応対と対応は意味が違うの?使い方の例文もご紹介!
「電話に応対する」「電話に対応する」この2つの表現は、まったく意味が同じでしょうか?似ているように見えますが、二つの表現には、対象となる相手に違いがあります。
電話の対応、来客の応対とどちらもビジネスシーンで日常的によく使われる表現ですが、互いの意味の違いを知らずに使っている方も多いようです。
今回は、来客、電話などそれぞれのシーンで使える「応対」と「対応」の2つの言葉の意味の違いと、それぞれを使った例文をシーン別にご紹介。お客様に対しても、身内に対しても失礼のない表現方法を学んでいきましょう!
「応対」の意味
まずは、「応対」という単語の意味と、使い方について見ていきましょう。応対を使用するのは、一体どんなシーンなのでしょうか?また、応対をする相手や対象はどんなものがあるのか?そういったことも含めて見ていきましょう。
応対という言葉には「相手の立場になって受け答えする」という意味があります。相手の置かれている状況や、相手の気持ち、など、とにかく相手に配慮した上で対峙し、受け答えをするというのが応対の持つ本来の意味です。
応じるという漢字には、「相手に反応して答える」「呼びかけに答える」「その状況にふさわしい対応やふるまいをする」と言った意味が込められており、対には、相対するのように「面と向かって対峙する」という意味が含まれます。
相手の感情に応じて受け答えする
応対するという単語は、この二つの漢字を踏まえて見ると、「応」が先に着ています。ここから、相手に「反応する」「呼応する」という意味合いが先にきます。
転じて、応対するという単語の意味には「相手の感情に応じて受け答えする」と言った意味が含まれてきます。相手が怒っている、相手が困っている、相手が悲しんでいる、こういった相手の感情に対して反応することが応対です。
相手の立場になって話を聞く、あるいは相手をすると言う風に置き換えると、応対の使い方もより鮮明になってきます。
応対の対象は「人」
応対という言葉が対応ともっとも違っている点は、その対象となる相手が「人間のみ」ということです。感情を持っているのは「人間」だけですので、感情に応じて答える「応対」は、対象者が人のみになります。
電話でお客様のクレームの応対をする、客の応対がうまいと言った表現からも分かる通り、応対の先には、相手となる人間がいるのが特徴です。
来客の応対をする、電話の応対をする、このように相手が必ず人であるのが応対という単語の使い方の基本です。後ほどご紹介する例文でも、応対の場面では相手が人になっていますので、注意してください。
「対応」の意味
続いては、「対応」という言葉の意味を見ていきましょう。応対とは逆で、「対」という漢字が先に来ていますが、「対」には、「対処する」のように、起こった現象に対して、なにかを施す、行うという意味があります。
その後ろに、応じるという漢字が置かれていますので、対応は、なにかが起こった、あるいは起こるかもしれない状況などに対して、策を講じるという意味が含まれています。
応対は、相手の感情がアクションの対象でしたが、対応では、相手の感情ではなく、起こった現象に対する行動を表します。似ているようですが、この二つの単語の意味が違うということが、ここから分かります。
状況に応じて対処する
対応は、自分が置かれた状況や、起こった出来事をどう片付けて行くのかといった「対処」の意味合いで使用されます。
また、「物事が対立する様子」や「対になって立っている、相対する」と言った意味合いでも対応という言葉が使われます。
対応するという単語には「互いに釣り合いが取れる」という意味も含まれます。例えば、「文章の初めと終わりが対応している」といった例文のように、二つの物事のバランスが取れた状態も「対応する」と表現されます。
対応する対象は「人」に限らない
応対が人の感情に対して呼応するという意味であるのに対し、対応するは、人だけでなく、物事、目の前、あるいは未来、過去に起こった出来事に対して、策を講じるという意味があります。
そのため、対応という言葉は、人だけでなく、物や物事に対しても使われるという特徴があり、汎用性が高い表現とも言い換えることができます。
来客に対応する、電話対応するといった例文の使い方は、ビジネスパーソンなら、四六時中耳にすることでしょう。起こっている出来事を対処していくのが対応です。
「応対」と「対応」の敬語としての使い方
応対と対応の2つの単語の意味はご理解いただけましたでしょうか?意味は分かったけど、実際の使い方にまだ自信がないという声もちらほら聞こえてきそうです。
そこでここからは、実際に「応対」と「対応」どのように使用するのか、例文を交えてその使い方をざっくりとご紹介していきます。
自分が「応対」と「対応」の受け手となった場合を想定して、いくつかの表現方法を挙げていきます。まずは、具体的な例文からご覧ください。
例文:応対してもらった場合
まずは、相手に応対してもらった場合の例文です。暑い中、取引先に伺ったら、先方の社員の方が冷たいお茶とおしぼりを出して応対してくれました。こういったシーンでは、「お忙しい中、心のこもった応対をいただき、誠にありがとうございます」のように答えましょう。
応対する側が丁寧な態度を取るのは、ビジネスマナーの基本です。会社の新人研修では、来客時や電話応対のマナーを最初に学びます。
忙しくても相手に対して丁寧に、邪険に扱わない、お待たせしないなど、応対にはいくつかのルールがあります。また、応対を受けた側は、それに対して感謝の意を表すのがマナーです。しっかりと使い方を覚えましょう。
例文:対応してもらった場合
続いて、対応してもらった場合の例文と使い方を見ていきましょう。相手に対応してもらう場面は、例えば、来客中なのに、電話に対応していただいたり、先方が休暇なのにメール対応していただいたりなど、相手が何か無理をしてくれるシーンなどもあります。
先方が、こちらの都合を優先して対応してくださった場合には、「迅速にご対応いただき深謝致します」「お休みのところ、ご対応いただき誠に恐縮です」のように感謝を伝える例文を使いましょう。
納期を無理に繰り上げてもらう、納品数を急に増やしてもらうなど、相手がこちらの都合で対応してくれたときには、必ず敬意と感謝を伝えるようにしてください。メールやハガキで対応に対するお礼を認めるのもよいでしょう。
「応対」と「対応」を自分が行動する時
相手からの「応対」や「対応」を受けた際の受け答えの仕方について、例文を交えてご紹介致しました。ビジネスの基本は、必ず相手への敬意と感謝を示すことです。心地よい信頼関係を築いていくためにも、この点を念頭において行動してください。
続いては、自分が相手に対して「応対」や「対応」をする際の言葉の使い方や言い回しを学びましょう。例文付きでご紹介しますので、ぜひ、参考になさってください。
丁寧語・謙譲語を使う
相手が自分に「応対」や「対応」してくれたときは、例文でもご覧いただいた通り「丁寧な応対」や「ご対応」のようにそのまま「応対」と「対応」という言葉を使用しました。
しかし「応対」や「対応」という言葉を自分が行うアクションに使うとき、そのまま使用すると、相手に対して非常に冷たく、事務的な印象を与えてしまいますので注意が必要です。
「応対」「対応」という言葉を使うのではなく、必ず、そのアクションを意味する「謙譲語」「丁寧語」に置き換えて言い方を工夫するというのが、マナーです。
例文:自分が応対する場合
来客時や電話で自分が「応対」する場面に遭遇しました。例えば、社内を案内するときは、「自分が応対致します」ではなく、「自分がご案内致します」という丁寧語に置き換えた表現を使いましょう。
エレベーターまで案内するときの例文は「エレベーターまでお連れ致します。」でも構いません。また、社長や上司などから、来客にお茶を出すように指示された場合なども、身内であっても「私が応対します」ではなく「お茶をお入れ致します」のように丁寧語を使いましょう。
例文で分かる通り、応対は、実際に自分がこれから相手に対して行う行動をそのまま丁寧語に置き換えればOK。電話の応対でも「お話をお伺いします。」のようにアクションに合わせて置き換えて使ってください。
例文:自分が対応する場合
では、対応する時の使い方はどうでしょうか?自分が対応する場合の例文ですが、「私が対応します」と言うと、人によっては失礼な感じを受ける方もいますので、注意が必要です。
「私が承ります」「私がご説明致します」「私がお届け致します」のように、実際に行う対処法を謙譲語や丁寧語で言う方が相手への心象もよくなると覚えておきましょう。
丁寧語や謙譲語は、使い方を間違うと、相手に大変失礼です。言い回しに自信がないときは、無理に使おうとしない方がベター。相手に不快感を与えないようにご注意ください。
電話や来客での使い方
ここまで、自分が「応対」や「対応」を行うシーンでの言葉の使い方や、相手に「応対」や「対応」を受けた際のお礼の仕方などについて見てきました。まずは、一通り例文を覚えて、とっさのシーンでさっと使えるようにしてみましょう。
続いては、電話でのやりとりや、実際にお客様が来社されたときなど、来客時に使える表現について見ていきます。電話は顔が見えないコミュニケーションとなりますので、言葉使いには特に注意が必要です。
来客時については、身だしなみやお茶の出し方など、身振り手振りもマナーの範疇になってきますので、その辺りにも気を配りつつ、応対・対応できるようにしていきましょう。
例文:電話応対する場合
では、電話での応対について見ていきましょう。電話の応対は、文字通り電話で受け答えすることです。お客様からのお問い合わせについて質問に受け答えするといった作業が「電話応対」の基本です。
電話応対では、電話してきた相手が、誰と話したいのか、どのような要件かなどをお伺いすることも業務の一環です。会社の上司宛の電話だったり、離席している先輩宛の電話だったり、誰宛の電話だったかなどをしっかりと聞いてメモしましょう。
電話応対で重要なポイントは、電話を切る前に、「先方へ折り返し電話させる」のか「電話させるのならいつ頃になりそうか」などをお伝えすることも重要です。しっかりと応対できると、先方の印象もよくなります。
例文:電話対応をする場合
電話対応についてはどうでしょうか?電話対応は、クレームの処理、先方からの要望に対する返答など、何か起こっている現象に対して、電話で対処することを電話対応と言います。
電話対応のポイントとしては、既に先方が困っていたり、急ぎでやらなければならない案件があったりと、状況に応じて臨機応変に対処してかなければなりません。「承知しました。すぐに対応致します」のようにハキハキと受け答えしましょう。
電話対応は、丁寧であると同時にスピード感を持って行うのが鉄則です。相手からのクレームの場合などは、絶対に感情的にならないように、特に対応に気をつけてください。
例文:来客応対する場合
続いては、来客応対のシーンについて考えてみましょう。来客応対の基本は、窓口で来客の受付などを行うことを指します。
「本日はお約束でしょうか?」「上に伺って参りますので、しばらくお待ちください」と言った一言を入れて、丁寧に応対してください。相手をもてなすという意味も応対には含まれます。
例文:来客対応する場合
来客対応は、実際に、お客様がいらっしゃり、受付を済ませて会議や応接室などに入られてからの行動を指します。お茶をお出ししたり、名刺交換をしたり、社内を案内したりと言った行動が来客対応となります。
来客対応の際は、先に例文ご紹介したように「丁寧語」と「謙譲語」を組み合わせて、先方に失礼のないような言動を心がけてください。また、席をご案内する時などは、先方の役職にも配慮して案内するなど、気配りを忘れずに。
ビジネスがうまく行く「応対」と「対応」のヒント
応対と対応という2つの似て非なる言葉の意味や使い方を見てきましたが、来客対応、電話応対、どちらをとっても上手く行くために重要なのは、相手の立場や置かれている状況に配慮しつつ行動していくということです。
応対する際も、対応する際も、一番気をつけていただきたいのは「表情」です。受付応対や電話応対など、相手を迎え入れるシーンでは、笑顔を絶やさずに、にこやかでいることが相手への印象を良くするためのヒントです。
「応対」と「対応」の違いは対応する対象が違う
ビジネスシーンで多用される「応対」「対応」という二つの言葉の意味や使い方を、例文を交えてご紹介致しました。
応対と対応の違いは、対象となる相手が、人間に限定されるかどうかと言った小さな違いでした。使い分けをしっかり覚えて、きちんと使い分けできるようにしていきましょう。