スパンの意味とは?
あらゆるシーンにて、「スパン(SPAN)」という言葉を耳にする機会が多いはずです。特にビジネスの世界での活用が多く、建築業界やファッション業界、その他に経営者や現場スタッフの立場関係なく日常的に取り交わされています。
では、スパンという言葉にはどのような意味があって、どのような活用方法が正しいのでしょうか?今回はスパンという言葉についての特集です。その意味や由来、特徴や使い方の例文なども踏まえてお送りします。
スパンの基本的な意味
スパンという言葉は普段から聞き慣れていて、その意味や使い方は何となくわかっている方も多いのではないでしょうか?例えば、「今回の業務のスパンはどのくらいなのか?」といった、ある一定の区切りを示すような言葉です。
ただし、正式にはどんな意味があるのかと問われた場合、ちゃんと答えることができますか?ここでは、スパンが持つ意味についてご紹介します。実はスパンには大きく3つの意味があります。
スパンの意味①時間の幅
スパンという言葉が持つ意味の中でも、一番日常的でビジネスでも使用されることが多いのは、「時間の幅や長さ」としての使い方です。
特にビジネスシーンでは、決められた期間内での納期というものが登場します。その期限までに仕事を完成させなくてはならない約束事のことです。その納期までの時間の幅、期間のことをスパンという言葉を使って表します。「この計画のスパン」といった形言葉の使い方をします。
スパンの意味②距離や間隔
スパンという言葉を使う際、もう一つ多く利用されるのが、「支柱間の距離」を意味する場合です。ある2つ以上の支点や地点があるとしたら、その間隔や距離のことを示します。
どちらかといえば、工業的分野などでの業界独特な表現という部分が強いです。例えば「高圧電線のスパン」「橋の間のスパン」などがあげられます。
スパンの意味③翼幅
やや特殊な表現になりますが、「翼幅」を意味するためにスパンという言葉を用いています。翼幅とは、旅客機などに代表される飛行機の翼端から翼端までの長さです。
なので航空業界の中でスパンという言葉が登場したら、飛行機の羽の全長だと解釈できます。例えば「ボーイング旅客機のスパンは60m」という使い方をします。
スパンの由来
スパンという言葉はどこが由来になっているのでしょうか?正確には誰がいつ言いだしたのかはわかっていませんが、この語源はゲルマン祖語にあるとされています。「spannana」という言葉があり、「引っ張ったときの長さ」という意味があります。
また人の手のひらの部分で、特に親指から小指を一番伸ばした際の距離のことを、昔はスパンという単位で表したということも由来の一つとしています。
スパンの特徴
スパンという言葉には、時間の幅や期間、距離などの「間隔」に近い意味が含まれています。実は他にもその分野独特な使い方をし続けて表現されているケースも目立ちます。
業界用語としてのスパンという言葉も結構確立されているわけです。では、ファッション業界や建築業界、その他の業界で用いられているスパンという言葉の意味や特徴についてご紹介していきます。
分野別スパンの意味①経営
会社経営者や経営に関わる役職、あるいは経営コンサルタントに代表される分野の中で、スパンという言葉が使われている場合には、とある管理職の人間が部下のどれくらいの人数や業務の範囲を、自ら管理やカバーできるのかを表現する時に、スパンという言葉が使われたりします。
行き届く距離や範囲ということなので、その人の「能力」のことを指しています。これを経営学用語の中では、「スパン・オブ・コントロール」とも呼んでいます。
分野別スパンの意味②アパレルやファッション
ファッションの世界では、スパンは全く違った意味合いになります。アパレルやファッション業界でのスパンとは、「糸」の用語として使われています。ファッション分野では「スパン糸」と呼ばれる生地用の素材があります。
これはコットン、リネン、ウールといった原材料で構成されています。それらの繊維をより合わせて作った糸のことを指し、短い繊維をより合わせることで膨らみができ、毛羽のような柔らかさが形成できる特徴があります。
分野別スパンの意味③建築業界
建築の世界でスパンが意味する内容は、建物を支える柱の距離を示します。ある支柱の中心から、もう一方の支柱の中心までの距離を測定し、その寸法や間隔のことをスパンと呼んでいます。
特に建築の図面の中には、スパンが数値表記されることになっています。建築に関わる設備や取付家具のサイズについてをスパンとは呼ばずに、あくまでも「支柱と支柱との間隔」であることが特徴です。
分野別スパンの意味④不動産分野
不動産業界でもスパンという言葉が用いられています。建築業界とも関連性があるようでいながら、実際の意味合いはやや異なっています。
不動産業界でのスパンとは、バルコニーや窓といった「開口部がある場所から見た建物そのものの幅」を意味しています。つまり南向きの窓があるとしたら、そこから部屋の奥行きについてをスパンと言い表しています。
分野別スパンの意味⑤IT業界
IT分野でのスパンとは、「スパンボリューム」という用語で使用されています。スパンボリュームとは、複数のディスクの空き領域を連結させボリュームを拡張させる管理方式のことです。
より空きの容量を増やしたい時には、スパンボリュームで大きなスペースを作れます。ディスクの「領域」という意味で、スパンという言葉が上手くあてはまっています。
スパンの類語
スパンという言葉には、その環境や状況、分野によって微妙に違った意味合いがあります。大体は一定の範囲や限度、期間の目安を意味しています。
では、スパンという言葉に似ている類語にはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは、スパンと意味が似ている類語をいくつかご紹介します。
スパンの類語①期間
スパンを意味する言葉で、特にビジネスの中で用いられている言葉は「期間」が該当します。一つの仕事やプロジェクトを立ち上げて終えるまでの全行程のことを意味します。
これはファッション業界であれ建築業界であれ、どのような行化や分野でも、プロジェクトが始まれば共通に使われていく意味です。
スパンの類語②時間
スパンの類語として、最も頻繁に用いられている言葉が「時間」です。この場合の時間とは、単なる時刻のことを意味するのではなく、ある仕事や役割、責務を行う全ての時間量のことを意味しています。ゼロの状態から何かを一つ完成させたり任務を終えるまでに掛かる総時間数です。
スパンの類語③梁間
建築の世界では、「梁間(はりま)」という用語があり、これもスパンの類語とされています。梁間とは、建築物の柱と柱の間の寸法のことを意味しますが、縦横方向にてどちらか短いほうの間隔にのみ適用する用語です。
もし横方向が長くて縦方向が短ければ、縦の柱間の寸法のことを梁間と呼び、横は「桁行(けたゆき)」と呼んでいます。
スパンの類語④ピリオド
スパンの類語として「ピリオド」という言葉もよく耳にします。ピリオドといえば、最後に打つ句点の意味もありますが、そこから連想されるように、ある事柄の区切りや完結させた意味合いが強い言葉です。
特に歴史や史実を語る際に、ある時代のことを総じて表す言葉にもなっています。たとえば、江戸時代も平成も、日本の歴史の中の一つのピリオド(時代)ということです。
スパンの英語表現
スパンとは、そもそも英語の「span」という単語が、そのまま日本語化している言葉です。なので日本語訳での意味については、想像がつく通りな解釈ができます。ただし、ほんの少しだけ違いがあり、類語に近い英語表記も複数存在します。ここではスパンと意味が近似している英語の表現をご紹介します。
スパンの英語①span
期限や期間を表現する英語として「span」は一般的です。日本語としても「スパン」という言い表し方をするので、spanこそが最も近い意味合いになっています。
ただし英語圏でspanという言葉を使う場合は、比較的に「短い期間」のことを指して表現する場合です。例えば「She has a short attention span.(彼女は集中力が続かない)」といった使い方をします。
スパンの英語②period
どちらかといえば、日本語化したスパンに近い「期間」を示すのに、英語圏で一般化された言葉は「period」のほうです。 periodは「定めた期日から次ぎの期日までの時間的長さや距離」のような感覚です。
それにperiod自体はすでに「ピリオド」という日本語化もされているとおり「終わり」を示唆している言葉です。つまり、はじまりがあればおわりがあるので、その一定の長さという意味合いがあります。
使い方としては、「Ten people were killed over a period of two day.(2日間で10人が殺害された)」などがあげられます。
スパンの英語③term
期間を明確に表すための英語としては、「term」を使うことのほうが正確です。 termには、任期、契約期間、刑期などの意味があるため、かなり公式な事柄で定められている内容を指す時に用いられています。
ビジネス上で日本語としてスパンを用いるところを、英語圏ではtermのほうが広く扱われています。「The term of contract will expire at the end of the year.(年末に契約期間が終了する)」といった使い方をします。
スパンの使い方
建築からファッション、ITなどさまざまな業界や、史実や数量を測る上でも活躍する万能な言葉として、スパンは普段からよく用いられています。
では具体的に、スパンを使った言葉にはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは、スパンを用いた例文をいくつかご紹介します。
例文①スパンが短い
時間の幅や間隔を意味するスパンの使用は、とても多い表現です。短いだけではなく「長い」もケースバイケースで一緒に使われたりします。
スパンが短いの例文としては、「消耗するまでのスパンが短いと思われるので、新しいものに買い換えておこう」「転職と退職のスパンが短い場合、不利になるのが慣習である」といったものがあげられます。
例文②短期スパン
上記「スパンが短い」とも似た表現ではありますが、これは一つの名詞として活用できるパターンです。短期と同様に「長期スパン」という表現もあり、その時の状況で使い分けます。
短期スパンの例文としては、「今回のプロジェクトは、効率よく短期スパンで完成させる」「その問題に取り組むには、あまりにも短期スパン気味である」といったものがあげられます。
例文③スパンフライス
ファッション業界でスパンは、糸の素材の意味でも使うことは先述しているとおりです。その中でも「スパンフライス」とよばれるものがあります。
これは伸縮性の高い生地で、よくTシャツなどの襟首、袖など部分的に使われています。スパンフライスの例文として、「今度の新作Tシャツの襟には、スパンフライスを採用した」といったものがあります。
例文④スパンを広げる
この場合のスパンとは、距離や時間、期間などの間隔というよりも、経営に関するスパンとしての使い方です。先述したように、経営者の力量やポテンシャルの広さをスパンという言葉で表現できます。
これを使った例文としては、「あの店長が管理できるスタッフ数を見れば、もっと他の業務にもスパンを広げることができる」といったものがあります。
スパンの注意点
スパンという言葉は、割と恒常的に使われているため、おそらくほとんどの方々が無意識に発しながらも意味が通じているはずです。使い方に関する特別な注意点というものはありません。ただし一つあるとしたら、以下のような内容を心得ておきましょう。
業界用語としてのスパンを乱用しない
特に注意しておきたいのは、その業界での共通な意味でのスパンという言葉があるので、それと一般的な意味でのスパンとの使い方を混同しないように話すという点です。
特にその業界に慣れ過ぎてしまうと、一般の方々に対しても、わかってるつもりで使いがちになります。ファッション業界でのスパン糸のことは一般には浸透してませんし、建築業界での寸法のスパンについても、細かい意味は素人にはわからないからです。
スパンは範囲という意味
スパンという言葉は、実に様々な意味が含まれています。ファッション関連や建築関連、IT関連を代表として、業界によっては特別な意味で使われていることもあります。
そこで一般的な意味合いで総括してみると、ある地点から地点までの距離や量、期間や距離を示す言葉と見なせます。それらは「範囲」という意味が最も適切です。
そのスパンの中で、敏速で納得いく終わらせ方をするというのが本筋と言えます。スパンが与えられたのであれば、ぜひそこで成果を上げるように努めてみてください。