意気揚々の意味とは?
「意気揚々」という言葉の意味をご存知ですか?「漫画のセリフでみたことがある」「パワプロのスキル」「揚々が不明」などから、その意味までは詳しく知らない場合が多々散見されます。
「意気揚々」は、「いきようよう」と読みます。確かに上記のようによく見かける言葉であれど、何気なくスルーしてしまっているケースが多いです。
「意気揚々」とは、「得意で元気があふれて行動をするさま」という意味です。こんな前向きな意味なので私たちの日常と深く関わっていることが理解できます。
「意気揚々」の意味を把握すれば、巷に溢れる「意気揚々」の言葉を見るたびに「意気揚々」が使われている作品や前後の文脈をより一層理解するきっかけになります。
今回はそんな「意気揚々」について徹底紹介。「意気揚々」の対義語と類語、使い方、気分上々との違い、注意点、由来や歴史、英語表記や漢字表記について順に紹介していき、「意気揚々」をしっかり把握できるよう総力特集していきます。
意気揚々の対義語・類義語
まずは「意気揚々」の対義語・類語からです。一体「意気揚々」という言葉にはどんな対義語・類語が存在しているのでしょうか?
「意気揚々」はその意味「得意で元気があふれて行動をするさま」から、後述するビジネスシーンやプライベートの一コマで使う事ができ、生活に密接に関わりを持っている言葉です。
「意気揚々」はとても前向きな言葉です。「意気揚々」としていることは相手にも元気を与えることにつながります。人間関係を育んでいく上で相手に良い意味で刺激を与える効果的な言葉が「意気揚々」です。
そんな前向きな言葉「意気揚々」の対義語・類語を知ることは、「意気揚々」の意味づけをより明確にするきっかけとなります。以下から「意気揚々」の対義語・類語を紹介していきます。
自信を失い落ち込む意味
まずは「意気揚々」の対義語から紹介していきます。対義語は同じ四字熟語の「意気消沈」という言葉が当てはまります。
対義語「意気消沈」は「元気をなくし沈み込むこと」を意味しています。「意気消沈してかがみ込んだ」などという例文にで表現できる対義語です。
対義語「意気消沈」は例文のように文中で使用する場合、後に続く言葉にネガティブな表現を伴うことも一つのポイントです。併せてご留意ください。
得意が顔つきに出ている意味
次は「意気揚々」の類語です。1つ目は「得意満面」が当てはまります。類語「得意満面」は「得意が顔つきにでていること」を意味します。
今でも「得意満面で課題を提出した」という言葉などで頻繁に使われている語です。この意味で、現代の俗語「ドヤ顔」という表現でも代用することができます。「得意」という意味では一緒ただ、意味合いが「顔つき」に限定しているので、意味が全く同じ語として使うことはできません。
自信に溢れている意味
「意気揚々」の類語の2つ目は「自信満々」が当てはまります。類語「自信満々」は「得意で自信に溢れていること」を意味します。
この「自信満々」も現在でも「自信満々に喋り出した」という言葉などで頻繁に使われている語です。「得意」と「自信」は関連性がありますが、「元気」というニュアンスはその意味の中には見当たりませんので、完全な同義語として代用することはできません。
意気揚々の使い方・例文
それでは「意気揚々」は私たちの実生活でどのように使うことができるのでしょうか?私たちの生活は、舞い上がったり、落ち込んだりと、ことあるごとに気分もコロコロに変わってしまうことだらけです。
「意気揚々」という言葉は、その意味から、そういった日常生活に寄り添う身近な言葉です。これまでも多くのケースに「意気揚々」が当てはまり、これからも生活していく以上「意気揚々」となる場面は多くあることが想定されます。
上記の背景を踏まえて「意気揚々」の例文を下記にケース別でご紹介しますので、今回を機にその使い方をご参考いただければ幸いです。
例文①
「意気揚々」の使い方の1つの例文として、会議などのビジネスシーンが上げられます。ミーティングなどで「意気揚々」が使われています。
「意気揚々と営業活動しているので頼もしい限りです」このような営業ミーティングで「意気揚々」という言葉の使い方が想定できます。
例文②
「意気揚々」の使い方の1つの例文として、得意先でのビジネスシーンが上げられます。企画物の提出などで「意気揚々」が使われています。
「意気揚々とプレゼンしているので、とても好感がもてました。自信があるのですね」このように顧客に好印象をもたれる場面でも「意気揚々」という言葉の使い方が想定できます。
例文③
「意気揚々」の使い方の1つの例文として、自宅でのプライベートなシーンが上げられます。家族との会話などで「意気揚々」が使われています。
「そんな意気揚々と家事をこなすなんて、よっぽど息子の帰省がうれしいのだな」このように先々の出来事を期待して振る舞う際にも「意気揚々」という言葉をつかうことができます。
例文④
「意気揚々」の使い方の1つの例文として、ゲームに興じている最中が上げられます。自宅などでゲームをしている際「意気揚々」が使われています。
「3アウト目に三振をとった。次のイニングから意気揚々の効果でスキルアップできるぞ」このようにゲームのスキルアップのシーンで「意気揚々」という言葉の使い方が想定できます。
意気揚々と気分上々の違い
次に「意気揚々」と「気分上々」との違いについて紹介していきます。この「気分上々」という言葉は歌のタイトルに使われるなど有名で人気のある四字熟語で「意気揚々」に非常に似ています。
それでは両者にどんな違いがあるのかを、以下「意気揚々」「気分上々」それぞれの意味をそれぞれ比較していきながら違いを説明していき、実際の「気分上々」の使い方を見ていきます。
気分上々は最高の気分という意味
「気分上々」は表題で触れた通り「最高の気分」を意味する語です。対して「意気揚々」は「得意で元気があふれて行動をするさま」を意味しています。
たしかに両者を比べてみると「気分が良い状態」であることは一緒です。ただ「意気揚々」に比べて、「気分上々」は「気分の状態」のことのみを触れている言葉であることが理解できます。
これに対して「意気揚々」は「行動」することを意味の条件としています。「例文」でも確認したように「意気揚々と外出する」「意気揚々と話しはじめる」など後に行動が伴うこともその証左になります。
このように「気分上々」は「気分のことのみ」の意味に対して、「意気揚々」は「気分と行動」を示唆した言葉であると言えます。
意気揚々を使う際の注意点
では「意気揚々」を使う上で気をつけなければならない点はどこにあるのでしょうか?これは先述した「気分と行動」を伴った言葉であることと関わりがあります。
上記の点を踏まえて以下に「意気揚々」を実際に使う際の注意点をご紹介していきます。先述した「例文」と合わせてご参照いただければ幸いです。
ネガティブな行動では使えない
「意気揚々」を使う上で注意すべき点は、表題の通り「ネガティブな行動」では使う事ができないことが挙げられます。
「意気揚々」行動は必ずポジティブな行動になります。先述の「例文」の他にも「意気揚々と歌う」「意気揚々と歩む」などがあげられます。
「意気揚々と泣く」「意気揚々と下を向く」などの表現は「泣く」「下を向く」などの言葉がネガティブなのでNGです。
よって「意気揚々」の後ろに続く行動を示唆する言葉には、必ずポジティブな行動になるということをご留意ください。
意気揚々の由来・歴史
「意気揚々」の意味、使い方、類語・対義語、気分上々との違い、注意点がわかったところで、「意気揚々」の由来は一体いつどこにあるのでしょうか?
「意気揚々」は「使い方」などでご紹介したように、ビジネスを始め、日常の多くのシーンで使う事ができる前向きな言葉です。いろんなシーンと親和性のある言葉なので、古くから使用されてきた可能性も大いにあります。
上記を踏まえて「意気揚々」の語源と「意気揚々」が日本で使われていた使用時期を辿っていき、「意気揚々」の由来と歴史を紐解いていきます。
由来
「意気揚々」は詳しくは後述する「漢字」に譲りますが、上の2字「意気」は「元気」「気性」を意味しており、下の2字「揚々」は本来は「揚揚」と書き、「得意げ」「誇らしげ」であることを意味しています。
上記の二つの漢字熟語が合わさる形で「意気揚揚」となり、「得意で元気があふれて行動をするさま」を表す意味で知られるようになり、現在知られる「意気揚々」になりました。
歴史
「意気揚々」の由来が理解できたところで、「意気揚々」は具体的に日本においてどのくらいの前から使われていたのでしょうか?その使用時期の歴史を遡っていきます。
上記の点を辿る資料として「意気揚々」は過去の文献でも確認することができます。小説家の森鴎外の「寒山拾得」という作品です。1916年(大正5年)「新小説」に発表されました。下記の一説を紹介します。
「その慌ただしい中に、地方長官の威勢の大きいことを味つて、意氣揚々としてゐるのである」上記の文献から「意気揚々」は、今から少なくても100年以上前の大正時代には使われていたことが確認することができます。
「意気揚々」の使用を確認できる2つめの文献は小説家である海野十三の「疑問の金塊」という作品です。1934年(昭和9年)「キング」に発表されました。下記の一説を紹介します。
「大手柄と判ったときの、折井山城の二刑事の嬉しそうな笑顔が再び目の前に見える。二人は意気揚々と本庁へ引上げていったことだろう」
上記の文献から「意気揚々」は、今から少なくても80年以上前の昭和初期においても使われていたことが確認することができます。
意気揚々の英語表記
「意気揚々」はその意味から積極的に使っていける言葉ですが、英語圏でも「意気揚々」という表現が存在するのでしょうか?
「意気揚々」は日本語圏だけでなく、英語圏でも表現する事ができます。英語の表現としては、単語「triumphant」「elation」を使う用法です。この単語を用いた英語表現は日本語圏同様、英語圏のビジネスシーンなどの日常会話で広く使用することができます。
例えば英語表現「grow elation」ですと、「意気揚々と気持ちが昂る」という意味になりますし、別の英語表現「triumphant swagger」ですと、「意気揚々として闊歩すること」という意味になります。
上記のような英語表現を使う事で、日本語と同じようなニュアンスを表現することができるので、英語を使う機会があればぜひご参照ください。
意気揚々の漢字
最後は「意気揚々」のそれぞれの4つの漢字の成り立ちを確認していき、それぞれの漢字が現在知られる「意気揚々」の意味としてどのように機能しているかを紹介していきます。
まずは「意」から。訓読みで「意(こころ)」「意う(おもう)」と読む事ができます。「意」は会意文字で、意符として「心」と、「音(ことば、おと)」とから成り立っています。
意味として「ことば」を「音」で耳にして、「気持ち」を「心」で察することが語源です。その意味から転じて、「こころ」「きもち」「おもい」「かんがえ」という意味が生まれました。
次は「気」になります。訓読みで「気(いき)」と読む事ができます。「気」は旧字体で「氣」と書きました。
「気」は会意兼形声文字で、意符として「粒のように小さいその実である米」の意味の象形と、音符で「湧き上がる雲の意味である气(読み方:キ)」とから成り立っています。その語源から転じて、「蒸気」「水蒸気」の意味になりました。
「蒸気」「水蒸気」という本来の意味から、「空気」などの自然現象の意味、呼吸などを司る「気管」の意味、「気配」などの様子の意味、そして「意気揚々」で使われている「気力」「気分」という「心のはたらき」という意味に派生していきます。
そして最後は「揚々」になります。「揚」は訓読みで「揚げる(あげる)」「揚がる(あがる)」と読む事ができます。
「揚」は会意兼形声文字で、意符として「5本の指がある手」の意味の象形と、音符で「太陽があがる意味がある象形である昜(読み方:ヤウ)」とから成り立っています。
その語源から転じて、「あげる」の意味になりました。また「揚々」とは「々」の踊り字をつけた畳語で表現しています。
意気揚々は得意で元気にふるまうという意味
「意気揚々」の意味、類語、使い方、気分上々との違い、注意点、由来・歴史、英語表記、漢字を順を追って確認してきました。「意気揚々」は「得意で元気があふれて行動をするさま」であり、前向きな言葉なので、多くの人にも元気を与える言葉です。
日常生活でも様々なシーンで積極的に使っていける「意気揚々」という言葉、「意気揚々」をより一層活用することで、「意気揚々」とした毎日を過ごしていただければ幸いです。