「デッドオアアライブ」の意味は?使い方や由来も分かりやすく解説!

「デッドオアアライブ」の意味は?使い方や由来も分かりやすく解説!

「デッドオアアライブ」という表現はラップのリリックによく登場するフレーズでもあります。直訳すると「生きるか死ぬか」という意味ですが、元々はどのような場面で使われていたのでしょうか?そこで、「デッドオアアライブ」の使い方や意味を徹底解説していきます!

記事の目次

  1. 1.デッドオアアライブの意味とは?
  2. 2.デッドオアアライブの由来
  3. 3.デッドオアアライブの特徴
  4. 4.「デッドオアアライブ」の類似表現と意味
  5. 5.「デッドオアアライブ」の使い方
  6. 6.「デッドオアアライブ」は「生死を問わず」という意味

デッドオアアライブの意味とは?

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「デッドオアアライブ」という言葉を、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。楽曲のタイトルやラッパーのMCネーム、歌詞などにも登場することが多いフレーズです。

しかし、日常生活で頻繁に使っている、という方はそんなに多くありません。では、この「デッドオアアライブ」は一体どのような場面で使われていた言葉なのでしょうか?また、「デッドオアアライブ」の由来は一体何なのでしょうか?

ここからは、「デッドオアアライブ」という表現の意味や由来、使い方などをご紹介いたします。まずは、「デッドオアアライブ」という表現の由来からご説明していきます。

デッドオアアライブの由来

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「デッドオアアライブ」という言葉は、19世紀ごろのアメリカ西部を舞台にしたドラマや西部劇などで、指名手配犯を捕まえるために貼り出された指名手配書に書かれた文言が由来となっています。

「デッドオアアライブ」という言葉には、指名手配犯は賞金稼ぎたちに見つかる過程できっと殺されてしまうだろう、という恐ろしいニュアンスが含まれています。

しかし、指名手配書は市民の方々に向けて貼られるものであるため、「殺せ」といったような過激な表現は避けなければなりません。その結果、このような遠回しな表現が使われるようになったと言われています。

隠された意味

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上記でも少し触れましたが、「デッドオアアライブ」は「指名手配犯を捕まえろ。別に死んでいても生きていても構わない」という恐ろしい意味のメッセージが隠されていました。つまり直接的な表現で分かりやすく言うと「殺せ」という意味が含まれていたのです。

このような恐ろしいメッセージが隠された「デッドオアアライブ」という言葉が、指名手配書に書かれるようになった理由は、当時のアメリカの時代背景が大きく影響しているのです。

19世紀ごろのアメリカは西部開拓時代と呼ばれており、争いが頻繁に起こっていた時代でした。そんな時代背景の影響もあり、指名手配犯を捕まえて賞金を稼いでいたならず者たちは、「デッドオアアライブ」を暗黙の了解で「殺せ」という意味で捉えていたのです。

辞書で「デッドオアアライブ」を引くと「生死問わず」という意味が記載されているのは、このようなアメリカの時代背景や由来が大きく影響しています。

西部劇の歴史

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ここで、「デッドオアアライブ」の由来ともなった西部劇の歴史を少しご紹介します。西部劇は、19世紀後半のアメリカ西部を舞台にした、開拓者魂を持つ白人を主人公に、無法者や先住民と対決するという物語です。

当時のアメリカでは白人至上主義の考えが強かったこともあり、主人公や善役は必ず白人で、ヒールは必ず先住民のインディアンでした。しかし、史実とは異なる内容に反発する者も増え、次第に西部劇は衰退していきました。

西部劇は映画とは少し違っており、ハリウッドが独自に築き上げてきたジャンルです。西部開拓時代の歴史を持っていたアメリカだからこそ、西部劇のようなジャンルが生まれたと考えられます。

「デッドオアアライブ」な西部劇

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第二次世界大戦後、西部劇は黄金期を迎え、1960年ごろまでに数多くの名作が生まれました。その中でも、まさに「デッドオアアライブ」といった西部劇をご紹介いたします。

一つ目は1958~1961年に放送された大人気のテレビドラマ「Wanted Dead or Alive」です。ドラマのタイトルにも使われていることからも分かる通り、「デッドオアアライブ」の流行の一端を担った作品と言っても過言ではない作品の一つです。

二つ目は、西部劇の傑作といっても過言ではないほど有名な「荒野の七人」という作品です。この作品は、黒澤明監督の「七人の侍」を元ネタとしており、時代を西部開拓時代へと移した作品です。

今回ご紹介した西部劇のほかにも、有名な西部劇は数多く存在しますので、今まで西部劇を見たことがないという方や少し西部劇に興味が湧いてきたという方は、是非一度ご覧になってみてください。

英語での表記と意味

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「デッドオアアライブ」を英語表記にすると「Dead or Alive」となります。どちらも状態を表す形容詞で、「Dead」には「死んだ・死んでいる」、「Alive」には「生きている」という意味があります。

単語の意味通りに直訳すると、「生きているか死んでいる」となりますが、辞書には「生死を問わず」と記載されています。若干意味が異なっているようにも感じられますが、どちらかが正解でどちらかが不正解というわけではありません。

「(生きているか死んでいるかの生死に問わず)殺せ」という意味を含んで使用されていた「デッドオアアライブ」ですが、時代の変化と共に意味も多様化し、どちらの意味でも使われるようになったのです。

楽曲タイトルやバンド名などでの使い方のニュアンス

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現在も英語表記やカタカナ表記でよく使われている「デッドオアアライブ」は、当時の手配書に書かれていた文言のパロディです。

楽曲のタイトルやロックバンド名などに使用されている場合の「デッドオアアライブ」のニュアンスは「生死を問わず」や「生きるか死ぬか」という意味とは少し異なっていることが多いんです。

「自分たちは命を懸ける」といった意味合いで使用したり、自分たちを当時のアメリカの賞金稼ぎのようなならず者になぞらえていたりというケースのどちらかです。

デッドオアアライブの特徴

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冒頭でも少しお話しましたが、「デッドオアアライブ」という表現は状況や時代に応じて意味が少し変わってきます。言葉が文字面だけで訳さない点が英語の非常に興味深い点です。

19世紀ごろ、西部開拓時代と呼ばれていた当時のアメリカで使用されていた意味以外にも、どのような意味で使われる表現なのか、ご説明していきます。

使う場面によって意味が変わる

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まず、先ほどご説明したように指名手配書に書かれている場合は、「(生きているか死んでいるかの生死に問わず)殺せ」という意味で捉えられることがほとんどでした。

また、「It's a dead-or-alive problem.」という英文であれば、「それは生きるか死ぬかの問題だ」という意味に訳すことができます。

現代で「デッドオアアライブ」と聞くと「生きるか死ぬか」と訳す方が多いことからも、同じフレーズでも時代背景が変われば意味の捉え方も大きく変化していることが分かります。

「デッドオアアライブ」の類似表現と意味

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使う場面によって、様々な意味に捉えることができる「デッドオアアライブ」ですが、検閲が厳しい小説や映画では、このようなダイレクトな表現の使用を禁止される場合もあります。

そのため、小説や映画では、「デッドオアアライブ」のようなダイレクトな表現を避けるために、別の単語を使用したり意味が似ている表現に言い換えたりしているケースが多く見られます。

そこで、ここからは「デッドオアアライブ」を言い換えた表現やどのような意味で訳されることが多いのかなど、類似表現ををいくつかご紹介しながらご説明していきます。

to be, or not to be

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こちらの表現は、シェイクスピア著の「ハムレット」に登場する台詞「To be, or not to be: that is the question」に使われている表現です。

be動詞を使った「not to be」、つまり「非ず」という意味を持つ熟語で「死」を表現することで、ダイレクトな表現を避けることができています。

ちなみに、小説やドラマ中では、この台詞はと「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」と翻訳されていることが多いです。

survive or pernish

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この表現は、有名な海外ドラマ「HERO」に登場する台詞です。「pernish」には「死ぬ」という意味もありますが、「滅びる」と訳されることが多い単語です。

「死」という言葉を連想させやすい「dead」というダイレクトな表現は避けつつも、うまく「生きるか死ぬか」という意味を表現したフレーズであると言えます。

ドラマ「HERO」中では、「Survive or pernish.」を「生きるか死ぬかだ」と意味で使われており、「デッドオアアライブ」の由来となった使われ方ではないことが分かります。

to live or to die

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「Dead」と「Alive」が状態を表す形容詞だったのに対し、それぞれの英単語が動詞になった表現がこの「to live or to die」です。

一見、「デッドオアアライブ」と同じ表現のように見えますが、「to live or to die」には、不定詞のtoが付いていることで「~べき」という意味が加わります。

そのため、「(生きているか死んでいるかに関わらず)殺せ」という本来の意味や「生死に問わず」という意味と同じ使い方はされない表現です。意味や使い方が全く同じ表現は、先ほどご紹介した「to be, or not to be」となります。

life and death

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こちらの表現は形容詞や動詞ではなく、「生」の意味を持つ「life」と「死」の意味を持つ「death」の名詞を使った表現です。

「生と死」と訳すことができ、「デッドオアアライブ」や先ほど説明した「to live or to die」とは少し違って、辞書に記載されている意味に最も近い訳され方です。

「デッドオアアライブ」の使い方

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ここまで、「デッドオアアライブ」という表現が、時代の変化にとともに意味や使い方も変化してきたことをご説明してきました。

冒頭で、日常生活ではあまり使わない表現とお伝えしましたが、由来となった西部劇やアメリカ西部を舞台としたドラマ、小説などではよく使用されている表現なんです。

では、ここからは、「デッドオアアライブ」を使った例文をいくつかご紹介しながら、どのような意味で使っているのかをご説明していきます。

It's unknown whether he is dead or alive.

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直訳すると、「彼が生きているか死んでいるかどうか分からない」という意味になり、意訳すると「彼は生死不明だ」になります。

この英文での使い方は、現代の「生きるか死ぬか」の意味に近いです。語順を入れ替えて、It's unknown whether he is alive or dead.と記述することもできます。

Dead or alive, No place to run.

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この英文を直訳すると「生きるか死ぬか、逃げるための場所はない」となり、意訳すると「生か死か。逃げ道はない」と訳すことができます。上記の使い方とほとんど意味は同じだということが分かります。

日常生活において使う場面はあまりない英文ではありますが、小説やドラマなどに登場する、追い詰められたシーンなどではよく見られる使い方です。

Take him dead or alive.

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これは19世紀当時のアメリカで使われ、「デッドオアアライブ」の由来ともなった意味に最も近い使い方です。訳すと「殺しても生きたままでもいいから捕まえろ」となります。

指名手配書に書かれた隠されたメッセージを、そのまま文章にしたような内容です。ちなみにこちらの表現は、James Matthew Barrie著の『ピーターパンとウェンディ』に登場する台詞です。

wanted dead or alive

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こちらの使い方が、これまでに何度も説明してきた、19世紀ごろのアメリカを舞台とした西部劇に登場していた指名手配書に書かれていた文言です。意味はもちろん「(生きているか死んでいるか生死に問わず)殺せ」になります。

現代社会において目にすることはほとんどなくなった表現であるとともに、このような意味で使われることがそもそも少なくなってきました。

しかし、指名手配犯の顔写真と共に、「WANTED Dead or Alive」と書かれた指名手配書の貼り紙を、西部劇などで目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

特殊な訳し方

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いくつか「デッドオアアライブ」を使った表現をご紹介してきましたが、最後に少し特殊な意味で訳されている「デッドオアアライブ」を使った表現をご紹介します。

Arthur Conan Doyle著の『ノーウッドの建築家』に登場する「~dead or alive!」は「死後も生前も」と翻訳されています。

普通の英文では前置詞がないため、このように訳されることはほとんどありません。小説だからこその訳し方といえます。

「デッドオアアライブ」は「生死を問わず」という意味

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「デッドオアアライブ」の由来や「(生きているか死んでいるか)生死に問わず」という意味には、19世紀ごろのアメリカの時代背景が大きく関わっていました。

「デッドオアアライブ」という文字通りに「生きているか死んでいる」と捉えさせるのではなく、言葉の裏に隠されたメッセージ「殺せ」という意味で捉えさせる点も、言葉の文化の興味深い点の一つです。

今回ご紹介した「デッドオアアライブ」のように、時代の変化と共に意味も変化してきた言葉は他にもたくさんあります。

この記事をきっかけに、「デッドオアアライブ」という言葉はもちろんですが、言葉の文化の変化に興味を持っていただけたら幸いです。

薊
ライター

シナリオライターとして働いております薊です。

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