切り干し大根の栄養や上手な戻し方まで紹介!
切り干し大根は栄養価の高い、優秀な食材です。皆さんは普段、切り干し大根を召し上がっていらっしゃるでしょうか?
食べたくても戻し方や使い方がわからないので使わないという方も多いでしょうが、太陽の恵みで栄養たっぷりな食材です。ぜひこの記事を参考にしてお使いください。今回は、切り干し大根の歴史、栄養価と効能、上手な戻し方から調理法までご紹介いたします。
切り干し大根は、定番の煮物だけでなく、味付け次第でおしゃれなイタリアンにも使えます。この機会に一度、使い方や調理法を覚えてください。火を入れれば日持ちするので、栄養豊かな常備菜として冷蔵庫に入れておくことをおすすめします。
そもそも切り干し大根とは
切り干し大根とは、大根を刻み、天日で干して乾燥させたもののことです。冬の寒気にさらして干したものが最もおいしいとされています。切り干し大根は、天日干しにより生の大根よりも栄養素が凝縮され、何倍も栄養価が高くなって、うまみが増しています。
乾物なので未開封の状態であれば半年から1年はもちますし、加熱調理したものは冷蔵庫で5日ほどはもちます。サラダなどの水で戻しただけのものは、その日のうちに食べきるようにお気を付けください。
その代表的な栄養素には、カリウム、カルシウム、鉄などのミネラル分、ビタミンB1、B2や食物繊維などがあります。
切り干し大根の歴史
大根そのものは、約2200年前にエジプトで食べられていたようです。そして、弥生時代には日本に入ってきていました。
大根の栽培が盛んになったのは江戸時代です。大根は食べやすくて栄養価の高い作物だったので、江戸時代には大根の品種改良も進み、いろいろな方法で食べられるようになりました。当時の人々にとっては、老若男女、貴賤を問わず誰にでも人気のある食材だったようです。
切り干し大根は漬物と共に、もともと全国で飢饉対策として広まった栄養豊富な保存食でした。当時は「干し大根」とよばれた切り干し大根を使った調理法は、江戸時代の料理本にも載っています。
大根といえば江戸近郊の練馬大根が有名ですが、当時の切り干し大根の代表的な産地であり、今の青首大根のもととなる大根を作っていたのは尾張でした。
関西では「千切り大根」
江戸時代には尾張で盛んに生産された切り干し大根は、明治時代に青首大根と一緒にその生産手法が宮崎県に伝えられました。そして今では宮崎県が生産量の9割を占めるまでになっています。
その呼び方も、関西以西では切り干し大根ではなく、「千切り大根」と呼ばれています。そしてそのほかの地域でも、栄養価の高い保存食として、それぞれ伝統的な作り方で切り干し大根が作られ、今に伝わっています。
切り干し大根の栄養価と効能
天日干しされた切り干し大根は、生大根の水分が抜けているために、ぐっとその栄養成分が凝縮され、栄養価が高くなっています。では、生大根とはどのような違いがあるのでしょうか?これから、その詳しい栄養と効能を見ていきましょう。
栄養価
野菜の栄養成分は産地や時期によって変わるものですが、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」で比べると、切り干し大根の栄養価は、カリウムの含有量が野菜の中ではトップクラスです。生の大根と比べても、14倍です。
さらにその栄養成分を生の大根と比べてゆくと、カルシウムは8倍、マグネシウムは7倍、鉄分は10倍も含まれる、ミネラル豊富な食材です。ほかの栄養素としては、ビタミンB1は17倍、B2は20倍、食物繊維は4倍多く含まれています。
このように、切り干し大根は生の大根の栄養とうまみがつまった素晴らしい食品です。ですが、切り干し大根の栄養は失われやすいので、戻し方や調理法には気を付けなければなりません。これは後ほど詳しくご説明いたします。
効能
では、切り干し大根に多く含まれる栄養素の効能はどういったものでしょう?まず、切り干し大根に豊富なカリウムは、排尿が促され、むくみの解消に役立つ栄養素です。また、カルシウムは骨を丈夫にする効能のある栄養素ですし、鉄分は貧血や疲労感を解消するといった効能があります。
食物繊維も豊富に含む切り干し大根は、整腸効果があるので排泄を促します。その食物繊維のおかげで腹持ちが良いので、食べると満腹感を感じることができます。その上栄養価も高いので、ダイエットにも最適の食材となるでしょう。
切り干し大根の栄養を逃がさない戻し方
このように、栄養価の高い切り干し大根を食べると様々な利点があります。その切り干し大根の使い方で、気を付けるべき点とはどのようなものでしょうか?これから、栄養を逃しにくい、おすすめの戻し方を見ていきましょう。
調理しながら戻すのがおすすめ
なぜ切り干し大根の栄養は失われやすいのでしょうか?切り干し大根の栄養素には、水溶性なのであまり水に浸しておくと溶け出てしまうものが、多く含まれています。そのため、スープやみそ汁のような汁物なら、水で戻す前に料理してしまうといった使い方をするのがおすすめです。
これならせっかくの栄養分を逃さず摂取することができます。とは言っても、切り干し大根を袋から出して、そのまま使うのはおすすめしません。その理由は、次にご説明します。
切り干し大根の洗い方
では、なぜ切り干し大根をそのまま使ってはいけないのでしょうか?それは、切り干し大根は栄養を凝縮させるために天日で乾燥させているので、どうしても汚れが付くからです。
調理に使用する前には必ずボールに水を入れ、切り干し大根を浸して、手でもみ洗いしておきましょう。はじめはたっぷりの水に浸してほぐし、そのあと2、3回水を変えながらもみ洗いします。
切り干し大根の戻し方
切り干し大根の戻し方は、いろいろな方法があります。様々な方法を試して、お好みの食感を見つけてください。
簡単な戻し方には、切り干し大根を洗っただけで、さっと水を切り、そのまましばらく置いておく方法があります。洗った時の水分のみで十分戻ります。この方法が一番手間がかからず、栄養の流出も抑えられるのでおすすめの戻し方です。
一般的な戻し方には、5分から15分ほど水につけておく方法があります。このときは、栄養が溶け出した戻し水をぜひ料理にお使いください。こうした使い方をすれば、せっかくの栄養素も無駄なく摂取できます。
乾燥した切り干し大根は戻すとよく膨らみます。万が一多めに戻しすぎてしまったときは、絞ってラップにくるみ、ジッパー付きの袋に入れて冷凍しておきましょう。冷凍庫で2週間は持ちます。
栄養たっぷりの切り干し大根の美味しい使い方
戻し方がわかったら、今度は栄養豊富な切り干し大根を使ったおすすめの料理で、その使い方を見ていきましょう。
ミネラルが多く含まれ、体にいい栄養分がいっぱいの切り干し大根なので、ぜひ日常的に摂取したいものです。サラダは調理も簡単でヘルシーなので、忙しい方にもピッタリです。今回は3つのレシピをご紹介します。
切り干し大根と桜えびの素揚げ
最初のレシピは、晩酌のお供にぴったりの栄養価の高いおつまみになるでしょう。切り干し大根と桜エビを用意します。
切り干し大根を洗ったら、キッチンペーパーでよく水けを取って、油で揚げます。その際、焦げないようにあまり油を熱しすぎないようにしましょう。切り干し大根は一度に油に入れ、次に桜えびを投入します。揚がったら熱いうちに塩コショウや、お好みのスパイスなどで味付けします。
切り干し大根とわかめのサラダ
お次はサラダです。まず、切り干し大根とわかめを用意します。切り干し大根を洗ったら、そのまま戻るのを待つか、5分ほど水に浸します。
わかめを塩抜きして、切り干し大根とわかめを食べやすい大きさにカットしておきます。器に盛って、お好みのドレッシングや薬味などをかけてお召し上がりください。
味付けによって、和風にも中華風にも洋風にもできるのが魅力です。彩に、ミニトマトやキュウリなどを入れるのもおすすめです。こちらも、わかめと合わせてミネラルたっぷりの栄養価の高いサラダです。
ツナと切干大根の炊き込みご飯
次は炊き込みご飯です。お米一合につき、だし汁、10gの切り干し大根と、ツナ缶を一缶使います。ニンジンや絹さやなど彩の野菜を入れると見た目も美しく仕上がるうえに、栄養価もアップします。
切り干し大根はよく洗って、食べやすい長さに切ります。研いだお米と切り干し大根をだし汁につけて、半時間ほどおいておきます。半時間吸水させたお米に醤油、酒、みりんなどで味付けをして、オイルを切って軽くほぐしたツナをのせて炊きます。
このレシピなら、たんぱく質や炭水化物をしっかり摂取できるうえに、旬の野菜を使って、ビタミン、ミネラルや食物繊維も豊富な栄養たっぷりの一品になるでしょう。
切り干し大根をいろいろ活用してみよう!
これまでご紹介した栄養たっぷりのレシピのほかにも、いろいろな使い方でいつもの食事に切り干し大根を取り入れていくのがおすすめです。なんといっても、ミネラルと食物繊維の豊富な栄養価の高い食材なので、ダイエットや健康にも効能があるでしょう。
生の大根の栄養価が太陽によって凝縮された切り干し大根は、普段は見過ごしがちな伝統食のイメージが強い食品ですが、忙しい現代人の強い味方なのです。