「ディテール」の意味とは?
昨今の日本の現代社会に於いて、ある程度の横文字での用語の意味や使い方を知っておくのは段々と常識化してきています。横文字で表現される用語は「ダイバーシティ」(多様化)、「エビデンス」(証拠・ソース)など、様々な言葉がありますが、「ディテール」もその内の一つだと言えるでしょう。
「ディテール」という言葉は英語の「detail」という単語が由来になっており、「ディテール」の意味は物事の「詳細」または「細部」という意味になります。
今回は「ディテール」の正しい意味や由来、「ディテール」の類義語と対義語、また様々な分野別での「ディテール」の使い方などを例文を織り交ぜながら詳しく説明します。
ディティールの意味①「詳細」
「ディテール」の意味に最も近い日本語は「詳細」という言葉になると言えるでしょう。「詳細」の正確な意味は「物事の細かい部分に至るまで、詳しいこと、またはその様子」という意味になります。「詳細」は名詞で使う場合と「詳細な○○」のように形容詞に変化させ使うケースがあります。
ディティールの意味②「細部」
「ディテール」を日本語に直訳した場合「細部」という意味もあります。「詳細」と「細部」はほぼ同じ意味を持つ同義語だと言えますが、「詳細」は特に文章や資料などの媒体の細かい部分を表現する際に使われ、「細部」は芸術作品などの細かいエレメントを表現する際に使われます。
「ディテール」の由来
先述の通り「ディテール」という言葉は、英語の「detail」から由来しています。「detail」という英単語を直訳すると「詳細・細部」という意味になり、横文字の専門用語として、特にファッション業界でデザインの細かい部分などを表現する際に、使われるようになりました。
「ディテール」の特徴
横文字の多くは、本来の意味と異なる意味や使い方をされることが多いものもありますが、「ディテール」という横文字の特徴として、日本語での「ディテール」と英語での「detail」は、ほぼ同じ意味を持ち、使い方も似ている点が特徴として挙げられます。
また「ディテール」という言葉は複数の意味を持つような複雑な言葉でははなく、基本的に「詳細」や「細部」という意味でしか使われることがない為、比較的シンプルで使い易い横文字の用語だと言えるでしょう。
「ディテール」の類語
ここでは「ディテール」の類語、または「ディテール」という言葉を他の言葉に言い換える際の言葉の意味や表現方法を例文を織り交ぜながら紹介します。先述の通り「ディテール」という言葉は様々な業界で使われますが、基本的な意味は「詳細・細部」という全て同じ意味合いで使われます。
従って、「ディテール」の類語はいくつか考えられますが、基本的には「詳細・細部」という意味の日本語の類語になります。
細部・詳細
先ず初めに「ディテール」の意味に最も近い類語である「細部・詳細」の正しい意味の説明をします。基本的に「細部」と「詳細」という2つの言葉は、共にほぼ同じ意味を持つ同義語だと言えるでしょう。意味は共に「物事の細かい部分までに至るまで詳しいこと」という意味になります。
「細部」に関しては殆どの場合で名詞としてしか使われませんが、「詳細」に関しては名詞の他にも「詳細な~」のような形容詞や、「詳細に~」のような形容動詞に変形させて使うことも出来ます。
例文として「この建物の設計図はなるべく詳細なものにして欲しい。」また「この小説にある細部の表現は、日本語の豊かな表現を学ぶことに適している。」などの例文が考えられます。
委細
「委細」という言葉も「ディテール」の類語です。「委細」の読み方は「いさい」です。「委細」の意味は「事情・状況が詳しい様子」を表します。「委細」という言葉は「委細承知」という「詳しい事情・状況を含め全て把握している」四文字熟語で使われることもあります。
但し、「委細承知」という熟語は基本的に目上の人に、畏まった形で使う言葉なので使い方に注意しましょう。例文として「来週の会議の日程変更について、委細承知致しました。」のような例文が考えられます。
事項
「事項」という言葉も「ディテール」の類語と考えられます。「事項」の読み方は「じこう」です。「事項」の意味は「一つの大きな事柄に関する細かい項目」を意味します。言い換えると、「事項」が一つ一つ組み立てられることによって、一つの大きな事柄が完成するとも言えます。
例えば、建築現場などで良く目にする「注意事項」などの表示は、細かく注意すべき「事項」が幾つも集まり、最終的に「全体の注意事項」という意味になります。
項目
「項目」という言葉も「ディテール」の類語です。「事項」と「項目」の意味はほぼ同じですが、厳密に言えば「事項」は「考えるべき事柄、または問題とするべき物の全体の事柄」と定義され、一方で「項目」は「物事を目的別や種類別に分類して取り上げるもの」と定義されています。
例えば日本国憲法などが良い例で、憲法はいくつもの目的や種類によって項目が分かれており、それらの項目が集合体になり、日本国憲法という大きなものが構成されるようになっています。
その他の類語
その他にも「ディテール」の類語として「条項」や「約款」などが考えられます。但しこれらの類語の意味はファッションや芸術を表現する際に使われる表現ではなく、どちらかと言うと文面による形式的な事柄の詳細を示す際に使われることが多いと言えます。
「ディテール」の対義語
続いて「ディテール」の対義語に当たる言葉とその意味をいくつか紹介します。「ディテール」の直訳は「詳細」になる為、対義語として考えられるものは「物事が詳しくない様子」を表す言葉になります。
因みに、英語の「detail」の頭に否定形を表す「un」を付けると「undetail」という英単語になり、和訳すると「詳細」の対義語にあたる「不詳」という意味になります。
しかしこの英単語はあまり一般的に使われる単語ではない為、使い方には注意が必要です。英語で「detail」の対義語を示す言葉は「summary」(概要)や「Outline」(概略)という英単語が一般的です。
概略
「概略」という言葉は「ディテール」の対義語です。「概略」というの意味は、「概要(詳細)を省略したあらまし」という意味になります。特に説明の内容が多く、それほど重要なものを取り除き「おおよその内容にまとめる」際に使われる言葉です。
使い方の例文として「取り合えず新しいビジネスプランの概略を伝える。」または「先日のミーティングの概略を上司にメールで送信した。」などの例文が考えられます。
概要
「ディテール」の対義語として、「概要」という言葉も挙げられます。「概略」と「概要」は、ほぼ同義語だと言えますが、「概略」は不要な部分を取り除くことに対し「概要」は「特に大切な要点を取り出してまとめる」という意味になります。
この様に「概略」と「概要」には微妙なニュアンスの違いがありますが、現代では「概要」を使うケースが一般的に多く見られる為、どちらを使うか迷った際には「概要」を採用した方が無難だと言えるでしょう。
大雑把
「大雑把」という表現も「ディテール」の対義語として挙げられます。「大雑把」の読み方は「おおざっぱ」です。「大雑把」という言葉は「詳細などを気にせずに、おおまかで多少雑である様子」を意味する言葉です。
「雑」という言葉が含まれている為、ネガティブな表現に捉えられがちですが、全てのケースに於いてネガティブな意味を持つわけではなく、「概略」や「概要」と同じように「凡その内容にまとめる」という意味でも使われます。
「大雑把」という言葉は、形容詞に変形させて「大雑把な性格」「大雑把な計画」のような使い方をすることが多い言葉です。「大雑把な性格」とは多少ネガティブな意味も含んでいますが、「細かいことにくよくよしない性格」と、前向きでポジティブな意味に捉えることも出来ます。
その他の対義語
「ディテール」のその他の対義語として、「おおまか」や「荒削り」または「サマリー」などが考えられます。「サマリー」は先述で少し説明した通り、英語の「summary」(要点・概要)を横文字にしたもので、近年では、特にビジネスシーンなどで多く使われるようになっています。
英語圏でも、論文やレポートなどを作成する際に、最後の締めとして「結論」や「要約」という意味合いで「summary」という項目で、それまでの文章の内容のおおまかな要点をまとめるのが一般的です。
「ディテール」の使い方
「ディテール」などの横文字に苦手意識を感じてしまう人は一定数いますが、正しい意味や使い方を理解していれば、問題なく対応することが出来ます。また、ファッション業界のみならず、一般社会でも「ディテール」という言葉は使われています。
例えば「この資料の詳細をもっと詳しく知りたい。」のような、会社内で普通に交わされる会話を「この資料のディテールをもっと詳しく知りたい。」と言い換えても、会話の意味は変わらず、ニュアンス的にも全く不自然ではありません。
幾つか「ディテール」という表現のを使い方を覚える為に、例文を使いながら説明します。ここでは「ディテール」という言葉が良く使われる、一般のビジネスシーン、ファッション業界、美術業界、そして建築業界の4つに分け、それぞれの分野での主な意味と、正しい使い方を説明します。
例文①
一般的なビジネスシーンに於いても、企業の社風などにもよりますが、「ディテール」という言葉は、しばしば使われています。ビジネスシーンでの「ディテール」の意味は、単純に会社の資料などの「詳細」という意味で使われるケースが殆どです。
例えば、新しいビジネスアイデアの企画書を社内で発表する際などには、特に周囲からの理解を深めてもらう為に「ディテール」にこだわり、且つ分かり易い企画書を作成することが重要だと言えるでしょう。
「意味」を使ったフレーズ
「ディテール」を使用した例文として、「この企画の発想自体は素晴らしいが、まだ荒削りな部分が多い為、更なるディテールを加える必要がある。」または、「この新商品の概要は大体把握できたが、もう少しディテールを加え、消費者の理解を深めたい。」などの使い方が考えられます。
例文②
ファッション業界に於いて「ディテール」という言葉は日本でも比較的昔から馴染みのある表現です。意味は、服などをデザインする際に、細部に渡るあらゆるパーツのデザインに「細かくこだわっている」という意味合いで使われています。
服のボタンや細かい刺繍のパターン、あるいはポケットや襟の形などに「ディテールにこだわったデザイン」を求めて、他のファッションブランドとの差別化を図ることは、ファッションデザイナーにとって重要な意味があると言えるでしょう。
「デザインの細部までこだわる」などの意味合いで使うフレーズ
ファッション業界での「ディテール」を使った例文として、「この服のポケットの形のディテールに少し変化を持たせたい。」または、「今回の新作は特に力を入れたいので、服に限らず、バッグや靴などのデザインのディテールにとことんこだわりたい。」が考えられます。
例文③
ファッション業界同様に、芸術性が求められる美術業界に於いても「ディテール」という言葉がしばしば使われます。美術業界での「ディテール」の意味合いもファッション業界と同様に、作品の芸術性や奇抜性などにこだわる際の表現方法として使われます。
基本的に、絵画や彫刻などの作品に於いて「ディテール」が重要視されるのは、最終的な仕上げの部分になるケースが多いと言えるでしょう。
作品のデザインのラフを作ったうえで、絵画であれば細かい色合いの調整、彫刻作品などであれば細部の細かいデザインの「ディテール」を追求し完成度の高い作品を創ることが出来るようになると言えるでしょう。
「作品の細かな仕上げ」などを表現するフレーズ
使い方との例として「この絵画の背景のディテールにもう少し手を加えれば、更に完成度の高い作品になるでしょう。」または「この銅像のシルエットは美しいが、細部にまだまだ荒削りの部分が多い為、もう少しディテールを追求してみよう。」などの例文が考えられます。
例文④
建築業界に関しては、建物のデザインのみならず「安全性・耐震性」などの要素も重要になってくる為、「ディテール」にこだわることは必要不可欠だと言えるでしょう。基本的に建築業界で「ディテール」を意味・示すものは「建築物の設計の詳細図」という意味になります。
建築物の設計図は、安全性などを考慮した場合ミリ単位での詳細が必要になるケースも多い為「設計図の更なるディテールが必要です。」のような意味合いで使われるケースがあります。
また、ホテルなどのファッション性の高い建築物の見た目や印象を重視する場合も、インテリアの細かい配置などに重点を置く必要がある為「ディテール」という表現が、インテリアや装飾物などの細かい配置位置を確認する意味で使われます。
「デザイン性・安全性」などを求める際のフレーズ
建築業界での「ディテール」を使い方として「この事務所の建築は耐震性を重視するよう頼まれているので、耐震性に関するさらに細かいディテールが必要だ。」または「このホテルの内装には特にこだわりたいので、各インテリアの配置場所のディテールが欲しい。」のような例文が挙げられます。
「ディテール」は「詳細・細部」という意味
近年のグローバリゼーションの加速につれ、ここ数年の日本社会では横文字のカタカナ語で意味を表現するケースが増えてきており、現代では様々な分野で「ディテール」という言葉が使われるようになりました。
横文字の用語の使い過ぎは考えものですが、使い方によっては、より豊かな表現方法が可能になるケースもあるので、横文字を使う場合、正しい理解を深めることが重要だと言えるでしょう。