「節度」の意味
「節度がある」「節度をわきまえる」など、日常で「節度」という言葉を耳にすることがありますが、「節度」の意味を説明できる人はどのくらいいるのでしょうか。普段使っている言葉ですが、その意味を説明しなさいと言われたら難しいものです。では、「節度」の意味をみていきましょう。
行き過ぎない適当な程度
「節度」とは、言動や行動、振る舞いなどが度を超さないで、適度であることです。「節度」の標準的な意味になります。その場に合った言葉遣いや行動、振る舞い方ができるているということです。私たちがこの社会で生活する上で、「節度」とはとても大切なことなのです。
「節度」の類義語
「節度」という言葉の意味がわかったら、類義語もチェックしていきましょう。「節度」の類義語として5つご紹介します。意味が非常に似ており、場合によっては「節度」と同じようなニュアンスで使うこともできます。自分が言いたいことに応じて、「節度」と5つの類義語を使い分けてみましょう。
①中道
「節度」の類義語の一つ目は、中道という言葉です。中道は「ちゅうどう」と読み、2つ意味を持ちます。ひとつは、物事の進行ななかほど、達成する途中という意味です。例文として、「志むなしく中道で倒れる」といった使い方をします。
もうひとつは、一方にかたよらないで穏やかであるという意味です。例文として、「中道を歩む」といった使い方をします。こちらは「節度」と同じようなニュアンスになります。
②頃合い
「節度」の類義語の、頃合いは2つの意味を持ちます。ひとつは、ちょうど良い時期、適当な機会という意味です。例文として「頃合いを見計らう」といった使い方をします。こちらの意味はよく使われ、なじみの深い意味になります。
もうひとつは、ちょうど良い程度という意味で、「節度」が持つ意味と同じようなニュアンスになります。例文として、「頃合いの服が見つかった」などという使い方をします。
③中庸
「節度」の類義語の中庸は日常であまり使わないので、馴染みのない言葉という人もいるでしょう。中庸は「ちゅうよう」と読み、かたよることなく常に変わらないこと、調和がとれていることという意味があります。例文として、「中庸を得た意見」という使い方をします。「節度」の類義語である、「中道」に近い意味になります。
④抑制
抑制は、抑えとどめるという意味を持ちます。言い換えれば、行き過ぎないように抑えるということで、「節度」が持つ、「行き過ぎない程度」という意味と似たようなニュアンスになります。例文として「インフレを抑制する」、「食欲を抑制する」という使い方をします。
⑤規制
規制とは、規則によって物事を制限することという意味を持ちます。「節度」とは関係ない言葉のようですが「節度」の類義語になります。規制の意味を言い換えれば、行き過ぎないようにするということです。「節度」が持つ、行きすぎない程度と同じようなニュアンスになります。例文として、「集団行動を規制する」といった使い方をします。
「節度」の使い方
「節度」の意味や類義語がわかったところで、次は「節度」の使い方についてご紹介します。「節度」という言葉は、決まった言葉と結び付けて使用することが多いです。「節度」の使い方について詳しく解説していきますので、正しく使い方を理解して「節度」という言葉を使っていきましょう。
決まった言葉と結び付けて使用
「節度」は状態そのものを表す言葉で、名詞になります。行動を表す言葉ではないので、「する」や「したい」のような言葉とは結び付けることはできません。よく耳にする、「節度のある」や「節度をわきまえる」のように決まった言葉と結び付けて使うことが多いです。
「節度」の例文
では、「節度」の例文をご紹介します。「節度」は決まった言葉と結び付けて使いますが、どのような言葉と結び付けて使うのでしょうか。「節度」は結び付ける言葉によって意味が変わってきます。これから、例文を4つ挙げますので、「節度」をどのように使うのか、その意味と使い方を学んでいきましょう。
①節度を保つ
「節度を保つ」とは、行き過ぎないで適当な状態を続けることです。ちょうどいい状態をキープしているという継続性を含んだ言葉になります。例文として、「あの人は、目上の人には節度を保った接し方をしている」、「代表として節度を保つ」などという使い方をします。
②節度のある
「節度のある」は、ほどよい状態であること、適切な状態であることという意味です。よく耳にするので馴染みのある言葉ではないでしょうか。例文として、「この学校の新入生として節度のある生活を送る」や「社会人として節度のある行動をする」といった使い方をします。
③節度を欠く
「節度を欠く」とは、その状態が適切でないこと、態度、言葉がその場において適当でないことを意味します。言い換えれば、配慮がないこと、デリカシーがないこと、無神経なことを表す言葉です。例文として、「彼の言葉は、節度を欠く」や「学生として節度を欠く生活だ」などといった使い方をします。
④節度をわきまえる
「わきまえる」とは、物事の善悪を区別したり、道理を十分に心得るという意味です。つまり、「節度をわきまえる」とは、行きすぎない適当な程度を心得るといった意味になります。例文として、「学生として節度をわきまえてください」や「大人らしく、節度をわきまえた行動をする」といった使い方をします。
節度がある人の特徴
「節度」の意味や使い方がわかったところで、節度がある人の特徴をご紹介します。私たちが社会で生活する上で節度がある言動はとても大切なことです。節度がある人の特徴は、ルールをしっかり守る人や感情をセーブできる人です。では、それぞれ詳しく特徴をみていきましょう。
①ルールをしっかり守る
節度がある人の特徴として「ルールをしっかり守る」というのが挙げられます。私たちが社会で生活していく上で、さまざまなルールがあります。たとえば、信号を守る、ポイ捨てをしないなどさまざまなルールやマナーがありますが、これらの常識的なルールを守れない人は節度がある人とは言えません。
社会できちんと生活できる人、人間関係をうまく築いていける人は、節度があり、ルールやマナーをしっかり守るといった特徴があります。
②感情をセーブ
節度がある人の特徴は、感情をセーブできることです。誰もが、好きなこと、興味があることはしたいと思うものです。しかし、それが人として道が外れたこと、誰かに迷惑がかかることならば避けるのではないでしょうか。相手の立場に立って、気持ちを考えて行動できる人が節度がある人の特徴です。
逆に、相手の気持ちを考えず、自分の気持ちだけで行動をするといった特徴のある人は節度がある人とは言えません。
節度ある服装の例
パーティなどのフォーマルな場所や面接などでの服装はその場にあったものを着なければいけないことがあります。その場に合わない派手な服装などは節度がある服装とは言えません。では、どのような服装が節度のある服装なのでしょうか。ここでは、面接、結婚式、平服と言われたときの節度ある服装をご紹介します。
①就活面接
面接の時の服装は男女ともに必ずスーツです。スーツの色は、黒、紺、グレーなどが一般的になります。男性の場合、シャツは白できちんとアイロンをかけたものを着用します。ネクタイは暖色系、寒色系どちらでも構いませんが、あまり派手なデザインのものは避けましょう。靴は装飾の付いていないシンプルな革靴で、汚れのない綺麗なものを履きましょう。
女性の場合、スカート、パンツ、どちらでも構いません。ブラウスは白が基本です。きちんとアイロンをかけたものを着用します。ストッキングは肌に近い色を選びましょう。靴は装飾のついていないシンプルなパンプスを履きましょう。
ネイルをする場合は、派手なカラーは避け、透明や薄いピンクにしましょう。爪の長さは短めにします。職種によってはネイルをしているとイメージが悪くなることもありますので、注意が必要です。
②友人の結婚式
つづいては、節度ある結婚式のときの服装です。男性は、黒のスーツが基本で、フォーマルな場所ではジャケット、スラックス、ベストを選びます。シャツは白の襟付きを着用し、ネクタイはシルバーグレーや白が基本になります。
女性の場合は、ウエディングドレスと被るので、白いドレスなどはNGです。白に見えるような薄いベージュなども避けたほうがいいでしょう。ストッキングは必ず着用し、カラーは肌色が基本です。黒のストッキングは喪服を連想させるので避けます。靴は、つま先の出ないパンプスを履きましょう。
③平服と言われたとき
平服を言われたときの服装は、改まった場所でも恥ずかしくない服装です。男性は、ジャケットはネイビーなどのカラーを着用し、ネクタイがなくても様になるように、シャツは襟の高いものを選びましょう。靴は、スニーカーなどカジュアルすぎるものは避けます。
女性は、ワンピースかスーツが基本になります。スーツはジャケットを着用し、カラーは黒、カーキ、ベージュなどを選びましょう。インナーは白でなくても構いません。ジャケットの色に合わせて、カラーを選びましょう。改まった場所でも恥ずかしくないような、上品な服装を心がけましょう。
節度をわきまえるための注意点
節度をわきまえなければいけない場面というのがありますが、その場面できちんと節度をわきまえた行動ができているかというのが重要になります。節度をわきまえた行動をとるにも注意しなければいけないことがいくつかあります。では、どんなことに注意すればいいのでしょうか。詳しくご紹介します。
TPOにあった行動
節度をわきまえるためには、TPOを考えて行動しなければいけません。TPOとは、時間(time)と場所(place)、そしてそのときの場合(occasion)に合わせるという意味です。
「いつ・どこで・どんな場面」なのか状況を把握し、一貫した対応を行います。とくに、社会に出るとTPOに応じた行動をとらなければいけないことが多くなります。TPOを考えないで行動すれば、常識のない人と判断されてしまいます。信頼を失ってしまうこともありますので注意が必要です。
調子に乗らない
勢いが大事な場面もありますが、度を越して調子に乗ることは節度をわきまえているとは言えません。自分で抑制をかけることも、節度をわきまえるうえでは大切なことです。あまり調子に乗りすぎてしまうと、時に自分を見失い、つい度を越した行動をしてしまうこともあります。その場面を十分に理解し、自分を抑えることも必要なことです。
迷惑をかけない
生きていくうえで、周りの人にまったく迷惑をかけないということはほぼ無理なことです。しかし、頻繁に周りの人に迷惑をかけているのであれば、節度をわきまえているとは言えません。自分がされたら嫌なこと、困ることは何かを考えて行動していれば、周りに迷惑をかけることも少なくなります。
とくに、社会で生活していくためのルールやマナーは最低限守って、周りの人に迷惑がかからないように注意しましょう
無理をしすぎない
頑張ることはとても大切なことですが、無理をしすぎてしまうと自分自身を追い込んでしまします。過剰に頑張りすぎてしまい、ストレスが溜まると感情のコントロールもできなくなってしまいます。結果として、節度をわきまえた行動をとれなくなってしまうこともあります。こまめにストレスを発散して、無理しすぎないことが大切です。
規則正しい生活
仕事・勉強・遊び・運動・食事・睡眠など、バランスの取れた規則正しい生活をしている人は、心のバランスも取れ、度を越した行動をしにくくなります。つまり、節度をわきまえた行動を取れるということです。心のバランスが乱れてしまうと、感情のコントロールが取れなくなり、感情をセーブすることが難しいのです。
自然体でいる
ありのままの自然体な自分でいることも、節度をわきまえるために大切なことです。ありのままの自分といってもわがままになることではありません。自分を背伸びして見せたり、自分を演じたりして偽りの自分を見せないということです。
周りの人に、嘘のないありのまま自分を見せることで、ストレスを溜めすぎないでいることができます。人付き合いをしていくうえで、多少の気遣いや心遣いは必要ですが、無理をしないでありのままの自分でいましょう。
「節度」は行き過ぎない適当な程度
「節度」の意味、使い方、類義語などについてご紹介しました。「節度」とは、行き過ぎない適当な程度という意味です。節度ある人の特徴についてもご紹介しましたが、決められたルールをきちんと守り、感情をセーブして、度を超えない行動がとれる人です。周りに迷惑をかけないためにも、節度ある行動を心がけましょう。