「世知辛い」の意味と使い方を例文付きで分かりやすく紹介!類語や対義語も!

「世知辛い」の意味と使い方を例文付きで分かりやすく紹介!類語や対義語も!

普段あまり耳にしない「世知辛い」という言葉の正しい意味や使い方について解説しています。また「世知辛い」の語源や類語、対義語、例文などを通じて言葉の意味や使い方の理解を深め、日常やビジネスシーンで自在に扱えるようになることを目指します。

記事の目次

  1. 1.「世知辛い」の意味とは?
  2. 2.「世知辛い」の語源
  3. 3.「世知辛い」の特徴
  4. 4.「世知辛い」の対義語
  5. 5.「世知辛い」の使い方
  6. 6.「世知辛い」は「世渡りが難しい」「抜け目がない」という意味

「世知辛い」の意味とは?

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目まぐるしく変化するこのご時世に、息苦しさや生きづらさを感じたことのある方はいらっしゃるでしょうか。このような世の中の意心地の悪さのことを「世知辛い」と表現します。読み方は「せちがらい」と読み、語源は「世知」と「辛い」という言葉から成り立っています。

読み方に誤りが多いのが「よちがらい」や「せちづらい」です。これらはすべて読み誤りですので、読み方には十分注意が必要です。

これより「世知辛い」という言葉の正しい意味について解説していきます。また語源や類語、対義語、例文などを通じて言葉の使い方の理解を深めることで、日常やビジネスシーンでも自信を持って扱えるようになることを目指します。

意味(その1) : 抜け目がない

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「世知辛い」には大きく分けて2種類の意味があり、その1つ目として「計算高く、心にゆとりがない。打算的でこせこせしている。抜け目がない。」という意味があります。

つまり、自分の利益になることに関してはよく気が付いて、手抜かりなく立ち回るさまを表す言葉と言えます。職場や身の回りでこのような方がいらっしゃる方も決して少なくないのではないでしょうか。

この「計算高く、心にゆとりがない。打算的でこせこせしている。抜け目がない。」という意味が本来の意味として用いられたものであり、次にご紹介する2つ目の意味はここから派生した意味となります。

意味(その2) : 世渡りが難しい

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一方で、「世知辛い」のもう1つの意味として「世渡りが難しい、暮らしにくい」という意味があります。こちらで使われる意味合いはその1の項目でお伝えした「抜け目がない」の意味から転じた意味合いとなります。

現在は「抜け目がない」という本来の意味合いよりも、こちらの「世渡りが難しい、暮らしにくい」という意味が使われることの方が一般的です。

「世知辛い」の語源

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「世知辛い」の語源は「世知」と「辛い」の2つの言葉から成り立っています。「世知」は「世俗に生きる凡夫の知恵」という仏教用語を語源としており、その他に「世渡りの知恵」「抜け目のないこと、けちなこと、またけちなさま」という意味があります。
    
「世知」の類語は「世才」「俗才」「処世術」などが挙げられます。一方で「辛い」は、味覚の「からさ」を表現するものではなく、「つらい、苦しい、残酷である、むごい」などを意味する言葉となります。

この「辛い」という言葉は「世知」を強調する役割も果たしています。「世知辛い」は言葉が成り立った後に語源の意味合いや使い方から変化を伴いながら、現代まで受け継がれてきました。次の項目ではその具体的な言葉の変化について解説していきます。

「世知」は「世俗の知恵」を意味する

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上記でもお伝えしましたが、「世知辛い」の「世知」は3つの意味が存在しますが、本来語源である「世俗の知恵」を意味しており、日本では「世渡りの知恵、世渡りの才覚」という意味合いで用いられていました。

さらに、この「世渡りの知恵、世渡りの才覚」の意味が転じ、形容動詞として「勘定高い、けちだ」という意味でも用いられるようになりました。

「世渡りが難しい、暮らしにくい」という意味合いは、「世知辛い人(勘定高く、抜け目のない人)が多い世の中は暮らしにくい」というところからの派生的用法として使われるようになりました。

世渡りの上手な人が多くて暮らしにくい世の中のことを「世知辛い世の中」と表現することがあります。この「世知辛い世の中」という言葉の詳細についてはこれ以降の項目で解説しています。

「世知辛い」の特徴

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上記の『「世知辛い」の語源』の項目で、「世知」とは仏教用語が語源であるとお伝えしました。思った以上に歴史ある言葉であるということを感じていただけたのではないでしょうか。

言葉を理解する上で語源を辿ることは、その言葉の成り立ちの背景や語源から現在使われている意味への変化のプロセスなど、言葉について理解が深めることができます。

こちらの項目では「世知辛い」という言葉の理解を広めるため、「世知辛い人」と「世知辛い世の中」という言葉を例として意味や使い方について解説いきます。

「世知辛い人」とは?

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「世知辛い人」とは「勘定高く、心のゆとりのない人」という意味です。つまり、どんなご時世でも生き抜くために、自分自身の利益となることには用意周到で、他人を気遣う余裕のない人のことを言います。

「昇進すると、中には世知辛い人へと豹変する者もいる。」「上司は、多くの収入があるのにも関わらず世知辛い人である。」これらの意味や例文をご覧になっても分かる通り、あまり良い言い回しとは言えません。

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地道に努力を重ねているにも関わらず、なかなか結果が出ない時や、報われない状況に思わず愚痴の一つや二つ言いたくなってしまうことがあるものです。しかし、心得ておかなければならないことは、愚痴をこぼしたことから得られることは何もないということです。

「世知辛い」の意味でもお伝えしましたが、現在は「世渡りが難しい、暮らしにくい」の意味合いで使われることが一般的なため、人によってはこちらの意味と取り違えてしまう恐れがあるため注意が必要です。

「世知辛い世の中」とは?

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「世知辛い世の中」とは「生きづらい世の中、世渡りが難しい世の中」のことを意味します。この言葉は、自分の所属しているコミュニティーに関しての意心地の悪さや、世界経済の不安定さ、災害、社会情勢などによる生きづらさを表現することができます。

「現代の社会は、実力や努力ではなく、上司に気に入られないと昇進できないとはなんと世知辛い世の中であるか。」「結局金がものを言うとは、なんとも世知辛い世の中なものだ。」「世知辛い世の中を生き抜くためには、処世術を身に付けなければならない。」

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上記のような例文を見ると、現実と向き合うことが滅入ってしまいそうになりますが、物事はすべて見る角度によって世界観が変わることもあります。一人で生きていけない世の中だからこそ互いに手を取り合って尊重し合えるような関係を築きたいものです。

「世知辛い」の対義語

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こちらの項目では「世知辛い」の対義語について、例文を添えて解説します。まずは「世知辛い」の1つ目の意味である「計算高く、心にゆとりがない。打算的でこせこせしている。抜け目がない。」の対義語は「気前がいい」や「正直」などが挙げられます。

「世知辛い」の2つ目の意味である「世渡りが難しい。暮らしにくい。」の対義語は「世渡り上手」や「暮らしやすい」などがあります。これらの対義語に関してどのような使い方ができるかさらに詳しく解説していきます。

またこの項目の後半では「世知辛い」の類語もご紹介します。それぞれを比較しながら意味や使い方を理解することで語彙力アップに繋がります。

「抜け目がない」という意味の対義語

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「気前がいい」とは「さっぱりした気性。特に、金銭などを出し惜しみしない性質。」のことを言います。例文を挙げると「彼は財布のヒモが固いものの、ここぞという時に気前がいい。」といった表現があります。

「正直」とはご存じの通り「正しくて真っ直ぐなこと。うそや偽りのないこと。」という意味です。例文を挙げると「彼女は人を騙すことのできない正直な人である。」のような使い方ができます。

「世知辛い」は損得勘定に囚われているのに対して、「気前がいい」や「正直」は自身の利益に関わらず、出し惜しみせず相手に真っ直ぐ向き合う意味合いが含まれているため「世知辛い」の対義語に相応しいでしょう。

「世渡りがむずかしい」という意味の対義語

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上記でもお伝えしましたが、「世渡りが難しい、暮らしにくい」という意味合いでの「世知辛い」の対義語として「世渡り上手」、「暮らしやすい」などがあります。「世渡り上手」とは「有利な人間関係を築いたり、恵まれた暮らしを実現したり、世間においてうまく立ち回れるさま」を言います。

例文を挙げると「世渡り上手な人は意思伝達能力が高い。」のような表現ができます。一方、「暮らしやすい」とは「暮らしていくことに悩みや困難がないこと。」を意味します。例文を挙げれば「この街は、治安の良さと気候の温暖さが相まって、非常に暮らしやすい。」といった表現が可能です。

世渡りに対して常々困難に感じ、意心地の悪さを抱いている「世知辛い」に対して、世の中を上手く立ち回る術を知っていて、日々の生活に悩みのない「世渡り上手」や「暮らしやすい」は「世知辛い」の対義語と言えます。

「世知辛い」の類語

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最後に、「世知辛い」と同様の意味合いが含まれる類語についてご紹介します。繰り返しになりますが、「世知辛い」とは自身の損得に関しては利口であり、世間での立ち回りが困難で息苦しさを感じているという意味合いがあります。

これらの意味合いを含む類語として「小賢しい」「狡猾」「生きづらい」などが挙げられます。「小賢しい」とは「賢い人間であるかのように振る舞い、差し出がましい。」という意味です。「狡猾」とは「悪賢くずるいこと。(またそのさま)。」を言います。

また「生きづらい」とは「思うように生きることが困難なこと。」を意味します。これらの類語は、どれも世間を悲観的に捉える表現であり、「世知辛い」の類語として適していると言えます。

「世知辛い」の使い方

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上記の項目では、多義語や類義語を通じて「世知辛い」の意味について検証してきました。それでは、具体的に「世知辛い」の言葉を日常やビジネスシーンで用いるためにはどのような使い方があるのでしょうか。

「世知辛い」は基本的に形容詞として使用することが多く、「人」「社会」「世の中」などの名詞と結び付けて用いられます。その中でも特に「世知辛い」と「世の中」は相性が良く、「世知辛い世の中」はよく使われるコロケーションのため、頭の片隅に入れておくと良いでしょう。

こちらの項目では「世知辛い」の使い方について詳しく解説していきます。例文を通じて具体的に「世知辛い」にはどのような表現があるのかより理解を深めることができます。

例文①

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例文①、例文②では「こざかしい、計算高い、抜け目がない」という意味合いの例文をご紹介しています。

「先輩は昇進してからというもの世知辛い人になってしまった。」「自らの権力を利用して賄賂を請求するとはなんて世知辛い人間なんだ。」「他人の功績を横取りしてしまうような世知辛い人にはなりたくない。」

例文②

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「無料と謳って、後々料金を請求するような世知辛い商法が氾濫する。」「せこくて世知辛い会社が、ますます社員を追い詰めていく。」

これらの例文を見ると自分の利益や損得のことしか考えが及ばず、相手に思いやりのない意味合いが込められていることが分かります。例文の「世知辛い」の箇所に、先ほど挙げた類語を置き換えてみるとより一層言葉の理解を深めることができます。

繰り返しになりますが、現在は「世渡りが難しい、暮らしにくい」の意味合いで使われることが一般的なため、人によってはこちらの意味と取り違えてしまう恐れがあるため注意が必要です。

例文③

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例文③と例文④では、「世渡りがむずかしい、暮らしにくい」という意味合いの例文をご紹介しています。例文①、②と使い方や表現にどのような違いがあるか比較してみても良いでしょう。

「弱肉強食の社会というものは世知辛い世の中である。」「どの時代にも世知辛い世の中を嘆く人はいるものだ。」「互いの関心を高められれば、この世知辛い世の中ももう少し暮らしやすくなるのに。」

例文④

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「どんなに世知辛いご時世でも、自分に正直に生きていたい。」「世知辛い社会になったというけれど、戦後の方が圧倒的に貧しく、人々は荒んでいた。」

こちらの意味合いの「世知辛い」では、「世の中」という言葉が相性の良い言葉となります。「世知辛い世の中」がどのような世の中であるかは個々の職場や生活環境によっても異なりますが、努力や頑張りに関わらず世間に対して上手く立ち回れない状態を「世知辛い世の中」として表現できます。

「世知辛い」という言葉は、決してポジティブな言葉ではないため、ビジネスシーンで多用することは適切であるとは言えません。日常生活においても使用頻度には十分注意が必要です。

「世知辛い」は「世渡りが難しい」「抜け目がない」という意味

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これまで「世知辛い」の意味や使い方、語源、対義語、類語について解説してきました。どちらかと言うと決して明るい意味合いではないため、日常やビジネスシーンで多用することはおすすめしません。

しかし、「世知辛い」の「世知」が仏教用語から来ている点が何とも趣のある印象を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。理不尽な境遇や世の中に思わず愚痴を言いたくなることもありますが、そこからは生産的なものは生まれません。

“Give & Take”という言葉があるように、自分の利益ばかりを考えず常に双方にとってプラスであること”Win-Win”の関係を築くことが重要です。それでも相手が対等の関係を築こうとせず自らの損得しか関心のない人である場合もあります。

そんな状況に打ち勝つためには自らの知識を高めることが大切です。世の中の構造やルールを把握できれば、どんな相手や状況にも心を揺さぶられることなく向き合うことができるはずです。

kayaka89
ライター

kayaka89

毎日の習慣や気付きが人生を形作っていると感じています。何事にも好奇心を持って、失敗を恐れずにまずは挑戦してみる。そこには常識や固定観念を超えた新しい価値や概念が開かれるかもしれません。人々が人生をより良くするために何かしら行動するきっかけとなるような記事を届けたいと切に思いながら執筆を行なっています。

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