テスターの使い方は初心者でも簡単!
「テスター」とは電気の、電圧「ボルト(V)」や電流「アンペア(A)」抵抗「オーム(Ω)」を計る機械でデジタル式とアナログ式があり、携帯できる小型のものがほとんどです。
ボルト(V)やアンペア(A)は、毎月の電気の検針表や料金表にあるので見慣れているけれど、それを家庭で計る必要があるの?使い方も難しのでは、と思う方が多いのではないでしょうか。
しかし少し電子機器に興味があり、電子工作をする人にはテスターは必須のアイテムです。また家庭でも家電製品が動かなくなったときにも、どこに故障の原因があるかを調べるのに使い方を知っていれば役立ちます。
単にコンセントやコードに断線があるだけなら、電気屋さんを呼ぶこともなく、製品を買い換える必要もなく、コードを取り替えるだけで済み大きな出費を抑えられます。
しかもテスターの使い方は、初心者でも簡単に操作ができます。値段も千円台〜数千円、機能が沢山ついていてプロ級のものでも1万円〜2万円程度です。通常は数千円の小型のもので充分間に合います。
テスターで電圧測定する際の使い方
テスターの機能の使い方に電圧測定があります。電気には直流(DC)と交流(AC)の2種類の電流があります。電圧とは電気の圧力(V)のことで、電流とは電気が流れる量(A)や方向を表しています。
直流はプラスからマイナスの方向に流れ、交流はプラスとマイナスを行ったり来たりする電流です。一般の家庭には電圧が100V(ボルト)の交流が流れていて、コンセントに差し込んで電化製品を動かします。
充電式バッテリーのものや電池で動くものは直流(DC)で電圧も低く10ボルト(V)前後で動くものが多く、パソコンやスマホなど小型の電化製品はほとんど直流(DC)です。
これらは交流100VのコンセントからACアダプターで直流に変換してさらに変圧器(トランス)で適正な電圧にさげて動作します。直接動かすものもあれば内蔵のバッテリーに充電してから使う機器もあります。
テスターはこの電圧と電流、抵抗を計る機能を持っています。ではどんな時にテスターを使い、どんな使い方をすれば良いのでしょう。
たとえば電気器具をコンセントに差し込んでスイッチを入れても動かないとき、どこに故障の原因があるのか分からない時があります。
まず疑うのは、差し込みプラグの破損、プラグと器具本体をつなぐコードの断線、コンセントに電気がきていない、この3点に異常がなければ電気器具本体の異常ということになります。
しかし機器本体以外の3点はテスターで調べることができます。そこで異常が見つかれば異常な部分を取り替えれば解決するので無駄な出費をせずに済むかも知れません。
ただし、テスターは使い方は簡単ですが使い方を間違えると、テスターを壊してしまうこともあり感電の危険もあります。これからの記事を参考にして正しい使い方を学んで安全に使ってください。
リード棒は平行に当てる
テスターには、赤と黒の2種類に色分けされたリード棒とテスター本体に続くコード(同じ赤色と黒色)が付属しています。
電圧を測定する場合は、これから計ろうとする電圧が直流(DC)か交流(AC)なのを確認してDC・ACを選択します。
次に製品により多少の違いはありますが、本体の中ほどにある丸いダイアルのような形をした「測定レンジ」のつまみを「V(ボルト/電圧)」に合わせます。
次にリード棒は計るものを挟むように平行に当てればテスター上部の窓に電圧(V)がデジタルでは数字で、アナログでは針が振れて表示されます。
だだし直流の場合は、赤のリード棒は電気が流れてくる「+」側に、黒のリード棒は電気が流れて行く「ー」側に当てるのが基本です。
測定レンジの設定を大きめにする
アナログテスターの場合は測定レンジの周りに電圧の単位(10V/50V/250V/500Vなど)が書かれているので計測する対象の電圧にレンジを合せる必要があります。
この数値は計れる上限の最大数値を表しています。対象の電圧が分からない場合は、まず一番大きな500Vに設定に合わせます。
針があまり振れない場合は、設定を徐々にさげていきます。小さいものから合わせると針が振り切ってしまい機械を破損する可能性があります。
デジタルテスターの場合は細かく合わせる必要がないので初心者の方でも使い方が簡単で安心です。しかし針の振れる感覚がたまらないというアナログ派にはアナログテスターは捨てきれない魅力があります。
デジタルテスターの使い方とは?
デジタルテスターは操作がシンプルで使い方が簡単になっているので初心者でも安心して使いこなせます。また数値の表示もアナログテスターより正確です。
しかし電圧や電流は常時一定ではありません。微妙に揺れ動く場合があり、その時にはデジタル数字がチカチカと変るので読みにくくなるところが欠点です。それではデジタルテスターの基本的な使い方を説明します。
始業点検
始業点検とは作業を始める前に点検することです。テスターはほとんどが電池(バッテリー)を電源にしています。まず電池が入っていないと作動しません。また電池が減っていれば正常に動きません。このバッテリーの確認をまずしてください。
デジタルテスターの場合は電源をONにすると、液晶表示窓にバッテリーマークが表示されることが多いので確認は簡単にできます。バッテリーが減っている場合は正しく計れないので取り替えるようにしましょう。
次にリード棒が断線していないか確認する場合の使い方です。測定レンジつまみを「抵抗(Ω)」に合わせ、赤と黒のリード棒を直接重ねてショートさせます。この時に表示が「0.00〜0.004」の間を示せばOKです。
デジタル数字が「0.00〜0.004」ということは、ほとんど抵抗がない状態なので断線していないことが確認できます。この数値が大きい場合は断線の可能性があるのでリード線を取り替えるなどの修理が必要です。
コンセントの電圧測定
コンセントに器具を差し込んで電源をONにしても作動しない時は、コンセントか器具のどちらかに異常があります。コンセントの異常を調べる場合のデジタルテスターの使い方を紹介します。
通常家庭のコンセントには交流100Vの電気が流れています。テスターの測定レンジを「V〜(交流電圧)」に合わせます。
次にリード棒をコンセントに差し込みます。交流にはプラスとマイナスの極性がないので赤と黒は気にせずに差し込んでOKです。
この時に表示数値が100V前後を示していれば、電圧がかかっていてコンセントに電気がきていている状態なので、器具のほうに異常があることが確認できます。
また表示数値が0.88Vなどのように、ゼロに近い電圧がかかっていない低い数値の場合はコンセントの内部配線に断線などの何らかの異常があります。
乾電池の電圧測定
乾電池は直流(DC)の電源です。乾電池85*9/の電圧を調べる場合のテスターの使い方は、まずテスターの測定レンジを「V_(直流電圧)」に合せます。
直流にはプラスとマイナスの極性があるので、赤色のリード棒を電池の「+」側に、黒色のリード棒を「ー」側に当てて測定値を読みます。
通常の乾電池は新品の場合は1.5Vの値を示します。使用されて劣化した電池ならばその値が下がります。また充電式のバッテリーは1.2V〜9Vが一般的です。
ここで注意が必要なのはリード棒を当てている間も乾電池はどんどん消耗するので、なるべく短時間で測定するようにしましょう。また車などのバッテリーは電流が多く感電の危険があるので注意しましょう。
抵抗測定
テスターで抵抗を測定するのは、断線などのトラブルに対応する時の使い方です。「抵抗を測定する」とは簡単に言うと、電気が通るときにスムーズに抵抗なく流れるかどうかを計ることです。
抵抗は「Ω(オーム)」という単位で表示され、数値が大きいほど抵抗がある、つまり電気が流れにくいということです。断線や接触不良などを起こしていれば電気が流れにくいので抵抗「Ω」の数値が高くなります。
抵抗の数値が小さければ電気がよく流れるので断線などの障害がないということになります。では断線を調べる場合のテスターの使い方を紹介します。
まず最初に測定レンジのダイアルを「Ω(抵抗測定)」に合せます。次に測定するコードなどをリード棒で両端を挟んで測定します。この時の数値が「ゼロΩ」に近ければ断線していないことが確認されます。
機種によってΩレンジの横にある「ブザーマーク」を選ぶと、抵抗値が良好な場合は「ピー」という音が鳴って、数値を見ないでも確認できるので便利です。
抵抗を計測する際にテスターの使い方に慣れていない人によくある失敗ですが、電圧や電流が流れている状態では絶対に抵抗値を測定しないよう注意が必要です。
電圧がかかっている状態で抵抗を計ろうとすると、火花が散ってテスターのヒューズが飛んでしまいます。電圧が高い場合には火傷を追う危険もあるので注意してください。
アナログテスターの使い方とは?
アナログ式のテスターは数値を表示する部分がメーターになっていて、針の振れ方で数値を表すようになっています。
メーター表示部の目盛をある程度細かくする必要があるため、デジタルテスターよりサイズが多少大きいタイプが多いようです。
初心者には多少扱いにくい部分もありますが、電気に知識や興味がある人やアナログ感覚が好きな人には根強い人気があります。この辺は感性と好みの差なのでしょう。
針があるアナログ時計のほうが時間を把握しやすい人と、デジタル表示のほうが分かりやすい人の差と同じです。それではアナログテスターの使い方を紹介します。
始業点検
始業点検の項目はデジタルテスターとほぼ同じですが、点検の仕方やテスターの使い方に多少違う部分があります。
まず電池切れの確認ですが、デジタルテスターではバッテリーマークの表示で確認できましたが、アナログテスターではバッテリーマークがありません。
動作が不安定になったり誤表示が出るようになって、はじめて電池切れが疑われると判断するしかありません。
次にリード棒やコードの断線の確認ですが、デジタルの場合と同じでレンジ切り替えを「Ω(抵抗)」に合せて、赤と黒のリード部を重ねてショートさせ針が大きく右に振れば異常なしです。
0Ωに調整
ここでデジタルと使い方が違うのは、断線確認のためリード棒の抵抗測定をした時に、完全に「ゼロΩ」を指さない場合には、Ω調整のつまみを回してゼロを指すように調節する必要があります。
このゼロΩ調整をしておかないと、測定数値に誤差が出てしまいます。アナログテスターの場合は、この調整をしてから測定に入るよう使い方に注意が必要です。
コンセントの電圧測定
コンセントの電圧を測定するテスターの使い方は、デジタルテスターの場合は測定レンジを「V〜(交流電圧)」に合わすだけでしたが、アナログテスターの場合は計れる電圧の大きさを選ぶ必要があります。
ほとんどのテスターは50V、250V、500V、のようにレンジが区分されています。これは針が右に一杯に振れた場合の数値を表しています。
家庭のコンセントは100Vの交流電圧なので、測定レンジを「250ACV〜(交流250V)」に合わせます。コンセントの電圧が分からない場合は、一番高い500Vに合わせ針の振れが少なければ低いレンジに下げていきます。
コンセントに差し込むリード棒の色は、交流にはプラスとマイナスがないので赤と黒は気にせずにどちら側に差してもかまいません。針が振れて示している数値が家庭のコンセントの場合は100V近辺を指していれば問題ありません。
乾電池の電圧測定
乾電池の電圧を測定する場合、デジタルではダイアルを「V_(直流電圧)」に合わせるだけでしたが、アナログテスターでは10V、50V、250V、500Vとあるレンジから選ぶ必要があります。
通常乾電池は1.5Vなので、測定レンジダイアルを「DCVー10」に合せます。次に乾電池のプラス側に赤のリード棒をマイナス側に黒のリード棒を当てて、針が1.5V付近に振れれば正常です。
アナログテスターに慣れないうちは、針の目盛が何重にもなって複雑なため読み方には少し注意が必要です。しかし慣れてくれば大丈夫です。逆に読み方をクリアできた時の達成感がアナログ派にはたまらない魅力のようです。
またアナログテスターには機種によって、バッテリーテストレンジ1.5Vが付いているものがあります。
このバッテリーテストレンジに合わせて乾電池を計測すると、計測表示の下のほうにある「BAD」と「GOOD」のどの位置に針が振れているかにより、電池の消耗度がわかります。
「GOOD」の範囲に針があれば、乾電池はまだ使用できる状態であることが判断できます。「BAD」になっていれば使用不可ということがわかります。
このようにアナログテスターに付いているバッテリーテストレンジは非常に便利な機能なのでぜひ利用してみてください。
抵抗測定
テスターの抵抗測定はスピーカーのΩ測定に使う場合もありますが、主に断線や接触不良を確認する時に使う機能です。測定方法はデジタルと変わりはありませんが、アナログテスターの場合では使い方で注意が必要な点があります。
始業点検のところで紹介したように、まずレンジをΩに合わせリード棒をショートさせて針がゼロΩを指しているのを確認する必要があります。
ゼロを指していない場合はΩ調整つまみで針を確実にゼロを指すように調整してから抵抗測定をする注意が必要です。この調整を忘れると数値に誤差が出てしまいます。
また針の振れ方ですが、電圧や電流の場合は右に振れれば値が大きいことを示していましたが、抵抗の場合は右に振れるほど値が小さいことを示し電圧と反対なので読み方に注意が必要です。
つまり断線などの抵抗測定をした時に、針が大きく右に振れてゼロに近い数値を示せば断線していないことになります。慣れないうちは勘違いしやすいので読み方に注意しましょう。
デジタル・アナログテスターの違い
ここまでデジタルとアナログテスターの使い方を紹介してきました。重複するところもありますが、ここではデジタルとアナログテスターの違いに焦点を当てて紹介します。
それぞれの特徴や違い、メリットやデメリット、使い勝手や個人のこだわり、好みや感性の違いによる選び方のポイントなども合せて紹介します。
デジタルテスターのメリットとデメリット
デジタルテスターのメリット(長所)にまずあげられるのは、なんと言っても使い勝手の良さです。測定レンジがシンプルで、選択するものが少なく誰でも操作が簡単にできることと、初心者の方でも安心して使える点です。
また測定数値が正確なことや、表示がデジタルなので数値をすぐに読み取れる点や、導通確認時にブザー音で確認できる機能があることもメリットにあげられます。
デメリット(短所)としては、数字が表示されるまでに反応スピードが遅いテスターがあること、外からのノイズの影響を受けやすいこと、測定値がふらついた時に表示を読みづらいことです。
ここからは好みや感性の問題になりますが、操作がシンプルなだけにこだわり派の人には少々物足りなさがあるかも知れません。
また数値の表示がデジタルなので、物事を視覚的に判断する人にとっては、数字のデジタルは味気ないかも知れません。
アナログテスターのメリットとデメリット
アナログテスターのメリット(長所)は、数値を針の動きで表示するので、動きに手応えがあり視覚的に認識しやすい点です。また測定レンジを適切に選べば反応速度はデジタルよりも早く、外からのノイズにも強いのがメリットです。
デメリット(短所)としては、測定レンジの選択する箇所が多く使い方も複雑なことと、数値は針が示す目盛を読まなければならないので値を読み取るのに時間がかかり、注意しないと読み間違いが起きやすい点です。
好みや感性の違いがありますが、アナログテスターのほうがデジタルより使いこなすまでに少々時間がかかります。使い方が難しい分、使いこなせた時には達成感と優越感が味わえるのではないでしょうか。
デジタルテスターのほうが優れている点が多いのですが、視覚などで感覚的に捉えることが得意な人にとってはアナログテスターの特徴は、捨てがたい魅力になるのかも知れません。
テスターの使い方の注意点
テスターの使い方の注意点は、前の章で紹介した部分と重なるところもありますが、テスターを壊してしまわないためにもう一度おさらいします。
また使い方を間違えると感電などの事故を起こすこともあります。そのためにも、ここでしっかりと使い方の注意点を確認しましょう。
小型のテスターではバッテリーは測れないことも!
これまでの記事で電流の測定方法は紹介しませんでしたが、テスターでは電流を測定する機能もついています。しかし一般に市販されている小型のテスターでは「mA(ミリアンペア)」ていどの微電流しか計れません。
過度の電流を流すといっぺんにヒューズが飛んでしまいます。車のバッテリーなど大容量のバッテリーはかなり大きな電流を流すので計れないと思って使い方に注意しましょう。
電力(W)=電圧(V)×電流(A)
余談になりますが、家電製品には◯◯W(ワット)という表示があります。電気には「電力(W)=電圧(V)×電流(A)」という法則があります。
たとえば200Wの家電製品には「200W=100V×2A」という式で分かるように2A(アンペア)の電流が流れる計算になります。
2A=2000mAで「mA」の千倍の電流です。mA単位の電流しか計れないテスターを使えばいっぺんにヒューズが飛んでしまうのが理解できるのではないでしょうか。
このように電気製品には大きな電流が流れるものが沢山あります。テスターをむやみやたらに面白がって電流測定をしないよう注意が必要です。
リード棒を当てたままレンジを切り替えない
もう一つテスターの使い方で注意する点は、リード棒の赤と黒を当てたまま測定レンジを切り換えないことです。リード棒を重ねたまま切り換えるとテスターが壊れてしまうことがあるので絶対に止めましょう。
これを防ぐための使い方としては、リード棒を付ける前に測定レンジの切り換えをするように、また測定が終わったらリード棒を離すようにする習慣をつけることがベストな使い方です。
テスターはメモリをしっかり合わせる事で簡単に測定できる!
テスターは使い方が難しいのではと思っていた方も、ここまでの記事で注意点さえ守ればそんなに難しいものではないことがお分かりになったのではないでしょうか。
テスターにある測定レンジというメモリさえしっかり合わせれば初心者でも簡単に扱える器具です。これまでの記事を参考にしてデジタル・アナログ自分に合ったテスターを選ぶことをおすすめします。