可愛い名前のスベスベマンジュウガニは危険な蟹?
「蟹」と聞くと食用の蟹や、水族館にいる蟹、海にいる蟹を想像できると思います。イメージとしては砂浜や土の上を横歩きに歩いている様子だったり、自分が蟹の殻を向いて、たくさん食べる姿といったところでしょうか。
今回紹介する蟹は「スベスベマンジュウガニ」という名前の蟹です。一見かわいい名前であり、食べられそうなんて思える名前なんて感じるかもしれませんが、この蟹、体に猛毒を持っている蟹なのです。
うっかり食べることができると思って食べてしまいました、何てことがあっては大変です。この機会にスベスベマンジュウガニについて知っておきましょう。
スベスベマンジュウガニとは
蟹は大好物という方も多いのではないでしょうか。冬になると無性に食べたくなる、お酒と一緒にいただきたい、など日本にはおいしい蟹がいっぱいあります。しかし、蟹はすべて食べられるわけではありません。
食べるな危険と言われる蟹にはその由来があります。今回は、その中でも猛毒を持つと言われているスベスベマンジュウガニのユニークな名前の由来、分布地や特徴、毒を摂取した時の症状などをご紹介していきます。
分類
スベスベマンジュウガニはエビ目、カニ下目、オウギガニ科、マンジュウガニ属に分類されます。有毒種であり、猛毒を持っているのでとても危険です。
また、蟹の中で有毒種とされ、猛毒を持っている蟹が、スベスベマンジュウガニの他に2種類生息します。それが、ウモレオウギガニ、ツブヒラアシオウギガニがいます。こちらの蟹も猛毒を持っているので注意が必要です。
分布地
猛毒を持っている蟹はどこに生息するのでしょうか。もしかしたら自分に害が及ぶかもしれない危険のある蟹ですから、その生息する分布地は知っておく必要があります。
蟹は海水生か淡水生に分かれます。スベスベマンジュウガニは、海水生になります。海水生は主に海底に生息し、貝類、時には魚の死骸なども食べ、生きています。
スベスベマンジュウガニの具体的な分布地としては、日本では主に房総半島から九州、また、奄美大島や八重山諸島など南側です。
海外の分布地を見てみると、台湾や中国、インド太平洋域など付近にも生息が確認されています。スベスベマンジュウガニの分布地付近に行くことがあった際は十分にご注意ください。
名前の由来は見た目から
「滑滑饅頭蟹」と書いて「スベスベマンジュウガニ」と読みます。こんなユニークな名前には、どのような由来があるのでしょうか。
スベスベマンジュウガニの名前の由来は見た目です。スベスベマンジュウガニは甲羅の表面に毛や凹凸が少なく、丸く滑らかで、光沢も見られます。このような特徴的な見たがユニークな名前の由来になっていたのです。
スベスベマンジュウガニの特徴・生態
スベスベマンジュウガニを見たことがないという方もいるでしょう。見分けるためにはどの部分を確認すれば良いのでしょうか。また、普段どのように生活しているのでしょうか。見た目の特徴や普段の動きをご紹介します。
3㎝~5㎝の小型の蟹
スベスベマンジュウガニの見た目の特徴をご紹介します。スベスベマンジュウガニはとても小さい蟹です。名前の由来でもあるように、甲羅がスベスベで饅頭のような楕円形をしています。卵で生まれきて、生まれてからは脱皮を繰り返しいながら成長していきます。
脱皮を繰り返し1~2年ほどで大人になります。大人といっても、甲羅の長さが3.5㎝~5㎝程しかありません。小さい体のスベスベマンジュウガニの寿命は短く、生まれてから4~5年程を言われています。
甲羅の表面はツルツルでツヤがあり、灰白色の模様があります。この模様は、スベスベマンジュウガニの中でも形がそれぞれ異なります。色は、体全体的に赤褐色から紫色褐色をしており、鋏の先端は黒くなっています。
干潟~水深100メートルと生息範囲が広い
主な生息する分布地は干潟~深海100メートルの範囲に見られます。干潟とは、陸翔海の堺目の部分であり、干潮の時の干上がったところから、満潮時の海に沈む範囲のことです。
深海100メートルは光も音もない世界です。人間の体は水の中に潜ると水圧の影響を受けます。深海100メートルで人間の受ける水圧は11気圧です。水圧を受けると肺は小さくなります。
理論上、40メートルで5分の1、50メートルで6分の1の大きさまで小さくなると言われているので、水深100メートルでは11分の1になることが考えられます。
動きが鈍く攻撃性は低い
スベスベマンジュウガニの動きは、蟹の中では素早い方ではなく、比較的ゆっくりと行動します。人間が近づいても、逃げないこともあり、目にすることもある蟹です。
攻撃性はあまりなく、触れることで人間の体に毒の影響を受けることはありません。スベスベマンジュウガニは口に入れなければ、その猛毒の影響を受けることない蟹です。
その理由としてはスベスベマンジュウガニの猛毒は餌が由来である言われており、その毒素は体内の筋肉などに含まれます。そのため、表面を触れることだけでは、毒の影響を受けることは考えにくく、食べることで、毒の影響を受けるのです。