「参加させていただきます」の意味とは?
辞書によると、「参加」とはある目的を持つ集まりに一員として加わり、行動を共にすることとあります。ほかには法律用語として、ある法律関係に当事者以外の者が関与することという意味もあります。しかし、一般的には前者の意味で使うことが多いでしょう。
「させていただく」は使役の助動詞「させて」に「もらう」の謙譲語である「いただく」をつなげたものです。「させていただく」の意味は相手に許可を得て、ある行為を遠慮しながらするという意味を持ちます。
「参加させていただきます」は集まりに加わること
「参加させていただきます」はある目的を持つ集まりに一員として加わることを、許可を得て遠慮しながら行動を共にするということを意思表示した言葉となります。
ちなみに「参加させていただきます」の表記は「参加させていただきます」であって、「参加させて頂きます」と漢字の表記は誤りとなります。
感謝の気持ちで「参加させていただきます」を使おう
「参加させていただきます」は集まりに許可を与えてくれた相手に感謝を込めて参加の意思を伝えたい時の言葉です。ですから単なる挨拶の言葉ではなくて、相手に感謝の気持ちを大いに伝えて参加するという返事をしたいものです。
「参加させていただきます」の敬語は間違い?
「参加させていただきます」は間違った敬語だと感じる向きがあるようです。不自然な日本語なのではないかと感じたり、二重敬語ではないかと思い、ビジネスシーンなどで使う時に躊躇してしまうといった経験はありませんか?
「参加させていただきます」は二重敬語なのでしょうか。結論からいうと、「参加させていただきます」は決して間違った言葉の使い方ではありません。二重敬語でもないのです。
社会人となったばかりのフレッシュマンも安心してこの「参加させていただきます」をぜひ使ってみてください。ミーテイングやイベントのお誘いなどの返事として適切な言葉となります。
二重敬語とは
二重敬語とは同じ種類の敬語を重複して使うことをいいます。例えば「尊敬語+尊敬語」「謙譲語+謙譲語」という使い方です。一例をあげるなら「部長様」というのは二重敬語です。「部長」という役職名は敬称なのでそれにまた敬称の「様」を二重につける必要はありません。
また、広く使われている「お召し上がりください」も尊敬語の動詞「召し上がる」に尊敬の敬語表現の「お〜ください」がつながった言葉ですので明らかな二重敬語です。しかし、日本語として定着してしまっているので許容範囲となります。
「参加させていただきます」が二重敬語ではない理由
「参加させていただきます」を分解すると「参加」という名詞に「させて」という使役の助動詞に「もらう」という意味の謙譲語である「いただく」をつなげ、丁寧語の「ます」で締めくくっています。同じ種類の敬語を使っていないのでこの使い方は二重敬語ではないということになります。
二重敬語の例
よくある二重敬語の例を挙げると「ご覧になられますか」(正しくは、ご覧になりますか)「おいでになられました」(正しくは、おいでになりました)お帰りになられました(正しくは、お帰りになりました)
ビジネスシーンでよく使われる二重敬語には、「お伺いします」「お召し上がりになります」「ご案内申し上げます」などがあります。「お伺いします」は謙譲語+謙譲語になります。
「お召し上がりになります」も「尊敬語+尊敬語」となり二重敬語です。また、「ご案内申し上げます」も謙譲語+謙譲語となり、二重敬語となります。これらは社会的に容認されている二重敬語ですので使っても良いのですが二重敬語だと覚えておきましょう。
敬語の種類
敬語には大きく分けて、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。「尊敬語」とは相手や相手の持ち物や行動などに敬意を表す言葉です。主な尊敬語は、「いらっしゃる」「お話くださる」「(名前)様」などです。「謙譲語」とはへりくだった言い方で相手への敬意を表す表現です。
相手に対して尊敬の気持ちや丁寧な気持ちを伝えることができます。主な謙譲語は「申す」「いたす」「差し上げる」「うかがう」「いただく」「拝見する」などです。
丁寧語とは話し手が聞き手に対して敬意を表したり改まった気持ちで、言葉使いを丁寧にしたりする時に使う言葉です。言葉の最後につける「です」「ます」「ございます」などがそれに当たります。
「参加させていただきます」は正しい敬語
「参加させていただきます」は日本語的にも少しもおかしいところはありません。それ自体が敬語となっているのでビジネスの場で上司や得意先に対して使っても失礼のない言葉です。安心してビジネスシーンで誘われた場合の返事として使いましょう。
「参加させていただきます」の言葉には参加することに対して相手が許可してくれたことに感謝の念が含まれています。許可を得てその集まりに参加できることに感謝しながら喜びを込めて言う言葉なのです。誘われた場合の返事としてはとても重宝な言葉となります。
しかし、誘われていないのに自分から「参加させていただきます」を使うと失礼に思われる場合があります。中には図々しいと嫌悪感を抱かれる場合もあります。「参加させていただきます」はあくまでも相手の許可が必要です。
「参加させていただきます」の使い方
「参加させていただきます」はビジネスの場では特によく使われる言葉です。使い方としては相手に誘われた時の返事として使います。社会人となるといろいろな誘いがあるものです。
上司や先輩からの個人的な飲み会の誘いから、会社の親睦会、各種イベントへ出欠の返事、さらに大切な取引先からのパーティーの誘い、新商品の発表会などの取引先からのお呼ばれなど、個人的な付き合いから仕事関係まで数多くの誘いがあります。
そんな時に「参加させていただきます」は好感が持てる返事となります。今度は「参加させていただきます」の正しい使い方をご紹介します。いろいろなシチュエーションでの例文を示してありますので、ビジネスシーンでの使い方をぜひ覚えてください。
例文①
ビジネスシーンでの使い方を例文でみていきましょう。「参加させていただきます」はビジネスでは日常的に使われます。ご紹介するのは上司からの誘いや取引先での誘いの場での使い方の例文です。
上司から「今日のミーティングに出られる?」と聞かれた場合に「ぜひ参加させていただきます」と答えると、参加の意思をはっきり伝えることができ、相手への敬意も伝えられます。
取引先からのイベントなどの誘いも「ぜひ参加させていただきます」という返事は参加したいという気持ちが強く出て好感を得られます。
「参加させていただきます」に「ぜひ」をつければ積極的に参加したいのだという気持ちが相手に伝わり誘って良かったと思われるでしょう。より強く参加の希望を伝えたい時には「ぜひ参加させていただきます」の使い方をお勧めします。
例文②
得意先からのお誘いへの返事にも「参加させていただきます」は重宝な使い方ができます。例文をあげれば、「来週うちのパーティーがあるんだよ。君もこないか」と誘われた場合に「喜んで参加させていただきます」と答えることで参加できるのが嬉しいという気持ちが相手に伝わります。
取引先の新商品発表会のような改まったイベントにも「喜んで参加させていただきます」は使うことができます。「参加させていただきます」だけよりも誘ってくれて嬉しいという気持ちが強く相手に伝わり、より適切な意思表示の言葉となります。
相手への敬意も伝わり、誘って良かったとあなたの好感度が上がります。その後のビジネスもうまくいくでしょう。
例文③
結婚式などの招待に対する返事として「謹んで参加させていただきます」というのがあります。例文としては「この度はおめでとうございます。謹んで参加させていたきます」という使い方となります。「謹んで」にはうやうやしくかしこまるという意味があります。
「謹んで」はお祝いやお悔やみ、お詫び、新年の挨拶にも使える言葉です。「謹んで新年のご挨拶を申し上げます」と年賀状にも書きますが、「謹んで参加させていただきます」という使い方をすれば、かしこまった言い方となります。
ビジネスシーンでも会社説明会や他社からの招待を受けた場合などにも使えます。ただ、「謹んで参加させていただきます」は大変かしこまった返事の仕方です。相手や時と場合を考えて使った方が良いでしょう。フランクな集まりの参加の可否の返事として使うと場違いな返事となってしまいます。
例文④
「参加させていただきます」はメールでも使える言葉です。新製品の発表会など、取り引先のイベントにメールで参加希望の返事を出す時の例文としては「お誘いいただきありがとうございます。貴重な機会ですのでぜひ参加させていただきます」となります。
また、社内的なメールで、例えば同じ部や課での上司の飲み会の誘いなのでの返事として例文を挙げるならば、「お疲れ様です。親睦会の件、お誘いいただきありがとうございます。ぜひ参加させていただきます」とメールでの返事でも「参加させていただきます」の言葉が使えます。
メールでの使い方も同じように参加したいという気持ちを強く相手に伝えたい時には「ぜひ」や「喜んで」をつけるとなお良い返事の言葉となります。
メールでは顔色を窺えないので気持ちを伝える言葉を添えることは対面して話す言葉よりも大切になります。つい、事務的になりがちなメールだからこそ気持ちの伝え方が重要なのです。
「参加させていただきます」の否定形
「参加させていただきます」とばかりは言えない場合もあります。参加したいけれど都合が合わなくて参加できない場合や参加したくない時にはどう返事をしたら良いのでしょう。今度は「参加させていただきます」と同じような敬語表現の断りかたをご紹介します。
会議やイベントなどにどうしても参加できない場合は「参加できません」というのは素直なのですが、相手に失礼になってしまいます。そんな時は「見送らせていただきます」あるいは「ご辞退させていただきます」と断れば失礼には当たりません。
「見送らせていただきます」の前後に「せっかくのお誘いですが」「大変申しわけございません」を付け足せばなお丁寧に相手に伝わります。
断る時は丁寧に
せっかくのお誘いを断るだけでも失礼なことなので、断りの言葉はより丁寧でなければいけません。不参加が決まった時にはなるべく早くお断りの返事をしましょう。
不参加を曖昧にせず、はっきりというべきです。その上で「大変申し訳ございませんが」といつもよりも丁寧な言葉使いで不参加の旨を伝えましょう。
「参加させていただきます」の英語表現
今度は「参加させていただきます」の英語表現も考えてみましょう。企業がグローバル化すると、外国人の相手に参加の可否を返事しなければなりません。ビジネスマンならば英語表現も覚えておく必要があります。
「参加させていただきます」の英語表現は「I'II participate」となり、「参加します」という意味となります。英語で例文を示すと、「I'II happily take part.」という文章となり、「喜んで参加します」という意味となります。
もう一つ英語の例文を示すと「He will happily take part in that meeting.」となり、その英語の意味は「彼は喜んでその会議に参加します」という意味となります。
「参加させていただきます」の他の英語表現
「参加する」の英語表現は他に「join」「intervene」「attend」などがあります。「join」は接合するという意味もありますが、この場合には加入するという意味です。また、「intervene」は日本語では入るという意味となります。
「attend」は出席するという意味です。「参加する」の英語表現はいろいろありますが、カジュアルな感じの英語表現や少し硬い英語表現になる単語もありますのでその場に合わせた英語表現を選ぶ必要があります。
例えば「join」を使った英語の例文は「Join me with them in their movement.」(彼らのキャンペーンに参加させてください)となりますが、「参加させていただきます」の英語表現は「join」よりも前述の「participate」の方が改まった感じになります。
参加できない時の英語での断り方
都合が悪くてどうしても参加できない時もあります。また、参加したくない時もあるでしょう。そんな時の英語での断り方も学んでおく必要があります。
参加できない時の英語表現は「When you can not participate」という表現になります。英文として「I can not participate in that this time」(私は今回はそれに参加できません)となります。
「参加させていただきます」の類語
何か誘われた時の返事に毎回「参加させていただきます」を使うわけにもいきません。そこで「参加させていただきます」の類語をご紹介します。場面場面で使い分けてみるのも良いでしょう。
「参加させていただきます」の類語には「参加いたします」「出席させていただきます」「伺います」などがあります。「伺います」は短すぎて敬語のような感じがしないかもしれませんが、きちんとした敬語になっています。
「伺います」だけでは敬語のような気がしないと「お伺いいたします」や「お伺いさせていただきます」を使ってしまいがちですが、これは二重敬語となりますので避けた方が無難です。
「参加させていただきます」の類語「参加いたします」
「参加させていただきます」の類語的表現の「参加いたします」は少しシンプルな感じの表現です。「参加させていただきます」に比べるとシンプルではありますが、きちんと謙譲語となっていますのでビジネスシーンでの使い方をしても大丈夫です。
「参加させていただきます」がなんとなくくどい表現に感じた場合は「参加いたします」を使いましょう。「参加させていただきます」よりもスマートな類語的表現です。ただし、「参加いたします」には相手に自分の行動を許可してもらうという意味合いは含まれていません。
自分の行動を単に宣言する表現となり、「参加する」を丁寧に言った言葉となります。「参加させていただきます」のような相手にへりくだるニュアンスはありません。
したがって「参加いたします」だけではぞんざいなイメージを与える恐れがある場合には「参加させていただきます」を使った方が良い時もあります。
「参加させていただきます」の類語「出席させていただきます」
「出席させていただきます」も「参加させていただきます」と同じようにきちんとした敬語表現なので上司や取引先に対しての使い方でもおかしくはありません。
「参加させていただきます」の類語としての「出席させていただきます」はそこに自分の席が用意されている場所に参加する場合に使うことが多い言葉です。
例えば友人の結婚式などは自分の席が用意されています。そんな時には「参加させていただきます」の言葉を使うよりも「出席させていただきます」の類語的表現の方がより適切であると言えます。
「参加させていただきます」の類語「伺います」
「参加させていただきます」の類語的表現には「伺います」があります。「お伺いします」は二重敬語ですが、「伺います」は謙譲語と丁寧語の組み合わせなので一般に使える敬語表現です。
誘ってくれたことに感謝を表したい場合には「喜んで伺います」「ぜひとも伺います」との使い方で「参加する」の意味の言葉に自分の気持ちを乗せることができます。誘ってくれて嬉しいという気持ちが相手に伝わる類語的表現となります。
こうした類語をうまく使い分けて語彙を広めることも社会人としては大切なことになります。同じ意味の言葉での言い換えが幾つできるかという意味でも類語が大切な存在となります。
「〜させていただきます」の言い回し
「参加させていただきます」のような「〜させていただきます」という表現は他にどんなものがあるでしょうか。探してみるといろいろありました。
前述の「出席させていただきます」もそうですが、「報告させていただきます」「訪問させていただきます」「着席させていただきます」などです。
「〜させていただきます」は相手に謙虚な気持ちを伝えることができて好感がもたれます。いろいろな名刺の後につける言葉として使われます。
「参加させていただきます」を使う時の注意点
「参加させていただきます」はビジネスや就活にも使える言葉で、誘いを受けた時の返事としてはとても良いものです。しかし、使い方によっては間違いとなることもあるので注意が必要です。
次に「参加させていただきます」の間違った使い方をご紹介します。どこが間違いなのかを考えてみてください。
面接の返事として
就活で希望の企業での面接にこぎつけました。是非行きたいと思う気持ちを込めてメールでこういう返事をしました。「是非参加させていただきます」この使い方はどうでしょう。「参加させていただきます」は集団に参加することを指します。
ミーティングやイベントの参加など複数の人数で行うものに対する出欠の返事としての言葉なのです。個人面接に行くのに「参加させていただきます」は不適切な返事となってしまいます。
「参加」と「出席」の違い
個人面接の場合は「参加させていただきます」の類語的表現の「出席させていただきます」または「伺います」の方が適切です。就活で「参加させていただきます」を使う場合は集団を相手にした会社説明会ということになります。
また、企業への面接の返事には「出席させていただきます」よりも「出席させていただきたいと思います」の方が物腰が柔らかいイメージとなり、より良い返事となるでしょう。
上司に飲みに誘われたら
ビジネスの場で、ある日上司に飲みに誘われました。その時の返事として「喜んで参加させていただきます」と言った場合はどうでしょうか。この飲み会が会社の親睦会ならばこの返事で間違いはありません。「喜んで」をつけたことで飲み会に誘われたことが嬉しいという気持ちも相手に伝わります。
しかし、これが上司とあなたの個人的なものならどうでしょうか。一対一の個人的なお誘いに「参加させていただきます」は少々おかしな言葉になります。この場合は「お供いたします」と答えた方が賢明です。
先輩に誘われたら
相手が上司ではなくて先輩ならなおさら「参加させていただきます」は堅苦しくて不適切です。オフイスでは「今夜暇か?ちょっと付き合えよ」と先輩に誘われることもあります。
そんな時に「参加させて戴きます」は場違いとなってしまいます。このような場合には「ぜひお願います」で十分です。
このようなことに気をつけて使わないと「参加させていただきます」がおかしなものに聞こえてしまいます。是非注意しながら使ってみてください。
「参加させていただきます」は集まりに加わるという意味
「参加させていただきます」は目的を持ったある集まりに参加したい時に返事として使う言葉です。正しい敬語表現なのでビジネスシーンでの出欠への返事として使っても良いのですが、個人的な付き合いに対しての返事としては不適切になります。気をつけて使いましょう。