「散文的」の意味とは?
今回は、「散文的」という言葉について紹介します。「散文的」を解説する前に、まずは「散文」の意味について紹介する必要があります。
「散文」とは、「韻律や定型にとらわれない通常の文章」という意味があります。俳句や短歌のような文字数や韻律が決まったもの以外のすべての文章を指すことになります。
「散文」と聞くと難しそうな印象を受けますが、一般的に普段の生活で使ったり見たりする文章はすべて「散文」と考えて間違いはありません。
「散文的」の対義語・類義語
続いて、「散文的」の対義語と類語について紹介します。まず、対義語としては「韻文」が当てはまります。「韻文」とは、「散文」と異なり、「一定の韻律を持ち、定型が整った文章」となります。
「韻文」の例としては、俳句や短歌などが挙げられます。俳句の五・七・五などのように、きちんと文字数や言葉の高低や強弱などの韻律が決まっている文章が「韻文」に当たります。
「散文」の類語としては、ぴったりと収まる類語は上げることが難しいです。小説や随筆はすべて「散文」に含まれますが、「散文」が「韻文以外の文章」とされるように範囲が広いので、類語を示すのは難しいです。
「散文的」の使い方・例文
「散文的」の類語や対義語を紹介してきました。続いては、「散文的」あるいは「散文」の使い方を例文を通して紹介していきます。「散文」には、自由な文章という意味があります。
しかし、「散文的」と「的」がつくことで使い方によってはマイナスのイメージを持つことがあります。使用する際には、注意するようにしましょう。
以下、様々なシチュエーションを想定して「散文的」を使った例文を紹介していきます。例文を覚えて、正しく使えるようになりましょう。
例文①
「散文的」あるいは「散文」を使った例文の一つ目を紹介します。文章を説明する際に使用する場面を想定しています。
「小説や随筆はいわゆる散文であるため、守るべき形式というものは少ないです。自由に気持ちや伝えたいことを表現してみましょう。」
「散文」が自由な形式で作成できる文章であることを言い表した表現です。客観的な意味合いを伝える一般的な使い方です。
例文②
「散文的」あるいは「散文」を使った例文の二つ目を紹介します。中学校や高等学校などで出される宿題において使用する場面を想定しています。
「学校の宿題で出される読書感想文は、散文に含まれます。韻文とは異なって特に決まった定型はありません。」
読書感想文は多くの方が経験したことのある作文です。散文であるといえども、良い読書感想文を作成するためには、ある程度パターンを決めて文章を作成した方が作りやすいという側面もあります。
例文③
「散文的」あるいは「散文」を使った例文の三つ目を紹介します。「散文」の使い方で気を付けるべき例文となります。
「典型的な散文であるため、非常に読みにくく意味が分かりにくい文章です。」少し否定的なニュアンスが含まれている使い方になります。
「散文」は特に定型がない文章という意味がありますが、これを否定的に使い、まとまりがない文章という意味合いを盛り込んだ例文になります。「散文」は使い方によって否定的に使用することもできます。
例文④
「散文的」あるいは「散文」を使った例文の四つ目を紹介します。「散文的」を使った例文になります。こちらも否定的な意味合いを盛り込んだ表現になります。
「彼の受け答えは非常に散文的であるため、相手に悪い印象を与えてしまいかねません。」「散文的」を味わいや情緒がない、あるいは気持ちがこもっていないなどのネガティブな印象を盛り込むことができる言葉です。
「散文的」という言葉は、「散文」と比較してもマイナスイメージで使用される事例が多いので、場合によっては相手に誤解を与えることがあるので、使用する際は注意するようにしましょう。
「散文的」と「韻文」の違い
「散文的」の使い方を解説するため、例文を4つ紹介してきました。続いては、「散文的」と「韻文」との違いについて解説します。「韻文」は「散文」の対義語として紹介しました。
「韻文」には俳句や短歌のような韻律を持った定型のある文章のことを言います。韻律という言葉はわかりにくいかもしれませんが、音の強弱や長短などによって作り出される言葉のリズムのことです。
「韻文」は俳句や短歌から連想される容認、きちんとしたことを連想させる言葉として使用されることもあります。
「韻文」は「形式の整った文章」という意味
「韻文」とは、韻律が決まった定型のある文章のことです。代表例としては俳句や短歌が挙げられます。日本の伝統的な文化である俳句や短歌は、その美しい韻律に支えられる側面が大きいです。
「韻文」自体の美しく安定的な意味合いから、きちんとした状態や安定的な状態を象徴する言葉として利用されることも多いです。
逆に「散文」は粗雑さや不安定な状態を表現する場合に利用される場合もあるため、使い方に気を付ける必要があることに注意が必要です。
「散文的」を使う際の注意点
「散文的」と「韻文」の意味の違いについて解説をしました。続いては、「散文的」という言葉を使う際の注意点について紹介します。
「散文」には、前述のように決まった定型がない自由な文章という意味がありますが、そこから派生して粗雑さにつながるような否定的な意味を持たせることもできます。
「散文」の一つに「悪文」を当てはめる人もいるように、マイナスイメージが含まれる言葉ですので、使用する際には注意を要します。
肯定的な印象の意味では使えない
「散文的」という言葉を使う際には、前述の例文のように、情緒や気持ちがこもっていない、粗雑な意味が含まれてしまいます。そのため、あまり肯定的な意味で使用することはできません。
「散文的」には場合によっては情緒のないドライな状態を表してしまいます。気持ちを表現しないドライな人を「散文的な人」と否定的に表現する使い方もあります。
このため、「散文的」という言葉を使用する際には場面と相手を考えて、誤解を与えてしまわないように気を付けて使用しましょう。
「散文的」の由来・歴史
「散文的」という言葉を使用する際の注意点について紹介しました。続いては、「散文的」という言葉の由来や歴史について解説していきます。
日本では、文学といえば俳句や短歌のように、「韻文」が有名ですが、「散文」も昔から日本だけでなく世界でも歴史的価値のある作品が残されています。
「散文」と「韻文」が作成されてきた歴史を通して、それぞれの意味と昔からのルーツについて紹介していきます。
歴史
「散文」は、古代ローマの時代から執筆されてきた形式です。哲学書や歴史書、地誌書などは「散文」に分類されます。いわゆる非純文学的な内容を持つ文章に使用されました。聖書の翻訳や説教書も「散文」に含まれます。
文学の面からみると、歌劇や喜劇などは「韻文」で作成されるのが一般的でした。「散文」は道化や下級の一般市民など、通常の規範から外れた登場人物のセリフなどでの使用に限られました。
のちに、「散文」のみで構成される喜劇なども増えてきました。さらにエッセーや文学論の文章も徐々に「散文」で構成されるようになり、現代においては小説などで一般的に使用されるようになりました。
「散文的」の英語表記
「散文的」の歴史について紹介してきました。最後に、「散文的」の英語表現について紹介します。「散文的」の英語における類語の代表例は「prosaically」です。「unimaginatively」という表現もあります。
「unimaginatively」からもわかるように、「imaginative」の「想像力に富む」という意味の反対の意味として、「創造性に欠ける」といったマイナスのニュアンスが含まれる使い方もされます。
「散文」の類語といえる英語表現といえば「prose」です。逆に「韻文」の英語表現は「verse」という言い方があります。
「散文的」は「散文のような様子」という意味
以上、「散文的」という言葉について解説をしてきましたがいかがでしたでしょうか。「散文」の類語や対義語、使い方や例文などについて解説してきました。
「散文」自体は定型のない一般的な文章という意味がありますが、派生して「粗雑な状態」あるいは「情緒のないドライな状態」を表現し、マイナスに捉えられてしまうこともあるので使い方には注意しましょう。