とロシア語

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フランス語では「labete a bon Dieu」で神様の虫、イタリア語では「gallinella del Signore」で神の小さな雌鶏という意味になります。英語でもありましたが、イタリア語でもてんとう虫を鳥としているところに、言葉の面白さが窺えます。もっと奇妙なのはロシア語で、てんとう虫がもっと変わった物に置き換わっています。

スペルは省略しますが、「ボジィイ・カローフキ」と言い、意味は何と神の牛だということです。外国では、虫を悪魔とする考え方もあるといいます。なぜ虫が牛になったのかは不明ですが、神様と悪魔を付けるわけにはいかない苦肉の策だったのではという声もあります。

てんとう虫は外国でも幸運を運んでくれる存在

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てんとう虫が幸運のシンボルであることは、先ほどご紹介した通りです。てんとう虫を他の虫を区別して大切に思う外国においても、それは例外ではありません。外国では、てんとう虫がどのような幸運をもたらすと考えられているのでしょう。幸運にまつわる言い伝えについてご紹介しましょう。

結婚や妊娠にまつわる幸運の言い伝え

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スイスにおいては、コウノトリではなくてんとう虫が赤ちゃんを運んでくると考えられています。ベルギーでは体に止まったら1年以内に結婚するというジンクスがありますし、スウェーデンにおいても、女性に結婚が近いことを知らせてくれる存在だと言われています。男女が同時にてんとう虫を見つけると愛が芽生える、としているのがノルウェーです。

アメリカでは、見つけたてんとう虫の斑点の数だけお金が入ってくるという言い伝えもあります。欧米諸国にとってもやはり、てんとう虫は幸せを運んでくる存在だと考えられていることが分かります。

てんとう虫は種類ごとに害虫か益虫か異なる

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あの小さなてんとう虫にも様々な生態があり、益虫にも害虫にもなることが分かっていただけたのではないでしょうか。てんとう虫が益虫と害虫のどちらになるかは、種類によります。てんとう虫のことをよく知れば、見分けるのはさほど難しいことではありません。上手く付き合えば、きっとよきパートナーにもなるでしょう。

エタミケイ
ライター

エタミケイ

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