「追憶」の意味とは?
日常的にはあまり使われず、文芸書などの創作作品にて「追憶(ついおく)」という言葉が度々使われることがあります。あまり聞きなじみのない人も多い「追憶」という言葉ですが、実はとても綺麗な意味を持っています。
「追憶」の言葉の意味は「過去のことを思い出して懐かしく感じること」です。誰しも過去があり、過去のことを思い出す機会が必ずあります。過去を思い出し、懐かしむことを「追憶」という漢字二文字の言葉を使って表現することができます。
覚えてみると日常的にも使うことができる言葉なので、「過去のことを思い出して懐かしく感じた時」には「追憶」という言葉を使ってみてください。
「追憶」の類義語
「追憶」という言葉には類語がたくさんあります。その中でも特に日常的に使われる類語は「思い出す」「思いつく」の二つでしょう。それからもう一つ、日常的にはほとんど使うことがありませんが、聞きなじみのある類語が「回想(かいそう)」という言葉です。
追憶の類語の「思い出す」は日常会話で使う通りに、「忘れ物を思い出す」などという例文のような使い方をします。
「思いつく」という類語も、日常的に使うように「クイズの答えが思いついた」「時間があるので喫茶店で時間をつぶすことを思いつく」という使い方の例文ができます。もう一つの類語の「回想」の意味は「過去の出来事を思い返すこと」です。
なので使い方としては「今までのことを回想しよう」という例文を作ると、今までの出来事を順番に思い返す、という意味になります。
「追憶」の使い方・例文
続いて「追憶」の使い方を例文を用いてご紹介します。追憶の意味は「過去を思い出して懐かしく感じること」です。なので過去を思い返す時や、過去の記憶に浸る時、誰かを思い出し懐かしく感じる時などに使われます。
意外にも「追憶」は使える場面が日常的に少なからずあります。ぜひここで覚えて「追憶」という言葉を使って過去を懐かしく感じてみてください。
例文①
「追憶」の例文の一つ目は「数年ぶりに再会した友人との学生時代を追憶する」です。友人との再会に青春時代を思い出し、お互いに思い出話に花が咲きます。この場合に「思い出す」と使うほうが多いですが、気分を変えて「追憶する」と使ってみるとより一層、懐かしさが増します。
「追憶した友人は今と変わりない」と例文を作ると、「思い出した友人は今も過去も変わりない」という意味になります。「追憶」と使うことで柔らかい印象と、温かい印象を与えるので、今も過去も変わりなく懐かしさを感じることができます。
例文②
「追憶」の例文の二つ目は「祖母の七回忌で追憶にふけた」です。この例文は「祖母が亡くなり七年がたつけど、今じゃほとんど誰も祖母のことを口にしない。それでも七回忌という特別な日には、みんなが祖母を偲び、追憶する。」という誰かを偲ぶ使い方です。
特別な日だからこそ「追憶」という言葉が似合い、「思い出す」と使うよりも相手を想ってる気持ちがしっかりと伝わります。少し言葉を変えるだけで気持ちの伝わり方が変わりますので、場面によって「追憶」を使ってみてください。
例文③
「追憶」の例文の三つ目は「幼い頃に離れてしまった父は今では私の追憶の中にしかいない」です。この例文での「追憶」の使い方は、懐かしい過去へと思いをはせり、今では目に見ることができない人を過去の記憶をたどり寄せることしかできない、という意味を持っています。
会えなくなった人や、もう顔も思い出すことも難しい人を思いながら、過去の記憶を手繰り寄せることで追憶の中にしかいないその人を懐かしみ、思うことができます。「追憶」の言葉には過去の優しい気持ちと記憶がたくさん詰まっている言葉です。
例文④
「追憶」の例文の四つ目は「追憶の中の母はいつも笑っていた」です。「幼い頃に離れてしまった母の顔は思い出すたびにいつも笑顔で、会えなくても追憶の中には優しく笑う母がいる」このように優しい表現することが「追憶」という言葉にはできます。
「追憶」は優しい表現ができるのが特徴なので、静かに思い出したいことがある時などの、少ししんみりと寂しい気持ちの時などに使ってみると「追憶」の意味を最大限に活用することができます。
「追憶」の意味と「回想」の意味の違い
続いて「追憶」と「回想」の意味の違いと使い方の例文についてご紹介します。追憶の類語である「回想」という言葉は意味も使い方も似ていますが、少しだけ微妙に異なるところがあります。
「過去の出来事を思い返すこと」が回想の意味ですが、追憶は「過去の出来事を思い出して懐かしく感じること」が意味になっています。この二つの違いは懐かしく感じることか、そうでないかの違いです。
「追憶する」と使うと過去の出来事を思い出し、そのことを懐かしく思います。しかし「回想する」と使うと過去の出来事を思い出す、という意味だけです。その思い出す対象に対し、感情が込められるのが「追憶」で、その物事を思い出すことが「回想」という違いがあります。
「回想」は「過去の出来事を思い出す」という意味
「追憶」と「回想」は意味や使い方が似ていても、言葉の意味や想いの違いが少しばかりですが、あります。「追憶」は思い出した後に、「懐かしく」感じます。しかし「回想」という言葉は「過去の出来事を思い出す」という行動そのものが意味になっています。
誰かを懐かしく偲ぶ時には「追憶」、過去に何があったかを思い出す時には「回想」という使い方の意味の違いがありますので注意して使ってみてください。
「追憶」を使う際の注意点
続いて「追憶」を使う際の注意点をご説明します。どの言葉にも使う場面によって、相応しい、相応しくないがありますが「追憶」は使いなじみがないことや、言葉の意味が繊細ということもあり使う機会は少ないです。
親しい人に何かあった場合や、人生の分岐点などに立つ時などには「追憶」という言葉が相応しいです。「過去の出来事を懐かしく感じる場面で使う」ということを忘れないでいると深く注意することはありません。
使いなれるまでは類語の「思い出す」や「回想」と混ざってしまいますが、使いなれてくると「追憶」という言葉の意味を理解してくるので、自然と正しい場面で使うことができるようになります。
賑やかな場所では使えない
追憶は「過去の出来事を思い出し、懐かしく感じること」を意味に持っていますが、懐かしく感じる場面だとしても多彩な場面で使うことはできません。この「懐かしく感じること」の意味の多くが「偲ぶ(しのぶ)」ということなので、賑やかな場面では不釣り合いです。
「偲ぶ」の意味は「懐かしい」ですが、この偲ぶというのは「故人を偲ぶ」のような使い方をされることから落ち着いた印象を与えます。なので「追憶」を使う時には、懐かしく感じる場面なのか、どうなのかを判断してから大切に使うことをおすすめします。
「追憶」の英語表記
繊細な意味を持つ「追憶」という言葉を英語で表記することができます。「追憶」の英語表記には二種類あるのでそれらをご紹介します。
まず一つ目の英語表記は「recollection(リコレクション)」です。英語で「回想」「記憶」「思い出」「追憶」などの意味があります。もう一つ目は「reminisce(レミニセス)」です。こちらは英語で「回想」「追憶」「思い出」「懐旧談」「回想録」です。
どちらも「追憶」の英語として使われますが、「reminisce(レミニセス)」のほうが「追憶」として多く使われます。今回は「reminisce」を使った例文をご紹介します。
例文の「彼女との出会いを追憶する」を英語表記にすると「I reminisce about an encounter with her.」です。
「追憶」は「過去を思い出し懐かしく感じる」という意味
あまり使いなじみのない「追憶」という言葉には「過去を思い出し、懐かしく感じること」という意味があります。類語の「回想」は「過去を思い出すこと」という意味を持っていますが、「追憶」はさらに「懐かしく感じる」ということを覚えていてください。
過去を思い出し、懐かしく感じる時には「追憶する」や「追憶した」などというように日常的に使ってみると良いかもしれません。人だけでなく物事に対しても使えるので、「懐かしい」と思った際に「追憶(ついおく)」という言葉を思い出してみてください。