「オープンクエスチョン」の意味とは
オープンクエスチョンはカウンセリングや司会業の世界ではよく知られているコミュニケーションテクニックですが、一般的にはあまり意味が知られていないようです。
オープンクエスチョンとは果たして、どのようなテクニックなのでしょうか。実例をまじえつつ、オープンクエスチョンの意味とメリットについて具体的に見ていきましょう。
二者択一ではなく自由に返答できる質問のこと
オープンクエスチョンとは、「相手の返事が二者択一にならない質問のパターン」のことです。あるいはもう少し範囲を広げて、返答の選択肢をあらかじめ限定しない質問方式をオープンクエスチョンと呼ぶこともあります。
質問は大きく、5W1H(なぜ、どこ、何、いつ、誰、どうやって)の6つに分類されますが、オープンクエスチョンは主にWhy、What、Who、Howを聞きたい時に用いられます。
オープンクエスチョンでは相手も単純な答え方ができないため、必然的に会話に深みが生まれ、短時間のコミュニケーションでもより多くの情報をやり取りできる、というメリットがあります。
カウンセリングで効果的
オープンクエスチョンは、医療やカウンセリングの場面でもよく用いられています。特に、カウンセリングは相手の話をより深く聞き出し、分析する作業ですから、オープンクエスチョンの技法が重要とされています。
ただ、いきなりオープンクエスチョンから入るとクライアントがかえってこたえにくくなりますので、慣れるまでは世間話程度の簡単な質問を積み重ね、タイミングをはかってオープンクエスチョンに切り替えます。
また、医師の診察の場面でも単純な質問のみで終わらせず、患者の普段の暮らしぶりについてオープンクエスチョンによって引き出すことで、得られる情報がより深くなっていきます。
芸能人も使っている
オープンクエスチョンとはもともとコミュニケーションスキルのひとつとして発展してきたテクニックであり、有名芸能人も効果的に使っています。
オープンクエスチョンの天才とも言えるのが黒柳徹子さんです。司会を務めるトーク番組ではゲストに毎回的確なオープンクエスチョン(その時どう感じたの?など)をはさむことによってトークにメリハリを生んでいます。
また、司会業で知られる明石家さんまさんも、軽快なトークの中にふと突っ込んだオープンクエスチョンをぶつけることで緊張感をつくりだしています。
有名芸能人の実例を参考に、「オープンクエスチョンとは何か?」ということについて分析してみるのも面白いのではないでしょうか。
オープンクエスチョンのメリット
オープンクエスチョンとは単なるコミュニケーションテクニックであるだけでなく、効果的に使うことでさまざまなメリットが得られます。オープンクエスチョンの主なメリットについて具体例とともに詳しく見ていきましょう。
相手への理解が深まる
オープンクエスチョンとは相手からより深いレベルの返答を引き出すための質問技法です。オープンクエスチョンによって相手もより詳しい話を聞かせてくれますので、相手への理解をさらに広げることができます。
初対面の人とのコミュニケーションが苦手な人でも、オープンクエスチョンをひとつ覚えておくだけで会話のきっかけにもなりますので、非常に便利です。
あるいは、付き合いが長い相手でもオープンクエスチョンによってコミュニケーションの幅が広がり、意外な趣味や性格がわかってくる、ということもあります。
会話が広がる
会話が苦手な人でも、何かのはずみがつけば意外なほど饒舌になり、まるで連想ゲームのようにいろいろと話題が出てくるものです。
オープンクエスチョンは異性に対しても有効です。たとえば合コンが苦手でも、オープンクエスチョンをいくつかさしはさむことによって女の子もこたえやすくなり、会話が自然と広がります。
自分なりにオープンクエスチョンの文例をいくつかストックしておくことで、苦手なシチュエーションでもその場の空気になじむことができます。
質問者にも新しい発見がある
オープンクエスチョンは本来、コミュニケーションが苦手な人から必要な情報を引き出すためのコミュニケーションテクニック、という意味を持っています。
オープンクエスチョンとは相手の返答が予測しにくい質問技法のため、時に質問する側にとっても予想外の情報が引き出される可能性があり、その意味でも大きなメリットがあります。
オープンクエスチョンの具体例とコツ
オープンクエスチョンとは何か、というエッセンスをつかむには、具体例から意味を学ぶのが早道です。
ここでは主にビジネスシーンから、オープンクエスチョンの具体例について詳しく紹介しますので、意味をひとつひとつ理解しておきましょう。
現状の課題と具体的な対策を引き出す
ビジネスにおけるオープンクエスチョンとは、問題や課題を早期に解決するための技法、という意味があります。
たとえば部下に対して、「我が社では現在商品の誤配送が増えているが、どのようにしたら解決できるだろうか?」と投げかけることで部下に自発的に考えさせ、問題解決につながります。
オープンクエスチョンの基本とはつまり、疑問詞を工夫することです。5W1Hで言えばWhy、Howを効果的に使い、質問に取り入れることによって考えさせる余地が広がるメリットがあります。
回答者が様々な答え方のできる質問をする
オープンクエスチョンは、上司と部下の関係において特に重要な意味を持ちます。上下関係があると下の立場のほうがどうしても遠慮してしまい、目の前の課題を過小評価してしまうことがあります。
ビジネスの場でオープンクエスチョンを効果的に使うことによって、部下が自発的に思考し、自分の判断で行動する余地を与え、委縮しない空気をつくり出せるメリットがあります。
オープンクエスチョンが得意な上司がいる職場ではボトムアップの流れが自然につくられ、いわゆる指示待ち社員ではなく、自分自身で課題を見つけて解決できる社員が育ちやすくなります。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分け
オープンクエスチョンとともに重要な意味を持つのがクローズドクエスチョンです。オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンにはどのようなちがいがあるのでしょうか。
オープンクエスチョンと対比しつつ、クローズドクエスチョンの意味とメリット、デメリットについて実例とともに詳しく見ていきましょう。
クローズドクエスチョンとは
オープンクエスチョンとともに重要と言われるクローズドクエスチョン。クローズドクエスチョンとは果たして、どのような質問方法なのでしょうか。オープンクエスチョンと意味や特徴を比較しつつ、メリット、デメリット、正しい使い方についてお伝えしていきます。
「はい・いいえ」で答えられる質問方法
クローズドクエスチョンとは、相手がイエス、ノーのいずれかでこたえられる質問、という意味があります。「今日は吐き気がありますか?」などのように、二者択一でこたえられる質問によって会話をスピーディに進められます。
返答の選択肢を限定しないオープンクエスチョンに対し、クローズドクエスチョンでは選択肢があらかじめ提示されているため、相手にとってもこたえやすいというメリットがあります。
クローズドクエスチョンのわかりやすい例としては、警察の取り調べが挙げられます。ドラマではよく、「この時間、犯行現場に行ったのか?」などと問い詰めますが、これこそまさにクローズドクエスチョンの典型例です。
クローズドクエスチョンはこたえやすいというメリットのほかに、質問にテンポを出すことで緊張感を演出する、という意味があります。
会話が苦手な人にも効果的
クローズドクエスチョンは、会話が苦手な人に対して特に効果を発揮します。自分からまとまった言葉をつなぐのが苦手な人でもイエス、ノーのみの返答であればストレスなくこたえることができる場合があります。
クローズドクエスチョンからオープンクエスチョンにつなげる、というのもひとつのテクニックです。クローズドクエスチョンをテンポよく積み重ねることによって相手の心を開き、本当に聞きたいことをオープンクエスチョンで引き出す、という流れです。
介護職や看護職でもクローズドクエスチョンは必須スキルで、発話が苦手な患者さんでもクローズドクエスチョンではわずかな動きだけでこたえられるため、コミュニケーションが取れるというメリットがあります。
オープンクエスチョンは自由な答え方のできる質問方法
オープンクエスチョンを会話の中で効果的に取り入れることによって、コミュニケーションが苦手な人であっても深いレベルのコミュニケーションが可能になります。
オープンクエスチョンだけでなくクローズドクエスチョンもほどよく組み合わせて、より効率的なコミュニケーションにつなげましょう。