スウェーデンの国旗の意味
スウェーデンの国旗は青色と黄色の2色から構成されています。この国旗に使われている色は、スウェーデンの国の成り立ち方や、自然環境と言った特徴を表現しています。
国旗の青色はスウェーデンの国土全体に広がる澄んだ湖や広い空を表しており、そして黄色は、スウェーデンで主に信仰されているキリスト教と自由、独立などを表現しています。
国旗に表現されている黄色の十字のデザインは、これから後述しますが、11世紀に当時の国王であったエーリク9世が北方十字軍を率いた時代にこのデザインが国旗として制定された点に由来すると言われています。
青色は空や湖・黄色は黄金に輝く太陽
上でも述べた通り、現在のスウェーデン国旗のデザインは、スウェーデンの王朝の紋章に使用されている色である青地に黄色の十字を入れているものです。国旗の青色はスウェーデン国土に広がる広い空や豊かな湖を表現しています。
黄色は黄金または輝く太陽を意味しています。この黄色については後述しますが、元来は金色で表現されていた旗が、実用性の点から黄色のデザインに変更となった経緯があります。
国旗にも使用されていた金色は現在では国章に使用されており、これらの色はスウェーデンで信仰されているキリスト教、そして自由と独立を意味します。
スウェーデンの国旗の由来
スウェーデンの国旗のデザインが表す意味や、その意味を持つに至った歴史について説明してきました。ここからはスウェーデンの国旗のデザインはそもそもどのような歴史、出来事に由来していたのでしょうか?
ここからはスウェーデンの国旗のデザインが持つ意味が、過去のどのような歴史や出来事に由来していたのか、またデンマークやノルウェーなど、スウェーデンとも密接な関わりを持っている近隣諸国の国旗のデザインについても触れていきます。
蒼空に金十字を目撃という故事から
スウェーデンの国旗のデザインが定まったきっかけとなる出来事は、12世紀に遡ります。1100年代半ば、当時の国王であったエーリク9世が北方十字軍を興し、フィンランドへの侵攻を進めて戦争が始まる直前、スウェーデンに広がる青空を金の十字が横切るのを見たという故事に由来すると言われています。
この金の十字は空からの神によるメッセージであるとし、エーリク9世はこの十字を自身の旗印として、青地に金十字を施した旗を使用するようになりました。しかしながら、後年に実用性の面から、金色の十字はよりはっきりした黄色の十字に変更されています。
スウェーデンの国旗は別の呼び方で金十字旗と呼ばれています。国旗のデザインは青地に黄色(金色とも言われます)のスカンジナビア十字が描かれているものです。青はスウェーデンの澄んだ空を表し、黄色(金色)はスウェーデンで信仰されているキリスト教・自由・独立を表すと言われています。
このスカンジナビア十字は主にスカンジナビアクロスと呼ばれることが多いのですが、北欧諸国の国旗のデザインで見られる、十字の交わる箇所が左側に寄っている横長の十字デザインのことです。
アイスランド・デンマーク・ノルウェー・フィンランド・スウェーデンの北欧諸国のどの国も国旗のデザインにはスカンジナビアクロスが使用されていますが、国旗の縦横の比率がどの国もそれぞれ全く違う比率でデザインされていることが特徴です。
スウェーデンの国旗の比率
ここまでスウェーデン国旗のデザインが表す意味や、その由来について説明してきました。またスウェーデンを含む北欧諸国の国旗にはスカンジナビアクロスが使われていて、その国ごとに国旗の縦横の比率も異なることを述べましたが、スウェーデン国旗の縦横の比率はどのくらいなのでしょうか?
国旗の縦横の比率
国旗及び市民旗として使用されるスウェーデン国旗の縦横の比率は5:8の長方形で、配色は青・金・青の順になされているのが特徴です。
この国旗及び市民旗とは別に、軍旗や軍艦旗も制定されていて、デザインは三ッ尾となっています。全体の縦横の比率については、こちらは通常の国旗とは異なり、世界的にも国旗の縦横の比率として採用している国の多い1:2の比率となっているのが特徴です。
スウェーデンの様々な特徴
ここまではスウェーデンの国旗のデザインとそのデザインが意味するもの、国旗のデザインの由来やそれにまつわる歴史に加え、国旗の縦横の比率がどのくらいなのかを国旗と軍艦旗と両方のケースについて紹介してきました。ここからはスウェーデンという国の概要について紹介していきます。
スウェーデンの人口
スウェーデンの総人口は約950万人程で、日本の人口と比較するとおよそ12分の1程です。面積は約45万㎢と日本の約37万㎢よりも少し広い程度ですが、人口密度が20人/㎢と非常に少ないのが特徴です。
スウェーデンの人口構成を語る上で欠かせない特徴が移民の存在です。2011年の統計によると、スウェーデンの人口の約20%に当たる192万人が全面的、もしくは部分的に外国にルーツを持つ(外国生まれの者、もしくは移民の子供)という結果が出ています。
スウェーデンの首都
スウェーデンの首都はストックホルムです。人口は約75万人で北欧の政治・文化・経済の中心都市となっています。ストックホルムは14の島から構成されており、市の面積の約30%を運河が占めている景観から、「水の都」「北欧のベニス」とも呼ばれています。
またストックホルムはアルフレッド・ノーベルの生誕地としても知られ、毎年ノーベルの命日である12月10日に、平和賞を除く賞の授与式がストックホルムのコンサートホールで(平和賞の授与式は隣国ノルウェーの首都オスロの庁舎で行われる)、その後晩餐会がストックホルムの市庁舎で行われます。
スウェーデンの宗教
スウェーデンでは心境の自由は法律によって保証されており、キリスト教、イスラム教、仏教といった世界3大宗教をはじめ、様々な宗教が信仰されています。
その中でも一番信仰する人が多いと言われているのはルター派キリスト教です。このルター派キリスト教はかつてはスウェーデンの国の宗教として2000年まで国教会の地位を保っていましたが、政教分離原則の適用に伴い、非国教化されました。
と言っても依然としてルター派キリスト教の影響は非常に大きく、スウェーデンの全人口の約70%がスウェーデン国教会のメンバーとして登録されているのが特徴です。
スウェーデンの気候
南北に長いスウェーデンでは、場所によっても気候が異なります。首都のストックホルム近辺やデンマークとの国境付近のエリアは、大西洋から流れるメキシコ湾流のおかげで、高緯度に位置する割には比較的温暖ですが、北極圏に属するエリアでは、冬は厳しい寒さです。
四季がはっきりと分かれているのが特徴で、夏は日本と比較すると極端に温度は高くなく、また梅雨もなく湿度も低めなので快適に過ごせます。
国土全体が高緯度に位置しているため、季節によって日照時間が大きく変わるのも特徴です。1年のうちで最も日が長い夏至の時期は白夜と呼ばれる一日中日が沈まない時期がある一方で、逆に冬至の時期は太陽が昇らない日もあります。
スウェーデンの治安
スウェーデンを含めて一般的に北欧諸国の治安は、周辺のヨーロッパの他地域と比較してとても良いと言われています。その一方で、地理的にヨーロッパの他地域からの移動が容易にできるため、ヨーロッパ情勢の影響も受けやすいと言えます。
近年は2001年にシェンゲン協定に加盟したことによるヨーロッパ他地域からの移民が増え、更に中東からアフリカからの難民も増え始め、移民や難民の増加に伴う問題を抱えています。スリや窃盗、置き引きといった軽犯罪が増加して治安の悪化があるエリアもあります。
スウェーデンに関しては日本の外務省から出される危険情報は出ていませんが、やはり自分の安全は自分で守るといった意識は必要だと言えます。
スウェーデンの国旗と似ている国
ここまではスウェーデンの国旗とそれに関連してスウェーデンという国の概要について述べてきました。また先に他の北欧諸国の国旗についても、スウェーデンの国旗と同様、スカンジナビアクロスが採用されているという特徴がある旨説明してきました。
ここではアイスランド、デンマーク、ノルウェー、フィンランドの他の北欧諸国についても、それぞれの国の国旗の由来や歴史について、加えてスウェーデンの国旗と同様、旗の縦横の比率がどの位なのかについても触れていきます。
アイスランド
アイスランドの国旗は、青地に、それと赤と白のスカンジナビアクロスのデザインです。青と白は古くから伝統的にアイスランドの国民色とされています。青は大西洋の海・白は氷河と雪原・赤は火山を表しています。
アイスランドの国旗の歴史を辿ると、1915年6月19日、デンマーク領アイスランドの旗として公式に制定され、その後デンマークと元首と外交を共通とする連合国として、1918年にアイスランド王国が成立した際にも引き続き使用されました。
また1944年6月17日にデンマークから正式に独立してアイスランド共和国が樹立された際には改めてこの旗が国旗として制定されたのです。この国旗の縦横の比率は18:25です。
デンマーク
デンマークのこの国旗は、北欧諸国で使われているいわゆる「スカンジナビアクロス」の基となりました。オーストリアの国旗やスコットランドの国旗と並び、独立国として現在も使用されている国旗の中では世界最古の国旗と言われています。
スカンジナビアクロス(ノルディッククロスと呼ばれることもあります)とは、北欧諸国で良く見られる左側に交点が寄った横長の十字模様のことで、国旗や地域の旗に使用されています。
その中でもダンネブロ (Dannebrog) と呼ばれるデンマークの国旗は、スカンジナビアクロスの基となっています。オーストリアやスコットランドと並び、現在使用されている国旗の中で世界最古の国旗といわれています。この国旗の縦横の比率は28:37です。
ノルウェー
赤地に白十字というノルウェー国旗のデザインは、かつて長い間デンマークの支配を受けていた歴史が関係しており、デンマーク国旗の「ダンネブロー」の影響を受けています。16世紀から1814年までは同君同盟を組んだデンマークと同じ国旗を使っていました。
1818年にスウェーデン王国との同君連合が開始され、スウェーデンを示す青十字がダンネブローに組み込まれたのが現在の国旗の始まりと言われています。赤・青・白の三色はフランス国旗のトリコロールやアメリカ国旗の星条旗の影響を受けています。この国旗の縦横の比率は16:27です。
またノルウェーでは国旗の取扱いに関する取り決めに厳しく、軍や法律では国旗に関する取扱い方が制定されています。例えば国旗の掲揚時間が細かく決まっていたり、旗を地面につけたり、腰より下につけることは不敬として禁じられていたり、国旗の保管方法まで決まっているようです。
具体的には、他の多くの国のように国旗を畳んで保管するのではなく、丸めて小さくし、それを国旗保管用の筒の中に入れて保管するそうです。
フィンランド
豊かな森と湖に囲まれ、冬は真っ白な雪に覆われる国、フィンランド。国旗のデザインにもそのような国の自然環境や特徴が表現されていて、フィンランド国旗の白は国土を覆う雪、青は湖と空を表しています。
約100年の間、ロシアによる支配を受けていましたが、1918年にロシアから独立後、白と青を基調として国旗にスカンジナビアクロスを取り入れ、現在の国旗となりました。別名「青十字旗」とも呼ばれています。この国旗の縦横の比率は11:18です。
スウェーデンの国旗は大空に輝く太陽を象徴
本記事ではスウェーデンの国旗のデザインやその由来、また国旗が示す意味について説明し、またスウェーデン気候や宗教、文化といった国の概要についても述べてきました。
スウェーデンの国旗に青色と金色(今は黄色ですが)が採用された理由は美しい自然環境や、自由な国ということ、信仰の対象であるキリスト教を表現していると述べましたが、同時にスウェーデンはその気候条件から冬はなかなか太陽を臨むことが難しい自然環境におかれています。
そうした環境ということもあり、国旗の金色の中に輝く太陽をイメージし、国旗のデザインの中にいつでも太陽を感じられるように金色を入れたのではないかとも考えることができるのではないでしょうか。
世界の国々が制定している国旗の由来や、国旗のデザインに込められた意味を考察するのもなかなか興味深いものです。出張や旅行で海外に行くことになったり、気になる国が出てきたら、国旗を紐解いて改めて国旗に込められた意味を考えるのも面白いかもしれません。