「当て馬」の意味とは?
「当て馬にされてしまった」「彼は、当て馬を上手く使ったな」というような使い方をする「当て馬」という言葉があります。この「当て馬」の意味にはどんな意味があるのでしょうか。「当て馬」という言葉を使う場合、人を利用する時に使う言葉として、あまりいい使い方をしません。
例えば、恋愛では、恋愛を上手くいかせるために利用するという意味合いで使われる言葉でもありますし、仕事であれば、誰かの踏み台に利用されるという使い方をする言葉でもあるからです。今回は、「当て馬」の意味や由来、使い方について解説していきます。
また、「当て馬にされやすい人」の特徴にはどんな特徴があるのかについても解説していきましょう。また、「当て馬」と似たような言葉に「かませ犬」という言葉があります。
「かませ犬」には、どういった意味であるのか、使い方はどんな使い方があるのかについてもご紹介していくので最後までしっかりと読んでいきましょう。それでは、「当て馬」の意味から解説していきます。
「当て馬」意味①:相手の様子や手の内を知るためだけに仮の人間を出す
元々は、オス馬がその気になるように利用する場合に使われていた「当て馬」でしたが、そこから転じて「相手の様子や手の内を知るためだけに、仮の人間を出す」という意味になったのです。例を挙げると分かりやすくなるので、一例をご紹介していきます。
例えば、自分とカップルの恋人がいたとしましょう。カップルが長く付き合っていると、だんだんと刺激がなくなってきます。
そうした場合、敢えて自分が特に興味をもっていない異性の名前を出して「最近○○さんとよく会うんだ」というように利用して恋人の反応をうかがうことがあります。
この場合、○○さんは「当て馬」になるのです。恋人に刺激を与えて、反応を見たいということに利用された仮の人間ということになるのです。
こうすることで、カップルに刺激が入って、好きという気持ちを再確認するために利用されたという意味をもたせているのです。目の前の人物の本心を探る意味で、第三者を「当て馬」として利用して使っていることになります。
「当て馬」意味②:仮の人間に意見を出してもらう
「当て馬」の意味として仮の人間を出すという意味もあるのですが、その人に意見を出してもらうことも意味としてあります。例えば、自分が欲しいと思っている時計があったとしましょう。
高価な時計でもあるので、自分で購入する前に使い勝手が分かっていると、安心して購入することができます。こうした場合、誰かに先に買うように仕向けておいて、その人が購入して使い勝手を意見として聞くのです。
もしも、使い勝手がいい時計であれば自分も購入するといった、行動をするために聞き出す意見という意味をしているのです。時計を購入させられて人のことを「当て馬」という立場にしています。「当て馬」にされた人がいう意見に対しても「当て馬」と使うことがあります。
もう1つ例を上げてみましょう。例えば、誰かの意見を当て馬として使って、本来の自分の通したい意見を引き立たせるために使うために利用する意見のことを「当て馬」ともいいます。
自分よりいい意見を出せないであろう人に「○○くんはどんな意見があるかな?」という風に意見を聞きます。
あまりパッとしない意見を出させておいて「実は私の意見はこんな意見なんだが」という風に自分が通したい意見を出すという場合にも「当て馬」としての意味があるのです。このように「当て馬」には「仮の人間に意見を出してもらう」という意味があります。
「当て馬」意味③:仮の人自身
「当て馬」の意味として「相手の様子や手の内を知るためだけに、利用する仮の人間を出す」という意味と「仮の人の意見を出してもらう」という2つの意味があります。「当て馬」には、仮の人自身のことを意味する言葉でもあるのです。大まかな意味合いは同じ意味になっています。
「当て馬」の由来
「当て馬」の本来の意味は、元々馬の種付けで使われていた言葉でした。馬の種付けのときに、その気にならないオス馬に対して、興奮させるためだけに利用されたメス馬のことを意味しているのです。
「当て馬」であるメス馬に、オス馬を興奮させておいて、その気になったところで本来の種馬であるメス馬にバトンタッチするという意味があります。
このようにすることによって、種馬とオス馬が交尾することになるという訳です。「当て馬」とは、こういった一連の行為を指す意味として使われる言葉となります。
「当て馬」にされやすい人の特徴
それでは、「当て馬」にされやすい人の特徴についてまとめていきましょう。「当て馬」にされやすい人というのは、ある特徴があります。どういった特徴をもった人が「当て馬」になりやすいのか確認していきましょう。自分は「当て馬」のされやすい特徴があるのか確認して下さい。
人の言うことをすんなりと聞く
「当て馬」にされやすい特徴のある人というのは、人の話を素直に聞き入れやすいという特徴がある人のことがあります。例えば、何か頼み事をされた場合「いいよ」とすぐに答えてしまう人は「当て馬」になりやすい特徴があります。
「当て馬」というのは、本来「当て馬」にする人にとっては利用する相手なのですから、「どうしてそれをする必要があるのか教えて」「どうして私がしないといけないのか言って」「それは必要なことなの?」とあれこれ聞かれると面倒になってしまいます。
「当て馬」にする人には何のメリットもないことなので、頼む側としてはすんなりとOKしてくれる人でないと利用できないのです。そういったことから、「当て馬」にされやすい人は、なんでも「はいはい」と人のいうことを聞いてしまうという特徴がある人ということになります。
欲がない
「当て馬」にされやすい人の特徴として、「欲がない」という特徴があります。例えば、「○○さんより評価されたい」という欲求が高い人に対して「当て馬」になってもらおうとすると「どうして私がしないといけないんだ?」という反発があることは容易に判断できます。
欲のない人であれば、特に自分が評価されたという思いもないので、「当て馬」として利用できるのです。また、お金に欲がない人に「新商品の○○ってどんな味なのかな?」といって「当て馬」にして新商品を購入してもらうという場合もあります。
欲のない人を「当て馬」として利用する場合、「当て馬」にされた人は、全く自分が「当て馬」にされていることに気が付いていないという特徴もあります。
物事を割り切って考える
「当て馬」に利用される特徴のある人は、たいていのことに対して割り切った考え方をしています。そのため粘着して考えることがありません。
もしも「当て馬」として利用するのであれば、ネチネチと後々まで「当て馬にしやがって」と言ってくるような相手だとややこしくなってしまいます。
「当て馬」にする人に選ぶのであれば「まあ、そういう人もいるか」「仕方ないか」とすっきり切り替えてくれる人がいいでしょう。そういったことから「当て馬」になりやすい人の特徴として「物事を割り切って考える」という特徴がある人ということになります。
罪悪感を感じない
「当て馬」にされやすい人の特徴として「罪悪感を覚えにくい」という特徴があります。例えば「ねずみ講」を例にしてご説明していきましょう。
ある人が目当ての人物を引き込むために、同じねずみ講をしている人に対して「○○さんは、お金をたくさんもっているから、引き込めば報酬がよくなるかも知れないわね」というように使えます。
そうすると、それを聞いた「当て馬」役の人は目当ての人を引き込もうとします。「当て馬」にされる人というのは、あまり口がうまくない人を敢えて選んでいるので、ターゲットは敬遠してしまうのです。
そこで自分が出て行った「それはひどい目に合いましたね」というように相手に同情するフリをして、ターゲットを自分に引き込んでいくということになります。この場合、「当て馬」にされた当の本人は、あまりに罪悪感をもっていないという特徴があります。
ねずみ講などの勧誘や犯罪に「当て馬」として利用されてしまう人は、こういった罪悪感を覚えにくいという特徴もあることを覚えておきましょう。本人は、全く罪の意識なくしている場合が多いという訳です。
口が堅い
「当て馬」になりやすい人の特徴として「口が堅い」という特徴があります。「当て馬」にされやすい人は、簡単に人のことをペラペラと話すような人ではありません。そうやってペラペラと自分が「当て馬」にされたことを吹聴するようなことをしない人が「当て馬」にされることがあります。
こういった特徴のある人と「当て馬」として利用するのは、1回のみになっていることも特徴としてあります。また、こうしたタイプを「当て馬」にする場合、固い信頼関係を築いてから「当て馬」にすることもあります。
口が軽い
「当て馬」にされやすい人の特徴として「口が堅い」という特徴を挙げましたが反対に「口が軽い」ことも特徴としてあります。「口が軽い」人というのは、何でも気軽に人に話してしまう特徴があります。
その特徴を「当て馬」として使われてしまうということがあります。例えば、自分が片思いしている相手がいるとしましょう。片思いの相手が好きな人が○○さんとします。
その人のことを片思いの人が嫌いになるように「当て馬」役の人に「○○さんて結構遊んでいるらしいよ」という風なことを面白おかしく使えます。
それを「当て馬」役の人は周りに言いふらすので○○さんは遊び人という印象を周りにつけさせるのです。こうして片思い中の相手が○○さんのことを嫌いになるように仕向ける場合に「当て馬」として利用されるのです。
上司に好かれる
仕事でも「当て馬」にされやすい特徴として「上司に好かれやすい人」というのは「当て馬」にされやすい人でもあります。
この場合「当て馬」にされる人というのは、仕事ができてバリバリやっているような人というよりは、能力が低くそれでも憎めない特徴がある人のことを意味しています。
こうした特徴のある人は、例えば仕事では「当て馬」になることが多くなるのです。例えば、自分の意見が通るように敢えて仕事ができない人の意見を先に言わせておきます。
比較した場合明らかに自分の意見の方がいいように見せるために「当て馬」として能力が低い人に意見を出させたという意味合いになるのです。
また、先に何か「当て馬」に失敗をさせておいて、そこで自分が表れて、一緒に手伝って失敗のフォローをしていると見せかせて、実際は「当て馬」を利用して自分の評価をあげようとしていることもあるのです。
こういう場合「当て馬」にされる人の特徴として、仕事はできないけれどかわいい部下という位置づけの人を「当て馬」にすることが多くなります。
目立たない
「当て馬」にされやすい人の特徴としてそこまで目立ちたがらない人という特徴があります。目立ちたがりの人というのは、常に自分が主役になっていないと意味がないと思っています。
そのため「当て馬」にされたのであれば、大いに「当て馬」にされたことを主張して主役になろうとするのです。「当て馬」に利用する相手としては、面倒くさい相手になってしまうので、目立ちたがりの人は「当て馬」には選ばれません。
「当て馬」に選ばれるのは、目立つことがあまり好きではない人になります。もしも「当て馬」にされたと分かっても、大事にすることなく黙ってじっと自分の中で解決してしまう人が「当て馬」にされやすくなります。
裏方に徹する
「当て馬」にされやすい人の特徴として「自分は裏方に徹する」という意識が高い人が特徴としてあります。裏方を好んでする人というのは、決して前にでることはしません。
しかし、裏方というのはかなりの仕事量や人間関係の調整を行っているので、情報にも精通しています。リーダーとなる人が動きやすいよう、困らないように立ち居振る舞いをしている人でもあるのです。
この時にもしもリーダーの人は「裏方の人は全く何もしてくれないから困ってしまうよ」ということで裏方の人のことを悪く言おうものなら周りもその言葉を簡単に受け入れてしまいます。
実際は、裏方の人が上手に調整して成功したことであっても、リーダーの人の言葉で一気に周りの評価が変わってしまうことがあるのです。そうなった場合、裏方の人は「当て馬」になるのですが、決して「どうしてそういうことを人にいうのですか?」
「なんて人だ」というように反論してくるような人を「当て馬」としては選んでいません。「当て馬」にされても「リーダーがいいのであれば」と考える人か嫌なことでも黙ってしまう特徴のある人を「当て馬」にしているのです。
実務家的
実務家的というのは「実務家のようなものの考え方や振る舞いをしている人」という意味があります。「実務家」と一言でいってもその人によって実務も色々あります。
理屈っぽい人や机上の空論を述べてばかりいる人というよりは、具体的に行動に移す人の方が「当て馬」として利用されやすくなっているのです。
「当て馬」と「かませ犬」の意味の違い
「当て馬」と似たような言葉として「かませ犬」があります。「かませ犬」と「当て馬」の意味の違いについてご説明していきましょう。「当て馬」の意味には「目的を達成するための様子見の手段」という意味があります。では、「かませ犬」にはどんな意味や使い方があるのでしょうか。
かませ犬の意味は「弱い動物を強くするために敢えてかませる犬」
「かませ犬」の意味には「弱い動物を湯よくするため、敢えてかませる犬」という意味があります。「かませ犬」の犬をかむことで、弱い動物に自信をもたせて強くしていくということになるのです。「当て馬」と「かませ犬」の関係性を整理しておきましょう。
「弱い動物がどれくらい弱いか確認する」のが「当て馬」であり、「その弱い動物を強くする」のが「かませ犬」になるのです。「当て馬」と「かませ犬」では役割が違っているという訳です。「かませ犬」の使い方として「私はかませ犬か!」という使い方になります。
「かませ犬」の由来は、闘犬用語として使われていました。闘犬の試合の前にわざと、かませて自信をつけさせるために利用された犬のことを意味していたのです。そこから転じて「引き立て役」という意味で使われるようになりました。
「当て馬」の使い方
それでは、「当て馬」の正しい使い方をご紹介していきましょう。「当て馬」の正しい使い方を例文でご説明していきます。「当て馬」の使い方は色々あるので、例文でしっかりと理解して使いこなせるようにしておきましょう。それでは、「当て馬」の例文①からご説明していきます。
例文①
「当て馬」の使い方例文①として「恋愛」での使い方があります。例えば、彼氏や片思いの相手に対して、自分のことを本当に好きなのか確認したいという気持ちから、敢えて全く興味がない男性に近付き利用する場合に使います。
この行為を知った彼氏や片思い中の男性は、焦ってくれて自分をもっと愛してくれるだろうと考えているのです。この恋愛での使い方として、本命の男性の気持ちを探るために近付いてこられた男性が「当て馬」として利用されたことになります。
こうした場面での使い方として「彼を当て馬にしてみたら?」「彼を当て馬にしたら、彼氏とうまくいくようになったよ」という使い方になるのです。
例文②
「当て馬」の使い方例文②として「友達関係」での使い方があります。例えば、自分が食べてみたいと思った新商品の食べ物があったとしましょう。自分でお金を出して食べるとなると、美味しくないと失敗してしまいます。
その失敗をさけるために友達に購入させて「1つ頂戴」といって食べさえてもらう場合に使う使い方があります。この場合食べ物を実際に購入させられた人が「当て馬」になります。
そして、自分のお金を払うことなく、食べ物に味を確認する人が使う使い方になるのです。例文として「彼女に当て馬になってもらって、味を確認した」という使い方になります。
例文③
「当て馬」の使い方例文③として「仕事」でも「当て馬」を使う場合があります。例えば、昇給の時期などに自分への上司の評価が気になることがあります。そうした場合、上司と仲のいい○○さんがいたとしましょう。
その人に対して自分の評価をしるために利用する場合に「当て馬」として利用する場合に使う使い方があります。
自分から上司に聞けばいいことであっても、仕事でそういったことを聞くのは周りの視線もありますし、上司への印象を悪くしてしまう可能性もあります。そう考えると、○○さんを利用して上司の評価を探る方がいいという考え方になります。
この場合○○さんが「当て馬」になるのです。使い方としては「○○さんを当て馬にして上司の評価を探った」という使い方になるのです。
例文④
「当て馬」の使い方例文④として「当て馬のような扱いを受けた」という使い方例文があります。例えば、実際に活躍する人がいたとします。そういった場合に、自分は裏方に回されるという場面での意味での使い方になります。
使い方例文としては「いきなり彼がやってきて仕事の手柄を全部もっていかれたよ。当て馬のような扱いを受けたんだ」という使い方になります。その他の使い方として「当て馬で別の案をもってくる」という使い方例文があります。
例えば、ポスターのデザインを決める場合に、A案で決定していたとしてもA案を引き立たせるためにB案を見栄え悪くしてもっていくという使い方の意味になります。
「当て馬」の注意点
「当て馬」にされやすい人の特徴をご紹介してきましたが、こういう人を「当て馬」のするといいという意味ではありません。「当て馬」とは、ネガティブな意味で使われることが多くあり、人間関係を壊しかねないので十分注意しましょう。
「当て馬」は「相手の様子を知るためだけに仮の人間を出す」という意味
「当て馬」の意味には「相手の様子や手の内を知るためだけに仮の人間を出す」という意味があります。「当て馬」にされる人というのは、利用される人として使いやすい特徴があるのです。
「当て馬」の本来の意味は、馬の種付けが由来になっています。「当て馬」の意味を正しく理解しておきましょう。