「雪月花」の意味とは?
美しい漢字が使われる「雪月花」は「せつげつか」もしくは「せつげっか」と読みます。美しい風景や四季折々の自然から「冬の雪」「秋の月」「春の桜(花)」を合わせた意味を持っています。
「雪が舞う姿や、月が夜に浮かぶ様子、桜が咲き乱れる姿は心を奪われる美しさ」の意味を持ち、同時に優しさや柔らかさで包み込んでくれます。このようなことから風景、季節の流れだけでなく、人物にも「美しい」という意味で「雪月花」が使われることがあります。
「雪月花」の類義語
雪月花には類語があります。ここでご紹介する「雪月花」の類語は「花鳥風月(かちょうふうげつ)」です。「花鳥風月」は雪月花と同様に語源である自然の美しさを表す意味を持っています。
風流なことや、雅やかな様子を表す時にも「花鳥風月」という言葉や意味が使われます。「この景色はまさに花鳥風月だ」「この花鳥風月は日本の美点だ」などというように美しいもの、雅なものに対して使うことができます。
花、鳥、風、月という自然に関する漢字が「雪月花」の類語である「花鳥風月」には入っています。視覚、聴覚、嗅覚など言葉だけで感じ取ることができるのが、自然の美しさ、雅やかなことを表現するにはピッタリの言葉になります。
「雪月花」の使い方・例文
続いて「雪月花」という言葉の使い方と例文をご紹介します。この言葉は美しい自然の風景や、季節の流れを表す意味を持っています。なので、手紙を送るときなどの挨拶には相応しい言葉です。
あまり使いなじみや聞きなじみのない言葉ですが、覚えて使ってみると会話や手紙に色を添え、何気ない風景も変わって見えるようになります。これを機会にぜひ学んでみてください。
例文①
「雪月花」の使い方の例文の一つ目は「雪月花の時にあなたを想う」です。この例文は手紙や短歌などでも使える文面で、「季節の風景を眺めながらあなたを想っています」という相手への気持ちを募らせる例文になります。
季節の移ろう姿を見ながら遠くにいる誰かを想う、美しい花が咲くころに誰かを想う、秋の夜を照らす月を見ながら誰かを想う、という風に恋文のようなものを送る際に使ってみるのも風流です。
例文②
「雪月花」の使い方の例文の二つ目は「あなたは雪月花のような人」です。この例文では「雪月花」で相手の美しさや優しさを表しています。
雪月花という言葉は季節の流れ、季節の風景に使われることが多いですが、それ以外にも美しい人や、物事などを例える時にも「雪月花」という言葉が使われます.
「雪月花」という言葉を使うだけで言葉が柔らかくなり、優しい雰囲気が増すのが特徴です。
例文③
「雪月花」の使い方の例文の三つ目は「いつまでも雪月花と一緒にあなたの帰りを待っています」です。これは「雪月花」という言葉らしく、優しさや美しさだけでなく、切なさと愛おしさが詰め込まれた意味の使い方です。
遠くに行ってしまった人や、行方知れずとなってしまったなどの、手の届かない大切な人に伝えることができる例文です。季節の流れを同時に感じさせ、心がぎゅっと切なくなる意味を与える表現です。
例文④
「雪月花」の使い方の例文の四つ目は「雪月花のような時間を惜しみなく過ごしていきたい」です。これは「雪月花」を表現する美しさ、優しさなどの柔らかい時間を意味する例文です。
雪月花は季節の流れを表現する意味を持っていますが、この例文の場合は時間ではなく「雰囲気」を表現しています。「雪月花のような時間」と言うと柔らかく、優し気な雰囲気が相手に伝わります。
語源の春の桜のように、秋の月光のように、冬に舞い降りる雪のように「雪月花」の意味を「優しい時間」に例えて表現できます。
「雪月花」の意味と「花鳥風月」の意味の違い
ここで先ほどご紹介した類語の「花鳥風月(かちょうふうげつ)」と「雪月花(せつげつか)」の意味の違いをご紹介します。この二つの言葉の共通点には見ての通り、美しい漢字が入ってることがわかります。
花鳥風月には「花」「鳥」「風」「月」というように、雪月花には「雪」「月」「花」が入っています。このことから自然の美しい様子が言葉の意味として入っています。
類語なので全く違う意味が「花鳥風月」と「雪月花」にはありませんが、意味と使い方にはちょっとした違いがあります。それは「雰囲気」です。美しいものに対してどちらも使われる言葉ですが、例えば雪月花にある「優し気な雰囲気」は花鳥風月にはありません。
そして花鳥風月にある「雅やかな雰囲気」が雪月花にはありません。それが二つの言葉の大きな違いであり、使う場面や使い方も大きく変わります。
「花鳥風月」は「雅やか」という意味
類語なので「自然の美しさ」や「美しいもの」を表現する意味を「花鳥風月」も「雪月花」も持っていますが、やはり雅やかなものに対して「雪月花」という言葉は使いません。
反対に「雪が舞う美しさ」などの優しい色合いや雰囲気を持つ風景に「花鳥風月」は使いません。花鳥風月は「雅やかな美しさ」に対して使う言葉というのを覚えてみてください。
「雪月花」を使う際の注意点
次に「雪月花」を使う際の注意点をご紹介します。場面や言葉選びに注意することは当然のことですが、「雪月花」などの自然や美しさを表す言葉は繊細で言葉の選択を少しでも間違えると相手に伝わりません。
例えば先ほどご紹介した類語の「花鳥風月」と「雪月花」の意味の違いです。どちらも自然の風景や、美しいものや人に対して使うことができる言葉ですが、その「美しさ」の違いによって使い分けなければいけないのが注意点です。
鮮やかな景色などに「雪月花」は使えない
「雪月花」という言葉には自然の美しさを表現するのと同時に、その景色の優しさや柔らかな美しさも同時に相手に伝えることができます。例えば屏風などに描かれる鮮やかな色合いの美しい景色、などには使うことができません。
実物を見ていない友人などに鮮やかな屏風の感想を伝える時に「雪月花のようだった」と伝えると、勘違いをされて「柔らかい色合いの美しい屏風」が脳内に浮かび上がります。
なので「雪月花」を使う時は柔らかく落ち着いた、美しいものに対して使ってみてください。そうすることでより一層、美しさや柔らかな雰囲気が相手に伝わり、自分に対しても、思い描くその風景に美しさが増します。
「雪月花」の語源
美しい自然を表現する「雪月花(せつげつか)」には由来となった語源があります。意味の通り「冬の雪」「秋の月」「春の花(桜)」の美しさと季節の流れが、「雪月花」の語源です。ですがこの「雪月花」にはある由来と歴史があります。
続いて「雪月花」という美しい言葉を作った詩人と、その由来と歴史について順番にご紹介していきます。
由来
「雪月花」という言葉が生まれたのは白居易(はく きょい)という唐の詩人が作った一句の「雪月花時最憶君」が語源です。
この句は白居易が江南にいた時の部下(殷協律)へと送った詩で、「雪月花時最憶君(雪月花の時 最も君を想ふ)」という言葉が「雪月花」の由来となっています。美しい景色を眺めながら、部下の殷協律(いんけいりつ)を想っているという詩です。
歴史
「雪月花」という言葉は白居易が詩にしたことが由来とされています。ですが、この「雪月花」に似た発想が古くに日本でも詩に使わていました。
白居易の「雪月花時最憶君」は825年の作品ですが、それよりも前の749年に大伴家持が作った歌に「雪の上に 照れる月夜に 梅の花 折りて贈らむ 愛しき子もがも」という歌を残しています。雪月花とは異なりますが、これも「雪月花」の語源である「雪」「花」「月」が使われています。
このことから大昔から人々の胸を打ちつけるものが「雪」や「花」「月」といった風景であることがわかります。そしてそれらを組み合わせて白居易は「雪月花(せつげつか)」という言葉を作り、今では様々な作品にも使われる美しい言葉となっています。
「雪月花」の英語表記
美しい漢字が特徴の「雪月花」にも英語で表記されることがあります。「雪月花」を英語で表記した場合、二つのパターンが存在します。一つ目の英語表記は「snow,moon and flowers(雪、月、花)」です。
これは「雪月花」の文字をそのまま英語にしたものなので、雪月花のちゃんとした意味は伝わりにくいです。二つ目の英語表記は「beauty of the four seasons(四季の美しさ)」です。
これは雪月花の意味を表現した英語表記で、「雪月花」の雰囲気が伝わるフレーズですが「雪」「月」「花」は伝わりません。
「雪月花」は「美しい季節」という意味
「雪月花(せつげつか)」の意味は「冬の雪」「秋の月」「春の花」の四季の美しさです。季節などの風景だけでなく、美しい人にも「雪月花」という言葉が使われ「美しい」「優しい」「切なさ」などの意味も持って多彩に使うことができます。
美しい景色に胸を打たれ、美しい人に心を奪われ、どちらも優しい色合いで包み込む様子はまさに「雪月花」です。言葉は聞いたことがあるけど、意味を知らないという方もこの機会に「雪月花」という美しい言葉と美しい意味に触れていただければ幸いです。